インコのフォージングにスプラウトサラダで食べる楽しみをプラス
オカメインコは穀食性の粗食を基本とする鳥種ですが、野鳥と飼い鳥では食べている餌の質が大きく違います。
餌の種類や多様性からするとむしろ野鳥の方がおいしいものを食べているので 意識してそれに近づけることと、それぞれの餌の不足する部分を補うようにたくさんの素材を使うのが、うちのインコの手作りごはんのコンセプトです。
シードの問題点
乾燥シードだけでは栄養不足(特にビタミンA不足は深刻)シードの種類によっては高脂肪。
飼い鳥は、市販の乾燥シード(眠っているか死んでいるタネ)を食べていることがほとんどです。
目覚めさせたタネ(発芽シード)を与えれば栄養価を上げることはできますが、それでもビタミンAは不足しているので、サプリメントを加えないシード100%の食餌では、インコは若くても病気になります。
野菜の問題点
野菜に問題があるのではなく、インコの多くは慢性的な不足傾向。野菜嫌いインコが意外と多い。
野菜はヒトの食生活でも不足がちですが、インコにも不足傾向です。
その原因は、飼い主がインコにどんな野菜をあげたらいいかわからないことと、飼い主が野菜の味を
インコに教えないから「野菜の食わず嫌い」になっていること。
飼い主が幼鳥の頃から野菜の味を教えれば、インコは野菜嫌いにはなりません。
ペレットの問題点
単調な味で、シードと比べておいしくない。皮をむく楽しみがない。
総合栄養食であるペレットならインコは栄養失調にはなりませんが、食べる楽しみはほとんどないです。
それしかないから惰性で食べている…がインコの本音でしょう。
手作りごはんの問題点
作り続ける準備と手間が大変。栄養と嗜好性のバランスを取るのが難しい。インコの手作りご飯レシピは人それぞれで正解がない。
上述の通りインコの餌には一長一短あり、これひとつ与えていればパーフェクト!はありません。
栄養バランス・多種多様性・インコの嗜好性・お楽しみ…などのいろいろな条件を考えながら、それぞれの足りない部分を補い合っていいとこどりができるのがインコの手作りご飯の魅力ですが、作り続けるための準備や手間が大変です。
ちなみに我が家の1日分の主食の割合は、発芽シード…50% 乾燥シード…25% ペレット…25%
副食は野菜、ハーブ、野草、食べられる花、加熱調理した雑穀・擬雑穀・豆、オメガ3(脂質)が豊富なドライシード(チアシードや亜麻仁その他)など。
発芽シードと副食を混ぜて作ったスプラウトサラダ(バードチョップ)は朝ごはん。
乾燥シードとペレットは午後のおやつと夕ごはん。
うちの乾燥シード…基本の4種混合+12種以上のオリジナルミックス
うちのシードはアワ・ヒエ・キビ・カナリーシードの4種混合をベースに、オーツ麦やオーチャードグラス、漢方やハーブの粉末を混ぜています。
この写真に写っているのは
野生のオカメインコは29種類もの種子類を食べているとの調査結果があり、ここに挙げたシードだけではそれにはまったく及びませんが、手に入る範囲のものを複数入れるように意識しています。
いつも利用しているのは楽天のCAP!です。
うちのペレット…TOP’s(トップス)・ハリソン・ラウディブッシュ
うちのペレットは同じものを続けて味に飽きないように、TOP’s(トップス)ハリソン・ラウディブッシュをローテーションで使っています。
ペレットは様々なメーカーをひととおり試してみた中で、うちのオカメインコはかたいペレットを好まない子が多数派だと気づきました。
その好みに合わせてやわらかめやホロホロ食感のペレットばかり選んでいたら、これら3メーカーに落ち着きました。
袋の底に残ってしまうペレットの粉末は、スプラウトサラダに混ぜ込んで無駄なく使い切ります。
ハリソンバードフード
ハリソンはオーガニックなので安心して与えられますし、誰が食べてもおいしいらしくて、万人(鳥)向けだと感じます。
ペレット切り替えがうまくいかない方に特におすすめです。
ラウディブッシュ
ラウディブッシュはオーガニックではないですが、病気の療養食ペレットはラウディブッシュ一択なので、これを食べられることは飼い主的に安心感が持てます。
ラウディブッシュには高齢鳥用ペレットやローファットタイプもあります。
TOP’s(トップス)パロットフード
ビタミン・ミネラルを添加してないのでネクトンSのようなマルチビタミンが必要な、ちょっと毛色が違うペレットです。
風味や味わいもおそらく独特なので好みが分かれるかもしれません。
ハリソンはトウモロコシが主体なので鳥に好まれる味ですが、トップスはアルファルファ(マメ科の牧草)が主体です。
トップスペレットは大豆やトウモロコシをあえて使わないことが特徴なので、かなり青臭い(ハーブの香り)ですが、うちのオカメインコたちは嫌がらずに最初からポリポリ食べてました。
私がトップスペレットを選んだのは、いろいろなハーブが含まれていて抗酸化作用が高いから。
トップスは低温圧縮で作られる「ペレット製法」を採用しているため、栄養価の損失が少なくて「生」に近いペレットであり、砂糖・ショ糖が使われていないことも他のペレットと比べてポイントが高いです。
野菜・果物・ドライフルーツ…濃い緑とオレンジ色を中心にカラフルに!
インコに必要なのは、ビタミンA(βカロテン)を豊富に供給できる緑黄色野菜です。
緑が濃いものやオレンジ色・黄色が強いものがおすすめで、カラフルに3種類以上の野菜が揃えられたら理想的です。
キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の野菜のゴイトロゲンも、鳥が健康体であれば一度に大量に与えたり連日与え続けない限り、それほど問題ありません。
私は数種のスプラウトミックス を作ってインコご飯に加えています。
これはブロッコリースプラウト、ケール、赤キャベツ、マスタードの混合です。
オカメインコに果物は要らないと私は考えているので、生のフルーツは与えていません。穀食性の鳥の消化管は果糖に慣れていないので、果物を食べると腸内細菌叢が乱れたり下痢をします。
もし与えるならほんの少量をほどほどに。
果物には 毒があるからインコに食べさせてはいけないタネ(主にバラ科)と、食べてもOKなタネを含むものがあります。
果物代わりのおやつ
おやつのラフィーバニュートリベリー(シニア用)には、プラムやクランベリー、デーツなどのドライフルーツが入っています。
うちのインコたちが食べているフルーツはこれくらいですが、このニュートリベリーにはハーブや有用な微量栄養素がたくさん入っているので、サプリメント感覚で時々与えています。
ちなみにオカメインコは10歳過ぎるとシニアです。
シニアバード・ニュートリベリーは飼い鳥の健康な老後をサポートするための、バランスが良く、低カロリーで科学的に栄養強化されたフードです。
抗炎症と抗関節炎のためにオオアザミ、丈夫な骨と肝機能向上のためにタンポポをプラス。アキレス腱炎を抑え、コレステロールと血圧を下げ、血栓の予防を助けるために強力な抗炎症効果のある生姜、変形性関節症に有効であるグルコサミン、関節痛や関節の腫れを抑えるコンドロイチンも入っています。
繊維、ビタミンA、C、K、カリウム、フッ化物、ベータカロチンを豊富に含むプラムが入っています。体内から有害物質を排出して免疫組織を強化してくれる抗酸化物質はクランベリーに沢山含まれています。デイツは高鉄分フルーツで抗感染、抗炎症、抗出血作用があるタンニンが入っています。
via:ラフィーバー シニアバード ニュートリベリー
穀類・擬穀類・豆のスプラウト…いろんなものを少しずつ
豆のスプラウトでオウムにおすすめなのは 緑豆 小豆 ひよこ豆 …とされています。
※オカメインコは「オウム」です。
これ以外の豆は十分浸して調理する必要があるとする文献もあります。
via:What the flock do I feed my parrot?
The safest beans to be offered raw(sprouted or soaked )are mung and adzuki beans.
生(スプラウトや浸漬)で提供するもっとも安全な豆は緑豆と小豆です。
via:Go raw!
これ を読んでから、私は緑豆と小豆以外の豆スプラウトは加熱したものを与えるようになりました。
乾燥状態の豆には毒が含まれますが、発芽させたり加熱したものなら問題ありません。
インコの発芽シード(スプラウト)は滋養強壮の栄養爆弾!
発芽シードは休眠中か仮死状態のシードを目覚めさせたり命を吹き込んだりして発芽した=「生きた餌」に変えてから鳥に与える高栄養食品です。
胚乳が発芽の過程で分解され新たな栄養素に生まれ変わって植物の生長を促進するわけですが、それだけの爆発的なエネルギーが弾けている「その時」をピンポイントで狙い撃ちして、もっとも栄養価が高まったところを食べるので、発芽シードは栄養爆弾と呼ぶにふさわしい素材。
ヒトがスルフォラファンを摂るためにブロッコリースプラウトを食べるのと同じ理屈です。
シードは発芽させると低脂肪になる上にやわらかいので消化もしやすく、インコのお腹にもやさしいです。
エンバクやオーチャードグラスを主食にするのがお勧めです。エンバクを食べない場合は、ムキ餌をミルで砕いた物かフォニオパディのような小さいシードを使うこともできますが胃の負担はさほど取れません。どうしてもシードしか食べない場合はスプラウトにしたり、ムキ餌をお湯でふやかして与えます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 27, 2021
スプラウトにするもうひとつのメリットはタネが自己防衛のために備えている反栄養素が取り除かれること。
スプラウトは発芽の過程で生み出されるビタミン・ミネラル・アミノ酸をダイレクトかつ効率的にインコに与えることができます。
インコの発芽シード作りは面倒ですが、それだけの手間をかける価値があるのでおすすめできます。
【インコのスプラウトサラダ】わが家オリジナルのバードチョップレシピ
バードチョップとは鳥に与える生鮮食品(野菜など)と調理済みの食品(穀物や豆類)を細かく刻んで混ぜ合わせたサラダ的な食べ物です。
もともとバードチョップはブリーダーがオリジナルミックスを作って繁殖鳥に食べさせていたものですが、欧米のオウム専門家ライターが紹介したのがきっかけで次第に広がりを見せました。
日本の小鳥飼育法や概念は欧米と比べるとだいぶ遅れている「後進国」ですが、最近はようやく愛鳥の健康志向と意識が高い飼い主が増えてきた感があります。
インコのための手作りバードチョップの画像をSNSにアップしている様子をよく見かけるようになりました。
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たとえば、これはプロが作ったバードチョップですが ビジュアル的にも人間様が食べたくなってしまうほどのレベルではないでしょうか。
欧米ではできる限りオーガニックでヒューマングレードな素材を使ったバードチョップを愛鳥に与えるのが基本です。
インコの世界にも健康志向が高まりつつあるのは、愛鳥家には嬉しい流れです。
野菜不足を防ぎ栄養価を爆上げするバードチョップの作り方
バードチョップミックスのような手づくりごはんはいろいろなメニューや食のバリエーションが楽しめるだけでなく、インコにとっては食べる楽しみを加えたフォージングのひとつともいえます。
用意したチョップを「何が入っているんだろう?」と探りながら食すのは、インコにとってはとても楽しいことですし、きちんと食べるようになれば、食材の品目数が多いので栄養価面でもプラスになります。
特にシード食メインの鳥さんの場合は完成度の高いチョップミックスを与えることで食餌の栄養バランスと摂取栄養量が爆上げできるのでおすすめです。
これはわが家のオカメインコ用に準じたオリジナルレシピです。
バードチョップのレシピは 考案者がオウム専門家であっても 作る人により異なりますので、ここで紹介している方法が全てではありません。ざっくり大別すると、すべてを生の材料で作る方法と、加熱した材料を混ぜて作る方法に分かれます。
我が家のオカメインコたちは全員が10歳越えのシニアであることから 乾燥シード以外の穀物や豆類の多くは調理済み(加熱・味付けなし)を多用しています。
バードチョップは刻んで混ぜるだけだから簡単…と思うなよ(笑)
与えてはいけない野菜の類 アボカド キノコ類 玉ねぎ・ネギ・ニンニクの類 ルバーブ コンフリー 乳製品 トマト(NG ではないが酸性が強いので避けるのが無難) ナッツ(NG ではないが カビが生えやすいので注意) アスパラガス(胃腸障害が出る鳥が一部いるらしい説あり) 乾燥状態の豆はすべてNG (加熱・発芽したものならOK)
緑の野菜 小松菜 チンゲンサイ ブロッコリー ケール キャベツ エンドウ豆(スナップエンドウなど) ピーマン インゲン豆 オクラ ズッキーニ タンポポの若葉 その他
赤・黄・橙色の野菜 にんじん かぼちゃ さつまいも(加熱する) とうがらし トウモロコシ(刻む必要なし) 調味されていない冷凍野菜(塩分が0gのミックスベジタブルなど) その他
加熱済み穀物・擬穀物・豆 米 ソバの実 ワイルドライス 全粒粉パスタ キヌア 大麦 オーツ麦 ライ麦 小豆 ひよこ豆 レンズ豆 その他
乾燥成分と催芽種子 チアシード アマニ ゴマ ミレット(キビ) ロールドオーツ 圧ペン大麦 ハーブ 発芽シード その他
バードチョップの原則は比率の厳守!あるものを混ぜればよいわけではない
野菜25% + 調理済み穀物・擬穀物・豆20%+ 乾燥成分5% + 発芽シード50%
基本的な組み合わせ例
葉物野菜 …小松菜・タンポポの若芽
カラフル野菜…ブロッコリー・かぼちゃ・赤ピーマン・とうもろこし
調理済み穀物・豆…キヌア・ひよこ豆
乾燥成分…亜麻仁・チアシード
催芽種子…緑豆もやし・キビ
バードチョップミックスの野菜は生のままで食べさせるのが基本(さつまいもは加熱が必要)
チョップに入れる穀物・擬穀物・豆は調理するか、事前に発芽させておく。
うちで作ったチョップの例
バードチョップの1日の給餌のめやす
オカメインコは大さじ1~2程度
セキセイインコは小さじ1~2程度
基本的には2時間以内に食べきる量から判断して チョップの最適給餌量を割り出す。
バードチョップは自由にカスタマイズできるので、インコに1日あたり30~50品目程度の食材を提供することが可能です。
バードチョップを作るコツ
野菜でも果物でも缶詰の素材(とうもろこしなど)は使わない。調味液を使ったものもNG 生・冷凍・ドライのいずれかを用意する。
チョップミックスの基本は「みじん切り」オカメインコには概ねエンドウ豆サイズよりも小さくカットする。
チョップミックスをおいしく上手に作るポイントと冷凍の劣化を抑えるコツは、水っぽくしないこと。野菜を刻む前にキッチンペーパーやサラダスピナーを使って素材の水気を十分取り除くひと手間が大切。冷凍を考えているならできる限り水分を抑えること。
野菜から少しでも水分の流出を抑えるにはフードプロセッサーを使わず、包丁で刻むほうがよい。
バードチョップに水分が多い時、ペレットの粉やクズを入れて水分を吸わせてから鳥たちに食べさせると無駄がない。
インコにバードチョップミックスを食べさせるコツ
見たことがない食べ物を出されたとき、飼い主の思惑通りに食べてくれないインコは結構います。
そこで「全然食べてくれないや~」と心が折れるのはまだ早い!提供方法を見直してみてください。
複数飼育している場合は、1羽が食べるようになれば他も追随します。
単羽飼育なら飼い主さんがおいしそうに食べて見せれば次第に興味を持つようになります。
チョップは朝いちばんに提供すると食べやすい。そのためには前夜のうちに餌の食器をすべて取り下げておくことが必要。前日の残り物を食べられず、空腹状態のところにチョップを出されるのは、野鳥のフォージングに近い意識と環境を再現する効果も見込める。
オカメインコはグラウンドフォージャー(地上採餌者)なのでバードチョップをケージの床で食べさせても問題ないことが多いが、もし気乗りしない様子が見られたら放鳥してケージの上で食べさせるなど、気分転換させたり、いつもと少し環境を変えて提供してみる。甘えん坊には挿し餌のようにスプーンで食べさせてみるのもおすすめです。