散骨代行でゼロ葬を望む父の願いを叶えることができた【海洋散骨】
40代女性 父の生前からの希望が「ゼロ葬」か「海洋散骨」でした。そこで家族全員一致で故人の意思を尊重する海洋葬を行うことを決めました。
父は父子家庭で育ち、宗教にはまった父親(祖父)にかまわれず苦労してきた人なので、ずっと無宗教を貫いてきたこともあり、いつもこう言っていました。
母は「お墓に入るのが当たり前でしょ」と思っていたそうですが、50年も連れ添った父からずっとそう言われ続けていたので、とりあえず父の希望を通すことで納得したようです。
ゼロ葬を望んでいた父は「火葬だけしてくれればいい」と言っていた
父は家族にも生前から
…と何度も言っていました。いわゆる「ゼロ葬」です。
父はゼロ葬を望んでいたものの、ゼロ葬では故人の遺骨を持ち帰ることをしません。火葬後に遺骨を受け取らないで処分するのが 本来の「ゼロ葬」です。
しかし、遺骨がなければ海洋散骨はできませんから、できる限り父の希望に添えるように、 ここは臨機応変に立ち回る必要がありました。
まず私たちは父の望んだゼロ葬に近づけるために、お葬式はできるだけ簡素にすることに決めました。
そして火葬前に棺に各々入れたいものを持ち寄って、話しかける程度にとどめた最期のお別れをしました。
海洋散骨することは火葬場も了解していたので、お骨が残らないように灰(粉骨)になるまで燃やしてもらい、お骨上げはしませんでした。
私たちが選んだ海洋散骨業者は、その火葬場から紹介された提携業者だったので、散骨する粉骨については、スムーズに事が運びました。
しかし形式上、火葬場では粉骨を骨壷に入れなければならなかったため、一般的な骨壺は用意する必要がありました。
海洋散骨業者には散骨の日時や場所が確定するまで このお骨を預かってもらうことになりました。
遺骨全部を散骨せず一部を分骨して手元供養にした
「海洋散骨」は粉にしたお骨をすべて海にまかなければいけないわけではありません。希望する家族には粉骨を小さな入れ物に入れて、取り分けることができる…とのことでした。
お骨をどうしたいかは家族それぞれが選択するのですが、結局全員がお骨を分骨して、持参したミニ骨壺に詰めて持ち帰りました。
私は海に散骨するのには賛成ですが、こういうスタイルの手元供養 もとてもいいと思っていたので、粉骨(灰)を分けてもらって、自宅で手元供養をしています。妹は遺骨ペンダントに入れて身に着けています。
散骨代行だから船には乗らずに散骨を浜辺から見守った
海洋散骨のやり方にもいろいろな方法があります。
数組の家族が乗り合わせて行う「合同乗船散骨」
海洋散骨を業者に代行してもらう「代行委託散骨」
私たちの海洋散骨は、業者に散骨を代行してもらう代行委託散骨(散骨代行)で行いました。散骨の様子を浜辺から見送り、見守るという形です。
…と聞いていたので、散骨されたタイミングは、見ていてすぐにわかりました。
海洋散骨までの費用は20万円くらい(2019年)戒名をつけてもらう高額な費用をはじめとして、寺社やさまざまな葬祭用品に充てる出費がかなり抑えられたので、たいへん助かりました。
何より、故人の希望した場所を指定して散骨できたので、とても満足しています。
海洋散骨後の供養・墓参り・法事はそれぞれの考え方で決めていい
海洋葬ですから、家族には今後の墓参りや法事は特にありません。それをどう受け取るかは人それぞれ異なりますが、私はこれをデメリットだと考えていません。
分骨を手元供養にしているため、日常的に手を合わせることができているからです。
自分がお参りしたい気分になったらその浜辺に行けば
…と父を身近に感じることができるので、このことでも心がやすまる思いがしますから、それでよいのだと解釈しています。
父の望みにできる限り近づけたゼロ葬に近い海洋葬…きっと父は満足してくれたことと思っています。