オカメインコの飼い主さんの寄稿です
我が家のオカメインコは本当に弱い子なのか?の疑問から始まった、インコの食生活の探求。
ペレットは本当に鳥にとって幸せな食生活なのか?から始まった、オカメインコの手作りご飯に取り組む私の挑戦を紹介します。
オカメインコの手作りご飯の事始め…体調不良で食生活見直しを考え始めた
県内のオカメインコメインの有名ブリーダーさんからお迎えした当時の吟ちゃんは健康優良児のような子で、フォーミュラとキラピピでさし餌をしてから通常のシード食へと移行しました。
この後から徐々に我が家に愛鳥が増えていき 総勢5羽になりましたが、その頃から吟ちゃんが次第に体長不調になっていったのです。
オカメインコが次第に体調を崩していったことに不安を覚えて…
ある夏の暑い日、明らかに吟ちゃんは元気がないように見えました。
放鳥時に目を瞑って俯く仕草が気になり、
…と家族に問いかけても、
…と半信半疑の返事がくるくらいの「軽い不調かな?」の症状です。
思い起こせば、吟ちゃんが不調になったかもしれない原因はいくつか思い当たりました。
まず、新しい鳥が増えたこと。しかも自分より体がデカい鳥が来たことを 吟ちゃんは怖そうに感じているようでした。
さらに同居オカメインコのゆきちゃんにいつも追いかけられている吟ちゃんは、そのストーカー加減にもイライラしているように見受けられました。
このような小さなストレスが重なったことも原因となり、吟ちゃんは少しずつ調子が悪くなっていったように その頃は思えてました。
動物病院で処方された強肝剤の効果がみるみる現れて…
心配になった私は、吟ちゃんを動物病院に連れていきましたが、先生は首を傾げてから吟ちゃんの羽をめくって、
…と薬を処方してくれました。
薬は液体で、朝晩にスポイトで口の端から投入して飲ませるものでしたが、その強肝剤を投薬し始めたところ 2日も経たずに吟ちゃんの様子が何だかすっきりしているように見え始めました。
そして食欲も旺盛になってきて吟ちゃんが再び元気いっぱいになったのです。
それはもちろん嬉しかったのですが、そのときの私はこの展開に逆に一抹の不安を覚えたのでした。
なぜ強肝剤で元気になったのか?疑問が膨らむばかり…もしかして食生活が原因?
私の頭の中には「肝臓云々…」といった考えは微塵もありませんでした。

それから半年ほどたった厳冬期のころ、吟ちゃんに再び同じような不調が見え始めて、私はとても嫌な予感がしました。

吟ちゃんは生まれつき弱い子なのだろうか?
そんな風に考えると申し訳ないような寂しい気分がこみ上げてきて、また次のような疑問が浮かびました。
ふと私は、自分が鳥の体についての知識をあまり持ち合わせていないことに気づきました。
吟ちゃんは今どのような状態なのか…鳥の医学について学んでから考えてみよう…と思いました。
オオハナインコの食事問題にぶち当たり…インコの手作りご飯への飽くなき探求の開始
そのころ、我が家の5羽のインコの中でいちばん大きなオオハナインコの食事問題でも 私は悩んでいました。
オスは緑、メスは赤というクリスマスカラーのおしゃれな大型インコは赤道直下の熱帯雨林の大木穴に住み、森林火災から生き残るべく独特の繁殖システム(一夫一婦制でない繁殖)を行うインコです。
オオハナインコを購入した時にはこんなに食生活が難しい鳥だとは知らず、ショップからは
…とだけ言われていました。
その通りにさし餌終了後にペレットを与えていましたが、次第に羽の色が黒く沈んで油っぽくなってきたのです。
…と思っていろいろと調べていった結果、オオハナインコについての驚愕の事実が浮かび上がりました。
Youtubeやinstagram で調べていくと、美しい羽毛を失ってしまっているオオハナインコばかりが目に留まります。
我が家のオオハナインコ「くーちゃん」が50歳になるとき、私は100歳近くになっているはずですが(苦笑)
私の想定を遥かに超えた一般的な現実に私は愕然としました。
そしてそんな折に吟ちゃんのこの不調が重なり合ったことから
…との結論に到達しました。
インコの手作りご飯への飽くなき探求は こうして幕を開けたのです。
インコの肝臓を元気にする食材とレシピ考!オカメインコの手作りご飯の本格始動
吟ちゃんの体調不良の原因のひとつはやはり食生活にあると考えられました。
吟ちゃんの体調不良の原因は食生活の偏り
オカメインコの吟ちゃんの食生活を見直すにあたり、まずは食べているシードについて観察していくと、特定のシードばかりを食べてることがわかってきました。
中でもひまわりや麻の実ばかりを狙って拾い食いしているのに気づいた時、
…と私はにらみました。
脂肪の過剰摂取…ヒトが脂っこいお食事ばかりを好んで摂っているのと同じような状態です。
麻の実は脂質が高く、ひまわりはそれを上回る脂肪とエネルギーで構成されていて、重量の半分が脂肪です。
吟ちゃんはそういうシードばかりを好んで選り好みして食べていました。
素晴らしい海外サイトとの出会いから食餌の見直しを決意
まずはここから改めていくことが先決だと思っていた矢先、オオハナインコの食事や知識を得るためにネットサーフィンに明け暮れているうちに、私は素晴らしいyou tubeチャンネルに辿り着きました。
その方はアメリカ人で、オオハナインコの保護活動やフィンチの保護活動を科学的見地から行ってきた方でした。
現在は自身が病気の治療中でありながらも、オオハナインコの保護施設を建設中ですが、曰く「ペレットにしなさい」ではなくて
それを必死に訴えて自らも実践することで、飼育しているオオハナインコを肝臓病から生還させた逸話を持つ人でした。
私はYouTubeで学ぶためにまずは英語を勉強することから始め、次にこの方の有料サイトに登録しました。
その有料サイトの中には、私が知りたかった鳥の食生活の情報がびっしりと詰まっていました。
それに伴って、都市伝説のように「鳥に●●●を与えてはだめ!」みたいな情報に右往左往していた自分の頭の中の霧が晴れて 次第にすっきりしていくのがわかりました。
インコのご飯作りと同時に目指すべき生活習慣のポイントと食材選びのコツ
栄養バランスをとる鳥の食事の学習を開始し 有料サイト等で学んでいくうちに、インコの手作りご飯で自分が目指すべき4本の柱に気づきました。
必須栄養素を天然食材から摂取する
小鳥用サプリメントには正直 本当にきちんとした栄養素が入っているかに疑問があります。
それに天然物のほうが鳥は喜び、遊ぶようにして食べますから、安心で怖くないですし、鳥たちも幸せです。
日光を浴びて鳥体内でビタミンDを生成させる
食餌から得た栄養素をビタミンDに変えるためには、日光浴が必要不可欠です。
インコに十分な運動をさせて心と体を健康に保つ工夫
これは人間とまったく同じ。
飼育下の鳥は野生の鳥よりずっと運動していません。
運動は心を健康に保ちますし、発情抑制にも役立ちます。
バクテリアや中毒から鳥体を守る注意を払う
バクテリアや亜鉛の摂取(金属中毒)から鳥が病気や死に至らないよう、十分に注意します。
オカメインコだけではなくオオハナインコの食とも格闘中だったため、その根本的な考え方はシンクロしながらも、
…との結論がすとんと腑に落ちました。
鍵となるのはアミノ酸、ミネラル、カルシウム、タンパク質。そしてもちろん沢山の種類を摂取することに意味があります。
ただメニューを考えるだけでは十二分に栄養素を摂取できるわけではないことも考えて、鳥たちに確実に食べさせるための方法についても同時に考えていきました。
オカメインコが十分な栄養素を摂取するための天然食材は何をどう選ぶ?
オカメインコの手作りご飯に有効な食材とは?
インコに与える食材をオカメインコの吟ちゃんに当てはめて考えてみるときに、注意することがあります。
まず、オオハナインコとオカメインコとでは摂取するべき栄養素と そのパーセンテージが異なること。
それを踏まえた上で、私がオカメインコに有効と考えた食材を紹介します。
- 小松菜・パセリ・セロリ・水菜・大根の葉、カブの葉(このままでOK)
- バターナッツかぼちゃ(ぐちょぐちょになるまで蒸します)
- 青梗菜(葉の部分を好みます)
- パクチー(癖になるみたいです)
- 唐辛子(とりたてがいいのですが、乾燥でも可 その場合ふりかけ扱いです)
- レモングラス(そのまま)
- 生姜(細かく刻んで料理に混ぜて提供します)
- スプラウト(豆を発芽させます)
- ズッキーニ・にんじん(刻んで蒸します)
- りんご(個体の性質によっては細かく刻みます)

- サーモン(電子レンジで低温調理)※アミノ酸の大事な供給源。淡水魚のサーモンのみ提供可能です。海のものには鉄分が含まれているので、私は提供しません。
- 卵(茹でます)
- 卵の殻(カルシウム・ビタミン摂取できる優れもの。内側の幕を剥いでからすりつぶし、食品にかけて提供します)卵の殻はカキ殻よりずっと栄養があり、鉄分が含まれておらず安全です。
- さつまいも(ぐちょぐちょになるまで蒸します)
- 白米(炊いたお米に水を加えて伸ばします)
- トウモロコシ(そのまま)※生のものがなければ、冷凍がいいです。缶詰等加工されている場合は成分確認して添加物があれば提供しません。(コーンは砂糖・食塩が入っていないもの、米でさえたまに鉄など栄養素が入っているものがあるので注意)

輸入果物には大量の消毒液がついているものがあります。
皮をしっかり剝く、輸送方法が船であるものは購入しない…等の配慮が必要です。
食材を十分に殺菌する
食事を与える時、その食材にはバクテリアが付着しています。
鳥はヒトよりもずっとバクテリアに脆弱なので、バクテリアを食べてしまって深刻な中毒になることがあります。
適切な加熱でバクテリアは死滅しますが、熱の加え方によって食材に含まれる大事な栄養素が流れ出してしまうので、調理方法を考えつつ、十分な加熱がなされているかのチェックが必要です。
野菜はゆでるより蒸す方がおすすめです。
卵は水分に溶けないため、普通にゆでればOKです。
魚は蒸すか、低温の電子レンジ調理がおすすめです。
大豆は与えない
大豆にはイソフラボンが含まれ、生殖機能の遺伝子に結び付いてしまう性質があるので、個人的には与えないことにしています。
他の豆に関しては、いんげん豆のみ提供可能としています。
できるだけ多くの種類を提供する
それだけを食べていれば元気でいられる食材もなければ、1つのものだけを食べて健康でいられる生物もいません。
そのためできるだけ数多くのバラエティに富んだ食材を用意して鳥に提供することを心がけています。
私の場合は、以下の食材を小さく刻んで冷凍しています。
冷凍する際は蒸す必要がなく、電子レンジで解凍して鳥たちに提供しています。
食材の提供順序も考えながら与える
オカメインコにとって食材の提供順序は重要だと認識しました。
というのは、オカメインコに限らず鳥類は 飛ぶために食べる量を自らコントロールすることができるそうです。
大体体重の10〜13%のご飯を食べますので、いちばん食べたがる食材を最後に持ってくる作戦を立てました。
①柔らかいご飯(お粥)フード → ②野菜、果物 → ③シード
肝臓を元気にするスーパー食材でオカメインコがみるみる元気に!
鳥は肝脂肪がつきやすく体重に比例して肝重量が増加します。そのため肥満すると脂肪肝になり肝機能障害と高脂血症を起こします。悪化すると動脈硬化を起こして血圧が上昇し心疾患に繋がります。脂肪肝は食べ過ぎ、脂質の過剰摂取、運動不足といった人と同じ生活習慣病なので健康的な生活をさせましょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 9, 2021
これらは肝臓の状態が重篤な状況でなければ、徐々に確実に元気になっていくと考えられる食材です。
- たんぽぽ(花束にしてカゴの中に吊るします)
- アザミ(花束にてカゴの中に吊るします)
- モリンガ(現物は手に入らないので、市販品の粉末を購入。食材にふりかけます)
- オクラ(毎日食べてよい、肝臓にいい食材です。冷凍から解凍して使用します)
- りんご(細かく刻んだり、すりおろして提供します)
これらのものを与えていたところ「薬か!?」と思うくらい、オカメインコの吟ちゃんは元気になりました。
野草はできるだけ摘んだばかりのものが良いため、近所の公園や庭で採取できるものが理想的です。
体調が悪いかな?という時に提供してもいいですが、ハーブ類は定期的に摂取させることで体の代謝がアップして免疫力も上がり、より健康になっていきます。
食事を一気に変えることは鳥たちがとまどうので、吟ちゃんの食事内容は段階を経て 少しずつ変えていきました。
変わったものが出されても ほかの仲間が食べていればその様子を見て食べたりしますし、私が一緒に食べてみせたりもしました。
オカメインコは「ほれ食べてみい!」と出しても食に対して保守的なのか?なかなかすんなりと食べてくれない印象ですが、吟ちゃんはまわりが食べているのを見ているうちに 自然と出されたものを食べてくれているようになっていました。
オオハナインコが食べて細かくなったものに群がる様子も見受けられましたし、徐々にいろいろ食べるようになっていって、気が付けばたくさんの食材を食べられるようになっていました。
今年の冬は室内を活発に飛び回るほど元気な吟ちゃんは毛艶がよく、とても絶好調のように見えていますが、鳥類の体調管理に油断は禁物です。
私はこれを目標に掲げました。
15歳を過ぎても元気いっぱいでいられるように、吟ちゃんのサポートと食餌管理をずっと頑張っていこうと思っています。
この記事で紹介している野菜とハーブ類について
日本の飼い鳥事情が欧米に比べて大幅に遅れていることから、日本国内ではインコ飼育に関する誤情報がまかり通っているケースが多いので注意してください。
オクラを鳥が食べてはいけないのか?についての特記事項
当サイト運営者による追記です
「オクラは鳥に与えてはいけない」とする鳥ブログが多数ありますが、当サイトではそれは間違いである…いう認識です。
「Can parrots eat okra?」オウムがオクラを食べてもいいですか?…と英語でグーグル検索してみると、上位表示されているサイトはすべて「Yes!」と言っています。
つまり飼い鳥先進国のアメリカでは、オクラはオウム(parrots)に与えてもOKな栄養価の高い野菜であると紹介しているサイトが多いことがわかりますし、アメリカの鳥類専門家の多くがオウムへのオクラの給餌を否定していません。
私がgoogle検索で調べた範囲では肯定的な意見が上位にズラズラーッと並んでいましたので、個人的にはgoogleの判断を正しいと捉えています。
タンポポの葉
インコはタンポポの若くて柔らかい葉が大好きです。
タンポポの葉には ポリフェノール、ベータカロチン、ビタミンA、C、K、E、葉酸、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどの抗酸化物質が含まれています。
The Review of Diabetic Studiesによると、タンポポの抽出物が余分な肝臓脂肪を減らすため、肝臓の健康を改善するのに役立つということです。