ボルナウィルスの疑いが?インコのセカンドオピニオン体験談
オオハナインコの飼い主の寄稿
大河ドラマ「どうする家康」お市の方(北川景子)が飼っていた鳥が、オオハナインコです。
オオハナインコは世界的にも飼育歴が浅く、飼育が難しいインコで、飼育下では長生きしないと言われています。
ネット検索では飼育下の最高齢が、サンディエゴ動物園の28.5歳と出てきますが、野生では50年以上は普通に生きるのになぜ飼育下では早死なのか?
その原因の多くは肝臓疾患です。
オオハナインコは水分を食事の70%、脂肪5%、繊維7%としなければなりませんが、これはペレットやヒトの高栄養食では補えないことを、オオハナインコを飼い始めてから知りました。
オオハナインコ飼育情報収集のためアメリカの鳥類研究者のパトロン登録
試行錯誤の末、アメリカの鳥類研究者でオオハナインコを自ら飼育し、オオハナインコ保護施設を建設する方を知った私は、patreon(パトロン)登録で情報収集し、不明点があればメールで直接本人に確認(全て英語!)することにしました。
そのサイトの投稿は日常生活のケア(発情から爪切りに至るまで)から、死亡したオオハナインコの解剖写真や原因掲載などの専門医学まで網羅した素晴らしいものであるだけでなく、彼女の飼うディミトリ君(オスのオオハナインコ)の可愛さは格別です。
毎回の記事に掲載されるディミトリ君のふさふさした美しい羽毛を見て、私のオオハナインコのくーちゃんも
きっとこんな羽毛にする!と決意を新たにしたのでした。
オオハナインコの健康診断でボルナウィルス感染を疑われ…
そんなくーちゃんも努力の結果、美しい羽毛の成人男性!になったので、1年1度の血液検査・レントゲン撮影による健康診断を今年からしっかり受けることにしました。
これもアメリカの登録サイトのすすめによるものです。
血液検査では、血液の成分から栄養状態や病気兆候の確認が出来ます。
レントゲンでは内臓の状態を確認することにより、健康状態を確認出来ます。
また、外観からは運動レベルや栄養状態、ストレスレベルに至るまで、様々な兆候を確認出来ます。
専門家の目でくーちゃんを一年に一度診てもらい、今後の生活に役立てようと考えました。
動物病院に連れて行くと、くーちゃんはまさにアイドル。色々な方に声をかけていただきます。
「健康ですよね」と先生。「はい」と私。
そんな中、緊張の極地となり羽をぺったりとさせたくーちゃんは、レントゲンも採血も銅像のようにおとなしくしていて、先生方にも喜ばれていました。
②筋胃:筋肉質になっていて、食物を粉々にして消化する。
インコは食べ物をほぼ丸呑みします。食道の途中にある「そのう」でふやかした食物を「腺胃」で酵素分解し、「筋胃」で細かくすりつぶします。
小腸で栄養分が吸収され、大腸で水分とわずかな栄養素が吸収され、残りかすは排泄されます。
鳥は飛ぶために体を軽くしておく必要があるので、排泄物を体にためこまない構造になっており、そのせいで大腸がとても短いです。
獣医師はレントゲン写真を見て
…との見立てを提示したのです。
ボルナウイルスは一度感染すると完治は難しいです。お迎え時の検査で陰性でも、1回の検査では確実ではありません。今のところ検査と衛生管理をしっかりしているショップでお迎えするしかないと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 3, 2021
ボルナは下手するとPBFDより厄介です。食べられなくなってしまうので。話題になってきたなの最近なので、まだ分からないことが多いですね
— 鯨党右派 (@uha_kujira) April 30, 2022
うちのかわいいおじいちゃんは、アキクサインコ かすみ 11歳 オス です。
ボルナウィルスに感染しており、かれこれ6年近く闘病しています。
もう止まり木には止まれず、いつも座布団の上にいます∧( 'Θ' )∧ pic.twitter.com/NBOBp36DEw— カミヤマリコ (@rocknightshow) January 12, 2020
ボルナウイルスは腺胃拡張症といった消化器症状や運動失調、けいれんなどの神経症状を起こします。幼鳥で急激に発症することもあれば、潜伏していて成鳥や老鳥になってから症状が現れることもあります。発症すると致死性が高く、治療によって進行を遅らせるしかありません。
ウイルス自体は一般的なアルコール消毒薬などで消毒可能です。疑わしい場合は糞便でのPCR検査を依頼し、隔離・消毒をしっかりして、他の鳥さんへの感染を予防しましょう。
via:小鳥のセンター病院・池袋
こちらは鳥ボルナウイルス陽性のアオメキバタンです。全身の羽毛形成不全見られ特に風切羽、尾羽、冠羽がバサバサになっています。この症状がボルナウイルスによるもか調査されていませんが、ボルナ陽性の仔に多く見られます。PBFDやBFDの異常羽毛とは異なり、実際にこれらは検査しても陰性です。 pic.twitter.com/n0wtAvOsE0
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 19, 2023
ボルナウイルスは神経細胞に感染するため、感染すると免疫でも坑ウイルス剤でも、体からウイルスを排除することができません。免疫を上げて進行を防いだり、発症した場合は対症療法をするほかないのが現状です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 20, 2023
ボルナウィルスは現在はまだ治療方法が確立されていない難病です。
PDDのウィルス(腺胃拡張症)…私は慌てました。
でも…くーちゃんは元気いっぱいだし、羽もつやつや。体重も重量級(480g)の健康優良児。
ボルナウィルスに感染すると、低体重、吐き戻し、運動しない、毛引きなどの症状が現れます。
オオハナインコのセカンドオピニオンをアメリカの先生にお願いして…
オオハナインコは日本の遅れたインコ飼育歴の中でも、さらに遅れた種…との認識を私は持っています。
鎖国によってインコを見ることなく過ごした日本人。明治から貿易の中にインコが入ってきても、本格的に民間でペットとして飼われ始めたのは戦後です。
そしてオオハナインコは世界のインコ飼育歴の中でも、ごく最近飼われ始めたインコ。
全世界で研究が追いついていないオオハナインコなのだから、獣医師に分からないことがあっても不思議ではありません。
私はアメリカの先生に一連の事情と「セカンドオピニオン」をお願いをメールしました。
すぐに先生から快くOK!と返信が来ました。
アメリカの先生は全身の関節が壊れていく難病に侵されており、手術を終えたばかり。ソファから動けない中での私のお願いを受けていただいたのでした。感謝!
こちらから血液検査・X腺画像・写真2枚を送ると、いくつか質問事項が来て すぐにそれに返答し、2日ほどで長い返信メールが来ました。
メールには4つのセクションに分けて細かく教えてくださっていました。
重量:許容範囲内。
羽毛の状態:良好です。(excellent)
自傷行為: いいえ。
活動レベル: アクティブ。
足:可。
鼻: カバーされました。(鼻水等なく、鼻孔が羽毛に隠れています)
くちばし:素晴らしいですね。 (excellent)
目:クリア。
コレステロールを除けば健康状態は良好です。
これは複数の問題の前兆となる可能性があるため、懸念されます。ただし、PDD は高コレステロールの原因ではなく、高コレステロールは食事に関係しています。最も一般的な原因は塩分と脂肪の摂取です。
食品中の海藻、カトルボーン(イカの骨)、醤油、塩など。高脂肪との組み合わせに気を付けてください。
獣医師がボルナウィルス感染疑いと判断した腺胃は、くーちゃんが食べていた残留物が多く、撮影数時間前にも食事をしていたのと、他の鳥よりもオオハナインコは腺胃が大きく筋肉質であるためではないかと思われます。
獣医師が X 線写真で指摘した前胃の肥大は PDD の決定的なものではない。
血液検査では PDD のマーカーは示されない。
視覚的な外観には PDD の兆候は見られない。
行動には PDD の症状は見られない。
このように、オオハナインコのくーちゃんは「健康である」とアメリカの研究者による見解を提示されました。
うちの子を幸せにするために 飼い主は常に良きリーダーであれ!
インコはおしゃべりするから何でも話してくれているような気になりますが、飼い主が気づかなければいけないことだらけ。
もちろんそれは犬や猫、エギソチックアニマルに至るまで全てにおいて言えることで、人間は飼っているから偉い訳ではなく、単に立場がボス(リーダー)なだけの話。
これが飼い主のあるべき姿だと思います。
正しい知識をつけて、時には疑い、工夫をして、大事な子分の健康をしっかりと守っていきましょう。
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