墓じまいトラブルに「弁護士に相談か?」の考えが頭をよぎった体験談
遺族の気持ちとお金の問題から絡んでいる「墓じまい」には、以下のようなトラブルが存在します。
パターンはいろいろですが、多かれ少なかれ「お金」が絡んでいることはほぼ共通しています。
相続問題
墓じまいはしばしば相続問題と関連しています。墓地の所有権や管理権が明確でない場合、家族間で争いが生じることがありますが、このような場合、弁護士は相続法や土地法に基づいて適切な解決策を提供します。
墓地管理者とのトラブル
墓地の管理者と遺族や関係者の間で、墓地の維持管理や契約に関するトラブルが生じることがあります。そんな場合は墓地の契約や地方の規制に関する専門知識を持つ弁護士が必要とされます。
墓地の場所や使用権の問題
墓地の場所や使用権に関する問題が生じることもあります。たとえば、墓地が地元の法律や規制に違反しているとか、土地所有者との契約上の問題がある場合です。
墓石や墓地の改造に関する問題
墓石の変更や墓地の改造に関して、遺族や墓地管理者との間でトラブルが生じることがあります。このような問題は契約や建築規制に関する法的問題を含む場合がありますので、弁護士が必要とされる場合が多いです。
ここでは墓じまいとお金が絡んだ墓じまいトラブルで「弁護士に相談したくなった」体験談を紹介していきます。
離檀料は払わない!45万円の請求をゼロにした墓じまい体験談
50代男性 奈良県 これは2020年2月にあった、墓じまい時の離檀料を巡るトラブルの話です。
先祖代々の墓を管理していたのは伯母でしたが、他の親族がいないので、私の母も関わっていました。
2人とも高齢なので墓を管理するのが難しくなってきたこと。私自身も遠方で暮らしていたことからお墓の管理を引き受けるのは難しく、墓じまいをすることになりました。
私はもともとお墓に関して「代々受け継ぐ必要はない」との考えを持っていたので、墓じまいを2人に提案したのも私からでした。
伯母も母もお墓に対して思い入れも執着もなく「海洋散骨のほうがいいわよね」などと言っていたくらいなので、墓じまいはスムーズに決定しました。
「離檀料を払わなければ墓じまいさせない!」45万円の請求に納得がいかない
墓じまいの手続きは伯母ではなく、すべて私が主導していくことになりました。
私はお寺のことを詳しくは知らない身だったのですが、うちの一族は檀家だったらしく、檀家をやめるには「離檀」が必要とのことで、お寺から離檀料を請求されました。
世間一般では離檀料を払うのは普通のことなのかもしれませんが、私はしれっとこう尋ねてみました。
そう一蹴され、私は釈然としない気持ちになりながらも、離檀料の額を訪ねてみると
これまたあやふやな回答しかありません。
伯母からは「お世話になったから払った方がいいよ」と言われました。
確かにお世話になったかもしれませんが、これまでずっと墓の管理や法事その他、必要な都度、お布施や相応の支払いをしてきました。管理費の滞納など一度もありません。
離檀料の規約がなければ 原則として「離檀料を支払う法的義務はない」
墓じまいについてネットで調べてみると、離檀料を絶対に支払う義務はないことを知りました。
墓地使用契約や寺院墓地規則に離檀料の定めがない限り、離檀料について明確な法的根拠はありません。そして、離檀料について契約や規則に記載されていることはほとんどありません。そのため、原則として、離檀料を支払う法的義務はありません。もっとも、この点については指針となる裁判例が未だありません。そのため、裁判になった場合に、相場の金額の離檀料であれば、慣習や条理などを法的根拠として、その支払いを命じられる可能性は否定できません。
引用元:春田法律事務所
それにこれまでずっと相場より高い管理費を払い続けてきたことや、長きにわたり檀家としてお布施をしてきた背景もあります。そこにきて、離檀料を45万円請求されるなんて、納得できるはずがありません。
寺院側は最終的には
…と言ってきたので、契約書の有無を確認した上でこう伝えました。
しかし寺院側は折れることはなく、しばらく平行線のままで、なかなか解決に至りませんでした。
宗派の本山に相談してみたら離檀料問題があっさり解決して…
お寺との膠着状態が続いたため、私は弁護士を依頼するか、その宗派の本山に相談しようと考えました。
まず最初に本山に相談したところ、意外にもあっさりと解決に向けて 事が一気に動き始めたのです。本山では離檀料を定めていたり、その請求を許していない事実がわかりました。
後日、本山から直接あの寺院に指導の連絡が入ったとのことで、離檀料を支払わなくてよいことになりました。
結局私たちは菓子折りを持って本山に挨拶に行く程度で 高額な離檀料請求トラブルが解決しました。
寺院と真っ向からの全面対決を予想していただけに、急転直下の出来事に驚かされた体験でした。
墓じまいで離檀料を高額請求されてショックだった体験談
50代男性 2021年12月に墓じまいしました。埼玉県川越市内の樹木葬霊園に故人の遺骨の一部を納め、残りは手元供養用に小さな骨壺に入れて持ち帰りました。
ちなみに、墓じまいから樹木葬・手元供養の切り替えにかかった費用はトータルで約120万円でした。
樹木葬への移転関係に50万円
手元供養品が10万円
その他の手数料や交通費に10万円
墓じまいの理由は墓守り不在と両親の希望
墓じまいを決めた理由は、私が一人っ子で子供もいないことと、両親の改葬の希望があったからです。
両親は生前「お墓に縛られないで自由に暮らしてほしい」と言ってくれていました。そこで私は両親と共に自然に還ることができる樹木葬と、故人の面影をいつも感じていられる手元供養を選びました。
これまでのお墓の維持や管理に負担を感じていましたから、それらから解放されるのは嬉しいですし、墓じまいして樹木葬と手元供養に変えても、故人との絆は何も変わらないと信じています。
墓じまい当日は、私と親族数名でお寺に行きました。お寺で墓石の魂抜きとお焼香をした後、遺骨を樹木葬霊園と手元供養用の骨壺に分けて入れました。
墓じまい当日は、長くお世話になっていたお墓との別れを惜しむような気持ちと、新しい形の供養を始める決意が入り混じって感慨深かったです。
樹木葬霊園では、両親が大好きだった桜の木の下に遺骨を埋めましたから、桜の花が咲く季節が待ち遠しい気がします。
手元供養用の骨壺は、自宅に手元供養ステージを設けて、毎日お参りしています。
離檀料の高額請求(50万円)が痛かった…
墓じまいを振り返ってみて、困ったことはいくつかありました。
墓じまいの手続きや費用について、詳しい情報がなかなか見つからなかったこと。インターネットで調べれば様々な霊園や業者が出てきますが、どれが信頼できるのか分からなかったので、選ぶまで時間と労力がかかりました。
お寺に墓じまいの相談をしたときに、離檀料を高額に請求されたことが痛かったです(50万円)私はそのお寺に長年お世話になっていたので、少しショックでした。
「これってどうなの?こういうことを相談できるのは弁護士?」と考えているうちに気分が萎えてしまい、言われるままに支払って墓じまいを進めました。
墓じまい後の心境の変化にも少し戸惑いを感じました(今はもう慣れたので問題ありませんが)現在の私は墓じまいをして良かったと思っていますが、墓じまい直後の頃にはお墓がなくなったことに一抹の寂しさや罪悪感を感じることがありました
墓じまいは私にとっての大きな決断でしたが、両親の意思でもあったので、最終的にそれを尊重できたのは良かったと思っています。
時々故人に会いたくなることがありますが、今は手元供養をしているので、手元供養ステージの遺影や骨壺に話しかけて、毎日お参りできるのが 心の安寧につながっています。
墓じまいしてぼったくり寺と縁切りしたらお墓の費用問題から解放された!
50代女性の寄稿 父が亡くなり、母も高齢となり、子どもの私と妹の二人は遠方に嫁ぎ、墓守りや跡継ぎがいないことから墓じまいを決めました。墓じまいの費用はトータルで120万円ほどかかりました。
お墓の掃除がきつい
法要に多額の費用がかかりきつい
お寺とお墓の費用が値上げされた
経済的負担で親族で揉めるようになった
長女の私一人に負担がかかっていた
住職が代替わりしたら今まで不要だった墓の管理料まで請求されるようになり…
年を追うごとに経済的負担が大きくなってきたことが、墓じまいを決断した最大の理由でした。
菩提寺の住職が代替わりしたところで、何かとお金が必要な話ばかりしてくるようになったのです。今まで不要だった墓の管理料をはじめとして、盆と年末の水塔婆などの費用の値上げがありました。
それらの経済的な負担が原因で、母とわたしたち姉妹がもめることも増えました。
また、墓じまいに高額な離檀料を要求されたことや(75万円) 墓石を撤去するのにお寺と提携している石材店しか選べないことになっていて、これがまた通常より高額な工事費を提示してきました。
両方とも高額なので 思い切って弁護士に相談しようとも考えたのですが、知り合いの石材店に相談したら、できるだけ費用を安くしてもらうように計らってもらえたので、悔しかったのですが事を荒立てることはしませんでした。
妹の住まいが私よりも遠方なので、長女である私ひとりにすべての負担がかかっていたことも、墓じまいのトラブルのひとつとなっていました。
墓じまいから樹木葬へ!夫と別のお墓に入りたい私にも購入できる価格が魅力
墓じまいを決めた私たちは、その終着点に樹木葬を選びました。
契約した樹木葬の霊園は永代供養してもらえること、両親の墓地の隣に私の墓地も購入できるくらい費用が経済的だったことから決めました。
この樹木葬霊園は見晴らしのいい場所にあります。母を連れて行ったらとても気に入ってもらえたことや、祖父母の遺骨を同じ墓地の共同納骨堂に納められることも決め手となりました。
主人とは別のお墓に入ることを決めている私は、この樹木葬霊園の両親の隣で永眠することに決めました。
四季を感じてゆっくり穏やかに眠れる雰囲気が、とても心休まります。独身の娘は、結婚はせずに私と同じ墓に入りたい…と言ってるくらい気に入ったようです。
緑が多くて 高台から流れていく風が心地よく、敷地が広いですが、いつ訪れても管理が行き届いているので、気持ちよくお参りができます。