墓じまい費用を誰が払う?遺産相続がからんだ改葬トラブル体験談
墓じまい費用は誰が払うもの?
墓じまい費用は、通常は亡くなった人の遺族が負担します。遺族が墓じまいの手続きを行うときにも費用を支払います。
ただし遺族が相続放棄を行った場合、その人はお墓の継承者として考慮されなくなります。つまり財産や債務だけでなく、お墓や他の遺産に関する権利や義務も放棄になります。
お墓の継承者は、通常は亡くなった人の遺言書や法的な文書で決定されます。遺言書がない場合は遺産を相続する人になります。
直系の親族…一般的には、配偶者や子供などの直系親族がお墓の継承者になる
遺言書…遺言でお墓の継承者を指定している場合は、遺言書に従うことになる
法的手続き…遺言書がない場合や相続人が明確でない場合、法的な手続きによってお墓の継承者が決定される。
墓じまい費用が払えない時はどうする?4つの対処法
墓じまい費用は「しまう」条件によりばらつきがありますが、おおむね30~300万円程度だと言われています。
高額な費用が掛かるため、お墓の継承者一人で負担するのは厳しいことが多いです。
そんな時はどうしたらいいのか?4つの方法があります。予算が足りないから…とあきらめる前に、各方面に打診してみましょう。
親族に費用負担の協力を願い出てみる
自治体の補助金制度を利用する
お墓がお寺にあるなら住職に相談してみる
ローンを組む…金融機関によっては「メモリアルローン」がある
故人の遺産を相続してそこから捻出できればいいですが、そうできるとは限りません。お墓の継承者が墓じまい費用を負担するのが一般的ですが、何せ高額な負担なので、一人で追う余裕がない人もいるでしょう。
しかし、墓じまいしないでお墓を放置したことで無縁仏になると、墓埋法に基づいて墓が撤去され、取出した遺骨はゆかりのない多数の遺骨とともに合祀されます。
合祀されると取り出すことも取り戻すこともできません。そうなることが予想される場合は、早めに墓じまいに着手することをおすすめします。
【墓じまい費用260万円】相続放棄で墓守不在!200万円超の自己負担体験談
40代男性 香川県 2023年11月に私が主導で先祖代々の墓じまいをしました。
墓守だった母方の叔父が亡くなって、母方の家に誰もいなくなってしまいました。叔父には県外に住む子どもが2人いますが、2人とも相続放棄をしてしまったので、墓守がいなくなったのです。
そこで親族間で話し合って私がお墓を承継することに決まったので、さらに話し合いを重ねて墓じまいを決め、永代供養墓に改葬することになりました。
改葬にかかる行政手続きはスムーズだったのですが、平日に何度も役所の窓口に行かなければならないことが面倒でした。
墓の撤去費用と永代供養簿への移転が高くついた
墓石の撤去工事の見積りを依頼したところ、業者から以下の説明を受けました。
撤去するお墓が墓地の中の奥まったところにあるので、トラックが近付けません。そのため小さなバックホウで墓石を吊り上げて、吊ったままトラックまで往復して運ぶ必要があります。
また、更地にするための土砂の搬入も小型の機械が必要とのこと。つまり通常の墓じまいよりも費用が高くなるとのお達しです。こればかりはどこに依頼しても同じことですから、致し方ありません。
新しい納骨先は「子どもたちの負担になるような将来に渡るメンテナンスを不要としたい」理由から個別供養の永代供養墓にしたので割と高額になりました。
離檀料20万円は手切れ金?檀家をやめるのは慰謝料を取られた気分
離檀料は、言い方は悪いかもしれませんが、お寺側からしたら手切れ金のような位置付けだと思います。
檀家が減少してしまうことになるので、ある意味仕方がないのかもしれませんが、なんだか慰謝料を取られたような気分です。
支払った離檀料は相場の20万円でしたが、魂抜きで法要をしなければならないし、新しい改葬先でも法要をしなければならない。なんやかんやとお寺に吸い上げられるときにこの20万円の出費は痛いものでした。
親戚に会うセッティングの手間と費用が地味に痛かった
墓じまいに伴って、遠方にいるいとこ家族の都合を確認・最優先にした日程調整を余儀なくされました。
久しぶりに会うので会食もセッティングせねばならず、なんだかんだと予定外の雑費も多くかかりました。これもすべて自腹負担でした。
墓じまい費用を誰が払う?260万円のうち自己負担が200万円強に
墓じまいにかかった費用は合計で260万円強かかりました。
魂抜きの費用=20万円
離檀料=20万円
新しい納骨先でかかる費用=150万円
行政の事務手続き費用=5000円
その他=会食費として10万円
墓じまい総額が高額だったので、県外にいる2人のいとこ(相続放棄した息子2人)に費用を折半してもらいたかったのですが、こちらの思惑通りの負担には応じてもらえませんでした。
しかし2割程度は拠出してもらえたので、相続放棄もしていましたし、そこはそれで了承することにしました。
結局、全体の8割(200万円程度)を私が負担して、先祖代々の墓じまいが終了しました。
【墓じまい費用650万円】相続×争族の墓じまいに500万円超の自己負担体験談
60代男性 2023年4月から7月にかけて、私は墓じまいを行いました。永代供養墓(東京都港区内の寺院墓地)に移転した墓じまいの費用は約 650万円です。
旧墓地でかかった費用
墓石撤去費用…350,000円
魂抜きの費用…50,000円
離檀料…200,000円
新しい納骨先でかかった費用
墓地の永代利用費用…2,200,000円
墓石の購入費用…2,560,000円
入檀料…500,000円
閉眼供養…50,000円
遺骨メンテナンス
遺骨の洗浄・乾燥費用…288,000円
遺骨の運送費用…120,000円
行政の事務手続き費用・その他
受入証明書…0円
埋葬証明書…300円
改葬許可証…0円
交通費…76,000円
宿泊費…86,000円(大人4人)
その他雑費…20,000円
私の場合、墓じまいが完了するまで1年以上かかりましたが、宗派や自宅から近距離であることなど、自分達親族が考える条件に適合した改葬先を見つけられました。
彼岸やお盆だけでなく、思い立った時に墓参りや墓の掃除が出来るので良かったと思っていますが、改葬先が見つかって安心したかの様に父が亡くなったので、改葬だけでなく父の葬儀や遺産相続などの問題が併行して絡んできて大変でした。
墓じまい費用を誰が払う?兄弟から「一切払わない」と言われ500万円強の自己負担
私は男3兄弟ですが、長男で都内の大学を卒業した私以外は、地方の大学を卒業し地方で就職していたので、関係が希薄でした。
改葬に関しても「長男の私がやるのが当たり前」と足並みが揃わず、宮城という遠方であることもあり、予定が経たないままに時間ばかりが過ぎていき、父が存命中に改葬出来なかったのが非常に悔やまれます。
宮城の墓地の撤去には立ち会わなくても良いだろう。
…と言った非協力的だった2人の弟は、父の遺言の内容が気に入らないとして、
兄貴と親父が勝手に決めた墓じまいだろう?墓石の購入費用や墓地の永代使用料を俺たちは払わないよ。
…と言われ、500万円以上の費用は私が自腹で払いました。
予期せぬトラブル浮上!墓じまい代行業者を利用していればもっと安く楽に改葬できたはず
墓地の撤去工事に関しては、寺院側が気配りしてくれたおかげで撤去自体は本家・分家共にスムーズに終わったのですが、予想していないトラブルが浮上しました。
分家に埋葬されていた骨壷に入らないままに埋葬されていた遺骨が出てきたのです。
これには驚かされると共に、どう処理するかでとても悩まされましたが、結局、遺骨を洗浄・乾燥して一つの8寸骨壷にまとめて埋葬することに。
比較的新しい骨壷以外の古い遺骨は業者に運んでもらい洗浄及び乾燥などのメンテナンスをしてもらったので、全ての遺骨が新しい菩提寺にそろったのは墓じまいから3週間以上経ってからでした。
まさかの事態で費用の相場も知らず、大変な墓じまいとなりました。
こんなに大変なことになるなら、プロ(墓じまい代行業者)に一括委任しておくべきだったと思いました。墓じまい・改葬自体はまったく後悔していませんが、1から10まで自分でやるのは、コスパもタイパも非常に悪かったことは否めません。
何もかも自分でやろうとがんばったところに予期せぬ数々のトラブルに見舞われたため、相場よりもだいぶ高額な墓じまいとなってしまいました。
【墓じまい費用110万円】両親の遺産から費用を捻出した改葬体験談
40代女性 2020年10月、私たちは墓じまいを行いました。移転先を樹木葬霊園(京都市内)にした墓じまいの費用は約 110万円でした。
旧墓地でかかった費用
魂抜きを含む元のお寺へのお布施:10万円
お寺への交通費:5000円
墓地管理者への心づけ:5000円
新しい納骨先でかかった費用
樹木葬:90万円
納骨法要:3万円
行政の事務手続き費用・その他
事務手続き:2万円
旅費交通費その他:4万円
夫は弟がいる二人兄弟です。二人ともお墓から遠方に住んでいてお墓の管理が難しいことから墓じまいを検討し始めました。
これからは永代供養が主流だろうと考え、調べていくうちに両親が喜ぶであろう供養をしてもらえることがわかったので、兄弟で話し合って墓じまいを決めました。
その後に親戚に私たちの意向を説明して同意を得られたことから、スムーズに事が運びました。
墓じまいを親族間で決定するまで半年以上の時間を費やして
墓じまいを完了した今、一連の流れの中でいちばん時間がかかったのは墓じまいを選択・決定するまででした。それぞれが時間をかけて検討し、意見を出し合ったので、この段階で半年くらいかかりました。
それ以降の流れは、親戚への説明、それまでお世話になったお寺に相談、墓地管理に連絡を入れるなどです。日程調整も比較的円滑に進みました。
墓じまい当日はお世話になっていたお寺の住職に足を運んでいただき、厳かに改葬を進めました。
お墓を開き、お骨を取り出し、魂抜き、お布施や交通費・お礼をお渡し→お骨をもって新しい納骨先へ移動…です。
新しい納骨先では、納骨と納骨法要をしていただきました。
墓じまい費用の自己負担はゼロだが心の葛藤が想像以上に重かった
墓じまい費用は両親の遺産から出したので問題ありませんでしたから、満足感の高い墓じまいができたと思っているのですが、強いて「大変」だったことを挙げるとすれば、
墓じまいという大きな決断を自分たちだけで決めてもよいのか?
…という葛藤でした。最終的には
…と考えて、墓じまいを決断するに至りました。決めてからは非常にスムーズに事が運んだので、おそらく両親も喜んでくれていたのだと思っています。
墓じまいをやってからはお墓の掃除問題がなくなりました。これが長年の懸案でしたので、とても楽になって良かったです。