これは鳥飼いの間では大変に有名な事実です。
…という名(迷)言がある通り、特にコザクラインコの飼い主にとっての「噛まれる」は、日常茶飯事かもしれません。
しかし、コザクラインコにひとたび噛み癖がついてしまうと治すのは大変です。
コザクラインコから絶対に噛まれない!は無理なことですが、噛み癖をつけないために頑張った結果、コザクラインコが甘噛み上手な甘えん坊さんに変貌した、わが家の一例をご紹介します。
コザクラインコが噛む理由!甘噛み上手な甘えん坊インコに変貌した話
コザクラインコは噛むもの…と思っていても、やっぱり噛まれたくはありません。
7年お世話をしてコザクラインコからすっかり噛まれ慣れている筆者でも、強く噛まれた直後は「手を出すのが怖い」と思うことがあります。
コザクラインコが噛むとこんなに痛いのか!
わが家のコザクラインコは、生後3カ月のときにやって来ました。
お迎え時には既に一人餌になっていましたが、3か月ではまだまだ子ども(幼鳥)で、待望の初めての小鳥がかわいくて仕方がありませんでした。
しかし、突然、見知らぬ家に連れてこられたコザクラインコの方はそれどころではありません。
掃除や餌の入れ替えなどでケージに侵入してくる飼い主の手を、容赦なく噛んで撃退しようとしていました。
コザクラインコが噛むは威嚇するは…小鳥の警戒心に驚愕!
子犬なら初対面の人間にも容易に抱っこされたり、手からおやつを食べたりしてくれますが、小鳥はまるで野鳥のように警戒心をむき出しに、飼い主から逃げ回ったり威嚇したりしてなかなか慣れてくれません。
コザクラインコをお迎えして最初の1カ月ほどは、本当に毎日のように手が血だらけになっていたものです。
そんな淡い期待を抱きつつ、飼い主は考えました。
そもそも、コザクラインコはなぜ噛むのだろう?
コザクラインコが噛む理由とは?複雑な小鳥のきもちを読み解くことから始めてみた
くちばしは、鳥にとって、剣であり、盾でもあります。
敵に襲われそうになったら威嚇し、襲われたら防御し、攻撃する。それは当然の反応と言えるでしょう。
あいにくなことに、7年前の筆者は鳥飼い初心者でした。
まだコザクラインコからの意思表示を正しく読み解くことができておらず、互いに意思疎通がほとんどできませんでした。
鳥の噛み癖は問題行動と捉えられてがちですが必ずしも問題行動=異常行動なわけではありません。問題と捉えているのは人側の認識です。例えば羽づくろいをしようとして皮膚を噛むのは正常行動ですし、嫌なことや怖いことを避けるために噛むのも度は超えているとはいえ正常行動です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 1, 2021
コザクラインコが噛む理由のひとつは実力行使!
コザクラインコの立場からしてみると、
…と自然にくちばしが剣となるのは仕方のないことです。
しつけられているのはインコではなくて…実は飼い主の方!?
コザクラインコが怖いもの…たとえば嫌いなぬいぐるみが置いてあったのを見つけてしまい、それが怖いのでぬいぐるみに噛みついたとします。
コザクラインコは、はたしてぬいぐるみを見つけた瞬間、すぐに噛みつくでしょうか?
個体差があるかもしれませんが、答えはノーです。
通常、真っ先に噛んだりはしません。まずは怖いものを避けようとしますし、回避できなければその場から逃げようとします。
躾の対象となる主な行動は、排除や優越を示す行動です。これをしたら噛むという行動は鳥のルールであり、人が噛まれたら怯むのは鳥に躾けられている状態です。いわゆる罰によって自分のルールを示しています。そして噛むことで人が怯むことを学習した結果でもあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 2, 2021
それでもどうしても逃げられない、または逃げても相手が追って来るなら
…と威嚇し、それでも相手が引かなければ 最終手段として噛みつきます。
噛むとなると、当然のことながら、体ごと敵(怖いもの、嫌なもの)に近づかなくてはなりません。
つまり、噛むという行為自体にリスクを伴うため、インコのきもちとしては

できれば噛まずに納めたい…
これが本音のはずです。
噛み癖一歩手前のコザクラインコが甘噛み上手な甘えん坊に激変するまでの紆余曲折
コザクラインコが噛むのは攻撃する時ばかりではありません。
インコ同士で羽の手入れをし合ったり、遊びやコミュニケーションの一環として、ついばんだりし合う姿を見たことはありませんか?
なんとも幸せそうなその姿が、うらやましくて仕方がありませんでしたが、鳥ではない筆者には、
…と思っていました。
しかし、実はそうではなかったのです。
コザクラインコに飼い主が怖い存在ではないことを悟ってもらう働きかけ
コザクラインコが飼い主を恐れているうちは何も始まりません。
少しずつ「飼い主が怖い存在ではない」と知ってもらわなければなりません。
しかしそれだけでもまだ足りません。コザクラインコから
…と思ってもらうためには、飼い主はある意味 インコにとって「都合のいい存在」でなければなりません。
刻一刻と変わるインコの気分に合わせて、退屈そうにしていないか?寂しそうにしていないか?など、愛鳥の様子を観察します。
その上で、コザクラインコの要望を全て満たす意気込みで、少しずつ信頼を勝ち取ります。
コザクラインコの噛むことに対するリアクションを封印する
コザクラインコから強く噛まれたときの飼い主の対応も重要です。
わが家では「痛い!」と大騒ぎせず、痛みをこらえ、静かに淡々と「痛いよ?」と言うことにしました。
望ましくない行動を取った時は反応しないようにします。噛まれても痛がって声をあげたり、怯んだ様子ではなく嫌だという態度で噛まれたことに反応しないようにします。特にイタッと言って反応すると、その反応が見たくて噛むことがあります。噛むことに効果はないという再学習をさせて様子を見ましょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 3, 2021
真剣な顔と声で言うとその意図が伝わるようで、
…とコザクラインコ自身が後悔をにじませることもあるし、
…とふてくされたような顔をすることもあります。
これを繰り返すうちに「痛い」と言うと力を緩めてくれたり離してくれたりするようになり、噛まれる回数も格段に減りました。
こうなると、かなり飼い主とコザクラインコとの意思の疎通が図れている状態です。
コザクラインコとの意思の疎通で「噛む」が「甘噛み」の愛情表現に変わってきた
そして、次に何が起きたかというと…なんと、コザクラインコが甘噛みしてくれるようになったのです。
強く噛んでしまった後におわびのように甘噛みしてくれることもあるし、リラックスしているとき、仲間に羽づくろいをするように噛んでくれることもあります。
コザクラインコから絶妙な力加減で噛まれ続けると、血行がよくなるような気さえして、噛まれているのに眠くなってしまうほどです。
はい、チミチミするやつです。鳥の親和行動なので、それを嫌がると言うのは鳥にとっては戸惑うことになります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 3, 2021
インコ同士で羽づくろいし合う姿が幸せそうに見える理由を、私は身をもって知りました。
そしてコザクラインコが甘噛みをしてくれるようになった頃から、よく甘えてくれるようになりました。
筆者の手の上で昼寝をしたり、くつろいで座り込んで指先を甘噛みたり。コザクラインコの甘噛みは、最高の愛情表現だと思っています。
インコのダブルバインド(矛盾したメッセージ)に対する飼い主の反応の仕方と接し方
心理学用語にダブルバインドがあります。言葉や態度に矛盾があるため、思考を混乱させられ、相手の顔色を伺うようになります。モラハラやDVの根底にあるものと言われていますが、実は犬もやることが分かっています。撫でてという態度を取りながら、噛むぞという矛盾した態度も取ったりします。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 7, 2020
このようなダブルバインドのような傾向が見られる場合、専門家によって意見が異なりますが、一般的には好ましくない行動をする時は、相手をしない、ケージに戻すことを行い、好ましい行動ができたら褒めたり、ご褒美を与えて再学習を進めます。かなり根気がいりますが、愛情を持って接し続けましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 7, 2020
子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。