【和歌山毒物カレー事件】林眞須美死刑囚の裁判と再審請求の行方

 
林眞須美 死刑囚 和歌山毒物カレー事件

和歌山毒物カレー事件

  

1998年7月和歌山毒物カレー事件発見
10月林眞須美を保険金詐欺容疑で逮捕
12月林眞須美を殺人・殺人未遂容疑で逮捕
1999年5月一審・和歌山地裁・初公判(カレー事件を全面否認)
2002年12月和歌山地裁が林眞須美被告に死刑判決を言い渡す
2004年4月控訴審・大阪高裁・初公判
2005年6月大阪高裁が控訴棄却
2009年4月最高裁が原審の死刑判決を支持
5月林真須美被告に死刑確定
7月林眞須美死刑囚が再審請求申し立て
2017年3月和歌山地裁が林眞須美死刑囚の再審請求を棄却
 
和歌山毒カレー事件 林眞須美
【和歌山毒物カレー事件】via:事件現場(大島てる)

 
 
1998年(平成10年)7月25日夕方、和歌山市園部市で自治会の夏祭りが催された。

毎年恒例の夏祭りでは住民たちが作ったカレーが振るまわれ、それを食べた人々は 次々と嘔吐や下痢の症状を訴え始めた。

原因はカレーである。

激しい吐き気と腹痛に襲われ、67人が病院で手当を受け、翌日午前中までに入院先の病院で 自治会長(当時64歳) 副会長(54歳) 女子高生、小学4年生の4人が死亡した。

原因ははじめは集団食中毒と思われ、次に疑われたのは青酸中毒だったが、警察が吐瀉物や遺体を解剖すると砒素化合物が検出され、亜ヒ酸による中毒であることが判明した。

何者かが亜ヒ酸をカレーに入れたと思われたが、毒物犯罪は一瞬の犯行であり、犯人と被害者の直接の接触はなく、さらに夏祭りという大勢の人たちが出入りする場所。

当初は捜査が難航すると思われたが、祭りの規模からみても犯人は園部地区の関係者である可能性が高いと見られていた。
 
 
住民の聞き取りや調査が進むと同時に、名前が挙がったのが園部に住む林夫婦である。

林健治(当時53歳)は元シロアリ駆除業者で、妻の林眞須美(当時37歳)は元生命保険会社外交員。

事件当時、林夫妻は仕事をしている様子もないのに豪邸に住んで遊びまわっているといううわさが流れていた。

さらに調べが進むと、林眞須美をめぐる多額の保険金詐欺疑惑が浮かんできた。

疑惑の夫婦をめぐった熾烈なマスコミの報道合戦が展開され、夫妻は豪邸で記者会見まで開いて犯行を否定したが、林家の周囲には常に多数の報道カメラマンが陣取り、四六時中カメラが家に向けられていた。

そしてプライバシーの侵害に腹を立てた林眞須美がカメラに向かって水をかけるシーンが全国に流れた。
 


 

県警は1998年10月3日、詐欺容疑で林眞須美と夫・林健治を詐欺容疑で逮捕した。

林眞須美については、保険金目当てに知人男性を亜ヒ酸で殺害しようとしたとして、厳しい取調べが行われたが、2人は否認と黙秘を通した。

県警は様々な容疑で再逮捕を重ねながら毒カレー事件との関連を追及したが、自白はもちろん、黙秘で調書一枚取れない状況が続いた。

そこで県警は現場検証を繰り返し、林眞須美以外の第三者が関与した可能性を次々と消していく手法を取っていった。

その結果、亜ヒ酸がカレー鍋に入れられた時間帯に、林眞須美一人がカレー鍋の番をしていたことや、紙コップを手に料理場のガレージに入り、周囲を窺うようなそぶりをしていたことなどの目撃証言を蒐集できた。
 
 
物証についてはカレー鍋や林宅から8点の亜ヒ酸を採取し、兵庫県の大型放射光施設「スプリング8」という最先端装置によって分析。

カレーと紙コップ、林宅のプラスチック容器の亜ヒ酸と、林健治らがシロアリ駆除に使っていた亜ヒ酸とが同一であるという鑑定結果を得た。

林眞須美の前髪からも砒素を検出し、それか事件発生時に近い時期に付着したものであることもわかった。

さらに見張り中に二女がカレーの味見をしているにもかかわらず、娘に保健所で検査を受けさせないのは母として不自然であり、二女が味見したカレー鍋にはヒ素が入っていないことを林眞須美が知っていたからではないかとみられた。
 
 
カレーが振る舞われた夏祭りの夜、夫・林健治氏がカラオケに行くと言い出したことで 林眞須美は夏祭り本番の手伝いをサボり、林家は全員が夏祭りには参加しておらず、毒入りカレーの難を逃れたことも不自然であると思われた。
 
 
4ヵ月半にも及ぶ捜査結果から、県警は1998年12月9日、カレー鍋に亜ヒ酸を投入したとして、殺人と殺人未遂容疑で林眞須美を再逮捕した。

そして林眞須美は容疑否認のまま、12月29日に8件の容疑でへ和歌山地検に起訴された。
 
毒カレー以外の事件としては、林健治の会社の社員にかけていた保険金を詐取するため、砒素入りお好み焼きを食べさせたとする殺人未遂容疑。

知人らに保険金目的で砒素入りの牛丼やうどんを食べさせたとされる4件の殺人未遂と、3件の詐欺事件などである。

これら7つの事件すべてが保険金詐取目的であり、殺人未遂事件には全て砒素が使われたことなどが林眞須美の保険金狙いと砒素慣れを浮かび上がらせ、毒カレー事件もこの延長線上にあると考えられたのだ。

林健治の起訴事実は、一部の詐欺事件の共犯のみである。
 
しかし、捜査本部の抱える最大の問題は、毒カレー事件の犯行動機だった。

夏祭りの夜、少なくとも死亡時5億円以上の保険金をかけている夫や知人5人と麻雀大会を催してカレーで殺害するため…と当初は考えられたが、会の中止が事前に決定したことでこの仮説はなくなった。

その後、かねてからゴミの投棄や駐車トラブルなどでもめていた近所の主婦たちから 当日に祭りの準備に遅れたのを面罵された林眞須美が逆上した衝動的犯行ではないかと推定された。
 
 
スポンサーリンク



  
 

和歌山毒物カレー事件の裁判

一審・和歌山地裁

 
1999年5月13日、容疑を否認し、犯行動機が不明のまま起訴された林夫婦に対する初公判が開かれた。

和歌山地裁のそばの公園にも入りきれないほどの傍聴希望者が集まった。

林眞須美被告は3件の保険金詐欺は大筋で認めたが、殺人と殺人未遂については 毒カレー事件も含めて 全て否認した。

林健治被告は詐欺の共犯を認めた。

公判での検察側は、膨大な状況証拠の積み重ねによって有罪を立証する自信は持っていたが、冒頭陳述では毒カレー事件の動機については触れず、住民とのトラブルが引き金になった無差別殺人を指摘した。

その後の公判はまず3件の詐欺事件の審理が先行し、林健治被告は一部の詐欺の共犯だけで起訴されているため、1999年6月からは夫婦は分離裁判となった。

1999年11月8日の公判で、林健治被告は一連の詐欺事件は妻の主導によるものだったと認めた。
 


  
2000年2月16日朝、1年以上無人だった林宅から出火、全焼した。

電気も止まって火の気がなかった上に侵入の形跡があったことから放火と見られた。

4月3日に犯人の無職の男(37歳)が逮捕され、窃盗目的で侵入し、放火したことを自供した。

現在は林邸の跡地は公園になっている。
 
 
2000年5月26日、林眞須美被告は拘置所内で清掃用具の針金をはずして飲み込んで自殺未遂を図り、マスコミは拘禁症状によるものと報じた。
 
 
2000年10月20日、林健治被告は詐欺の共犯として懲役6年の判決を受けた。

林夫婦は分離裁判を受けていたが、同じ裁判官で構成される合議体で裁判が進められていた。
 
 
2000年12月11日、和歌山地裁は林眞須美被告に死刑判決を言い渡した。

被告側はこれを不服として即日控訴した。
 
 

二審・大阪高裁

控訴審は2004年4月20日より大阪高裁で始まった。

一審では黙秘を貫いてきた林眞須美被告が、控訴審では一転してぺらぺらと供述を始めている。

林眞須美被告
一人になった時間帯はあったが、すぐに二女が来たので 砒素を混入する機会はなかった。

カレー事件については容疑を否認し続けたが、殺人未遂事件については

林眞須美被告
保険金を騙し取るために(林健治受刑者と林眞須美被告の2人が)自分で砒素を飲んだ。

・・・と夫妻での共謀と砒素の使用を認めている。
 
2006年6月28日、大阪高裁は控訴を棄却して原審を支持。
 

最高裁~死刑確定

2009年4月21日、最高裁が上告を棄却。

2009年5月28日に弁護人による判決訂正申し立ても棄却され、林眞須美被告の死刑判決が確定した。

2017年12月現在56歳の林眞須美死刑囚は、大阪拘置所に収監されている。
 
 
スポンサーリンク



 
 

林眞須美死刑囚が起こしている訴訟

2012年5月31日付で林真須美死刑囚は、名古屋拘置所にいる死刑囚の男と手紙をやり取りしていたことを漏らされたなどとして、国を相手取り300万円の慰謝料支払いを求めて名古屋地裁に提訴した。

訴状によると、名古屋拘置所の職員が、手紙のやり取りなどを拘置所内の複数の受刑者らに漏らし、林死刑囚は肉体的、精神的な苦痛を受けたという。

2013年8月9日、名古屋地裁は請求の一部を認め、国に5万円の支払いを命じた。

11月27日、名古屋高裁は、賠償額が低すぎるという林死刑囚の控訴を棄却した。

そのほか、虚偽の証言を理由に夫へ100万円の損害賠償を求めるなど、マスコミ関係者やカレー事件の地元住民、生命保険会社に勤務していたときの同僚など、計50人ほどを相手に訴訟を起こしている模様。

林眞須美死刑囚は死刑が確定する前に 新実智光・死刑囚(オウム真理教事件) 八木茂・死刑囚(本庄保険金殺人事件) 小林薫・元死刑囚(奈良小1女児誘拐殺人事件) などと文通していました。

その一方で、2017年6~7月あたりだと思いますが、上田美由紀死刑囚(鳥取連続不審死事件)は某紙の連載記事に林眞須美死刑囚のことを書いて、林死刑囚から訴えられたという話もあります。

確か1000万円くらいの損害賠償…林眞須美死刑囚と上田美由紀被告は面識がなく、なおかつ関わりを持ちたくないにもかかわらず、両者が関係しているようなことを上田美由紀被告が連載に書いたというのが訴訟の原因。

林眞須美死刑囚が上田美由紀被告に親しみを持っているかのような印象を与える表現があることが苦痛だ!ということで、林眞須美死刑囚が上田美由紀死刑囚を東京地裁に提訴しています。

毒カレー事件・第一次再審請求

2009年4月22日、和歌山地裁に再審請求。

弁護側は請求にあたり、

(1)真須美死刑囚がカレーにヒ素を混入したとされる時間帯の前後に行動をともにしていた次女の新証言
(2)真須美死刑囚が殺害を図ったとされる夫の新証言
(3)カレー鍋の周辺での真須美死刑囚の不審行動の目撃証言は不自然だとする実験結果

-などを、無実を証明する新証拠として提出した。

しかし、次女や夫の一・二審段階での証言は裁判所に「信用性がない」と判断されたほか、実験結果についても上告審では証拠採用を退けられている。

弁護団は2010年3月、林死刑囚の毛髪に付着した検察側のヒ素鑑定に矛盾があるとし、ヒ素の有無を調べる再鑑定を請求した。

最高裁判決では、林死刑囚の毛髪から検出されたヒ素をカレー鍋に混入したとする物証の一つとした。

毛髪鑑定請求書によると、同一の毛髪にもかかわらず2種類の鑑定で付着個所が数ミリ異なる▽外部から付着したとされるにもかかわらず、ヒ素が先端部でなく毛根部分に近い個所に付着している――と指摘している。

和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)は2014年6月30日付で、林死刑囚の毛髪などの再鑑定と、その他の証拠開示命令の申し立てを退ける決定をした。

弁護団は決定を受けて、7月3日、鑑定の必要性を訴える書面を新たに提出した。

10月、弁護団は確定判決のヒ素鑑定は誤りなどとする再審請求補充書を和歌山地裁に提出した。

2015年6月4日付で弁護団は、林死刑囚宅などから押収されたヒ素と、現場の紙コップに付着していたヒ素の成分が同じだとした確定判決は誤りだとする再審請求補充書と意見書を和歌山地裁に提出した。

2016年9月16日、弁護団は最終の再審請求補充書を和歌山地裁に提出した。

補充書では、弁護団の依頼で京大の河合潤教授(分析化学)が分析した結果、死刑囚の関係先から見つかったヒ素と、現場の紙コップに付着していたヒ素は異なるなどと指摘。

弁護団は河合教授を証人として申請した。

地裁は12月、「必要性がない」と判断し、申請を棄却した。

2017年1月16日付で弁護団は、「不公平な裁判をする恐れがある」として、担当する裁判官3人の交代を求める忌避を和歌山地裁に申し立てた。

和歌山地裁は1月20日付で申し立てを却下した。

弁護団は25日付で、大阪高裁に即時抗告した。

大阪高裁(中川博之裁判長)は2月15日付で即時抗告を棄却した。

弁護団は21日付で最高裁に特別抗告した。

最高裁判所第一小法廷(小池裕裁判長)は3月7日付で、特別抗告を棄却した。

和歌山地裁は2017年3月29日、林死刑囚の請求を棄却した。

浅見健次郎裁判長は「全証拠を総合して検討してみても、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じる余地はない」と判断した。

決定は、カレー鍋にヒ素を混入する機会は林死刑囚以外になかったことなど複数の間接証拠を挙げ、「事件における林死刑囚の犯人性が非常に強く推認される」と指摘。

また弁護側のヒ素は別物との主張に対し、「それぞれのヒ素の組成上の特徴が一致しているという事実は、合理的な疑いを差し挟むことなく認定できる」と退けた。

4月1日付で、被告側は即時抗告した。

林真須美死刑囚の弁護団は4月3日、死刑判決の決め手となったヒ素の鑑定内容が虚偽だったなどとして、鑑定した大学教授ら2人に計6500万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

via:犯罪の世界に漂う

林眞須美死刑囚 和歌山毒物カレー事件は冤罪!?支援者集会で「ヒ素鑑定が嘘!」

即時抗告の行方も注目していきます。
  
  
スポンサーリンク