バードチョップとは鳥に与える生鮮食品(野菜など)と調理済みの食品(穀物や豆類)を細かく刻んで混ぜ合わせたサラダ的な食べ物です。
もともとバードチョップはブリーダーがオリジナルミックスを作って繁殖鳥に食べさせていたものですが、欧米のオウム専門家ライターが紹介したのがきっかけで次第に広がりを見せました。
日本の小鳥飼育法や概念は欧米と比べるとだいぶ遅れている「後進国」ですが、最近はようやく愛鳥の健康志向と意識が高い飼い主が増えてきた感があります。
インコのための手作りバードチョップの画像をSNSにアップしている様子をよく見かけるようになりました。
インコの手作りご飯「バードチョップ」の作り方 オリジナル
この投稿をInstagramで見る
これはプロが作ったバードチョップですが ビジュアル的にも人間様が食べたくなってしまうほどのレベルではないでしょうか。
欧米ではできる限りオーガニックでヒューマングレードな素材を使ったバードチョップを愛鳥に与えるのが基本です
インコの世界にも健康志向が高まりつつあるのは、愛鳥家には嬉しい流れです。
野菜不足を防ぎ栄養価を爆上げするバードチョップミックス
バードチョップミックスのような手づくりごはんはいろいろなメニューや食のバリエーションが楽しめるだけでなく、インコにとっては食べる楽しみを加えたフォージングのひとつともいえます。
用意したチョップを「何が入っているんだろう?」と探りながら食すのは、インコにとってはとても楽しいことですし、きちんと食べるようになれば、食材の品目数が多いので栄養価面でもプラスになります。
特にシード食メインの鳥さんの場合は完成度の高いチョップミックスを与えることで食餌の栄養バランスと摂取栄養量が爆上げできるのでおすすめです。
ここで紹介する比率や作り方は我が家のオカメインコ用に準じたオリジナルです。
バードチョップのレシピは 考案者がオウム専門家であっても 作る人により異なりますので、ここで紹介している方法が全てではありません。ざっくり大別すると、すべてを生の材料で作る方法と、加熱した材料を混ぜて作る方法に分かれます。
我が家のオカメインコたちは全員が10歳越えのシニアであることから 乾燥シード以外の穀物や豆類の多くは調理済み(加熱・味付けなし)を多用しています。
バードチョップは刻んで混ぜるだけだから簡単…と思うなよ(笑)
バードチョップは水分過多にならないように作るのが理想なので、水っぽい果物の投入はあまり好ましくはない。
バードチョップの原則は比率の厳守!あるものを混ぜればよいわけではない
野菜25% + 調理済み穀物・擬穀物・豆20% + 乾燥成分5% + 発芽シード50%
基本的な組み合わせ例
- 葉物野菜 …小松菜・タンポポの若芽
- カラフル野菜…ブロッコリー・かぼちゃ・赤ピーマン・とうもろこし
- 調理済み穀物・豆…キヌア・ひよこ豆
- 乾燥成分…亜麻仁・チアシード
- 催芽種子…緑豆もやし・キビ
オカメインコは大さじ1~2程度
セキセイインコは小さじ1~2程度
基本的には2時間以内に食べきる量から判断して チョップの最適給餌量を割り出す。
※我が家ではバードチョップは朝ごはんのみ提供。午後は乾燥シードとペレットです。
バードチョップは自由にカスタマイズできるので、インコに1日あたり30~50品目程度の食材を提供することが可能です。
チョップに入れる穀物・擬穀物・豆は調理するか、事前に発芽させておく。つまり乾燥成分以外の穀物・擬穀物・豆はそのままチョップに入れないのが原則。
バードチョップ作りのコツと冷凍保存する時に押さえておくべきポイント
野菜でも果物でも缶詰の素材は絶対に使わない。調味液を使ったものもNG 生・冷凍・ドライのいずれかを用意する。

チョップミックスの基本は「みじん切り」オカメインコには概ねエンドウ豆サイズよりも小さくカットする。
チョップミックスをおいしく上手に作るポイントと冷凍の劣化を抑えるコツは、水っぽくしないこと。野菜を刻む前にキッチンペーパーやサラダスピナーを使って素材の水気を十分取り除くひと手間が大切。
野菜は細かく刻むほど水分が放出され品質の劣化も早いが、細かい方がインコの口に均一に野菜が入る確率が高い。反対に野菜を大きめに切ると水分は出にくいが、インコが選り好みをして食べない内容物が出てくる。どちらを選んでも一長一短ではあるが、冷凍を考えているならできる限り水分を抑えたチョップを作ること。
野菜から少しでも水分の流出を抑えるにはフードプロセッサーを使わず、包丁で刻むほうがよい。
チョップを冷凍する時はみずみずしい野菜や果物は混ぜ込まない。水が出るものはその場で加える。
穀物と豆は別に調理して、冷ましてから加えること。穀物と豆は、できるだけ混ぜる直前に調理したものをチョップに混ぜること。
バードチョップに水分が多い時、ペレットの粉やクズを入れて水分を吸わせてから鳥たちに食べさせるのもひとつの方法。
バードチョップの仕上がり状態にこだわるあまりに 水分を吸わせる目的で穀物を多めに投入して水気を調整するのは間違い。チョップの比率が崩れるので本末転倒。全体量の50%を占める野菜から出る水気を抑える工夫をまず第一に考えることが最重要。
オカメインコにバードチョップミックスを提供する時のコツ
オカメインコは見たことがない食べ物を出されたとき、飼い主の思惑通りに食べてくれない子が多いです。
それどころか一瞥くれるだけで見なかったことにしてスルーしたり、反対にビビって逃げていくことも普通にあります。
そこで「全然食べてくれないや~」と心が折れるのはまだ早い!提供方法を見直してみてください。
複数飼育している場合は、1羽が食べるようになれば他も追随しますし、単羽飼育なら飼い主さんがおいしそうに食べて見せれば次第に興味を持つようになります。
チョップは朝いちばんに提供する。そのためには前夜のうちに餌の食器をすべて取り下げておくことが必要。前日の残り物を食べられず、空腹状態のところにチョップを出されるのは、野鳥のフォージングに近い意識と環境を再現する効果も見込める。
インコの中には素材が混ざり合っていることを嫌う個体もいる。そういう場合は分けたものと混ぜたものをいっしょに提供してみて、インコの好みを把握すること。
みじん切りにされたことがお気に召さない個体もいるので、好きな野菜を食べないそぶりがあったら大ぶりに切るなど、臨機応変に対応する。
オカメインコはグラウンドフォージャー(地上採餌者)なのでバードチョップをケージの床で食べさせても問題ないことが多いが、もし気乗りしない様子が見られたら放鳥してケージの上で食べさせるなど、気分転換させたり いつもと少し環境を変えて提供してみる。挿し餌のようにスプーンで食べさせてみるのもおすすめ。
はじめて提供する野菜はチョップにする前になるべく大きめに切ってインコに与えてみると、好みかどうかが判断できる。カットされた野菜よりも、ホールフード(丸のまま)の給餌を好む鳥も結構いる(全部を食べきれはしないけれど)はじめの一歩は、うちの子の好みを把握することから始めてみるのもよいです。