インコが食べてはいけないものと手作りご飯で鳥を長生きさせるヒント
オカメインコの飼い主の寄稿
インコの食生活についての情報が疑問だらけでした。
ネット検索しても情報が交錯していて、結局どうしたらいいのかがわかりません。
いろいろ調べていくうちにたどり着いたのが、海外のインコ飼育の有料サイトで、そこで得た反栄養素(抗栄養素)の知識に、私は目からウロコの感激を覚え、ようやく答えにたどり着いたと感じました。
インコが食べてはいけないものの疑問を解く鍵は「反栄養素」が握っていた
海外サイトなので英語表記であることや、あまりに専門用語が多く飛び交うので、最初は翻訳ツールを使ってもよく分かりませんでした。
四苦八苦しながら何度も読んでいくうちに内容が少しずつ理解できるようになり、インコの食の疑問が解消していきました。
そのキーになるのが反栄養素の存在でした。
反栄養素とは、植物が生き延びるために自らに備えている防衛機能のひとつです。
身動きが取れない植物は天敵に対抗するための独自の防御システムを持っていて、それで自らの身を守っています。
天敵は植物から栄養素(メリット)を得ると同時に、天敵自身の健康に害をきたす有害な物質(デメリット)も体内に取り込んでいます。
有益な栄養素の吸収を妨げる有害物質が反栄養素です。
反栄養素が強烈になったのが「毒」であり、中には死に至る成分も存在します。
とはいえ、植物の持つ毒の多くは食べ過ぎると気持ち悪くなったり、軽い中毒症状を起こしたり、女性特有・男性特有の病気を誘発するホルモン様物質であったりと、軽微な症状がほとんどです。
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インコが食べてはいけないもの!気を付けるべき9の反栄養素
レクチン
レクチンは種・皮・葉に多く含まれ、そればかり食べると腸を刺激し、吐き気、下痢を引き起こします。
シュウ酸
シュウ酸は灰汁(あく)と呼ばれるもので、カルシウムや鉄の吸収を阻害します。
ヒトではシュウ酸を過剰摂取すると腎臓のシュウ酸濃度が高くなり、結石ができます(尿道結石など)
フィチン酸
フィチン酸は種に含まれるもので、種の栄養(鉄・亜鉛など)と結合して存在します。
芽や葉、実を作る力を持つものであり、とても栄養がありますが、結合しているために動物の体内に摂取できません。
だから種が鳥に食べられて糞で排泄されたものでも発芽するのです。
ゴイトロゲン
ゴイトロゲンは食べ過ぎると甲状腺機能低下症を発症します。

甲状腺ホルモンとは、新陳代謝を促進するホルモンですが、それが低下するわけですから、代謝が落ち、太りやすくなります。
ゴイトロゲンは不足でも過剰摂取でもインコは甲状腺腫になることがあります。
フィトエストロゲン
フィトエストロゲンは内分泌系の混乱を誘発します。
エストロゲン(黄体ホルモン)を混乱させるリスクを増加させるもので、イソフラボンもこの中にあります。
タンニン
タンニンは「しぶ」と呼ばれるものです。
過剰なタンニンは胃の粘膜を荒らし、消化液の分泌を妨げ、胃腸の弱い人には吐き気や下痢を引き起こす原因となります。
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硫化アリル
硫化アリルはヒトは分解酵素を持つのでその栄養素を享受出来ますが、ヒト以外のほぼ全ての生物が分解酵素を持たないため、誤って食べると中毒を起こして貧血になり、肝機能低下が起こります。
硫化アリルの怖いところは、加熱しても加工しても毒性が消えないことです。
ペルシン
ペルシンはアボカドに含まれる反栄養素です。
見つかって日が浅いため研究段階ですが、ペルシンも人間のみが分解酵素を持っていることがわかっていますので、ヒト以外の生物が誤って口にすると中毒症状を発症します。
しかもその中毒症状は鳥類が最も重篤と言われており、呼吸困難を起こして死に至ることもあります。
アクリルアミド
アクリルアミドを摂取すると血管が傷つき、動脈硬化や心筋梗塞が起こります。
インコが食べてはいけないもののマイルールを決めてみた
インコに食べさせてはいけないものは反栄養素を多く含む食品です。
ほうれん草はかなりの量のシュウ酸を含むので、わざわざ与える必要はない。青梗菜、パクチー、セロリで代用する。
オクラはシュウ酸が含まれているが、大した量ではない。タネが入っているので、自宅で栽培したオクラは早めに収穫し、蒸して食べさせる。
いちごもタネがついてるからフィチン酸が入っている。だから与えすぎないようにする。
とうもろこしは甘くてみんな大好きだけど、フィチン酸が入っているので、与えすぎは禁物。
種子(タネ)は沢山の栄養素を含有するが、種の保存のために多くの反栄養素を保有するので、与えすぎてはいけない。
反栄養素ではなく、毒素を含有しているものもあるので、取扱には十分注意する(スプラウトのように芽を出してから与えるなど)
インコに大豆を与えない
私は大豆を様々な反栄養素を含む食べ物として捉えているためインコに与えません。
インコに与える豆類はさやつきのインゲンを蒸したもののみ与えることにしています。
インコに玄米や小麦を与えない
インコのおかゆやバードブレッドを作る時に米や米粉を利用しますが、玄米は使いません。



その理由も反栄養素にあります。
玄米は皮の部分にたくさんの栄養素が含まれていることは分かっていますが、反栄養素(レクチンやフィチン酸)を含むため、インコの手作りご飯のレシピで使うのは白米のみ。白米を主食のように扱います。
フィチン酸はアルカリ条件(体内の多くの環境)では、鉄や亜鉛と強く結合してしまい、水に溶けにくい物質(フィチン酸塩)になると考えられています。つまりそのまま体内に吸収される事はなく、フィチン酸が鉄、亜鉛などを捕まえたまま、体外へと排出される事になります。上記の事を考慮して玄米を食べた時の事を考えると、玄米が元来有している鉄や亜鉛などのミネラルが効率良く吸収されないということになります。これがフィチン酸について考えられている有害な部分です。
引用元:日本植物生理学会
小麦にはレクチンが多く含まれ、フィチン酸やグルテンも含まれています。
小麦は消化吸収力に乏しいため、私はあまり使わないようにしています。
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インコの食の見直しでブリリアントに生まれ変わった生き証人のビフォー・アフター
私はオカメインコのほかにオオハナインコも飼育していますが、オオハナインコは消化器官が独特なために、数々の反栄養素に対して脆弱です。
オオハナインコのお迎え時にはこんなにも食生活が難しい鳥だとは知らず、ペットショップからは「お迎え時はさし餌を2回。その後ペレットを与えてください」とだけ言われていました。
その通りにしていたのですが、次第に羽の色が黒く沈んで油っぽくなってきたのです。これは…どう見てもおかしいのでは?…と思っていろいろと調べていった結果、オオハナインコについての驚愕の事実が浮かび上がりました。
10歳を超えたオオハナインコの多くは毛引きをするようになり、丸裸になって、若くして苦しんで死んでしまうことが多い。
Youtubeやinstagram で調べていくと、美しい羽毛を失ってしまっているオオハナインコばかりが目に留まります。
大型鳥種であるオオハナインコの寿命は50年とも言われているのに、なぜ飼育下では10年くらいで毛引きに走って亡くなっていくのか?毛引きで丸裸になって20年も経たずに死ぬなんて…厳しい現実に、私は愕然としました。
そしてそんな折にオカメインコの不調が重なり、「これは私が鳥たちの食生活に真剣に向かい合う時が来たのかもしれない」…との結論に至りました。
via:オオハナインコの食事問題にぶち当たりインコの食生活の見直しを決意

幼鳥時代
そんなオオハナインコ飼育のために私は反栄養素を勉強しましたが、学んでいくうちに反栄養素の知識は鳥類だけでなく哺乳類にも有益な情報であることが分かりました。

羽毛が黒ずみ脂ぎってきて、コンディションがイマイチになってきた頃
何を食べるかは生きる上での最重要課題のひとつで、これを誤ることにより精神を病んだり臓器を壊してしまったりします。
インコの美しい羽、美しい瞳を作りだすのも健康で長生きできるのかも、健康な食生活を送れるかどうかにかかっています。

栄養学を学び始めた頃。

有料サイトに登録した頃①

有料サイトに登録した頃②
2022年夏以降に本格的にインコの食事を見直してから、我が家のインコ達はどの子もツヤツヤのイケメンに生まれ変わりました。

現在① 蛍光グリーンのブリリアントな輝き。これだけツヤがありながら、油ギッシュな感じがしません。

現在② 羽1枚1枚の質感と美しさがまったく違ってきていることに気づきます。
現在のオオハナインコの羽には黒い部分は見当たらず、美しいグリーンの蛍光色に包まれています。
次の換羽でもっとイケメンになるでしょう。

このオオハナインコの幼鳥の頃から現在までの変遷をこうして比べて見ると、羽毛のコンディションがどんどん素晴らしくなっていくのがよくわかります。鳥だけでなくヒトだって、これだけのアップにはなかなか耐えられません(普通、アラがあれば丸わかりです)

黒ずんだグリーンがブリリアントグリーンに変貌し、まるで別の鳥を見ているようです。
このオオハナインコの食事はペレットメインでもシードメインでもありません。
朝・夕に飼い主が愛情を込めて用意する手作りご飯(おかゆなど)を食べています。
同居のオカメインコたちも同じものを食べています。
「健康な内臓」も「ピカピカの羽毛」も知識と実践次第でつくれる実例です。
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