インコの最期の不思議な行動~サザナミインコとの別れの夜の話
サザナミインコの飼い主 14年間一緒に暮らした私のサザナミインコ、ぴよちゃんには説明のつかないすごい能力があり「インコはこんなことまで理解してるのか?」と考えさせられることがたくさんありました。
たとえば私が疲れや寝不足などで、つい放鳥中にうたた寝をしてしまうことがありましたが、そんな時のぴよちゃんは怒ることもなく、私の腕にじっと乗ったまま動きませんでした。
一緒に寝ていることもあれば、ただなにもせず腕に乗っているだけのこともあります。
ハッと目を覚ました私は慌てて「ぴよちゃんごめんね。寝ちゃった」と謝るのですが、そんな私をぴよちゃんは穏やかな表情でただじっと見つめていました。
私が他の物事に気を取られてぴよちゃんを見ていないと、がぶり!と指を噛まれたりしていましたが、

このようにうっかり寝てしまった時にぴよちゃんに噛まれたことは一度もありません。
私の状況を把握して行動しているとしか思えない、今でも思い出すと気持ちが温かくなる思い出です。
そしてもうひとつ、ぴよちゃんが最期の夜に見せてくれた行動も不思議で忘れられないものでした。
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サザナミインコが最期の夜に飼い主に見せた意外な行動
最期の夜、ぴよちゃんは食べたばかりのおやつを急に吐き出した後、私の膝にかけた毛布の中でしばらくの間休んでいました。
(この時にはぴよちゃんが亡くなることなど予想もしていませんでした)
その後に具合が落ち着き、ケージに帰る途中に方向転換して向かったのは、数年前までよく登って遊んでいたアタ(ラタンのような素材)の籠ボックス。
若いころは、高さ15センチほどの籠ボックスに、爪と嘴を使ってヨイショヨイショ!という感じでよじ登るのが大好きだったぴよちゃんでしたが、最後の数年は掴む力が弱くなり、大好きなボックスに自力では登れなくなっていました。
昔は籠に登った後はすみっこに掴まり立ちし、もの凄いドヤ顔をしてキラキラの目で私を見つめるので「ぴよちゃん、えらいね〜!すごいね〜!」とたくさん褒めてあげると、ますます目をキラキラさせていました。
最期の夜、もう何年も自力で登れなくなっていたその籠ボックスに、ぴよちゃんは昔のように力強く登ったのです。
そして昔と同じようにキラキラ光る眼で私を見て、それまでで一番幸せそうないい顔をして、しっかりと籠ボックスにつかまっていました。
私がいつものように「ぴよちゃん、えらいね〜!すごいね〜!」とたくさん褒めると、ぴよちゃんは満足そうな顔をして、籠ボックスから降りて、自分でケージに帰って行きました。
大好きな場所に登れてうれしかったのか、元気に見せようとしたからなのか…それとも最期に一番いい顔を見せてから逝きたかったからなのか…私には分かりません。
実はこれは、私の中の「消えることのない後悔」につながる出来事でもあるのですが、最期にぴよちゃんが見せてくれたこの「幸せそうな顔」は、今も鮮明に私の中に残っています。
この顔を「最高にうれしそうないい表情」として私の記憶に強く残し、そのまま虹の橋を渡っていったぴよちゃん。
どうしてあのとき籠ボックスに登ろうとしたのか?実際に登ったのか?真相はわかりませんが、「自分はもう逝かなければいけない」とぴよちゃんはわかっていたような気がします。
…と、最後まで不思議で「すごい」インコだったぴよちゃんを思い、感謝の気持ちと愛おしさでいっぱいになる私です。
