- 老鳥との暮らしかた!鳥の介護10のコツと老衰インコの見送り体験談
- インコの老鳥介護とお世話で配慮すべきポイント
- セキセイインコの老化~老衰~大往生の見送り体験談
- オカメインコの老化現象と老衰を見守り続けた最期の3年間
老鳥との暮らしかた!鳥の介護10のコツと老衰インコの見送り体験談
インコたちも、その種の寿命の限界値を超えるまで長生きする子が増えています。
「鳥は弱い生き物」「すぐ死んでしまう」なんて今は昔。
バードフードの改良・進化、飼い主の飼育知識の向上、鳥専門の病院の増加により、昔は最期を見守ることしかできなかった鳥たちの寿命が格段に延びています。
それはとても喜ばしいこと…ですが、飼い主として「鳥のご長寿に寄り添って生きる」覚悟が求められます。インコは長生きするので、老々介護を覚悟する必要が出てくることもあります(私もそうです)
でも、どんな対応やお世話をするのがベストなのかは、一概に「これ!」と言えないのが難しいところ。老鳥のQOLは飼い主次第ですが、1羽1羽、老化の程度も進行も違います。
この記事で紹介する内容は絶対ではありません。「鳥の数だけある」老鳥との暮らし方の「いくつかの事例」と思ってお読みください。
インコの老鳥介護とお世話で配慮すべきポイント
オカメインコを例にしている内容ですが、年齢などの数値以外は、インコのお世話に共通する内容です。
オカメインコの老鳥は何歳から?
オカメインコは7歳くらいからが中年期、10歳を過ぎるとシニアとされています。
とはいえ、オカメインコには10歳過ぎても産卵しているメスもいます。
老鳥といってもだいぶ個体差はありますから、「年齢換算表」はひとつの目安に過ぎません。
インコは中年期以降の生活が長いです。
老鳥になれば筋力・体力が落ちてきたり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなります。
それらを踏まえた細やかな配慮が必要になることを、まずは覚悟しておきましょう。
老鳥は寝てばかり!?動きに現れる老化現象
老鳥は寝てばかり。寝て過ごす時間が長くなる。
老鳥はケージからあまり出たがらなくなる。
老鳥は飛ぶのが遅くなる。下手になる。飛べなくなる。
老鳥は動きが鈍くなる。息があがりやすくなる。
老鳥は食欲が落ちてくる。あまり食べなくなる。
老鳥はあまり水浴びをしたがらなくなる。
老鳥は嘴の力が低下する(硬い餌を砕けなくなる)
老鳥は噛む力がなくなってくる。噛まなくなる(攻撃性の低下)
老鳥は荒鳥だったのが手乗り気味になる(飼い主への依存心が強まる)
老鳥は止まり木から落ちやすくなる。落ちる。飛び移れなくなる。
老鳥は静かになる。あまり鳴かなくなる。さえずらなくなる。
老鳥の体重の管理は重要ポイントのひとつ
オカメインコは雛・若鳥・成鳥・老鳥問わず、毎日体重を測る習慣をつけておくことは、愛鳥の健康を守ることにつながります。
鳥は羽で覆われているので太っても痩せても見た目でわかりづらいものです。
その点、体重の数値を見れば客観的に体調の変化を知ることができます。
体重が急激に増減する時は、何らかの病気の可能性が大きいですし、体重の増減は動物病院での治療方法の目安にもなります。
肥満の予防のためにも、毎日同じ時間帯にインコをスケールに載せ、記録を取っておきましょう。
「朝起きてすぐに計測」など、同じ条件やタイミングで計ってください。
老鳥のフンのチェックを毎日欠かさないこと
老鳥になると内臓の機能も衰えてきます。
インコのフンを毎日チェックすることで、餌をきちんと消化・吸収できているか、感染症にかかっていないかなどの異常を素人でも判断することができます。
インコのフンの色・形・固さ・臭い・数などをふだんからしっかり観察していれば、体調不良にいち早く気づきます。
いつもと違う違和感を感じたら、早めに病院を受診しましょう。
フンが大きい…卵管炎
尿が黄色い…オウム病(クラミジア症) 肝炎
フンがお尻から垂れ下がっている…ジアルジア
下痢でフンが黒い…消化管内真菌症
血便…胃腸炎 中毒 消化管内異物(放鳥時などに鳥が異物を飲み込んだ)
緑色のフン…亜鉛中毒 ※青菜や着色料を食べて緑色になることもある
フンの水分が多い…消化管内異物 そのう炎 卵詰まり 腹水 胃腸炎 肥満
多尿…痛風 ヘキサミタ 中毒 肝炎
食べた餌がそのまま排泄された…消化管内異物 消化管内真菌症
インコは体調が悪いことを周囲に隠そうとします。自然界で弱ったことを外部に悟られては真っ先に狙われてしまう…野生の本能から来ているのですが、ペットとして飼われているインコも同様に体調不良を隠しますし、餌を食べているふりもします。
ルイの時にも、彼がきちんと餌を食べていると私は思い込んでいました。餌を食べているふりは見抜きにくいですが、糞の数は絶対にごまかしがききません。
糞の数が25個以下の場合は インコが餌を食べていないか、体調不良を疑った方が良い
…と小鳥の病院で教えてもらいました。
また、白っぽい尿のみの糞が多い場合は水分ばかりを摂取していて餌をあまり食べられていない…ということです。
私は毎日、うちの子の糞の数をチェックしていますが、成鳥のマメルリハインコで、1日に大体30~45個程糞をしています。
引用元:マメルリハの急死でインコの飼育方法7つの極意を得た体験談
老鳥のケージレイアウトとバリアフリーの注意点
老いを重ねれば体の様々な機能が衰え、今までできていたことが困難になるのが普通です。
止まり木から落ちる。
飛翔から着地の際にバランスを崩す。飛べなくなる。
ケージに寄りかかっていることが多い。
止まり木に止まれなくなり、床に座り込む。
これらの兆候があれば、趾(あし)の握力が落ちてきているのかもしれません。ケージや住空間を工夫する必要があります。
関節炎で体を屈曲させるのが困難になったら、餌入れ・水入れを浅くして、楽な姿勢で食べられるようにします。
ただし急にケージ内の配置を変えると、鳥が混乱してパニックになることもあるので、ケージレイアウトの変化は少しずつ進めます。
餌入れ・水入れがいつもの場所にあれば、たとえ視力が衰えてきても、落ち着いていつも通りに生活できます。
白内障のインコに対して飼い主ができることはあるのか?…と思い、先生にたずねると
何か治療をしたいなら目薬になると思いますが、私はそれにはあまり効果がないと思っています。
そうあっさり言われました。
それよりも、もうお年寄りのインコなので、こういう状況(片目の視力が落ちている)を理解して穏やかに暮らせるように、飼い主さんが工夫してあげてください。
これは勘違いしてしまう飼い主さんが多いのですが…視力が弱くなったからといって、急にケージのレイアウトを変えるのはやめてくださいね。
最近掴む力がだいぶ弱くなってきていたので「ケージ内のレイアウトを変えたほうがいいのかな」と考えていたところだったのですが…
止まり木を細くするくらいならいいですが…レイアウトを変えてしまうと、せっかく覚えているケージ内の感覚が活かせなくなってしまうので、視力が落ちてきた子にはそれはよくないですよ。
インコの中には白内障で全盲になる子もいるけれど、どこに何があるかを覚えているので、ケージ内をそのままにしておけば、視力を失っても適応できる場合が多いとのこと。
飼い主さんが「よかれ」と思ってレイアウトをガラリと変えてしまうと、インコはどこに何があるのかわからず、環境に適応できなくて食欲が落ちたり怪我をしてしまったりと、さらに悪い結果になってしまうことがあります。
老鳥の止まり木は足にやさしくてインコの本能を満たすものを選ぶ
これは老鳥だけに限らない話です。若いころから足が悪いインコが多くいます。
長期間不適切な止まり木の影響から趾瘤症(バンブルフット)になっていたり
腎不全から痛風を発症しているなど、足を悪くして止まれなくなってしまう鳥も少なくないです。
インコの足に余計な負担をかけないように、若いころから足にやさしい止まり木を選んでください。
老鳥には足指の握る力が衰えることで止まり木に止まれなくなる個体もたくさんいます。
そうなってしまったとしても、インコは習性として止まり木に止まったり、ケージの金網にとりつくのが大好きです。
止まり木に止まれなくなったからといって老鳥用のケージレイアウト変更の一環でいきなり止まり木を撤去するのは良くないです。インコが精神的に不安定になっておろおろしてしまうことが多いからです。
止まり木を使うのが難しくなったインコには床の据え置き型の止まり木やステップパーチなどを使うのがいいでしょう。
完全に床生活になってしまってもちょこんと止まり木 のようなものがあるとインコに喜ばれます。
老鳥の保温は超重要!温度管理と寒暖差の把握をしっかりと!
老鳥になると代謝が悪くなり体力も落ちるので、急激な気温の変化に順応することが難しくなります。
冷え込みの厳しい朝晩や、季節の変わりめの寒暖差が激しい時は、空調管理に注意してあげてください。
オカメインコは暑さに強い鳥ですが、日本の夏は湿度も高く猛暑日も多いので、熱中症にも注意が必要です。
夏場にエアコンのきいた室内では体を冷やし過ぎることも多いので、ケージ周りをカバーするなどの配慮も必要です。
足の温度が低い場合は寒い可能性があります。若くて元気で健康なら問題ないことも多いですが、老鳥や体調が良くない場合はもっと暖めた方がいいです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 4, 2021
老鳥の様子をよく見ながら、適切な温度湿度を管理しましょう。
暑すぎ・寒すぎだけでなく、日中の寒暖差が大きな春・秋も注意が必要です。ヒトと同じでインコの場合も寒暖の差が激しい時期が最も体調を崩しやすく危険です。
最近の温度計はスマホ連携型やスマート家電対応型など優秀な機種がたくさん登場しています。そういったものを活用して温度の「数値」だけにとらわれるのではなく、寒暖差までしっかり把握するようにしましょう。
冬場の保温にはアクリルケースも活躍します。
老鳥が餌を食べない!シニアインコの食餌管理のポイント
老鳥になれば食欲が落ちたり新しいものに順応ができなかったりと、食に対する懸念材料が増えてきます。
そんな事態にもある程度適応できるように若いころから準備しておくことも大切です。
インコが食べている餌の量を把握する
あなたのインコが毎日どれくらいの餌を食べているのか正確に把握していますか?
老いてくると食べているように見えて、必要な量を食べていないこともあります。
鳥は栄養を体に貯めておけないので、体力が落ちた老鳥は食べられないことでみるみる弱ってしまうこともあります。
食べている餌の量を知るには給餌量と残量を計測することです。ひと手間かかりますが、どれくらいの量を食べているのか把握しておきましょう。
目分量ではなくスケールで重量を計測してください。
老鳥には食べなれているものを与える
若鳥と違い、老鳥になると新しいものを受け入れづらい傾向があります。
急にこれまで与えていた餌や青菜の種類などを変えると、食欲を無くしてしまうこともあります。
栄養を摂れていなければ健康や生命維持に支障が出ますから、老鳥には食べなれた餌をあげることです。
老鳥の食事量が減ってきたから少量でも栄養のあるものを食べさせたい!…と飼い主は思うでしょう。
そこで、インコに良かれと思ってずっと常食してきたシードをペレットに切り替えよう!…と考えても、なかなか飼い主の思惑通りにはいきません。年をとればとるほど急に餌を変えられることに難色を示すインコの方が多数派です。
ペレットを主食にしたい場合はできるだけ早い段階にした方が、楽に切り替えが進みます。
ペレット食なら複数のペレットを食べられるようにしておくと安心
インコの主食にペレットを与えていると長年愛用していた製品が改良されたり、廃番で入手できなくなることがありますので、餌を少し買い置きしておく配慮も必要です。
海外製ペレットが輸入されなくなったり、製造停止になることはよくあります。
コロナ禍には一時期入手できなくなったペレットがたくさんあったことも記憶に新しいです。
特にオカメインコは食に保守的な傾向があるので、餌の種類が変わっただけで食欲が減退したり、食べなくなってしまうことが珍しくありません。
早い段階から複数メーカーのペレットを使うなどしていろいろな味・食感タイプに慣れさせておくのもいいことです。
ふだんから別のメーカーのペレットをローテーションで与えるとか、数種類をブレンドして食べさせるなど、数社の製品を取り入れておけば不測の事態でも慌てなくて済みます。
お試しサンプルが入手できるペレットは試してみるのもいいでしょう。
老鳥が「食べているのに痩せてくる」時にできること
老鳥には「食べているのに痩せてくる」現象がよくみられます。
老鳥が食べているのに痩せてくる理由
主食がシードの場合、老鳥になると嘴の力が低下してくるので、かたい種子を割ったり砕いたりするのが厳しくなったり、丸呑みに近い餌を胃ですりつぶす能力も低下してくるので、餌がうまく消化・吸収されなくなることがあります。
そうなるとインコの体に栄養がうまく吸収されません。老鳥が大病を患っているわけではないのに少しずつ体重が落ちてくるのは、消化吸収がうまくいかなくなることも原因のひとつです。
また、老鳥は次第に筋肉量が減って来ることから、ゆっくりと体重が落ちてくることが多くあります。
消化器官が弱まるとシードよりペレットの方が体にやさしいことも
ペレットの硬さや食感はいろいろですが、カリッと砕けるやわらかめ食感のものも多くあります。
やわらかめのペレットならインコが砕くのにエネルギーを使わずにすみ、消化も容易なのでお腹にやさしいです。
ペレットならミルを使って砕いてうちの子の食べやすい形状や粉末にできるので好都合でもあります。
そういう意味では、老鳥の食事はペレットがおすすめできると思います。
完全切り替えが難しくて主食として受け入れられなかったとしても、いろいろな種類をおやつ的に試してみて、食べるものをいくつか用意しておくといいです。
頑としてペレットを食べない子もいますが無理強いはせず、その子の意思を尊重してください。
フルーツフレーバーのペレットを与えてみる
体調を崩した22歳のオカメインコが元気になるように普段のシードにズプリームフルーツブレンドをプラスしてます。食べてるのはシードのようですが、おいしそうな香りとカラフルな食事に食欲が出て、おかげで体重が増えました。
引用元:amazon
こんな口コミを ズプリームフルーツブレンドで見たことがあります。
フルーツフレーバーはインコの食欲を刺激してくれる可能性があるので、試してみる価値はあります。
シードしか食べないインコなら発芽シードを作って与えてみる
発芽シードなら乾燥シードよりも格段に栄養価が高く、消化しやすいのでおすすめできます。
これなら大好物だから食べられる!をしっかり把握しておくと安心
これはすべてのライフステージのインコに共通することですが。
体調がイマイチの時でもインコが食べたくなる大好物を把握しておくことは大切です。
食が進まなくなっても「これなら食べられる」を知っておくことは飼い主の安心感が増します。
どうしても食べられなくなった場合、ゾンデ などで強制給餌することになりますが、経験のない素人が見よう見まねでやるのは難しいので、小鳥の診療に長けた病院を頼ってください。
当院では強制給餌はステンレス製のゾンデを使っています。そ嚢まで挿入して流動食を注入します。この手技ができるようになるにはかなりの経験が必要です。自宅で市販のフードポンプで強制給餌しようとして食道やそ嚢を傷つけて来院することがありますので、自信のない方はやらないことをお勧めします。 pic.twitter.com/S3smfiz4Js
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 25, 2021
病院を頼る直前の家庭での老鳥介護において「食べたい」と思えるものがあれば少しでも体力をつけることに通じます。
日ごろから愛鳥の好物をしっかりチェックしておくことをおすすめします。
餌箱を増やして食べやすい場所に設置!食べたい時にすぐ食べられる工夫をする
老鳥になると次第に食欲が落ちてくるのは自然なことですが、老化で食が細くなるだけでなく、体調が悪くて移動がしんどくなり、それに伴って食餌量が減ることがあります。
インコに「食べたい!」気持ちがわいた時、目につく所やすぐそばに餌箱があれば、無理なくついばむことができます。
最小限の労力でインコが餌にたどり着けるように、餌箱の数や位置を工夫してみてください。
餌箱を食べやすい形状のものにするのも、インコの食を進ませる効果があります。
セキセイインコの老化~老衰~大往生の見送り体験談
セキセイインコの飼い主
実家で飼っていたそら(オス)は、毎日放鳥してもらって自由に飛び回って遊ぶのが日課で、11歳になってからは飛ぶ速度が落ちたり、ケージ外に出てくる回数が減ってきたものの、毎日楽しく過ごしていました。
私がそらの異変に気付いたのはケージの中での過ごし方がいつもと少し違うことがきっかけでした。いつも止まり木に止まっているのに、その時は床にペタッと体をくっつけてうずくまっています。
今までそのような姿は見たことがなく異変を感じたので、すぐに小鳥の病院へ連れて行きました。
小鳥の病院の診断は「老衰」
全体を診察していただいた診断結果は「老衰」でした。スポイトで飲ませるタイプの栄養剤を処方され、
もうあまり長くはないかもしれないです。老鳥なので防寒対策をしっかりしてあげてください。それから体力的に止まり木で過ごすことが負担なようだから、かごの中の止まり木は取り外してください。
老齢になってくると寝る時間が増え、脚力や握力が弱ってきます。これらの徴候は急になることがよくあります。昨日まで元気だったのになぜ?となりますが老化の影響は徐々にというよりも突然ガクッとくることが多いです。特に鳥は老化が遅く高齢になって急に様子が変わるので油断しないようにしましょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 15, 2021
病気ではないので、栄養を補助してあげる以外は、何も処置できることはありませんでした。
セキセイインコは6歳くらいから老鳥期に入るということです。
セキセイインコの11歳は高齢ですが、いつも元気いっぱいのそらに対して、私は「老鳥」の意識を持ったことがなかったのです。
余生を過ごしやすいようにケージレイアウトを少しだけ変更した
落ち込んでばかりもいられません。そらの余生を快適に過ごしてもらうように準備することにしました。
まだそれほど寒い季節ではなかったのですが、防寒対策としてケージに保温電球ヒーターを設置。止まり木とフンきり網を取り外して床をバリアフリーにし、ヒーターから離れたところに餌と水を置きました。
ケージレイアウトを変えてからは、なるべくそらの近くで家族みんなで一緒に過ごすようにしました。そらのお世話は私と母と妹で行っていたので、順番で誰かが近くで付き添ってあげるようにしていました。
そして、疲れない程度にそらをケージから出し、掌に乗せて話しかけたりするなど、皆で触れ合う時間を持ちました。
人の手からどこかに移動するような元気がそらにはもうありませんでしたが、そんな弱っている時でも「おはよう」「○○ちゃん」などとおしゃべりをしていました。
食欲は全くなくなったわけではなくボチボチ食べている感じでしたが、そらが好きだったレタスを近くに置いてみたら、喜んで口をつけてくれました。
そらに快適に過ごしてもらうために、常に部屋を温かくしておく 誰かがいつもそらの近くにいてあげる …残された最後の日々、家族で協力してこの2つを徹底しました。
セキセイインコの老衰症状に最期の1週間まで気づかなかったけれど…
愛鳥への寄り添いから1週間後の夜、そらは母の手の上で虹の橋を渡っていきました。私がそらの訃報を知って慌てて帰宅してみると、うっすらと目をあけて眠っているそらがいました。
いつも私が帰宅するとそらは「おかえり」ではなく「おはよう」と言ってくれていたので、何も話さなくなったそらを見ているととても悲しくて寂しくて、どうしようもなくなりました。
晩年のそらはうずくまって休んでいることばかりでしたが、苦しんで鳴くようなことや、嘔吐・下痢などもなかったので、老衰で自然に逝くことが出来たのはよかったと思っています。
前日までいつも通り飛び回って遊んでいたのに、翌日には止まり木にもとまれなくなったそらの老衰症状があまりにも急展開で驚いたと同時に
もっと早い段階で 老いのつらさに気づいてあげることはできなかったのだろうか?
…と思うところもあったのですが、そらとの最期の時をゆっくりと一緒に過ごせたことは良かったと思っています。
永遠の別れは悲しすぎて思い出すたびに涙が出ますが、これは人間でいうところのPPK(ピンピンコロリ)なのでしょう。そらは苦しむことが少なく、闘病生活も短く、天命を全うして静かに旅立って行けたので大往生だと思います。
インコを飼っている方には、愛鳥が若くて元気なうちに、頼りにできる「鳥を診察できる動物病院」を見つけておくことをおすすめします。
大切なインコとのお別れはとても悲しいですが、後悔のないお別れが、その子へのいちばんの恩返しになると思うのです。
オカメインコの老化現象と老衰を見守り続けた最期の3年間
オカメインコの飼い主
オカメインコ(ルチノー・メス)のピーちゃんは私が小学生の頃から飼っていたオカメインコで、これはピーちゃんが19歳で亡くなるまでの3年間のエピソードです。
私が最初に老化に気づいたのはピーちゃん16歳の時。彼女の老化現象を立て続けに3つ、目の当たりにすることになりました。
オカメインコの飛行困難…自力で飛び立たなくなった
最初に老化に気づいたのは、うまく飛べなくなってきたのに気づいたことがきっかけです。
いつもは放鳥すると、カーテンレールやエアコンなど高いところに飛んでいきましたが、次第に上空に飛び立つことが困難になってきました。
滑空のような飛び方しかできず、ケージから飛び立ってはフローリングへスライディングしながら着地していくようになっていました。
17歳の誕生日を迎える頃には、自力で飛び立つことができなくなりました。
オカメインコの足が悪い?止まり木から落ちるようになった
ピーちゃんがケージの中でお気に入りのブランコに乗っているとき、足を滑らせて床に落ちてしまった時のこと。そのことをピーちゃん自身がいちばん驚いたようでパニックに陥りました。
その時の落下はたまたまかと思ったのですが、次の日にも同じように落ちてしまったので「これは足が悪いのか?」と気づきました。
脚力や足指で止まり木を掴む力がなくなってきていましたが、幸い神経症状は出ていませんでした。
オカメインコが寝てばかり…うとうとしている時間が長くなった
眠っている時間が増えたことも老衰を強く感じた点のひとつです。
若い頃はケージにぶら下がったり走り回ったりといつも元気いっぱいだったピーちゃんが、日中でも寝ている時間が長くなってきました。
そこから今後の老鳥介護や生活のサポートを真剣に考えるようになりました。
オカメインコのケージレイアウト変更と白内障の発覚
老鳥介護を考え始めた私は、まず小鳥の動物病院へピーちゃんを連れて行くことにしました。小鳥の病院からは「フンを持参するように」と言われました。
いつも元気いつぱいで怪我や病気ひとつしなったピーちゃんは、これまでほとんど病院を受診したことがなかったので、この時はとてもストレスや緊張感が強く、
普段から定期的に健康診断に連れて行っていれば良かったんだ。
…と後悔しました。
さらに獣医さんから、私が気付いていなかった事実を知らされました。ピーちゃんの目は白内障になっていて、すでに視力がかなり下がっていたのです。
老化に伴って代謝が下がっていることから、くちばしや爪がギザギザになっていることもわかりました。
幸い、それ以外の病気はまったく見つからず、病院でくちばしと爪を整えてもらい、栄養剤のサプリメントを処方されました。
足の悪いインコのケージレイアウトを老鳥バリアフリー仕様にしてみた
動物病院からの帰宅後、年老いたピーちゃんが過ごしやすいように、老鳥に合うバリアフリーの
ケージレイアウトにしようと考えました。
まずは高い位置に置いていたケージを少し低い場所に移しました。
そしてケージ入口の前には段ボールを使ってななめのスロープを作り、滑り止めマット(爪が引っかかりにくいもの)を切って貼り付けました。
ケージの中の止まり木も低い位置に付け替え、止まり木用の保護テープを巻いて滑らないようにしました。
ブランコはピーちゃんのお気に入りなので撤去することはやめて、これも低い位置に移しました。
ブランコが動かないように片側だけケージに固定して、止まり木と同じように
保護テープを巻きました。
ケージ底はフンきり網の下に新聞紙を敷いていたのを、網を外して、新聞紙とキッチンペーパーを敷く方法に変更しました。
オカメインコの老鳥の保温をエアコンメインでぬかりなく対応
若い頃からのケージレイアウトを老鳥向けに変えることで、ぴーちゃんは初めの1週間は戸惑ってパニックを起こすことがありましたが、少しずつ慣れてくると機嫌良くブランコの上で鳴いたり、居眠りするようになりました。
私は日中仕事をしていましたが実家暮らしをしており、昼間は自宅に祖母がいましたので、ぴーちゃんの様子を見てくれていて助かりました。
仕事から帰った夜にピーちゃんを放鳥すると、滑りと転倒防止のために敷いていたスロープマットの上をトコトコお散歩することが日課でした。
ピーちゃんを肩に乗せて、毎日スキンシップをたくさんとりました。
晩年のピーちゃんは若い頃よりも甘えん坊になって、首をカキカキするととても嬉しそうに目を閉じていました。
通院は大きなストレスがかかるので、クチバシがかなり伸びた時にだけ連れて行くことに決め、体重減少やフンの異常やいつもと違う様子がなければ、定期的にお薬をだけを処方してもらうことにしていました。
ピーちゃん19歳の最期の冬はリビングのエアコンをつけっぱなしにし、さらに外付けのパネルヒーターを併用しましたから、保温に対しては万全でした。
老鳥の最晩年は寝てばかりだったけど最期まで穏やかに過ごせたから悔いはない
ピーちゃんはケージの網越しのパネルヒーターの近くに寄り添っていつも片足を上げて寝ていましたが、その頃には今まで以上に寝る時間が増えてきて、ほとんど一日中寝ているような感じでした。
その様子について心配になった私が獣医さんに電話で相談すると、
病院に連れてきてもらってもいいけれど 老衰だから よほどのことがない限り受診しない方がいいと思う。お年寄りインコは受診がストレスになって死んでしまう可能性もあるからね…。
そうか。寿命を縮めてしまうかもしれないなら受診は必要ない。
悲しかったですが、私はぴーちゃんを通院させずに、最期まで自宅で面倒を見て看取ることに決めました。
日々大切に見守り続けたピーちゃんは、最期まで穏やかに過ごすことができていたと私は思っています。
そして12月27日、まるで私の仕事が休みに入るまで待っていてくれたかのように…そして眠るように 私の目の前でぴーちゃんは19年の生涯を閉じました。