この記事はインコが野菜を摂らないことでビタミンAが不足すると健康上 どんな弊害が起こるか? そして「インコの副食には緑黄色野菜が超絶おすすめ!」という内容です。
インコの種類によって食性が異なりますが、ここではセキセイインコやオカメインコを例にします。
インコの主食として与えられることが多いのが小鳥用配合飼料(シード、穀物種子)ですので、ペレットを食べないシード食メインのインコがターゲットです。
インコのビタミンA不足!野菜を食べない栄養不足から起こる病気の話
インコの食性は穀食性、果食性、蜜食性、雑食性の4つに分けられます。
鳥種の食性に合った食事を与えることが大切で、飼い主が良かれと思って与えたものが食性に合わないものの場合、鳥体が受け付けずにフンがゆるくなることがあります。
たとえばセキセイインコやオカメインコは、種子類を主食とする穀食性です。
果食性…ヨウム、コンゴウインコ、ボウシインコなど
蜜食性…ゴシキセイガイインコ、ハチドリなど
雑食性…文鳥、十姉妹など
穀食性のインコに果物を与えたときにフンが水っぽくなることがあります。果糖を分解しづらいからです。
反対に果食性のインコにシードを与えるとうまく消化できずに体に負担がかかります。
ただし、野生下にある鳥は、上述の食性に属していても、不足栄養素を補うために食性の枠にとらわれず、とてもバラエティに富んだ食餌をしているので、飼い鳥よりは許容範囲が広いかもしれません。
雑食性ではない穀食性のオカメインコでも、野生下では昆虫なども採って食べていたりするようです。
穀食性のインコでもシード食100%では栄養失調ほぼ確定
あわ、ひえ、きびなどのシード類は炭水化物の含有量が多い一方 肝心なビタミンAはゼロで、食べすぎると肥満になる恐れがあります。
油種子(ひまわりの種、くるみ、麻の実、サフラワー、かぼちゃの種、アーモンド)にはタンパク質やアミノ酸が含まれていますが、高脂肪であるため、多くの量を与えることはできません。
シードのみで栄養をとらせようとすると、種の種類によって含まれる栄養素が異なるため、さまざまな種子類を与える必要がありますが、インコ自身が好きな種類の種子しか食べないことも多く、栄養が偏る恐れがあります。
インコのビタミンA不足は腎臓病や痛風・細菌感染のリスクが高まる
また、ビタミンやミネラルが不足することで、さまざまな症状を引き起こします。
ビタミンD不足…くる病、骨軟化症、卵殻形成不全
カルシウム不足…雛鳥:成長遅延、くる病 成長:過産卵による骨軟化症
ヨード不足…甲状腺腫、甲状腺機能低下症
最近痛風になる老鳥が増えています。痛風の原因は腎障害で慢性的なビタミンA不足が関係しています。穀類にはビタミンAがゼロです。若いうちはビタミン剤をやり忘れていてもすぐに病気になることはないので油断しがちです。健康寿命が短くならないようシードの場合は必ずビタミン剤を与えましょう。 pic.twitter.com/wAwgTncUTd
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 7, 2022
腎臓は悪くなるとよくなる臓器ではありません。今からビタミンAを与えても痛風が治ることはありませんが、少しでも進行を抑えるためにも総合ビタミン剤を与えて下さい。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 9, 2022

ビタミンAの慢性的不足は免疫低下を招き、感染症にかかりやすくなります。

ビタミンAは穀物種子に含まれないため、シード食100%で飼っている場合は、別にマルチビタミン剤や野菜、果物を与える必要があります。
総合栄養食であるペレットをメインに与えている場合は、ペレットを7割以上与えていれば サプリメントや副食は必須ではありません。
ただペレットでは「殻を剥く」といった本能的な行動ができず、味や見た目にも変化がないため、インコが退屈してしまいかねませんし、そもそもペレット自体を食べてくれない個体が多く存在します。
インコの食生活をバラエティ豊かにするために、シード食であれペレット食であれ混合食であれ、副食としてビタミンの豊富な野菜や果物を与えることが推奨されます。
野菜も与えた方が良いです。緑黄色野菜がお勧めです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 31, 2020
インコのビタミンA野菜=緑黄色野菜!ペレット食のインコにも野菜を与えたい
セキセイインコなど穀食性インコの副食に適しているのが緑黄色野菜です。
緑黄色野菜とは可食部100g中に600μg以上のβカロテンが含まれている野菜のことで、βカロテンの他にも、ビタミン類や葉酸、カリウムなどのミネラル分、食物繊維も多く含まれています。
小松菜や青梗菜はセキセイインコが好む栄養価の高い野菜として知られていますが、前述のとおりアブラナ科の野菜ですので、こればかりを集中的に与えるのは良くありません。
インコにアブラナ科の野菜を与えても大丈夫?甲状腺へのリスクは?
色々な種類の緑黄色野菜を偏りなくローテーションで与えるのが理想的です。
時々 野菜の代わりに野草を取り入れると、インコたちは目を輝かせるでしょう。
インコに野草もおすすめ!季節限定の「青物の本物のおいしさ」を教えてあげる
使い勝手の良いニンジンとピーマンがおすすめ
青菜だけでなく、もっといろんな種類の野菜を食べて欲しい、バリエーションを豊富にしたいと考える人も多いでしょう。
そんな時、使い勝手が良いのがニンジンやピーマンなどです。
ニンジンはシードやペレットとは違った食感でかみごたえがあり、色が鮮やかで視覚的に楽しめます。
緑色のピーマンに含まれるβカロテンは600μg以下ですが、赤ピーマンのβカロテン含有量は約950μgとかなり豊富です。
ピーマンの独特の形を利用して、フードカップ代わりにするなど、おもちゃとしても利用できる点もメリットです。
カラフルな野菜はインコのフォージング(採餌行動)をサポートする
飼育下のインコにとっては、副食にさまざまな種類の食物や味、色彩などを考えて与えることもフォージングにもなります。
フォージング(フォレイジング)とはインコが食べ物を得る際に頭を使うことで、退屈するのを防いだりストレスを発散する効果があります。
野菜は色だけでなく切り方を変えて形状を変化させることができるので、好奇心旺盛なインコの興味を引くことにも通じます。
そのためにできれば早い段階からインコに野菜のおいしさを教えてあげて、うちの子が完全なる「野菜嫌い」にならないように、飼い主さんが誘導してあげる必要があります。
野菜好きインコは飼い主さん次第で 意図的に「作れる」からです。
野菜や果物を好むかは、鳥によるのではなく個体差です。幼少期に食べてないと、受け入れないことがあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 31, 2020

まったくその通り。栄養不足はこの結論であっさり片付いてしまうシンプルな話です。
でも、たぶんここまで読み進んでくださった方は
…と考えるインコ愛が強い飼い主さんだと思います。
鳥の食のバリエーションを広げて、ぜひ大切な愛鳥のQOLを向上させてあげてください。
大好物をおいしそうに食べる愛鳥との楽しい時間を1日でも長く共有するためにも。
【参考】インコの野菜の代用的栄養補助食品と乾燥野菜
参考に鳥用の野菜的な栄養補助食品を挙げておきます。
シードをメインに食べている鳥向けです。ペレットを7割以上食べている鳥さんはサプリメントは要りません。
ご利用は自己責任でお願いします。
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子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。