インコに与えてもいい野菜についてネット上で検索すると色々な意見が出てきます。
中でも賛否両論別れているのがアブラナ科の野菜で、見解が真っ二つなので誰もが迷うところ。
インコにキャベツや小松菜はダメ?アブラナ科野菜で甲状腺を患う?
アブラナ科の野菜には小松菜やチンゲンサイなどのおなじみの野菜が多いです。
アブラナ科の野菜にはβカロチンなどの数種類のカロチノイド、ビタミンC、E、K、葉酸やミネラル類、食物繊維など豊富な栄養素が含まれています。
これらをインコに与えるメリットは 豊富な栄養素を補うことができる 安価で一年中買いやすい野菜である インコも好んで食べてくれることが多い…といった点が挙げられます。
アブラナ科の野菜を食べたら大変なことになる毒物が含まれているわけではありませんが、インコに提供する時に問題になるのがアブラナ科の野菜に多く含まれている「ゴイトロゲン」
ゴイトロゲンは過剰摂取すると甲状腺腫(首のあたりの甲状腺が腫れ上がる病気)を引き起こします。
- アブラナ科の植物…キャベツ 芽キャベツ ブロッコリー、小松菜、チンゲンサイ、カブ、白菜、大根など
- マメ科の植物…大豆 豆苗など
- キャッサバ(タピオカの原料)

ゴイトロゲンの過剰摂取で起こるインコの甲状腺腫の症状は?
アブラナ科の野菜の過剰摂取によって引き起こされる甲状腺腫は、特にセキセイインコに多いと言われる病気です。
鳥の首から胸のあたりの気管を挟むようにしてある甲状腺が腫れ上がり、呼吸困難や肥満などの症状を引き起こします。
呼吸が荒い、咳をしている
呼吸困難によって苦しそうに上を向いて呼吸している
開口呼吸をしている
ヒューヒュー、キューキューといった呼吸音がする
肥満
羽毛形成不全(羽毛が正常に成長・発達しない)
換羽不全
甲状腺腫はゴイトロゲンを多く含むアブラナ科の野菜の食べ過ぎのほか、ヨウ素の不足や過剰摂取によっても引き起こされます。
ゴイトロゲンを摂取しても「即 病気になる」はあり得ない
確かにゴイトロゲンはヨウ素の吸収を阻害する物質ですが、それを食べたからといって即 病気になるものではありません。
特に健康体のインコなら適度な量を時々摂取することは 栄養面からいって 総合的にはプラス要素です。
与えてはいけない野菜が本や獣医師によって異なるのは知識と経験による私見だからです。シュウ酸がカルシウム、ゴイトロゲンがヨードの吸収を阻害するのは間違いありません。しかしこれらを少量含む野菜を副食として食べた量が摂取した全てのカルシウムやヨードの吸収を阻害することはありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
ただしセキセイインコのように甲状腺腫にかかりやすい鳥にとっては呼吸困難や突然死を起こすこともある油断できない病気ですから アブラナ科の野菜は注意を払うべき食物であることは間違いありません。
ブロッコリーに関しては、世界的に賛否両論です。ブロッコリーにはゴイトロゲンが含まれており、セキセイインコにおける集団発生例が報告されています。そのため与えない方が良いと言われています。食べ過ぎずヨードを与えていれば甲状腺腫の発生は低いと思いますが、種差と個体差があると思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 18, 2020
インコにキャベツOK!ファイトケミカルの抗がん作用は見逃せない
キャベツは鳥に与えてはいけない定番野菜!と思っていた人は多いと思います。
私も以前はそう思っていて、それを昭和から平成始めころの飼い鳥の常識…みたいに捉えてましたが
特に医学や健康情報は日進月歩…今日の常識を新しい情報にアップデートしていく必要があります。
「毒」というのは即効性が見られるものを指すのであって、そういう意味からするとキャベツには「毒」はないのですが、日本だけでなく海外でも「キャベツはNO!」と言い切っているサイトが少なくないです。
中には「キャベツはあなたのオカメインコの健康をゆっくりと蝕んでいく」…なんて怖い記述も見かけました。
まあ、頻繁にまたは大量に与えていれば それはあながち間違いではないのですが、キャベツをたま~に少量与える分には全く問題ないと、私は思っています。
1回のキャベツの給餌量を少量にするのは当然ですが、自分の中の目安としては、週1~2日までと決めています。
青菜が推奨される理由はβカロチンが摂取できるからです。キャベツにはβカロチンが少ないですが、強い抗酸化作用のあるイソチオシアネートが含まれており抗がん作用があります。またビタミンU(キャベジン)も含まれており胃粘膜修復作用もあります。この点からキャベツも鳥にオススメできる野菜です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 31, 2021
生の方がよいですよ。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
食感がいいせいか、生のキャベツはうちのオカメインコには人気ですし「抗がん作用がある」…なんて言われると、やっぱり見逃せないですよね。
イソチオシアネートは第七の栄養素…いわゆるファイトケミカルのひとつです。
ファイトケミカル(フィトケミカル):第7の栄養素・植物性化学物質(色や香り)
インコは胃が悪くする子が多いですが、キャベツは胃にもよいですから、色々な食材を少しずつ与えることは健康にプラスに働くのではないかと思います。
イソチオシアネートは加熱で壊れるので、キャベツは生食がベストだそうです。
イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜に含まれる抗酸化作用のある辛み成分。注目のフィトケミカルです。イソチオシアネートの抗酸化作用は、免疫力をアップさせ、がん予防の効果があります。わさびや辛み大根などの、ツンとした辛みはイソチオシアネートによるもの。わさびも大根もアブラナ科ですが、ほかに、ブロッコリーやキャベツ、カリフラワー、白菜、水菜、小松菜、かぶなど、ツンとしない野菜もアブラナ科で、イソチオシアネートを含みます。
引用元:レタスクラブ
シュウ酸が多い野菜は、ほうれん草やパセリです。ソース元によって異なりますがキャベツのシュウ酸の量はほうれん草の約10分の1、パセリの17分の1です。それでもキャベツが心配な方は、水に5〜15分ほどさらすとシュウ酸が減ります。栄養バランスが取れた食事をしていれば、食べても心配ありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
いわゆる成分に対する過剰反応というやつです。アメリカでも同じようなことが起こっていて、少量しか含まれない物に過剰反応する必要はないと言われています。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
甲状腺腫が心配ならペレットに切り替えるかサプリメントでヨウ素を補えば良し
甲状腺腫はヨウ素の欠乏が原因のひとつなので、持病がないシード食メインのインコであれば、ヨウ素のサプリメントを与えるのも良いです。
ただし、ヨウ素の摂り過ぎによっても甲状腺腫を発症しますので、摂取量にも注意が必要です。
ペレット食やネクトンSなどのサプリメントを与えている場合は、すでにヨウ素が含まれているので、別途与える必要はありません。
鳥がシュウ酸で尿路結石になる報告はないです。鳥の尿路結石を私は見たことがないので、極めて稀な病気と考えられます。ゴイトロゲンに関してもヨードを与えていれば心配ありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
これらの食物を与えてもヨードを与えていれば甲状腺腫になる可能性は低いと考えられます。私はヨードを与えていて甲状腺腫になった症例の経験はないです。ヨードはペレットには含まれています。シードの場合はネクトンSを与えていれば、ヨードのみ与える必要はありません。https://t.co/aaq4Ku6uBC
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 29, 2020
餌がシード食メインの鳥であれば、アブラナ科の野菜よりも先に「ビタミン・ミネラルの慢性欠乏」を気にするべきです。
鳥用のマルチビタミン剤にはヨードが含まれますので、甲状腺腫の予防になります。
小鳥が副食として食べる野菜の量は微々たるものですし、全てのヨードの吸収が阻害されることはありませんので、すでに甲状腺や呼吸器の持病があって獣医さんに注意されていなければ、アブラナ科の野菜をそれほど問題視する必要はありません。
ただし、特にセキセイインコの場合は、体調に異変を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
甲状腺腫が知らぬ間に進行すると突然死することがあります。
呼吸に異常を感じることがあったなら、すみやかに専門医に相談することをおすすめします。