インコの日光浴大全!ガラス窓越しはNG!曇りはOK!
飼い鳥のほとんどは屋内飼育なのでほとんどのインコが慢性日光浴不足ですが、インコのからだとこころの健康維持には日光浴が不可欠です。
ここでは奥が深いインコの日光浴についてのハウツーをまとめました。
昼間のリアル日光浴が難しく、紫外線ライトを使うことを検討している方はこちらをどうぞ

インコの日光浴の必要性と紫外線を浴びるメリット
インコの骨格や羽を作るためにはカルシウムが必要ですが、カルシウムを効率よく体に吸収するにはビタミンD3が必要で、これが不足すると骨折しやすくなったり、卵詰まりを起こしたりと、目に見える支障が出てきます。
日光浴するかしないかで寿命が変わる…と言っても過言ではないほど、インコの健康維持に日光浴は重要な役割を果たしています。
インコの日光浴の必要性
インコは紫外線を浴びることで体内にビタミンD3を作り出します。
ビタミンD3はシード食の鳥ならサプリメントから摂れますが、過剰摂取すると副作用があるため、できるだけ自然な形で形成することが望ましく、その一番簡単かつ安全な方法が日光浴です。
鳥たちは熱心に羽繕いしますが、そのときに尾脂腺から出る脂にビタミンD3の前駆体物質が含まれていて、嘴で脂を丹念に羽毛に塗っています。
それが紫外線に当たると前駆体がビタミンD3に変化するのです。
野生と同等の日光が理想的な可能性がありますが、長時間の紫外線は酸化ストレスを増やす原因になります。そのため日光浴はできる範囲で行い、できない時は紫外線ライトを使用し、シード食であればカルシウムとビタミンDを補うようにしてください。日光浴や栄養が足りているかは血液検査で判定します。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 24, 2020
インコが紫外線を浴びるメリット
体内時計を調整し、自律神経を整える→一年中ダラダラと換羽が続くことが解消される、免疫力の向上など。
鳥体に必要な栄養素を作る→ビタミンD3がカルシウムの吸収を助ける。
ストレス解消・メンタル安定→自咬や毛引きの予防・防止効果。飼い主と鳥の信頼関係アップ。
インコにとって気持ちのいい気分転換→好奇心旺盛なインコならそれが満たされる。
紫外線による殺菌効果
容姿が美しくなる→羽艶や美しくなりクチバシが良い色合いになる
代謝が良くなる→ドカ食いが減ってダイエット効果も期待できる。発情抑制効果も。
骨折の予防
丈夫な卵殻を作り、卵詰まり・卵管脱・軟卵の産出を予防する
低カルシウム血症の予防→体調不良の回避だけでなく、毛引きや自咬の予防につながる
インコのメンタルの安定→心が健全になるので、飼い主とのきずなが深まる。
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日光浴のやり方の頻度は?時間は?いつやる?最低どのくらいのペースでやるべき?
毎日短時間の日光浴が理想的ですが、忙しい現代人には難しいです。
まめに日光浴できないならば週に1~2回の日光浴をさせて、それ以外の日には紫外線ライトを併用するのがおすすめです。
日光浴の頻度は?
日光浴は「一週間に一度長時間まとめて」するよりも、毎日短時間の光を浴びさせる方が効果的です。
その理由は 骨を育てるのに必要なビタミンD3には一度に摂れる上限があるからです。
ですから毎日少しずつ継続して日光浴させた方が継続的にビタミンD3を作り出せることから当然健康に寄与します。
忙しい方なら一回の日光浴時間が短くても紫外線を浴びられれば日光浴としては十分と考え、紫外線ライトをうまく利用する方法がおすすめです。
日光浴の時間は何分?いつやるのがいい?
体内時計をリセットするためには、午前中の日光浴が望ましいです。
午前中の日光浴の方がセロトニンを増やしやすいことが分かっています。
また午後は午前中よりも紫外線量が増しますので、日光浴を行う場所や季節、時間への十分な配慮が必要です。
紫外線を浴びる時間は季節や温度にもよりますが、10~20分程度で充分です。
だらだらと長時間紫外線を浴びていると人間と同様にインコも疲れます(だから健康状態が良いインコ以外は日光浴はさせない方がいいです)
短時間でもいいので、こまめに紫外線を浴びさせることが、インコの日光浴には大切です。
ビタミンDだけでなく、総合的にビタミンを補うのにお勧めなのがネクトンです。ペレットを70%以上食べている場合は、与えなくても大丈夫です。https://t.co/ymlrtsT9SU
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 15, 2021
インコの日光浴用ケージは必要?
日光浴に使うケージは、一般的な金網ケージのような紫外線が鳥に直接届くものに限ります。
プラケース越し、アクリルケースに鳥かごを入れたまま、ガラス水槽越しの光は紫外線が通過していないので、日光浴にはなりません。
いつものケージを日光浴のために移動させるのが大変なら、通院に使っているケージ型キャリーを使うのがおすすめです。
インコ用キャリーケース選び!初めてのバードキャリーおすすめ21選
…という人は、日光浴にキャリートレーニングを利用すればキャリーを使えるようになります。
キャリートレーニング!インコが新しいケージに慣れない時のしつけ法
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インコの日光浴の紫外線の程度はどのくらい?曇り・雨・日陰では効果なし?
日光浴というと日差しがキラキラしている明るい日にするもの…と想像しがちですが、曇りや雨の日でも
紫外線は浴びられます。
インコの日光浴は曇りや雨の日ではできない?
天候に関わらず、紫外線は地上に届いているのです。
快晴の日の紫外線を100%とすると、曇りは60% 雨は30%
紫外線は雲を通過して地上に届いていますので、問題なく浴びられています。
インコの日光浴は日陰ではできない?
季節や緯度によって紫外線量は変わりますが、紫外線は地表面に当たって跳ね返るもの。
屋外にいれば地表面からの反射光を浴びているのですから、日陰にいてもまったく紫外線が
当たらないわけではありません。
地表面の反射率は地表の状態によって変わりますが、新雪では80% 砂浜では25% アスファルトや普通の草地では10%未満と言われています。
黒目以外のインコ(赤目・ブドウ目)の日光浴の注意点
オカメインコルチノーなどの赤目(ブドウ目)の鳥の場合は紫外線に弱い…という説がありますが、実はこれについてのエビデンスは2023年現在はまだありません。
しかし強い紫外線を浴びない方がいいのは事実ですので、黒目以外の鳥は気を付けた方がいいでしょう。
赤目は弱いと言われる理由はメラニンがないためです。メラニンは目も紫外線から保護しています。老齢性白内障の原因は紫外線である事が分かっています。目にメラニンがないと直接紫外線が入るため目の老化を早める可能性があります。赤目に限らず紫外線ライトは上から浴びるようにしましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 14, 2021
暗赤色であればぶどう目といわれます。少し色素を持っていますが、黒目よりは紫外線が入りやすいと思いますので、気をつけましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 15, 2021
上述の通り 天候が不順な日でも紫外線を浴びられること、反射光が当たることを知っていれば、あまり気負わずにインコに日光浴させてあげることができます。
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インコの日光浴、冬と夏はどうする?
日本は四季があり寒暖の差も大きいですから、季節によって日光浴の時間帯や紫外線を浴びるのに費やす時間、行う場所を変える必要があります。
夏の日光浴では逃げられる日陰を必ず作る
夏は直射日光に当てないように風通しのいい日陰で10分程度の短時間の日光浴にとどめるのがいいでしょう。
あまり神経質にならず、網戸越しに日が差し込む部屋に鳥かごを置いておくだけでも十分日光浴になります。
日光を嫌がらないインコでも、カーテンや網戸越しでも十分効果があります。
インコが暑いと感じたときにいつでも日差しから逃げられるよう、鳥かごにタオルや新聞紙を部分的にかけて
日陰を作ってあげると日射病や熱射病の対策になります。
あまりにも長時間の日光浴は季節や天候によっては熱中症になる恐れもあるため、その時々で時間などを調節する必要があります。
インコが羽を持ち上げたり、口を開けてはあはあ息を上げる頻度が増えたら暑がっているサインですので、涼しい場所に移動してください。
インコの日光浴 冬のやり方は?
冬の日光浴でインコに寒い思いをさせて体調を崩すようでは本末転倒です。
寒暖の差に気を付けつつ、ひだまりでの短時間の日光浴をしたいところですが、昨今の冬季は鳥インフルエンザウィルスの感染が気になります。
野鳥に接触させたり、そばに近寄るのも避けておいた方が良いので、基本的にケージを外に出すことはおすすめできません。

そういう場合は鳥用の日光浴ライト(uvライト)を利用することで室内で安全に日光浴をさせることをおすすめします。
紫外線ライトはフルスペクトラムのUVライト 小鳥専用のもの…を用意しましょう。
フルスペクトラムは太陽光に近い紫外線を出してくれるので、インコに必要なビタミンD3も摂取できます。
またUVライトはインコに必要な紫外線量を摂取するため必ず小鳥用を購入しましょう。
爬虫類用を代用することは絶対に避けてください。
日光浴ライトのおすすめ
インコの日光浴はどこでやる?屋内?ガラス越し?網戸越し?カーテン越し?ベランダ?
日光浴というと直射日光を浴びるイメージがある方もいると思いますが、直射の日差しである必要はありません。
弱くても一定量の紫外線が当たれば日光浴としてはOKなのですが、自分では気が付かないうちに紫外線がしっかり遮られていて日光浴効果を得られていないケースも多いです。
インコの日光浴が窓越し(ガラス越し)では効果なし!
日光浴させてるつもりだけど実は日光浴になってない「日光浴もどき」はガラス越しの日光浴です。
ガラスで紫外線がカットされているので、明るい光に当たっていても鳥体内ではビタミンD3が作られません。
これはプラケース越しでもアクリルケース越しでも同じです。
プラスチックやアクリルもガラスと同様に紫外線をカットしてしまうので、日光浴としての効果はほとんどありません。
日光浴をする時にはガラス窓を開けて、光が差し込む状態で行うことが必要です。
インコの日光浴を網戸越しにするのは外敵を遮るので安全性が高い
網戸越しに日が差し込む部屋に鳥かごを置いておくだけでも十分日光浴になります。
外にケージを出してしまうとロストや外敵に狙われる等のリスクが高いですが、窓を開けられる季節なら、室内の網戸越しでの日光浴なら安全です。
日光浴を嫌がるインコも室内の網戸越しならそれほど抵抗がないでしょう。
網戸越しでも良いですが、かなり紫外線をカットされますので長時間やらないと充分とは言えないかもしれません。赤目の仔は紫外線に弱いので、強い紫外線は避け、ビタミンDを補うしかないと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 22, 2021
インコの日光浴はカーテン越しでもOK
カーテンにはいろいろな素材がありますが、遮光カーテンでなければほとんど光を通すので、日光浴としてはまずまずの効果があります。
コチョウランのような強い日差しを嫌う植物もレースのカーテン越しの光を当てれば育つように、光を通すタイプのカーテンであれば問題なく日光浴ができます。
ただし、当然のことながら紫外線量は少なくなりますので、日光浴の効果が上がっているかどうかは、小鳥の病院の定期検診などで確認した方が良いでしょう。
日光浴や栄養が足りているかどうかは、インコの血液検査でわかりますので定期的な健康診断をおすすめします。
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屋外での日光浴で忘れてはいけないインコのロスト(脱走)対策
日光浴を屋外で行う場合、誤ってケージやキャリーケースが落下し本体が分解して鳥が逃げてしまう事故を防ぐために、ベルトでしっかりと固定しておくことをおすすめします。
また扉にナスカンを付けて扉を開けられないようにしましょう。
ナスカンは金属中毒予防のためにステンレス製のものをおすすめします。
亜鉛合金製のナスカンを使ったらセキセイインコが吐いて下痢をしたとのことで来院しました。このナスカンはしばらく使っておらず古いもので、腐食が見られました。扉に使ったらずっと舐めていたとのことでした。レントゲン検査で金属片は見られませんでしたが金属中毒の可能性が高いです。 pic.twitter.com/hp5WTORIIm
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 19, 2022
インコの日光浴を屋外でやる時は外敵と防疫に注意!カラス・ネコ・ヘビ・野鳥
ケージを屋外に出す場合は絶対にインコから目を離さないでください。
野良猫がインコを襲うケースは多い
ベランダだとインコが野良猫に襲われるケースが少なくありません。
昨今 猫は室内飼育が基本ですから外をうろついているのは野良猫ですし、本能的にハンターですから要注意です。
猫パンチでインコにちょっかい出されたりしたらインコが負傷するだけでなく恐怖から繊細なインコのメンタルに大きな傷をつけてしまうことにもなります。
日光浴時は飼い主がそばにいることが絶対条件です。
カラスの襲来でインコが大けがをするケースが意外と多い
カラスの襲来も多く、インコがケージ越しにカラスからつつかれたり噛みつかれたりして負傷するケースが多いので、要注意です。
インコを襲うのはほとんどが「ハシブトガラス」で、よく生ごみをあさってる種です。
カラスは肉食性が強い鳥なので1年じゅう気を付けたいですが、繁殖・育雛期の4月から6月くらいがもっとも危険です。
またもやカラスに襲われる事例が発生してしまいました。サンルームのように囲われているベランダにセキセイインコさんが入ったケージを出していたところ、気付いたら足を齧られてなくなっていました。出血は中等度で済んだため、命に別状はありませんでしたが、大怪我となってしまいました。カラスは獲物の目星を点けた場合、近くで待機し、人気がなくなったところを狙って襲ってきます。ほんの5分ほど目を離しただけでも襲われることがありますので、十分注意してください。
引用元:横浜小鳥の病院ブログ
ヘビも要注意!ケージに入り込まれたら結末が怖すぎる
夏はヘビも出るので注意してください。
2階のベランダにヘビが登ってケージに侵入した事例もありますので、上の階だからといって油断してはダメですね。
ヘビ対策としては、ケージを高さのある所に吊り下げておくことが有効です。
外敵ではないが冬の野鳥の飛来にも要注意
冬は鳥インフルエンザウィルスに感染した野鳥との接触にも注意が必要です。
これは外敵ではなく防疫の話ですが、別の意味での「脅威」です。
いかなる場合もインコケージを外に出す時は注意を怠らないことが大切です。
