オカメインコの飼い主の寄稿です
友人が結婚して海外へ行くことになり、彼女が飼っていた3歳のオカメインコ(メス)クルミを我が家にお迎えすることになりました。
これはその時に困ったオカメインコの噛み癖のエピソードです。
オカメインコの性格が悪い?引っ越しからストレス行動が始まった話
クルミをお迎えするにあたり すでに我が家にはセキセイインコがいたので、
…と思ったのですが、困っている友人を放っておくことができず、彼女の希望を受け入れることにしました。
…と思った事と、私はクルミとは何度も会ったことはあったので「平気平気~♪」とどこか軽い考えだったのです。
でも、現実はそう甘くはありませんでした。
慣れない環境に戸惑ったのか、それとも元々の性格なのか、クルミを飼い始めてすぐに「これは困った!」と思いました…クルミはとにかくやたらと人に噛み付いてくるのです。
ケージの掃除をしようと手を入れれば噛む。放鳥しようと思ってケージの扉を開けて手を入れてみてもやはり噛んでくるし、威嚇をするようにけたたましく鳴く。
友人の頼みとはいえ、クルミを譲り受けた事を後悔しました。
オカメインコの噛み癖は我が家にお迎えしてから始まったものとわかり困惑する日々
こういうことの連続で、クルミが来てからというもの、私の手はしょっちゅう傷だらけだったのです。
…と思った私は、友人にさり気なく噛み癖について聞いてみたものの
確かに、以前彼女の家に遊びに行った時にも クルミはとても大人しかったことを思い出しました。
うちに元々いるセキセイインコも時々人の手を噛むことはありましたが、それはいわゆる甘噛み程度のレベルで、痛みを感じるほどではありませんでした。
だけど、クルミに噛まれると猛烈に痛いのです。指には赤く痕が残り、涙が滲んでくるくらいです。
…と私は精神的にまいってしまいました。
とはいっても、一度引き受けたのですから、何とかしなければいけません。
…と思い、オカメインコを飼っている知人に相談することにしました。
「困っているのは飼い主さんよりオカメインコの方でしょうね」
私の母の友人の息子さんがオカメインコを飼っていて、私の話を親身になって聞いてくれました。
その人もオカメインコの噛み癖にはかなり悩まされたことがある…とのことでした。
私はクルミの現状を伝えて、いかに自分が困っているのかをとうとうと話し続けました。
その話を彼は黙って聞いていましたが、話し終わった時、彼の口からは思いがけない言葉が飛び出したのです。
ギョッとしている私に、彼はこう言いました。
そもそも、オカメインコはとても繊細で臆病な性格をしていることを指摘しながら
思い返してみると、我が家は友人の家とは何もかもが違うことにも気づきました。
友人の家には観葉植物がたくさんあって家具も最小限でしたが、うちは真逆で、家具が多くて観葉植物はまったく置いてありません。
しかも我が家には先住のセキセイインコがいます。
クルミにとってはまさにストレスフルな「未知なる世界」だったはず。
そこに思い当たった私は、自分の事ばかりでクルミの事は何ひとつ考えてあげられなかったことに気づきました。
彼のアドバイスを受けて、私は早速家具の配置を変えました。
クルミのケージの周辺にできるだけテレビの音などの雑音が届かないように、ソファで壁を作ってみました。
それからいくつかの観葉植物を買ってきて クルミのケージの周辺に置いてみました。
…と思いました。
信頼関係がないうちに「早く仲良くなりたい」はインコにとって「ありがた迷惑」
自分でできる範囲で、自分なりにクルミのための環境を整えた後に もうひとつ最大の難題が残っていました。
それは何よりも大切な「互いの信頼関係」です。
私とクルミの間に信頼関係が築けなければなんの意味もありません。
これまでも私は「早くクルミと仲良くなりたい!」と思ってできるだけ触れ合う時間を作るようにしていました。
でも、実はそれはクルミにとっては単なる「いい迷惑」 つまりありがた迷惑でしかなかったことに気づきました。
それでケージの掃除以外の時間はあまりケージのそばにいかないようにしてみました。
それでも声だけはしょっちゅうかけるように心がけていました。
これは大切なことだと思ったからです。
声掛けを続けていたら警戒心が薄らいでいくのがわかって…
それからしばらくの間も、クルミは声を掛けられるたびに その瞳に警戒の色を浮かべていました。
ところがひと月、ふた月が経過するうちに 次第に家族の顔を覚えて新しい環境に慣れてきたのか。
クルミに声をかけるとこちらに反応を示し、首を傾げながら言葉に聞き入るような素振りを見せ始めました。
その時に私は
…と判断したので さらに頻繁にクルミに声をかけるようにしていきました。
するとケージ掃除の時にクルミから発せられている警戒感が少なくなってきていることが 日に日に感じられるようになってきたのです。
噛むおもちゃの封印を解いた途端に噛み癖がなくなってきて
クルミとの距離が確実に縮まってきたことを感じた私は 試しに網越しに指を近づけてみました。
すると案の定 噛んできたので
と思いながら 友人に近況報告をしていたら、彼女の口から思わぬ言葉が出てきました。
…と思って、友人からクルミを譲り受けた時の箱を改めて確認してみると、入ってました、確かに鳥のおもちゃが!
早速、ケージにそのオモチャを入れてあげると、クルミが嬉々としてオモチャを噛んだり、突いたりし始めました。
そのオモチャを入れてからは クルミはかなり精神的に落ち着いてきたように感じました。
手を差し出しても噛むことがなくなったのです。
インコの気持ちに寄り添い鳥の琴線に触れる遊びを探すことも噛み癖の対策になる
そんな折、私は思い切ってクルミの背中をそっと触ってみたところ…
…と感動しました(笑)
3歳のクルミではもう噛み癖は治ることははないだろう…と思っていたのですか、そんなことはありませんでした。
そんなクルミと少しずつ、でも確実に距離が縮まってきていて、最近では室内に長時間放鳥しても大丈夫なくらいまで仲良くなれました。
大切なことはオカメインコの性格を考えて できるだけストレスを感じなくてもすむ状況を作ってあげることだったのでした。
おもちゃに愛着を持つのは人だけではありません。鳥さんもお気に入りのものは大切にしています。中には人が触ると怒る仔もいます。雛の時からおもちゃと一緒に過ごさせると愛着を持ちやすいです。1羽飼いの鳥さんは、お気に入りのものがあると人が居ない時に寄り添うことができるのでおすすめです。 pic.twitter.com/BTWtCQAlNb
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 23, 2020
人や他の鳥が関わらなくても自発的に行う遊びが増えると自らストレスを解消できるようになります。何かを落とす、ボールを投げる、おもちゃを振り回す、何かを叩く、何かを齧って壊す、ブランコを揺らす、リズムに乗るなど、鳥の琴線に触れる遊びを探してみてください。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 20, 2022