うちのインコ・・・
なんだか最近くちばしが
伸びてきた気がする
…と思うことありませんか?
インコのくちばしは
人間の爪と同じで
成長と共に伸びていきますが、
あまりに伸びすぎているとか
伸びが早い場合は
病気の疑いがあります。
くちばしの異常は
摂食障害にもつながりますから
くちばしは日ごろから
しっかり観察していきましょう。
インコのくちばしが伸びる病気!嘴カット・脱皮・鳴らすのはなぜ?
オカメインコのくちばしに
ひびのような線が
入っていることがあります。
インコのくちばしは
人間の爪と構造がよく似ていて
何層にも重なっており、
ストレスや栄養状態が
表れやすい場所です。
過度のストレスを受けると、
くちばしに段や線として
ラインが残ることがあります。
また、カルシウムが不足しても
くちばしがはがれてくることもあります。
加齢によりくちばしの新陳代謝が悪くなり、
古い角質が剥がれ落ちるように
嘴がむけることがありますが、
自然と脱皮するなら問題ありません。
くちばしがはがれたりすると
何となく心配になりますが、
餌をきちんと食べていて
元気な様子なら大体問題ありません。
心配なら、早めに動物病院を受診しましょう。
インコのくちばしが脱皮した!剥がれた!
インコ飼い初心者さんは驚きがちですが、
クチバシの皮がむけること(脱皮)はよくあることです。
クチバシは爪と同様に
毎日どんどん伸びるもので、
食事をしたり、
止まり木や固い物をかじったり、
こすったりすることで
自然に削れていくものです。
その際にクチバシの表面皮が
むけるのも普通のことです。
鳥の嘴の先端が2枚爪のようになっているのは、先端が定期的に剥がれるからです。嘴を止まり木などに擦り付けるのは、汚れを取るだけでなく表面を削って剥がしています。下嘴も同じように剥がれています。嘴の質が悪くなると、剥がれずに厚みが出たり、剥がれた後がザラザラになっています。 pic.twitter.com/Fo4Hil5ruh
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 5, 2020
インコのくちばしにひびが入っている!
インコの嘴の先端が二枚爪のように
なっているのももよくある話。
嘴の表面が剥がれる前は2枚爪のように白くなっていることがありますが薄い状態で剥がれてくるのは異常ではありません。厚みがある状態で剥がれる場合は段差ができ、ケラチンの形成異常のことが多いです。その場合は蛋白質不足が原因になる事は少なく、高脂血症、肝障害、老化などによって起こります。 pic.twitter.com/M7u9mdioRF
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 2, 2021
爪と同じように伸びるクチバシは、
爪と同じように何か衝撃があれば
割れたりヒビが入ります。
特に固い物を食べたり
かじったりする先端は、
ヒビがいきやすいです。
もしクチバシ根元にヒビが入った場合は、
毎日観察してみてください。
そのヒビが徐々にクチバシの先端へ移動し
(実際は伸びてるので移動してるわけではない)
そのうち削れて無くなるのが分かります。
脱皮と同様でくちばしを
痛がっていないかなど、
様子を観察するのは
忘れないでください。
気を付けなければいけないのは、
栄養不足の場合です。
クチバシはケラチン(タンパク質の一種)
で出来てますので、
栄養不足でもヒビが入ります。
くちばしと骨と勘違いして
カルシウム(ミネラル)が
特に必要と思われがちですが、
同時にビタミンの摂取も必要です。
主食の70%以上がペレットなら、
サプリメントは必要ありません。
また普段から日光浴をさせたり
睡眠をしっかりとらせることも大切です。
日光浴や日光浴ライトを使っただけでも
くちばしがさくら色になったとか
つやがよくなったケースも多くあります。

栄養不足は換羽期に
最も多く発生します。
栄養失調によるくちばしのヒビは
換羽期に起こることが多いので
特に換羽期はインコの様子を
しっかりと観察し、
主食がペレットではないインコの場合は
マルチビタミン剤(サプリメント)を
添加するなどして
栄養補給をしてください。
インコのくちばしが割れてしまった!
パニックや思わぬアクシデントで
クチバシが割れ(折れ)てしまったら
まず出血がないかを確認してください。
出血がある場合は、
すぐに止血の処置をしましょう。
圧迫で止血できるならば、
血が止まってから
病院に連れて行くか様子を見るかの
判断をしてください。
止血がうまくいかない、
血が止まらない場合は
すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
人の感覚では少量の出血でも、
小さなインコにとっては
1滴2滴でも大量出血です。
くちばしから出血がなくても、
痛がってないか?
様子はおかしくないか?
餌は食べられてるか?
様子をしっかり観察しましょう。
折れたクチバシは重篤でなければ
また伸びてくるものですが、
程度にもよりますので、
動物病院を受診した方がいいでしょう。
特に大きく割れてしまった場合は、
自分で餌を食べられてるか?
体重測定と共に
注意深く観察してください。
上のクチバシが大きく折れて
無くなってしまった場合は、
受け口にならないよう
下クチバシの手入れが重要です。
下クチバシが大きく割れた場合の
上クチバシの手入れも同様です。
伸びすぎた方のクチバシを
カットすることになりますが
素人判断でやるのは危険ですので、
病院でやってもらいましょう。
万一そんな事態に陥った場合、
飼い主さんは大変ですが、
インコ自身はもっと大変です。
しっかりお世話してあげてください。
インコがくちばしを鳴らす!ジョリジョリ(ギョリギョリ)の意味は?
インコからジョリジョリ(ギョリギョリ)
音がするのを
はじめて聞いたら
驚く方もいるでしょう。
ですがインコをよく見れば、
すぐにクチバシからする音だとわかります。
このジョリジョリ音は、
クチバシの上下がこすり合わさる音です。
こすり合わせることで
クチバシの伸びすぎを
防止するなどの意味があります。
ただ、これはクチバシお手入れの
副産物のようなもので
ジョリジョリ音を立てるのは
ほとんどが眠そうにしてる時です。
クチバシがジョリジョリしてる時は、
羽もふっくらして、
脱力・リラックス状態なのが分かります。
インコのくちばしカットは病院に任せて!誤れば命取りもあり得るから
通常、インコは自分で
くちばしのお手入れをするので、
飼い主が手伝ってあげる必要はありません。
インコのくちばしには
血管や神経が通っているので
切りすぎてかみ合わせが悪くなると
摂食障害にもつながります。
インコのくちばしカットは
自分でやろうと思えばできますが…
私は動物病院に任せることを
おすすめします。
誤って切りすぎた場合、
くちばしは爪よりも
大量出血することが多く
…つまり命取りになることもあります。
私は実際にそうなった
オカメインコを知っているので…
くちばしカットを自分でやることは
おすすめはしません。
鳥は大量出血するとほぼ助かりません。
小鳥にとっては
ほんの数滴の出血も大出血です。
さらにインコは
輸血ができないわけではありませんが、
必要条件のハードルが
非常に高くて難しいです。
血縁インコの多頭飼育で
献血できる若い子孫鳥がいて
鳥の診察に精通した獣医師がいる
動物病院を依頼するなど
一般飼い主にはほぼ無理な
条件が多いからです。
くちばしカットは素人がやらないで!
と切に願います。
インコのくちばしの病気かもしれない症状とは?
疥癬症(かいせんしょう)
疥癬はオカメインコよりも
セキセイインコに多く見られる
トリヒゼンダニがくちばしに
穴をあけて寄生する疾患です。
くちばしに白いかさぶたのようなものが出来て
ガサガサとしてきて、
非常に鳥がかゆがります。
他の鳥にも簡単にうつりますが、
うつっても体力のある個体は
症状が出ないこともあります。
逆に体調を崩したりするときには
トリヒゼンダニが増殖して、
症状が出てくることがあります。
こちらは重度の疥癬症のセキセイインコです。センコウヒゼンダニの感染によって起こります。白いカサブタ状の皮膚病変ができるのが特徴ですが、慢性感染によって肉芽がコブのようにできてしまうことがあります。このダニは殆どのセキセイインコが保有しており、免疫低下が発症要因と見られています。 pic.twitter.com/t9WupmFdvn
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 18, 2020
治療が遅れるとくちばしや爪が伸びたり
変形したりして元に戻らなくなりますので、
早めに動物病院を受診しましょう。
治療が遅れてくちばしに変形が出てしまったら、
定期的なトリミングが必要になりますので
早めに対処することをおすすめします。
疥癬症の予防法としては、
住環境を清潔にすることと
日ごろから鳥をよく観察すること、
ビタミン不足にならないように気をつけることです。
特にビタミンAが欠乏すると
免疫力の低下で疥癬症が起こりやすいので、
青菜などをこまめに与えることも有効です。

インコのくちばしの内出血(出血斑)
インコのくちばしの内出血(出血斑)は
くちばしにあざのような色が現れます。
原因は外傷のほかに、
栄養不良、脂肪肝、感染症などがあります。
余談ですが、こちらは 爪に出た出血斑です。
発情で高中性脂肪血症を起こすのは雌だけです。雄の発情ではならないです。肥満が原因の場合は、雌雄共になります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 26, 2022
こちらは打撲による嘴の出血斑です。
外傷性出血斑は激突した履歴がありに赤っぽいですが、病的な場合は肝疾患や高脂血症が主な原因で、嘴の過長や質の低下が伴い、こげ茶から黒色になります。
外傷性出血斑は、嘴の成長と共に徐々に下に下がってきて無くなります。 pic.twitter.com/1fp3Cu0k1R
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 22, 2023
その他のインコの嘴の病気…PBFD・ロックジョー・寄生虫・感染症・栄養不良
上記以外にくちばしがひび割れて脆くなったり
伸びすぎたりする場合は
PBFDや寄生虫、
感染症などの恐れがあります。
インコは外敵から弱っている姿を悟られないように
体調が悪かったりしても
隠す習性がありますので
日ごろからしっかり観察することが大切です。
インコのくちばしが伸びるのは肝臓疾患の疑いも
これは 爪に見えるかもしれませんが、
オカメインコの伸びたくちばしです。
上くちばしが体に刺さりそうなくらい
異常に伸びている場合は
肝機能障害が疑われます。
肥満による肝障害と脂質異常症によって嘴が変形したセキセイインコです。嘴表面の黒い斑点は出血斑と呼ばれます。3枚目は嘴をカットした断端で中心が黒くなっており、内部にも出血した跡がありました。出血斑はケラチン形成時に血が混入すると考えられます。肥満と運動不足には十分注意しましょう。 pic.twitter.com/PObnPuXjFe
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 17, 2022
重度の肝障害と脂質の上昇で起こります。正常になれば治ることもありますが、嘴の変形は残ってしまうことがあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 17, 2022
そのように変形することもあります。マイクロエンジンでトリミングを定期的に行います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 17, 2022
この仔の場合は1ヶ月くらいです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 18, 2022
肝機能が低下している場合
ほかにも次のような症状が見られます。
やわらかいふさふさとした羽毛が目立つようになる。
けいれんを起こす
このような症状が見られた場合は即受診です!
こちらはオカメインコのノーマルのイエローフェザーです。粉綿羽が伸びて、風切羽も細くなっています。ルチノーでは蛍光イエローのような色になりますがノーマルではこのような色になります。換羽毎に徐々に変化すると気づかない飼い主さんもいます。原因は肝機能障害や高脂血症であることが多いです。 pic.twitter.com/aYheggVemQ
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 26, 2021
こちらはオカメインコのイエローフェザーです。肝機能障害や高脂血症が原因で起こります。羽は生えてくる時から変形・変色をしています。以前に生えた羽に尾脂腺の脂がついて黄色く変色すると勘違いしている鳥の先生がいました。血液検査の数値が改善すると正常な羽に戻ることが多いです。 pic.twitter.com/md2SOc26LE
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 17, 2022
インコのくちばしは健康状態のバロメーターです。
しっかり観察していきましょう。