オカメインコの寿命は15~25歳、平均寿命は18歳前後ですが、
30歳を越えるスーパーご長寿もいるほど、オカメインコは長生き鳥です。
老齢になってくると寝る時間が増え、脚力や握力が弱ってきます。これらの徴候は急になることがよくあります。昨日まで元気だったのになぜ?となりますが老化の影響は徐々にというよりも突然ガクッとくることが多いです。特に鳥は老化が遅く高齢になって急に様子が変わるので油断しないようにしましょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 15, 2021
オカメインコの老鳥介護とお世話で配慮すべき7つのポイント
オカメインコは7歳くらいからが中年期、
10歳を過ぎるとシニアとされています。
オカメインコの老鳥は何歳から?
とはいえ、オカメインコには
10歳過ぎても産卵しているメスもいます。
老鳥といってもだいぶ個体差はありますから
「年齢換算表」はひとつの目安に過ぎません。
インコは中年期以降の生活が長いですし、
老鳥になれば筋力・体力が落ちてきたり
免疫力が低下して病気にかかりやすいです。
それらを踏まえた細やかな配慮が必要になります。
老鳥は寝てばかり!?動きに現れる老化現象
老鳥はケージからあまり出たがらなくなる。
老鳥は飛ぶのが遅くなる。下手になる。飛べなくなる。
老鳥は動きが鈍くなる。息があがりやすくなる。
老鳥は食欲が落ちてくる。あまり食べなくなる。
老鳥はあまり水浴びをしたがらなくなる。
老鳥は嘴の力が低下する(硬い餌を砕けなくなる)
老鳥は噛む力がなくなってくる。噛まなくなる(攻撃性の低下)
老鳥は荒鳥だったのが手乗り気味になる(依存心が強まる)
老鳥は止まり木から落ちやすくなる。落ちる。飛び移れなくなる。
老鳥は静かになる。鳴かなくなる。さえずらなくなる。
最近痛風になる老鳥が増えています。痛風の原因は腎障害で慢性的なビタミンA不足が関係しています。穀類にはビタミンAがゼロです。若いうちはビタミン剤をやり忘れていてもすぐに病気になることはないので油断しがちです。健康寿命が短くならないようシードの場合は必ずビタミン剤を与えましょう。 pic.twitter.com/wAwgTncUTd
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 7, 2022
老鳥の体重の管理は重要ポイントのひとつ
オカメインコは雛・若鳥・成鳥・老鳥問わず、
毎日体重を測る習慣をつけておくことは、
愛鳥の健康を守ることにつながります。
鳥は羽で覆われているので
太っても痩せても
見た目でわかりづらいものです。
その点、体重の数値を見れば
客観的に体調の変化を知ることができます。
体重が急激に増減する時は、
何らかの病気の可能性が大きいですし、
体重の増減は
動物病院での治療方法の目安にもなります。
肥満の予防のためにも、
毎日同じ時間帯にインコをスケールに載せ、
記録を取っておきましょう。
老鳥のフンのチェックを毎日欠かさないこと
老鳥になると内臓の機能も衰えてきます。
インコのフンを毎日チェックすることで、
餌をきちんと消化・吸収できているか、
感染症にかかっていないかなどの異常を
素人でも判断することができます。
インコのフンの色・形・固さ・臭いなどを
ふだんからしっかり観察していれば、
体調不良にいち早く気づきます。
いつもと違う違和感を感じたら、
早めに病院を受診しましょう。
フンが大きい…卵管炎
尿が黄色い…オウム病(クラミジア症) 肝炎
フンがお尻から垂れ下がっている…ジアルジア
下痢でフンが黒い…消化管内真菌症
血便…胃腸炎 中毒 消化管内異物(放鳥時などに鳥が異物を飲み込んだ)
緑色のフン…亜鉛中毒 ※青菜や着色料を食べて緑色になることもある
フンの水分が多い…消化管内異物 そのう炎 卵詰まり 腹水 胃腸炎 肥満
多尿…痛風 ヘキサミタ 中毒 肝炎
食べた餌がそのまま排泄された…消化管内異物 消化管内真菌症
老鳥ケージレイアウトとバリアフリー
老いを重ねれば体の様々な機能が衰え、
今までできていたことが
困難になるのが普通です。
飛翔から着地の際にバランスを崩す。飛べなくなる。
ケージに寄りかかっていることが多い。
止まり木に止まれなくなり、床に座り込む。
これらの兆候があれば、
趾の握力が落ちてきているのかもしれません。
ケージや住空間を工夫する必要があります。
趾が安定するように止まり木の太さ・材質を変えてみる。
ステップなど、平らな面を作る。
着地する場所にクッションを敷いてみる
関節炎で体を屈曲させるのが困難になったら、
餌入れ・水入れを浅くして、
楽な姿勢で食べられるようにします。
ただし急にケージ内の配置を変えると、
鳥が混乱してパニックになることもあるので
ケージレイアウトの変化は少しずつ進めます。
餌入れ・水入れがいつもの場所にあれば、
たとえ視力が衰えてきても
落ち着いていつも通りに生活できます。

老鳥の止まり木は足にやさしくてインコの本能を満たすものを選ぶ
これは老鳥だけに限らない話です。
若いころから足が悪いインコが多くいます。
長期間不適切な止まり木の影響から
趾瘤症(バンブルフット)になっていたり

腎不全から痛風を発症しているなど

足を悪くして止まれなくなってしまう鳥も少なくないです。

インコの足に余計な負担をかけないように
若いころから足にやさしい止まり木を選んでください。

老鳥には足指の握る力が衰えることで
止まり木に止まれなくなる個体もたくさんいます。
そうなってしまったとしても
インコは習性として止まり木に止まったり
ケージの金網にとりつくのが大好きです。
止まり木に止まれなくなったからといって
老鳥用のケージレイアウト変更の一環で
いきなり止まり木を撤去するのは良くないです。
インコが精神的に不安定になって
おろおろしてしまうことが多いからです。
止まり木を使うのが難しくなったインコには
床の据え置き型の止まり木や
ステップパーチなどを使うのがいいでしょう。
完全に床生活になってしまっても
ちょこんと止まり木 のようなものがあると
インコに喜ばれます。
老鳥の保温は超重要!温度管理と寒暖差の把握をしっかりと!
老鳥になると代謝が悪くなり
体力も落ちるので
急激な気温の変化に順応することが
難しくなります。
冷え込みの厳しい朝晩や、
季節の変わりめの寒暖差が激しい時は
空調管理に注意してあげてください。

オカメインコは暑さに強い鳥ですが、
日本の夏は湿度も高く
猛暑日も多いので
熱中症にも注意が必要です。
夏場にエアコンのきいた室内では
体を冷やし過ぎることも多いので
ケージ周りをカバーするなどの配慮も必要です。
足の温度が低い場合は寒い可能性があります。若くて元気で健康なら問題ないことも多いですが、老鳥や体調が良くない場合はもっと暖めた方がいいです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 4, 2021
老鳥の様子をよく見ながら、
適切な温度湿度を管理しましょう。
暑すぎ・寒すぎだけでなく
日中の寒暖差が大きな春・秋も注意が必要です。
ヒトと同じでインコの場合も
寒暖の差が激しい時期が
最も体調を崩しやすく危険です。
最近の温度計はスマホ連携型や
スマート家電対応型など
優秀な機種がたくさん登場しています。
そういったものを活用して
温度の「数値」だけにとらわれるのではなく
寒暖差までしっかり把握するようにしましょう。

冬場の保温にはアクリルケースも活躍します。

老鳥が餌を食べない!シニアインコの食餌管理のポイント
老鳥になれば食欲が落ちたり
新しいものに順応ができなかったりと
食に対する懸念材料が増えてきます。
そんな事態にもある程度適応できるように
若いころから準備しておくことも大切です。
インコが食べている餌の量を把握する
あなたのオカメインコが毎日
どれくらいの餌を食べているのか
正確に把握していますか?
老いてくると
食べているように見えて
必要な量を食べていないこともあります。
鳥は栄養を体に貯めておけないので
体力が落ちた老鳥は食べられないことで
みるみる弱ってしまうこともあります。
食べている餌の量を知るには
給餌量と残量を計測することです。
ひと手間かかりますが、
どれくらいの量を食べているのか
把握しておきましょう。
目分量ではなく
スケールで重量を計測するのがベストです。
老鳥には食べなれているものを与える
若鳥と違い、老鳥になると
新しいものを受けいれにくいものです。
急にこれまで与えていた餌や
青菜の種類などを変えると、
食欲を無くしてしまうこともあります。
栄養を摂れていなければ
健康や生命維持に支障が出ますから
老鳥には食べなれた餌をあげることです。
老鳥の食事量が減ってきたから
少量でも栄養のあるものを食べさせたい!
…と飼い主は思うでしょう。
そこで、インコに良かれと思って
ずっと常食してきたシードを
ペレットに切り替えよう!…と考えても
なかなか飼い主の思惑通りにはいきません。
年をとればとるほど
急に餌を変えられることに
難色を示すインコの方が多数派です。
ペレットを主食にしたい場合は
できるだけ早い段階にした方が
楽に切り替えができます。

ペレット食なら複数のペレットを食べられるようにしておくと安心
インコの主食にペレットを与えていると
長年愛用していた製品が改良されたり、
廃番で入手できなくなることがありますので、
餌を少し買い置きしておく配慮も必要です。
海外製ペレットが輸入されなくなったり、
製造停止になることはよくあります。
コロナ禍には一時期
入手できなくなったペレットが
たくさんあったことも記憶に新しいです。
オカメインコは食に保守的な傾向があるので、
餌の種類が変わっただけで食欲が減退したり
食べなくなってしまうことが珍しくありません。
早い段階から複数メーカーのペレットを使うなどして
いろいろな味・食感タイプに
慣れさせておくのもいいことです。

ふだんから別のメーカーのペレットを
ローテーションで与えるとか、
数種類をブレンドして食べさせるなど、
数社の製品を取り入れておけば
不測の事態でも慌てなくて済みます。
お試しサンプルが入手できるペレットは
試してみるのもいいでしょう。
老鳥が「食べているのに痩せてくる」時にできること
老鳥には珍しくない
「食べているのに痩せてくる」現象。
主食がシードの場合
老鳥になると嘴の力が低下してくるので
かたい種子を割ったり砕いたりするのが厳しくなったり
丸呑みに近い餌を
胃ですりつぶす能力も低下してくるので
餌がうまく消化・吸収されなくなることがあります。
そうなるとインコの体に栄養がうまく吸収されません。
老鳥が大病を患っているわけではないのに
少しずつ体重が落ちてくるのは
消化吸収がうまくいかなくなるせいです。
消化器官が弱まるとシードよりペレットの方が体にやさしいことも
ペレットの硬さや食感はいろいろですが
やわらかめ食感のものも多くあります。
やわらかめのペレットなら
インコが砕くのにエネルギーを使わずにすみ
消化も容易なのでお腹にやさしいです。
ペレットならミルを使って砕いて
うちの子の食べやすい形状にできるので
好都合です。

そういう意味では老鳥の食事は
ペレットがおすすめできると思います。
主食として受け入れられなかったとしても
いろいろな種類をおやつ的に試してみて
食べるものをいくつか用意しておくといいです。
頑としてペレットを食べない子もいますが
無理強いはせず、その子の意思を尊重してください。
これなら大好物だから食べられる!を把握しておくと少し安心
これはすべてのライフステージのインコに
共通することですが。
体調がイマイチの時でも
インコが食べたくなる大好物を
把握しておくことは大切です。
食が進まなくなっても
「これなら食べられる」を知っておくことは
飼い主の安心感が増します。
どうしても食べられなくなった場合
ゾンデ で強制給餌することになりますが
経験のない素人が失敗なくやるのは難しいので
小鳥の診療に長けた病院を頼ってください。
病院を頼る直前の家庭での老鳥介護において
「食べたい」と思えるものがあれば
少しでも体力をつけることに通じます。
餌箱を増やし食べやすい場所に設置して食べたい時にすぐ食べられる工夫を
老鳥になると次第に食欲が
落ちてくるのは自然なことですが
老化で食が細くなるだけでなく、
体調が悪くて移動がしんどくなり、
それに伴って食餌量が減ることがあります。
インコに「食べたい!」気持ちがわいた時、
目につく所やすぐそばに餌箱があれば、
無理なくついばむことができます。
最小限の労力でインコが餌にたどり着けるように、
餌箱の数や位置を工夫してみてください。
餌箱を食べやすい形状のものにするのも
インコの食を進ませる効果があります。