ゴミ屋敷になる人の特徴5つ!精神疾患・認知症・セルフネグレクト
家をゴミ屋敷にしてしまう住人の原因には、心理的要因、精神疾患、病気などいくつかあります。
【ゴミ屋敷化の原因】脳の損傷・病気(前頭前野)
ゴミ屋敷がテレビで取り上げられたり、ワイドショーネタにされているのをよく見かける通り、全国的にもゴミ屋敷は多いのだと思います。
家の中だけでなく、庭やその周辺一帯を歩けないほど大量のゴミ…いや 本人曰く「資源」という名のガラクタでいっぱいにしてしまう迷惑なゴミ屋敷住人。
近隣住民からクレームが出るようでは「困った人たち」と呼ばれても仕方がないです。
以前読んだ本 の中に、ゴミ屋敷の主に関する研究報告が載っていました。
2003年のアメリカ神経学会で発表された論文によると、異常な収集行為をする患者には、前頭前野に病変があったということです。
脳損傷が明らかな63人の患者を追跡調査したところ、その中の9人がゴミ屋敷の主だったということ、そしてその全員に前頭前野に病変があったそうです。
ということは、ゴミ屋敷化は単なる趣味や性格、心理的な問題だけではなく、脳の病気である可能性が含まれるわけです。
ちなみに異常収集家ではない残りの54人は、左右の大脳全体に病変が散らばっていたそうなので、病変が集中することがゴミ屋敷化の引き金になるのではないか?と。
医療機関で精密検査をしなければわからないことなので個人レベルの原因を究明するのは難しいですが、ゴミ屋敷になる原因のひとつに脳の病気の可能性があることは確かなようです。
【ゴミ屋敷化の原因】認知症の発症
30代女性 私が某アパートに引っ越した時のこと。当初はわからなかったのですが、部屋の窓を開けると異臭が漂ってくることに気づきました。臭いの元は隣接する一軒家です。
生臭い悪臭がして「嫌だな」と思っていたら、数日後に同じアパートに住むAさんから「隣のゴミ屋敷のことで」と話しかけられました。
Aさんは隣家の庭にゴミが溜まっているのに以前から気づいており、すぐに住人のおばあさんに注意しに行ったそうです。
認知症の診断が下りたおばあさんは娘家族に同居を提案されましたが、大喧嘩になって縁を切られたというのです。
Aさんを含めたアパートの住人4人がこの案に賛同しているとのことだったので、私もしぶしぶAさんの話に乗ることにしたのです。
Aさんは、まずおばあさんに「清掃業者を入れたい」と伝えて了承を得ました。また、Aさんは顔が広い人だったようで、本当におばあさんの娘さん家族を探して「ゴミ屋敷が片付いたらおばあさんを引き取ってもらう」話をつけてくれました。
私達が依頼したゴミ屋敷清掃業者はゴミ屋敷バスター七福神で、費用は10万円強。Aさんは「自分が言い出しっぺだから残りは私が払います」と言ってくれたので、一人1万2000円の負担となりました。
作業員がてきぱきと立ち回り、ゴミ屋敷が4時間くらいで空っぽになっていく様子は、2階の部屋から眺めていても圧巻でした。
その後、おばあさんは娘さん家族と和解して今後はそちらでお世話になるとのことで、住んでいた家を取り壊すことになりました。
おばあさんは猫を3匹(非去勢)飼っていたので、あのままゴミ屋敷を放置していたら猫が増えて猫屋敷になり、更に臭いが強烈になっていたかもしれません。
もしゴミの山から火が出たりしたら、隣に住んでいる私たちも被害を免れなかったでしょうし、それを考えると痛い出費ではありましたが、一応納得できました。
【ゴミ屋敷化の原因】セルフネグレクト(ひきこもり)
30代男性 私はずっと非正規雇用で働いていましたが、派遣切りの憂き目に遭いました。
もう少し給料が上がれば継続したいという期待は見事に裏切られ、3年目の雇用条件が契約一年目とまったく同じ。これにはさすがに納得できず「少し考えてから決めたい」と会社に伝えたところ、一週間もしないうちに「継続雇用はなくなった」と一方的に言い渡されたのです。後から20代の若者が採用されたと聞きました。
このような扱いは人生初でショックを受け、失業保険の残りを受給しつつ僅かな貯金を頼りに汚部屋の引きこもり人生が始まったのです。
食品以外はネット購入していたせいで、ワンルームはあっという間にダンボールや梱包資材ゴミで占拠されました。その時の自分はその惨状を汚いとか不衛生とは思っておらず、ゴミに囲まれることを「寂しさが和らぐな」とすら思っていたのです。
引きこもりも3ヶ月を過ぎると、自信喪失からの無気力状態へと陥って行きました。たまに外出などしても「自分が無職で汚部屋の住人だとバレているのではないか!?」と意味もなくハラハラしたものです。
そんな30代後半無職のオジサンにも心配してくれる学生時代からの友人が一人だけいました。私の引きこもり汚部屋暮らしはおよそ一年で終了しましたが、そのきっかけを作ってくれたのが彼でした。
ある時期から彼は週に3度も遊びに来ては、帰り際に私の部屋のゴミを5つずつ持ち帰るという気持ち悪い行動を二ヶ月にも渡って続けたのです。「あとで自分で捨てるからやめてくれよ」と言っても聞き入れません。
それは玄関先から始まりました。彼は「1、2、3、4、5」と声に出して持ち帰るゴミを選定します。そして一旦自分の車に積みこみ、ゴミの日のたびに捨ててくれました。
そんなある日、その様子をぼーっと眺めていた私自身が、彼から5個目のゴミに選ばれたのです。
ぐさり!と痛いところを突かれた私は、ついに汚部屋に堆積しまくったゴミを渋々自分でまとめ始めました。
あのときの胸に刺さった一言はいまだに忘れられませんが、彼のおかげで私はセルフネグレクトからも汚部屋からも卒業できたのです。彼には今でも感謝しかありません。
【ゴミ屋敷化の原因】セルフネグレクト(孤立)
30代女性 74歳の祖母は社交的で家に人を呼ぶのが好きでしたが、祖父が亡くなったことをきっかけに家の中に人を入れたがらなくなりました。自然と正月に親戚で集まることもなくなってしまい、電話で話すことはできますが「会おう」と言うと嫌がります。
そんなある日、旅行のお土産を渡すため、私は母と一緒に祖母の家に向かいました。ところが祖母は私たちが玄関に入ることも許そうとしません。様子がおかしいと思い母が無理やり中に入っていくと、家の中がゴミ屋敷になっていて驚きました。
ゴミ屋敷を人に見られたくなくて引きこもっていたのか、数ヶ月も引きこもっていたからゴミ屋敷になってしまったのかわかりませんが、とんでもない状況にな陥っていたのです。
祖母は一人暮らししていたわけではなく、叔父夫婦と同居していたのですが、食事も完全に別々でした。リビングに出てくることはほとんどなく、基本的に自分の部屋に引きこもりっぱなし。
携帯電話もパソコンも持っていないため、娯楽も情報を得るのも全てテレビから。ひたすら毎日テレビを見て、家族が仕事でいない間に買い物に出かけてパンなどを買ってまた部屋に引きこもり、部屋の中で買ってきたものを食べたり寝たりの繰り返しで、人と会話することもなく毎日を過ごしていました。
祖父が亡くなってからは家族のコミュニケーション自体がなくなっていたようで、祖母が誰とも会わず話さない日々が当たり前になっていたようです。
とにかくまずは部屋をなんとかしようと私と母は何度も祖母の家に通い、拒否されながらも片付けをしていきました。
頑なに拒絶して攻撃的な祖母の姿は別人のようで恐ろしく感じましたが、少しずつ部屋が片付いていくにつれて口調も穏やかになり、部屋がスッキリすると、祖母もきちんと綺麗にしていた頃を思い出したかのように嬉しそうな表情へと変わりました。
そのあと私たちは叔父夫婦に「朝昼晩のうち1日1食でもいいから祖母と一緒に食事をする時間を作って」とお願いしました。祖母にも部屋のベッドの上などで食事をしないように伝え、家族がいない時間帯でも必ずリビングに出てきてしっかり席に着いて食事をするように話しました。
今では叔父の息子夫婦も一緒に暮らし3世帯で住むようになったため、祖母が1人になる時間も減り、ずっと部屋に引きこもることはなくなりました。
【ゴミ屋敷化の原因】精神疾患(抑うつと適応障害)
40代女性 部屋が散らかっているのは「仕事が忙しいからだ」と思い、自分の精神的な異変に最初は気がつかなったのです。そんな中、営業職のストレスがつらく眠れない、疲れが取れない日々が続き、心療内科を受診したところ抑うつ状態、診断は適応障害となりました。
部屋の中はぐちゃぐちゃのゴミ屋敷。台所の洗い物が山のように溜まり、子ども二人を抱えるシングルマザーとして、ふがいなく情けない気持ちばかりがつのりましたが、まずは体と心を休ませて、傷病手当金をいただきながら治療に入りました。
2か月目までは服薬していてもほとんど起きていられず、ただただ情けない気持ちで横になる日々が続きました。薬は抑うつ状態を改善するものと、寝る前に飲む睡眠導入剤と、頓服薬で抑肝散という漢方薬が出ていました。
子どもたちが小学校と保育園へ行けるように朝と夜の食事だけは用意するため、這うような状態でやっとのこと買い物へ行き、なんとか用意していましたが、スーパーのお惣菜やレトルト食品にかなり頼っていました。
姉が私の現状を心配して「手伝いに行くよ」と言ってくれたものの、このゴミ屋敷の惨状を誰にも知られたくなくて、家に来ることをひたすら拒み続けました。
3ヶ月が過ぎた頃から心理カウンセリングが始まりました。心療内科の医師から月に2回1時間ほどのカウンセリングを受けながら、ストレスの原因を突き詰めていきました。
私は多忙な仕事内容や上司からのプレッシャーから適応障害を発症したと思い込んでいたのです。しかしカウンセリングの中で浮かび上がってきた根本原因は、まったく別モノでした。
元夫からのモラルハラスメントと威圧感への辛抱、強い者に合わせ過ぎてしまう習慣。カウンセリングで誘導される中で、自分では気が付かなかった心情が次々に浮かび上がってきて驚きました。自分の中で元夫のストレスと上司のストレスがごちゃ混ぜになって同一視され、負荷が倍増していることに気づいたのです。
気づかないうちに頑張り過ぎていたこと、もっと自分を認めて褒めてあげてもいいんだ!とようやく気づいてからは、仕事を休む罪悪感からも開放されて症状が良くなっていきました。
少しずつですが朝からきちんと起きて、子ども達にも向き合う時間をとれるようになりました。家事を出来るくらいに回復してきたので、溜まったゴミをマンションの集積所に何回も往復して出しました。干しっぱなしの服を畳んだり、缶や瓶を分別して捨てること、洗い物を少しずつ片付けられるようになってきました。
通院とカウンセリングの中で主治医から言われたことは
この言葉に納得し「そうか。またあのつらい職場に戻らなくっても良いんだ」と感じてからは、ますます気持ちが楽になりました。
半年後には、子ども達とお家の中でゆっくりしながら話を聞いたり、ボードゲームで遊んだりできるようになりました。育児を重荷に感じていた私ですが、この時は子ども達の素直な可愛らしさに救われる思いでした。
一年経つ頃、不要な服や仕事関係の不要品をゴミにどんどん出すことができるようになり、スッキリして心の汚れが落ちるような気持ちになりました。
その時点でやっと姉に来てもらうことができるようになりました。ゴミ屋敷だった家がすっきりと片付いて、まだ通院は続けていますが、とても心が軽くなりました。