オカメインコの飼い主さんの寄稿です
我が家にはいっしょに暮らし始めて4年目になるオカメインコ(オス)がいますが、お迎えからずっと自分たちで爪切りをしてきました。
それは小鳥専門病院が頻回に通える距離になかったことと、うちのインコは爪切りを嫌がるものの 人の手には慣れているため、夫と協力すればどうにかこなせていたからです。
最初はインターネットで鳥の保定や爪切りの方法を調べ、おっかなびっくり行っていましたが、回数を重ねるうちに慣れや惰性から緊張感や恐怖心が薄れていったような気がします。
そうして3年目が経過したころ、はじめて爪切りを失敗してしまったのです。
「爪切りにはもう慣れている」という思い込みと慢心のせいでした。
インコの爪の出血と「切りすぎた」から学んだ爪切りの本質と十戒の話
ある土曜日の朝、オカメインコの機嫌がいいタイミングを見計らい、いつものように夫と協力しながら爪切りを始めました。
インコにストレスを与えたくなかったため、切る回数を少なくしたくて、爪を切るときはできるだけ短く切るようにしていました。
オカメインコの爪を切りすぎた!血が止まらない!どうしよう…
我が家のオカメインコはノーマルタイプでもともと爪が黒いため血管が透けて見えず、その日も「いつもの感覚で」切ったつもりでした。ところが…
1本の爪を切ったその瞬間、爪の先からぷくりと、小さい赤い血のつぶがあふれてきました。
「切りすぎた!出血した!」と思ったものの、ごく少量だったためすぐに止まるだろうと安易に考え、患部をティッシュで押さえましたが、血のつぶはみるみる大きくなり、次から次へとあふれてきます。
からだの小さなオカメインコにとっては、数滴の出血でも命の危機に瀕するほどの大事です。
そのとき私の脳裏にどこかで見かけた「片栗粉で押さえて止血する」方法が浮かびました。
そこで急いで台所から片栗粉をもってきて、震える手でどうにかインコの爪の先につけました。
しかしインコは嫌がり、オカメパニックに陥って 部屋中を逃げ回ります。
私も焦って追いかけていき何度も止血を試みますが、いくら片栗粉をつけても押さえても血が止まりませんでした。
それらでは爪を止血するには効果が低いと思われます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 4, 2022
片栗粉はあくまで緊急に代用するものです。片栗粉でもよいのではなく、止血剤を用意しておきましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 4, 2022
あわてて近くの動物病院に駆け込み 事なきを得たが…
急いで夫が 車で5分の距離にある動物病院(小鳥専門ではない)に電話をかけたところ、土曜日でしたが幸い午前診が開いている時間だったため、すぐに受診できることになりました。
オカメインコは興奮はしているものの、息が荒くなっていたりする様子は見られなかったため、自分たちでの止血は一旦あきらめて インコをバードキャリーに入れて車に乗り込みました。
そこでふと我にかえると、私の手も服も インコの羽根も、あちこちが血で汚れていました。
動物病院に着くと、すぐに処置室に呼ばれました。
先生は落ち着いた様子で、速やかに黄色い止血剤の粉をオカメインコの爪にグッと塗り込んでくれ、看護士さんは優しく声をかけながら インコの頭をなでてくれました。
その処置のおかげですぐに出血は止まり、ぐったりしている様子も見られなかったことから、それ以上の診察や検査を受けることもなく そのまま帰宅できました。
小鳥専門病院でないにもかかわらず鳥の急患を受け入れ、丁寧に診察・処置をしてくださったスタッフの方々には本当に頭が下がる思いでした。
幸い止血した患部はその後も再出血することはなく、大事には至らずに済んだのでした。
インコの爪切りは必要なのか?爪の役割は?爪について学んで気づいた爪切りの本質
この一件で、鳥の爪を切ることがどれだけ怖い行為であるかを思い知らされました。
おろかにも「インコの爪切りには慣れている」と思い込み、自分たちの技術を過信していたために、愛鳥を危険な目に遭わせ、怖い思いをさせてしまったことを猛省しつつ、考えました。
インコの爪切りの必要性に疑問を感じたことをきっかけに、私はオカメインコをはじめとする鳥の爪について勉強しなおしました(あくまで複数の書籍を用いて独自に調べた内容です)
インコの爪について知るにつけ、実は爪切りの本質は想像以上に深い(単に爪の長さの調整をするだけの問題ではすまない)事実を知ることになり、いろいろと考えさせられたのです。
インコの爪が伸びすぎてしまう原因とは?
爪が摩耗しにくい環境によるもの
とまり木のサイズが足に合っていない。握力が弱い。柔らかい場所にとまっているなどの要因で、爪が摩耗しにくく、伸びすぎてしまう。
若くて健康なインコでも足が不自由になり、止まり木に止まれなくなるバンブルフット(趾瘤症)とは?
病気や障害によるもの
肝不全や栄養不良による爪の形成異常や、外傷や疥癬による障害に伴い、爪が伸びすぎることがある。
インコは爪で鼻くそ(汚れ)をほじっている…爪には適切な長さとほどよい尖りが必要
爪は鼻腔(鼻の穴)の掃除をするためのツールである
鳥は鼻腔の汚れを爪で掻き出して掃除するが、爪が伸びすぎていたり、爪がとがっていなかったりすると掃除ができずに鼻腔がつまり、鼻呼吸ができなくなったり、感染症をおこしやすくなったりする。
そのため、爪は常に適切な長さで、ある程度はとがらせておく必要がある
鳥は鼻孔を爪で掃除しています。爪の伸び過ぎや爪質が変化して尖らなくなったり、足の障害で掃除が出来なくなると鼻孔が詰まります。そのままにしていると感染を起こしやすく、鼻呼吸が出来なくなるので、人が掃除をする必要があります。病院では洗浄液を点鼻後、吸引して掃除しています。 pic.twitter.com/vOPiBmhCLu
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 6, 2020
インコの爪切りが必要な理由は怪我の予防と回避…爪の先端には適度な丸みが必要
伸びた爪が引っかかり、けがをする危険性がある
放鳥時に人の服やカーテンなどに爪が引っかかり、けがにつながることが多いので、爪の先端は丸めておく必要がある。
つまり、インコの爪に求められる理想的な状態は
…ということです。
野鳥は自然界で生活するうちに爪が研がれたり削られたりして自然に整えられることが考えられますが、飼い鳥ではそうはいきません。
…ということが「爪切り」ひとつからもよく分かりました。
しかし、その爪切りのやり方を間違えてけがをさせてしまっては本末転倒です。
ならば、正しく安全に爪切りができるようやり方を見直そう!…と考えました。
インコの安全な爪切り実践のため 万一への備えと爪切りの方法・環境の見直し10か条
鳥の爪切りのやり方は、インターネット上で文章や写真、動画など様々なツールで紹介されています。
それらで知識を得て正しくできている「つもり」になっていた私たちが、オカメインコ飼育3年目で爪切りに失敗し、愛鳥を怖い目に遭わせてしまった経験から、一般的な正しい爪切り方法に加えて「我が家とうちの子に合った方法」を考慮し、見直したポイントを紹介します。
オカメインコの爪を切るタイミングと環境に関する3か条
爪切りには細心の注意を払っていますが、もしもの出血やけがに備えて、以下のことを必ず守るようにしています。
できるだけオカメインコの機嫌がいいときを見計らって行う
止血剤の粉末(小鳥専門病院で少量を購入した)をそばに準備しておく
我が家の爪切り方法の工夫7か条
保定の際は両手を使い、オカメインコの体をミニタオルでやさしく包む
爪切りの道具をオカメインコに見せないよう配慮する(見ると警戒し逃げようとするため)
優しく声をかけ、頭をなでながら、爪切りの恐怖感を和らげるよう努める
爪切りは小鳥用の爪切りと人間用の小さめの爪切りと複数用意。その時々のオカメインコの体勢や足趾の向きに応じて切りやすいものを選び、使い分ける
オカメインコが暴れて爪切りが安全にできない場合は無理に切らず、爪の先端にやすりをかけて整えるだけにしておく
爪切りが終わったらごほうびに大好きなひまわりの種をあげ、気が済むまで一緒に遊び、安心させる
これらのことを意識して行い、今ではより慎重に、安全に爪切りを行っています。
インコの爪切り頻度はセメントパーチやサンドパーチカバーでは下げられない
ここからはyamakiによる追記です
インコの爪を自然に削らせたり研がせる用途のサンドパーチカバーやセメントパーチなど、やすり系の止まり木がたくさん出回っていますが、これらは足裏を傷つける可能性があるので使わない方がいいです。
爪を削る・研ぐ目的の止まり木はインコの足の裏の趾瘤症・擦過傷の原因になる
爪を削る・研ぐ目的の止まり木は、足の裏の擦過傷や趾瘤症(バンブルフット)の原因になりますので避けてください。

やすり系の止まり木の効果は人が考えているほど高くはない…という説もありますから、こういうものの利用は鳥の健康にはハイリスクです。
それにこういった「ちょっと痛そうな」用品の使用は、飼い主にとっては好都合ですが、インコたちにとっては難行苦行でしかないのかもしれませんよ。
そもそも飼い鳥の場合は運動量が少ないので止まり木による摩耗はそれほどでもない可能性もありますし、研磨効果がそれほど高くないにもかかわらず 足裏を傷つけたり、タコや褥瘡ができたりしては、若いうちから足が不自由なインコになってしまう可能性があります。
脚の傷口から感染して敗血症でも起こしたら命の危機…それこそ爪切りよりも深刻な事態を招きます。
なのでインコの止まり木は、できれば天然木の脚にやさしいものを使うことをおすすめします。
インコの足にやさしい自然木でバンブルフット(趾瘤症)を予防・改善するおすすめの止まり木5選
備長炭パーチの使い過ぎにも注意
備長炭パーチは硬いのと齧って食べているとミネラルの吸収を阻害するので常用はお勧めしません。時折使うと爪の摩耗に役立つこともあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 13, 2021
備長炭の止まり木は硬いので、注意して使って貰っています。体重が正常でしたら、足の裏が赤くなってこないか見ながら使うと良いと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 27, 2020
齧ってるだけでも食べてしまうので、やめた方が良いと思います。炭は少量ならデトックス効果がありますが、食べ過ぎるとタンパク質やミネラルを吸着するので、栄養の吸収を阻害します。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 21, 2020
爪切りを楽に行ういちばん簡単な方法
爪切り好きなインコも爪切りが得意な飼い主もほとんどいないでしょう。
誰にとっても爪切りは面倒なだけではなく、できれば避けて通りたいものですが、やっぱりこれは鳥の安全のためにはやらねばならぬこと。
爪切りをできるだけ楽に行ういちばん簡単な方法は、良い道具を使う…つまり鳥も人も短時間かつ楽に爪切りができる道具を選ぶこと。
「弘法筆を選ばず」なんて嘘。弘法だって筆を選びます。道具の良し悪しで勝負が決まります。
小鳥用ツメ切り(インコ・オウム用爪切り) とりっぴーオリジナルがおすすめ!
キンカチョウ、十姉妹、文鳥、セキセイインコ、マメルリハ、オカメインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、サザナミインコ、ウロコインコ、アキクサインコ、ヒインコ、ヨウム…など
爪切りの苦労がウソみたいです。切り方も添付されていた通りにタオルでオカメインコちゃんを包んで私の顔を見えなくした上で脚だけ出して爪切りするだけ。爪を切っている私の顔を確認されずオカメインコの凛ちゃんにも嫌われず、もっと早く購入したら良かったです。お値段の値打ちがあります。まさかこの爪切りに爪を切られたとは本人だけが知らないようです。良かった~私のことも嫌われて居ない様子です。
オカメインコの爪切り用に買いました。狙いを定めやすいので、がっちりと補定しなくても、パチンと簡単に切ることができます。1人できれいに切ることができました。爪が引っかかって歩きにくそうだったオカメインコが、歩きやすそうにしていて、嬉しかったです。
飼って4年のオカメインコ。毎回爪切りに悪戦苦闘してました。動物病院で爪切りの仕方を教えてもらいましたが、なかなかうまくいかず、ダメもとでこちらを購入。上手く切れなければ、人間用に使えばいいや!と思って届くのを待っていました。思ったより早く届いて早速チャレンジ。前よりもスムーズに切れて、うちの鳥も「お?そんなに嫌じゃないぞ」といった感じで終了後のご機嫌取りもいりませんでした。もっと早く買えば、こんなに何年もかわいそうな思いさせなくてすんだのに!感謝しかないです。
今まで普通の人間が使う爪切りで切っていたんですが、あれだと鳥が暴れて、刃の部分に鳥の関節部分が食い込んで、肉の部分を切ってしまったり、爪を切るときに、爪切りの抑える部分で足を詰めてしまったり、なかなかうまく切れなくて、長い間握っているので、鳥さんが瀕死になったりして、鳥さんにとても辛い思いをさせてしまっていたんですが、この爪切りにしてからは、前に比べたら、めっちゃやりやすいので、鳥さんも飼い主もとても助かってます!爪切りを嫌がる鳥さんは多いと思うけど、どうしても家の中で飼う鳥は、爪切りが必要なので、毎回お店でカットを頼んでいたら、めっちゃお金かかっちゃうので、これを最初に買うときは、ちょっと高いかなーって思ったけど、それを思ったら全然安いです!買って大正解ですよー!!
普通の爪切り、ペット用の爪切り、ハサミタイプといろいろ使ってきましたが、常に4羽以上お世話してる子達の爪切りに毎回疲れ果てるほどでした。何せ嫌がるので。噛まれるし逃げられるしで大変な思いをしてたのですが、こちらの商品にしてからパッチンパッチンと、とてもスムーズに!保定される時間も短くなり鳥達のストレスも軽減されました。うちの子は足に障害があって今までのタイプだととても切りにくい指があり、毎回ヒヤヒヤしながらの作業だったのですが、このタイプはとても使いやすかったです。お高いのでとても悩んでたのですが、我が家ではとてもいい買い物でした。
小動物用の爪切りを長年使用しておりましたが、インコの場合、爪の向きや長さが異なるので、ずっと欲しい商品でした。爪の切り方の説明書まで作り、付けて下さったので、とても有り難く、初めて切る際、再度切る際の注意点等も解り、購入して良かったです。
モモイロ、ヨウム、シロハラ、ワキコガネ、計4羽の爪カットをアニマル用爪切りでしてました。いつも悪戦苦闘です。(離島に住んでおり鳥専門一切無し)この爪切りは、細く曲がっている為、瞬時に鳥さんの爪が切れます。鳥さん達もあれっ?感じで終わります。もっと早く、この商品に出逢いたかったです。
引用元:小鳥用ツメ切り(インコ・オウム用爪切り)
止血剤を用意してください!傷口に片栗粉や線香を使うのはご法度!
鳥の爪切りで出血した時に、未だに線香や火で熱した鉄で焼いて血を止めると思っている人がいます。これは絶対にやめましょう。現在爪からの止血は爪用出血剤で行うのが一般的です。鳥の爪切りは出血することが多いので、必ず止血剤を用意してから行うようにしましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 3, 2022
爪用止血剤の作用機序は、血液の凝集と脱水によって止血します。これは爪用なので、怪我の止血には使わないようにしましょう。爪用止血剤は傷に付くと強い痛みを生じ、傷の治りが遅れることがあります。怪我による出血の場合は圧迫によって止血しましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 3, 2022
子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。