海洋散骨トラブルにご用心!事前に知っておきたい失敗事例や対処法
海洋散骨とは、海に遺骨を撒く新しい葬送のスタイルです。
近年、故人のお見送りに海洋散骨が多く選ばれている理由は、 お墓や供養の経済的負担の軽減 墓守り不在問題 などが大きく関与しています。
いずれの問題解決においても、遺族の負担を軽くできるのが「散骨」です。
これまでは遺骨をお墓に納骨するのが一般的でしたが、昨今はその当たり前がなかなか難しくなってきています。
お墓の建立と維持費用・時間・労力、継承者不在の問題は深刻で「初めからお墓を持たない」選択をする人が増え、その流れから自然に還る散骨を選ぶ人が増えています。
日本は海に囲まれた島国なので、全ての海は繋がっているとの概念から、
…とも考えられています。
じめじめしたお墓に入れられているよりも、海に撒いてもらって大自然に還る方がいい!と言う方もたくさんいます。
ですが、海洋散骨にも思わぬ落とし穴やトラブルが存在します。
ここでは事前に知っておきたい海洋散骨のトラブル事例の回避方法と対処法を紹介します。
海洋散骨を検討中の方は参考にしてください。
海洋散骨トラブルの種類は5つ!親族・業者・周辺・寺・知識不足
散骨は少しずつ広がりを見せてはいるものの、まだあまり一般的ではありません。
初めて体験する人が多いことや認識不足も多々あり、海洋散骨にまつわるいろいろなトラブルが起こっています。
大別すると主な原因は5つあります。
海洋散骨業者と揉める
周辺住民と揉める
菩提寺と揉める
手元供養を知らなくて失敗した
激安価格に惹かれて、良心に欠けた対応をする海洋散骨業者に依頼したために起こるトラブルもあれば、遺族の知識や認識不足から起こるトラブルもあります。
いずれにしても、トラブルも原因がわかれば回避ができることが多いです。
事前に問題点を知り、予測しておくことがとても大切です。
海洋散骨トラブル:遺族・親族間のもめごと
散骨は太古から行われている葬送スタイルで、宗教も宗派も関係なく行えるのですが、一般に普及してきたのはごく最近のこと。
歴史が浅いために海洋散骨に対する誤解や勘違いも多いことから、イメージだけで反対される方もいます。
遺族・親族間で見解の相違から揉める
散骨反対派の遺族からは「遺骨を撒くなんてとんでもないことだ!」「バチあたりな!」「故人が成仏できないよ」「違法なんじゃない?」などさまざまな意見が出ると思います。

特に先祖代々のお墓がある場合は理解されづらいかもしれません。
ですが、遺族に相談せずに一存で散骨すればもっと揉めますし、中途半端な話し合いも禍根を遺します。
互いに正面から向き合ってしっかりと話し合い、決着してから事を進めましょう。
お墓参りができない問題
遺骨をお墓に納骨しないのですから、お墓参りはしません。
故人が眠るお墓を心のよりどころにする方も多いので、祷りを捧げる場所がないことに不安を持つ人もいます。
遺骨を全部散骨してしまった!失敗からの後悔
散骨では、全ての遺骨を撒いてしまう必要はありません。
少し分骨しておき、手元に残して自宅で供養することも可能です。

海洋散骨を始めて行う方には、分骨して手元供養する方法を教えてあげるといいです。
手元供養に仏壇は要りません。
このように 祭壇(メモリアルコーナー)を設けて、毎日手を合わせることができます(ペットも故人も同じです)


墓じまいからの海洋散骨も可能!でも散骨に理解がないと…
墓じまいでは親族の許可を得るのが難しくなくても、取り出した遺骨を散骨することには難色を示す親族がいるかもしれません。
散骨の慣習が一般的でない現在は、散骨に抵抗がある方も多いので、しっかりと話し合うことが必要です。
遺族の許可を得ずに海洋散骨の生前予約を入れた
海洋散骨を希望する本人が業者に生前予約を入れても、散骨を実行するのは遺族です。
せっかく生前予約していてもやってもらえなければ意味がないので、きちんと了解をとって契約書を託しておきましょう。
海洋散骨トラブル:散骨業者が悪質・いいかげんすぎて揉める
現状、散骨業は許認可制ではないので誰でも開業できるため、悪徳業者や詐欺業者も存在します。
1人でやっているのに、バーチャルオフィスを使ったり立派なHPを立ち上げて、従業員が多数いるように見せかけている実態のない詐欺業者もありますので、注意が必要です。
激安料金の海洋散骨業者は悪徳を疑った方がいい
どんな業界でも市場の低価格競争はなくなることはなく、激安価格で海洋散骨を請け負う業者も中にはいます。
とはいえ、海洋散骨は沖合まで船を出して行うわけですから、それなりのコストがかかるのは当然。
それでもさらにコストを下げられるのは、大切な何かを省いているからです。
散骨セレモニーの内容にもよりますが、散骨料金が2万円を切る業者は避けた方がいいと思います。
散骨代行は特に注意!悪質でテキトーな業者もいる
遺族が乗船しないで遺骨を委託する散骨代行では、大切な遺骨がどんな扱いをされているかわかりません。
過去の事例で、桟橋から遺骨を捨てて、合成の散骨風景写真や偽造の散骨証明書を渡していた業者がいました。
散骨ではないですが、お客さんから処分を依頼された骨壺を、ネットで転売していた業者もいました。
たった一度の海洋散骨セレモニー、業者選びに失敗すると悲劇です。
海洋散骨ガイドラインを徹底遵守している海洋散骨業者を選ぶようにしましょう。

生前予約した海洋散骨業者が倒産することもある
終活の一環で海洋散骨の生前予約プランに申し込みをする人もいます。
ところが、いざその時を迎えてみたら海洋散骨業者が倒産していた…も絶対にありえないことではありません。
まっとうな業者なら他社に業務の引き継ぎをするか返金対応があるはずですが、倒産してそのままトンズラする悪徳業者もいます。
生前契約の申し込みに法的効力はありませんので、公正証書遺言に遺すなどの対策をしておく必要がありますが、まっとうな業者なら、生前契約時に遺族を同席させたり、公正証書遺言やエンディングノートの作成と遺族への委託を促します。
こういった対応や配慮の有無も、悪徳業者を見極めるポイントになります。
海洋散骨後に追加料金を請求されるのはおかしい!
まっとうな散骨業者であれば、一度プランニングした料金に、何の断りもなく追加料金が発生することはありません。
しかし悪質な業者だと、なんだかんだと理由をつけて料金を追加請求されることがあります。
予定日の順延に融通が利きづらい・予定を強行するのはおかしい!
海洋散骨は天候や波の状態によって順延になることは普通にあります。
欠航は業者の責任ではありませんが、あまりに融通が利かなかったり、お客さんの都合を聞かずに無理やり予定をねじ込んできたり、勝手にプランを変えようとする業者もいます。
順延を避けたくて、荒天なのに無理やり出航した業者も過去にいたそうです(船酔い者が続出して大変なことになったらしい)
そもそも、お客様の安全を第一に考えない業者はまちがいなく悪徳です。
誤って関わってしまっても、おかしいなと気づいたら、逃げるが勝ちかもしれません。
そうならないためにも、信頼のおける海洋散骨業者を選ぶことが重要です。
海洋散骨トラブル:周辺住民と法律違反で揉める
個人が勝手に観光地や海岸線、海水浴場などで散骨していたことがバレれば、風評被害等で民事訴訟を起こされる可能性があります。
まっとうな海洋散骨業者は自治体の条例や散骨ガイドラインに従って適切に散骨を行うため、周辺住民と法律違反で揉めることは全くありません。
海洋散骨トラブル:菩提寺と揉める
墓じまいした後に遺骨を海洋散骨することに難色を示す菩提寺や僧侶もいて、高額な離檀料を請求されることもあります。
相談や話し合いの場を持ってみても解決できない場合は、墓じまい業者を間に入れる方がうまくいきます。
海洋散骨トラブルで後悔しない・失敗を回避するための7つのポイント
すべての遺骨を全部海に撒かずに、一部を分骨して手元供養する
業者を安さで選ばない。激安料金の海洋散骨業者に大切な遺骨を預けてはダメ
海洋散骨料金の内訳を明確に提示し、追加料金が一切発生しない業者を選ぶ
海洋散骨のセレモニーの流れを事前に調べて把握しておくこと
海洋散骨のルールとマナーを守ること
自分で海洋散骨するのはリスキー。散骨業者に任せるのが安全・安心