インコが水浴びしない理由は?換羽期に水浴びはOK?
水浴びは様々なインコにとって、本能が感じる欲求です。
中にはシャワーの音や雨の音に聞き耳を立ててぶるぶると羽を膨らませながら、ころんと転がりそうになるラブリーな姿を見せる子もいます。
体がキレイになれば気持ちいいのはヒトもインコも同じことですが、鳥にとって羽毛のコンディションの悪化は命に関わる大問題であると、どの子も「本能」で悟っています(飼い鳥でも)
羽毛の汚れやダメージで鳥が飛べなくなることは「死」と直結しているからです。
インコが冬にも水浴びをするのは体をきれいに保つため
鳥の種類によってはパウダーダウンと呼ばれる羽を持ち、体をゴミや細菌から守っています。
パウダーダウンは粉状の物質になり、インコがそれを体中の羽にくちばしで擦り付けて光沢のある丈夫な羽毛を作っています。
こちらのツイートで脂粉が出ない鳥にセキセイインコと書いてしまいましたが、こちらは間違いです。セキセイインコは脂粉出ますし、粉綿羽もあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 10, 2021
その辺りだけではないですが、大腿部辺りに密集しています。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 11, 2021
ちなみにインコは老化と共にダウンの量が減っていくと考えられています。
保温効果のある羽毛が減少するから、老鳥になると寒さへの耐性が弱くなってくるのです。
インコは羽繕いに多くの時間を費やして、自分の体を守っています。
そして時々埃やゴミを水浴びで洗い流すことによって、体を清潔に保っています。
インコはダニから身を守るために水浴びする
インコは埃やゴミを体に蓄えると体にダニなどの寄生虫が棲みついてしまいます。
こちらはセキセイインコの風切羽に見られた羽毛ダニです。羽枝の間に嵌るように付着しています。羽繕いで取れることはなく、指で擦っても容易には取れません。尾脂腺分泌液や脂粉を食べて生活しています。吸血することも痒みを出すこともありません。駆虫薬を羽に塗ると1〜2週間ほどでいなくなります。 pic.twitter.com/fIx1eT4P9h
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 12, 2021
ピレスロイド系のもので、鳥に安全な物を使います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 13, 2021
健康状態が問題なければダニ増えませんが、衰弱して羽繕いが減ると増えやすくなります。
あとはいると気持ち悪いと言ったところでしょうか。— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 14, 2021
インコが水浴び後に羽づくろいをする目的は保湿
鳥がくちばしを使って羽を整えることを「羽繕い」といいます。
「毛づくろい」という人もいますが、鳥なので「羽」づくろいです。
水浴びは羽毛の汚れを落としてきれいになった羽に尾脂腺から出た脂を塗る、鳥類が生きる上でとても重要な役割があります。
羽の撥水力は羽の構造自体にも備わっています。羽を洗剤で洗って油や脂粉を洗い流しても乾燥すれば撥水します。そのため脂粉と尾脂腺分泌物は汚れ防止がメインの役割とも考えられています。換羽が来ずに羽の構造が壊れると撥水せず、汚れやすくなります。ちなみにボウシインコには尾脂腺がありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 10, 2021
インコは体温の調整を行うために水浴びする
インコは汗腺を持たないため、暑い時に発汗して体温を低下させることが出来ません。
そのため、水浴びは酷暑時に体温を下げる手段として使われます。
我が家のインコも暑い日中に水を入れた皿を置くと、我れ先にと水に入っていきます。
また、自然下においても水浴びは夕方から夜よりも日中に頻繁に行われます。
暑い時間は体が乾くとまたすぐにバードバスへ一直線する水浴び好きなインコもいます。
インコの毛引きは水浴びで予防・抑制できる?インコの水浴びの一長一短!
人間の入浴もそうですが、インコの水浴びにも沢山の体力を消費します。
体中の羽毛を膨らませ、羽をばたつかせ、体の隅々まで水をたっぷり浴びる水浴びは充実した大掃除になります。
また、羽が乾くまでに体温も低下する訳ですから 沢山のエネルギーを消耗します。
そのため発情期の有り余るエネルギーも一緒に発散しますし、エネルギー消耗によりストレスが発散されるため、毛引きや自咬などの問題行動を少なくする効果も見込めます。

ただしこれにも個性や個体差があります。
毛引きする理由はたくさんあり、中には病的要因から毛引きに走る個体もいます。
心理的要因:愛情問題・コミュニケーション不足
心理的要因:ひますぎる・退屈
環境要因:住環境が不適切

感染症(ボルナウィルスの神経障害 その他)
代謝異常
ホルモンバランスの異常…過剰発情・エストロゲンやテストステロンの過剰
ホルモンバランスの異常…ヨウ素不足による甲状腺機能の異常(皮膚のかゆみから毛引きに走る)
腫瘍…体に痛みがあると、気を紛らわすために毛引きをすることもある
アレルギー…食餌・ダニ・ホコリによる皮膚炎のかゆみから毛引きに走る
内部寄生虫…ジアルジア原虫など
慢性の亜鉛中毒…銀メッキケージを鳥がかじって起こる慢性中毒症(アメリカの研究段階)
亜鉛の欠乏…脱羽症状が現れ、毛引きにつながる可能性もある
不適切な栄養…高カロリー食・ビタミンA不足・カルシウム不足・栄養の偏り
羽毛への付着物…軟膏などの塗布・外傷の凝固血液の放置・脂粉の沈積
鳥に良くない刺激物…タバコ・芳香剤その他
ケージや住環境のストレスによるもの・近所の騒音
日光浴不足…毛引きする鳥は血中カルシウム濃度が低い傾向にある(ビタミンD3不足に起因か?)
水浴び不足…脂粉の蓄積や羽の汚れ
不順な換羽期
発情期
産卵したメス鳥(抱卵のための一時的な毛引きは病的ではない)
低湿度・極度な乾燥
羽毛の汚れ・コンディションの悪化
生活や就寝時間が不規則
しつけ・トレーニングやりすぎ・しなさすぎ
暇・退屈からくるストレス・メンタルの不安
毛引きが癖になっている…羽があることが次第に違和感に感じてくる
環境の変化…引っ越し・飼い主が変わった
環境の変化…飼い主の不在・孤立感・分離不安・情緒不安定
環境の変化…同居のペットが増えた・飼い主に子どもが産まれた
同居するペットへの嫉妬・鳥同士の関係悪化
喪失感…つがいの相方との死別など
クリッピング(羽を切る)…飛べないストレス
飼い主の気を引きたい…愛情の倒錯・「飼い主にウケた!」との思い込み・飼い主があまり鳥と遊んであげない・日によって違う接し方
毛噛み・毛齧りが楽しくなっている…自分の羽をかじるおもちゃにする
ヒトの食べ物を時々もらって食べているインコに毛引きが多い(もらえないことがストレスになる)
遺伝の可能性
人工育雛された個体

またインコ・オウム類は全く水浴びをしない個体に比べて、水浴びをよくする鳥の方が毛引きが多いです。ストレス解消のために水浴びを頻回にするのか、水浴びを頻回にすることで羽のコンディションを悪くしているのかはまだ分かっていませんが、喜ぶからといってスプレーすることにも注意が必要です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 17, 2020
インコの毛引きの原因が退屈からのストレスや有り余るエネルギーであれば水浴びは予防策に有効といえます。
インコの水浴びは換羽期でもOK?水浴びを安全に行うためのポイント
換羽期は体力が落ちやすいため、水浴びさせない方がよい。
飲水でお薬を投与している間は水浴びをさせない。
老鳥や足が悪いインコの水浴びは、獣医に相談すること。
インコが水浴びをしないのは普通に「あるある」なこと
セキセイインコやオカメインコのような乾燥地帯に生息する鳥は、基本的に水浴びをあまりしない・したがらない個体が多いです。
インコにも頻繁に水浴びをしたい子、たまにはやる子、豆苗浴びならやってもいいよ!という子、絶対やらない子がいて、その頻度は種類や個体差、個性により異なります。
水浴びをしないと健康に悪い…わけではないので、本人の自由意思にお任せでいいでしょう。
一方で「鳥」としての危機回避本能から、水浴びをしたがらない個体もいます。
羽が濡れている間のインコは体温が若干下がり、飛行能力も低下しますから、天敵に襲われることを想定して濡れることにネガティブな警戒心が強いインコも中にはいます。
また、水浴び中に大きな音がするなど 何らかのトラウマになる出来事があると、インコは水浴びを嫌がるようになります。
インコが水浴びしないもするも自由!やり方はフリースタイルでOK!
水浴びは気持ちいいものだよ!とポジティブになれるように、幼鳥時からインコに優しく水浴びを促してあげるといいでしょう。
その後にどうするかはインコ自身が決めること。インコの気持ち次第です。
水浴びの方法は放鳥時に水を張ったお皿を出すも良し。
自動で水が循環する噴水(フラワーファウンテン)を使うもよし。
軽くミストを浴びるのが好きならインコにペースを合わせれば良し。
飼い主と一緒にシャワーを浴びる…もアリですよ。
それぞれに好きな水浴びスタイルがありますので、その子にぴったりの水浴びスタイルを飼い主さんが一緒になって見つけてあげてください。
