オカメインコの毛引きと毛引き症!治療と対策は原因によって変わる話
インコやオウムが自分の羽をくちばしで引き抜いてしまう、いわゆる『毛引き症』
ここでいうところの毛引きは鳥の自損行為を指します。
ある日ケージの底に落ちている大量の羽と 止まり木の上でボロボロになった愛鳥を発見し、悩まれる飼い主さんは少なくありません。
健康上の問題がある場合は「毛引き症」という言い方をしますが、そうでない場合は単に「毛引き」と呼びます。
結論から言うと、毛引きの場合は病気ではないので 治療のしようがありません。
毛引き症の原因は何らかの病気やアレルギー、ストレスなどによる心の問題など複数存在するため 原因を特定するのが難しい症状とされていますが、現実問題として オカメインコには毛引きをしてしまう子が多いです。
毛引きはとてもクセになりやすいので、早期に発見し 必要があれば早期に治療、そして正確な原因をつかむことがキーポイントになります。
ここでは毛引き症にポイントを絞った、普段の愛鳥への観察ポイントをご紹介します。
まずはオカメインコの毛引き原因を見極めることから!病気なのか?アレルギーなのか?メンタルなのか?
オカメインコが毛引きするところを発見したら、早めに鳥類の診察に長けた獣医師のいる動物病院を受診するのが望ましいです。
そのときに鳥の排泄物を持参すれば、感染症や栄養状態を見ることができます。
さらに適切な治療を受けるためには、飼い主ができるだけ詳細に状況を説明する必要がありますので、以下の内容についてメモを取っておくことをおすすめします。
◆いつから毛引きが始まったか
◆どんな餌を食べているか。食欲は?食べる量は?
◆排泄物の量や状態は?
◆毛引きをするのは一日のうちのどんな時、どんなシーンでなのか?
◆毛引きをするのは飼い主が見ている時か、見ていない時か?
◆他の鳥と同居しているのか?
◆ケージの置き場所と周囲の環境は?
◆家庭内での喫煙の有無は?
洗剤、塗料、繊維製品などに使用される家庭用化学薬品や、観葉植物に塗布されている害虫駆除剤が オカメインコのアレルギーの原因になることもあります。
原因と診断の結果に応じて 獣医師の指導のもと、鳥にエリザベスカラーをつけて、毛引きできないように対処することもあります。
オカメインコの住環境の見直しも視野に入れる
原因がメンタルによるものだったり ストレスによる毛引きの場合は、住環境も原因のひとつになります。
オカメインコのケージとおもちゃがストレスになっている
オカメインコは尾羽が長いです。
465サイズのケージであればサイズ的にはそれほど問題はないですが、現実問題として あなたのオカメインコがケージ内で羽を広げた時、どこかにぶつかっていないでしょうか?
つまりケージの大きさではなく、内部の障害物の有無が問題になっていないかどうか。狭すぎると思うように動けず、ストレスの原因になります。
場合によっては ケージ内のレイアウトや止まり木を変える、余計なおもちゃを外す、あるいは興味をひくおもちゃを入れるなど、羽をむしる以外のことに意識を向けさせることが解決の糸口になる事もあります。
野生の鳥たちは、本来は多くの時間を餌探しに奔走するものですが、飼い鳥にはそれがありません。
ケージの中で暇を持て余す飼い鳥は、刺激を求めて羽づくろいしているうちに、毛引きがクセになってしまうこともあるのです。
餌を新聞紙に包んだり、お菓子の空箱に隠したりして鳥に餌探しをさせ、日常に刺激を与えてみるのも一つの方法です。
おもちゃを使ったオカメインコの毛引き症対策例
How to solve feather plucking and screaming in parrots
『オウムの毛引き症とわめき声を解決する方法』
オカメインコはビビりが多いので、見慣れないおもちゃで気を引くのは難しいかもしれませんが、こういう例もありますよ…というご参考までに 動画を掲載しました。
こういう↓↓↓かじったり破壊したりするような単純なおもちゃにオカメインコが興味を示すようであれば 毛引きの機会を減らすことはできるかもしれません。
何にどのくらい興味を持つかは個体差がありますので、愛鳥と遊んであげながら 飼い主さんがいろいろな方法を模索してみてください。
オカメインコのケージは置き場所次第でストレスの要因になる
群れで行動する習性があるオカメインコは、人の気配のない部屋にひとりぼっちで置かれることが苦手です。
かといって、頻繁に人が出たり入ったりするドアの近くでは 鳥が落ち着かないこともあります。
また飼い主の都合で生活リズムが乱れると 鳥が安眠できず、それがストレスになってイライラしていることもあります。
それぞれの住宅事情の中で できるだけ愛鳥が落ち着いて生活できる置き場所を考えてあげることが大切です。

オカメインコは換羽期に毛引きしやすい傾向にある
オカメインコに限らず 鳥類の羽毛が生え変わる換羽期は体の負担が増し、免疫が低下して 病気にかかることも多いのです。
それに加えて栄養不足などにより羽がうまく生え変わらない場合、それがきっかけで毛引きが始まることがあります。
換毛期には、特に栄養のバランスに気を遣う必要があります。

また、オカメインコのメスは抱卵期に毛引きをすることがあります。
これは一概に病的な毛引きとは言えませんが、この時期のメスは抱卵しやすいように 卵をあたためるために 胸の羽を抜くことがあります。
さらにオカメインコの発情期にも毛引きのリスクが高まります。
春と秋など だいたいいつも同じシーズンに毛引きをする場合は、発情が原因の可能性もゼロではありません。
その場合には まずはケージから鏡・巣・鳥のおもちゃなど 発情の引き金になるものをできる限り取り除くことです。
さらに獣医師の指導のもと栄養のバランスを変えるなどして、発情を抑制していくのが効果的です。
オカメインコに日光浴と水浴びをさせることは毛引き予防の効果的な方法
カルシウム不足や肥満も、毛引きの原因になることがあります。
カルシウムの吸収に欠かせないビタミンDは、日光の紫外線から体内合成されますが、ずっと室内にいたらほとんど日光浴ができていないと考えた方がいいです。
窓ガラスは紫外線を遮ってしまうので、ガラス越しの日光浴は日光を浴びていません。単に明るいだけです。
日光浴のために、定期的に外に連れ出してあげることも オカメインコの毛引きの予防策としてとても効果があります。


外の新鮮な空気を吸い適度な日光を浴びつつ 野鳥の声を聞いたり 風を感じたりすることは 鳥にとってとてもいい気分転換になります。
また羽毛が汚れていることも、毛引きの原因のひとつと考えられています。
オカメインコはあまり水浴びを好まない個体が多いですが、適度に水浴びをさせてあげましょう。
霧吹きで水をかけてあげることも とても良い刺激になります。
ミストが出る霧吹きスプレーで水をかけてあげれば、水浴びを好まない子でも嫌がることは少ないように思うので、我が家ではいつもそうしています。
オカメインコの心の問題は意外と深刻!鳥のメンタルヘルスも考えてあげて
飼い主さんが入院した、つがいのペアを亡くしたなど、孤独と不安から オカメインコが羽をむしり始めることがあります。
人間でもイライラした時に爪を噛む人がいるように、自分の体に触ることは 実は心を落ち着かせる行為なのですが、その行為が行き過ぎると、自らの体を蝕んでしまいます。
飼主さんにベッタリの甘えん坊のベタなれおかめはかわいくて仕方がないのは とてもよくわかります。
ですが それも度が過ぎると、愛鳥がふとしたきっかけから分離不安にさいなまれる鳥になってしまうのです。
だから飼い主の方も節度のある可愛がり方をすることが大切になってきます。
もうひとつ重要なことがあります。
鳥が毛引きしているのを見かけたときに 飼い主が鳥の前で慌てふためかないことです。
あわててそれを止めたり追いかけたりするなど、鳥に注目することはやめましょう。
「毛引きをすれば 飼い主にかまってもらえるんだ♪」と鳥が勝手に学習してしまうことがあるからです。
鳥が遊んでいる時や静かにくつろいでいる時に 優しい言葉をかけてほめてあげることだけでも 鳥のメンタルは安定します。
飼い主の言動次第で鳥の毛引きが始まったり治ったりすることがあることを、心の片隅に留めておいてください。
子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人で、これは鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)に役立つ情報や体験談を集めたコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新します。