相続放棄の兄弟トラブル!一人だけ相続して赤字を背負った自業自得
40代男性 私の母(70代)は5人兄弟の長女です。父親(私の祖父)が亡くなった時、独身だった長男が実家の全財産を相続しました。
その長男が他界した時、他の3人の兄弟は家庭裁判所で正式に相続放棄しましたが、母一人だけが相続放棄せず、築古の家・土地・100万円の預貯金を相続しました。
3人が揃って相続放棄するなんて何か理由がありそうだ…と考えるのが普通ですが、母は深く考えずにすんなりと相続を決めました。それが間違いの元でした。
母は昔から楽観的な性格で「もらえるモノは何でも全部もらっておこう!」と考えるタイプです。古い家と土地と、わずかばかりの100万円の預貯金を自分一人が手に入れることを「ラッキー♪」と軽いノリで相続しました。
母は「マイナスの相続がある」ことを全く知らず、もし要らなくなったら「返せばイイや!」と思っていたそうです。母が相続放棄をしなかった理由は 単に「強欲」と「無知」 恥ずかしながらこの2つです。
そして私がこの話を聞いたのは、相続放棄の期限が過ぎた3か月目のことでした。
売れない土地+空き家の解体費用200万円→100万円のマイナス相続
母の相続はマイナスにしかならない要らないモノまで付いてきて、たいへんな負担費用が発生しました。
土地と建物の評価額はゼロ。
建物はボロボロで今にも崩れる気配がするため解体して更地にしないと台風でも来たら危険な状態。
周辺に民家は数少ないものの、特定空き家に指定されるレベルと思われるほど老朽化が進んだ家屋。
そんな現実に直面し、まず空き家の解体費用が200万円発生しました。
相続した預貯金100万円だけを見たら確かにプラスの相続ですが、解体費用を差し引けば単純計算でマイナス100万円。
山奥の限界集落の土地など簡単に売れるはずがなく、所有すれば毎年固定資産税を払い続けるしかない。
建物を解体して住宅がなくなり、更地になった土地は、固定資産税が3~4倍に跳ね上がる。
これらをずーっと払い続けていくとなると年々マイナスがかさんでいくわけですが、相続してしまった以上は延々とマイナスを引き継がなければいけません。
重い経済的負担はもちろんですが、それまで仲が良かった兄妹との関係にも亀裂が入りました。
相続放棄だけでは済まない負動産管理のむずかしさ
「こんな家も土地も要らない!」と相続放棄をしようと思っても、時すでに遅し。相続放棄の熟慮期間(3か月)が過ぎてしまった段階で、法定相続人となることが確定します。
仮に法定相続人全員が相続放棄していたとしても、それだけで済むはずがなく、民法940条では
…とされているので、その後の事務処理も山積しています。結局どっちに転んでも不動産手続きが大変な大仕事であることに違いはありません。
しかし、土地と家屋を母が一人で相続したために、相続放棄した3人の兄弟には一切の難が降りかかることなく済んだわけです。
負動産と知っていて相続放棄した?兄弟は他人の始まり
母の兄弟3人は負動産と相続の難しさを知っていたから、家庭裁判所で正式に相続放棄の手続きをしたのだと思います。
面倒な処理を長女である母が一手に引き受けなければならなくなることを、彼らがどこまで理解していたのかはわかりませんが、私が叔父や叔母に対して思ったことは
この結果を見るかぎり、これは「仕打ち」と呼ばれても仕方がないでしょう。
後始末を長女一人に押し付けて、自分たちは難を逃れて涼しい顔です。そしてこのマイナスは、将来私が相続するのです。
母の自業自得もあるので 親族を一方的に責めるわけにもいきませんが、
…と思わざるを得ません。
それまでどんなに仲良くしていても 家族であろうが親族であろうが、お金が絡むとギクシャクするものです。
普段から終活やお金について家族や親戚で話し合いをしたり、自分でも少し勉強しておかないと痛い目に遭う…をリアルに実感した出来事でした。