孤独死の相続放棄体験談!マイナスの財産があるかもしれないのが怖い
30代女性 私の両親は20年以上前に離婚しています。私と姉は母に引き取られて育ちました。
私の父は母と結婚する時バツイチだったそうですが、父と前妻との間に子どもはいませんでした。母と離婚後の父は再婚せず、一人暮らしで、最期は胃がんを患っていました。
2020年9月のある日、母から「お前たちの父親が亡くなった」と連絡がきました。私も姉もすでに結婚をしているので、家族全員が別々に暮らしています。
それから1時間後、私の携帯電話に知らない番号からの着信がありました。嫌な予感がしたもののおそるおそる電話に出てみると、やはりそれは他県の警察からでした。
それからひと月が経過した頃、姉から連絡がありました。
恥ずかしながらそういったことにまったく知識がなかった私は、姉の言葉を聞いて鳥肌が立ちました。
相続放棄の期限は3か月以内!手続き期間は短いが費用は安い
相続放棄の手続きができるのは亡くなったことを知った日から3ヶ月以内ですが、姉からこの連絡が来たときには既に1ヶ月が経過していたので、私は急いで相続放棄の準備を始めました。
相続放棄の手続きにかかった費用はトータルで6000円ほど。添付する印紙代…800円 郵便切手代…500円前後 住民票除票または戸籍附票…500円 死亡の記載のある戸籍…800円 その他
私は父とは別の県に暮らしていたため、父の情報を得るために 父の住民票を何度も遡ることになり、ようやく家庭裁判所に相続放棄の申請書を送付することができたのは、父の訃報が来てから2ヶ月後でした。
相続放棄の申請書を提出してから2週間も経たない内に家庭裁判所から照会書が届き、再度記入をして返送。その約1週間後に相続放棄申述受理通知書が届き、ギリギリ3ヶ月以内に相続放棄手続きを終わらせることができました。
相続のマイナスの財産(借金)はすぐにわからないから怖い
相続放棄についての相談を母にしたら「そんなのしなくても大丈夫でしょ。借金があるなら事前に誰かから連絡があるんじゃない?」などとお気楽なことを言っていました。
その時は私も「だよね」と思いましたが、無知は恐ろしいことだ…と今は思っています。
相続放棄の手続きをしていなかったら、借金の肩代わりなど大きなマイナスを相続せざるを得なくなった可能性がゼロではなかったのです。
例えば、悪徳高利貸しから借金していた場合。
悪徳業者は信用情報機関に加盟していない場合が多く、情報開示請求ができません。借金の痕跡を探すには、孤独シがあった部屋で郵便物や書類を家探しすることになります。
また、この手の業者は、あえて相続放棄の期限が切れる3か月を過ぎてから相続人に返済を迫ることが多いそうです。
その時にはもう相続放棄ができないので、借金の矛先は相続人に向かってきます。たかだか6000円の支払いを渋って相続放棄手続きせずにいて、怖い人たちから
などとすごまれたら…想像するだけでも怖ろしいです。
父が亡くなってから1年が経った今でも、父に関する連絡が誰からもありません。相続人ではなくなったため 借金の有無やその他についての情報も一切入ってくることはありません。
父が最期にどんな生活を送っていたのかも分からずじまいですが、アルコール依存症で更生施設に入っていたこともあり、晩年は荒れた生活を送っていた人なので、どこかに借金をしている可能性はあったと思いますし、どこかで連帯保証人になっていた可能性もゼロではありません。
これらは最悪の想定ではありますが…もしかしたら、今の自分が平穏無事な毎日を送っていられるのは、相続放棄のおかげかもしれないのです。
相続放棄手続きは時間がかかるから早めの決断と行動が必要
私は父と20年以上も会っていないので、父の顔をぼんやりとしか覚えていません。だからこそ相続放棄手続きに対しても「別に放っておいていいんじゃない?」などと他人事のような単純な考えしか持っていませんでした。
しかしよくよく考えれば 20年も会っていないからこそ 父がこれまでどんな生活をしてきたのかすら分からない…つまり相続がプラスなのかマイナスなのかもわかりません。
私のような家庭環境の人は世の中にたくさんいますが、こんな場合、私のような他人事的な考えになる人は多いのではないでしょうか。
マイナス相続がなければ問題ありませんが、その1度の選択によって その後の自分の人生が大きく変わってしまったら…(怖)
長年会っていない家族や相続関係にある親族が亡くなった知らせを受けた場合は 悩んだり迷ったりせず 相続に関することは早めの行動が大切です。
相続放棄手続きには少し時間がかかることもあるため、3ヶ月なんてあっという間に過ぎ去ります。