スプラウト栽培容器と育て方の注意点!カイワレとモヤシでは異なる話
「スプラウト」は2種類に大別できます。モヤシ型とカイワレ型です。
スプラウト栽培の種類
カイワレ型…ブロッコリー、ルッコラ、ラディッシュ、マスタード、クレス、ヒマワリ
季節(温度)とどの程度の大きさまで育てるかにもよりますが、穀物系スプラウトをインコの発芽シードにするなら2~3日、スプラウト野菜として収穫するなら1週間程度で収穫できます。
スプラウトにする種子の選び方
最近は様々な種類のスプラウト用種子が出回っています。
カイワレ型スプラウトと一部のモヤシ型スプラウト(牧草タイプ。アルファルファなど)は「スプラウト専用」種子を選びます。
スプラウト専用種子はオーガニック栽培で化学的処理や薬剤が使用されておらず、発芽率は9割以上です。
穀類と豆はスプラウト用のものが少ないので、市販されている中でできるだけ新鮮なものを選びます。
オーガニックを選ぶことは共通しており、玄米などを生産者から直接買うなら、有機栽培の天日干しが最良です。
スプラウト栽培の水・空気・温度
スプラウト栽培に使う水は水道水でOKですが、浄水器の水ならベターです。
植物の栽培においては空気が循環している(風がある)のが理想的ですが、すすぎの時に酸素の入れ替えが強制的に行われるので、スプラウト栽培ではそれほどは問題になりません。
植物の発芽温度は一般的に18~22℃ ヒトが快適に思う温度が最適です。
春・秋はそれほど心配ありませんが、初夏から夏にかけてはカビや腐敗を防止するために涼しい場所に置き、すすぎの回数を増やします。
冬は暖房の風が直接当たるところは避け、間接光の当たる暖かい場所に置きます。
植物は発芽が始まると熱とガスを放出するので、密閉性の高い容器を使っている場合は、内部が高温にならないように注意が必要です。
モヤシ型スプラウトの育て方のコツ
種にする豆は新豆にする(古いと発芽しないことがある)アルファルファの種子は「スプラウト用」を使う。
1日2回以上のすすぎが必要。ひよこ豆のように傷みやすい種類は1日4回。
人が食べる用で炊き込みご飯や煮豆に使う場合は1~2日程度のものでもOK
市販のもやしはエチレンガスを使っているのであまり伸びずに太くなっているが、家庭ではエチレン処理をしないため細く長くなることが多い。
モヤシを大きくする(伸ばす)には1日2回のすすぎを続け、暗いところにしばらく置いて、本葉を開かせないようにするのがコツ。
カイワレ型スプラウトの育て方のコツ
種は必ず「スプラウト用」として売られているものを選ぶ。
ある程度発芽が揃ったらラップを外し、霧吹きで湿度を保つ。
双葉が開いたら明るいところへ置いて、緑が濃くなり茎が伸びたら収穫する。
スプラウトに日光は必要?栽培場所は?
発芽初期に日光に当てると、スプラウトの伸びが止まる。
直射日光に当てると栽培容器内の温度が上がりすぎることがあるので注意。
置き場所は基本的に室内。間接光が当たる場所がいい。
冬は太陽光線が弱くなるので、明るく温かい場所に置く。
スプラウト栽培容器はどう選ぶ?モヤシ型・カイワレ型・ハイブリッド型の一長一短
スプラウトの作り方は工夫次第でいろいろできますが、ざっくり分けると4タイプあります。
プラスチックか金網の容器・ざるの類…底面積が広いものが使いやすい
広口瓶(メイソンジャーその他)
通気性のある袋(麻袋・水切りネット・洗濯ネットなど)
スプラウト栽培専用容器の特徴
スプラウト栽培に特化して作られた専用容器は水や空気の循環がうまくいくように設計されているので管理が楽で、失敗が少ないです。
段重ねできるものもあって省スペース。
観察がしやすいので、複数のスプラウトを同時に栽培する場合におすすめです。
「栽培キット」なら種が同梱されていることが多いですが、そうでなければタネは別売であるケースが多いです。、
モヤシ型スプラウト・カイワレ型スプラウト、どちらも使えます。
プラスチックか金網の容器・ざるでのスプラウト栽培の特徴
穀類の種子や豆類など、大粒の種子を発芽させるのに便利で、下に別にバットを敷いて栽培します。
底面積が広い容器にキッチンペーパーなどのシートを二重・三重に敷けば小粒の種子にも対応できますが、どちらかというと粒の大きな種子を発芽させるのに向いています。
ザルはプラスチックか金網が最適で、竹ざるはカビが生えるのでおすすめできません。
栽培するのが少量なら小さな茶こしとマグカップの組み合わせも使えます。
水と空気が流通できるものであれば、100均の容器も安上がりで便利です。
もやし型スプラウト向きか、カイワレ型スプラウトに向くかは 容器の形状によります。
広口瓶(メイソンジャーその他)でのスプラウト栽培の特徴
広口瓶は手軽にスプラウト栽培ができますが、中~上級者向けの方法で、モヤシ型スプラウト特化です。
広口瓶は水切りが不完全になりやすく、空気が流通しづらく、さらに光の当たり方にムラができるため、外側と内側では生長にもムラができやすいためです。
また、広口瓶栽培では、他の栽培容器よりもこまめなすすぎが大切です。
具体的には他の方法で1日2回すすぎをするところを、広口瓶栽培では3回以上すすぐ必要があります。
メイソンジャーで栽培しているものがキッチンカウンターの上に並んでいたりするのは一見おしゃれに見えますが、この育て方は植物にはやさしくないので、失敗が少なくありません。
袋(麻袋・洗濯ネットその他)でのスプラウト栽培の特徴
袋に種子を入れて吊るし、定期的なすすぎを繰り返したらまた吊るす方法です。
麻で袋を作ったり、洗濯ネットを利用すると手軽ですが、洗濯ネットだと水切れが良すぎて乾燥するので、ビニール袋等ですっぽり覆った方が成功率は上がります。
袋型の栽培では中身が見えないので、すすぎの時には袋を開けて中の状態をチェックすることが大切です。
モヤシ型スプラウトか、インコの発芽シードのように発芽直後に食べさせる(つまり光を利用する必要がない)種子のスプラウトに向いています。
スプラウトをザル型容器で作る方法
- STEP1浸水種子を水につける(浸水時間は種による)※長時間の浸水の前にリンゴ酢で殺菌しておくのもおすすめ
- STEP2水切り水を切りすすいでザルへ。ザルはバットにのせる。
- STEP3密閉ざるとバット全体をビニール袋などで覆う(気候・温度により臨機応変に変更する)
- STEP4水洗い→水切りの繰り返し1日2回以上のすすぎがおすすめ。水洗い→水切りを発芽するまで繰り返す。※ひよこ豆のように傷みやすいものは1日4回以上のすすぎが必要。
インコの発芽シードのようにほんの少しツノが出た発芽の程度でよいものには光は不要です。
スプラウトを安全にすこやかに育てるポイント
スプラウトは季節問わず1年じゅう栽培・収穫できて、天候に左右されることもなく、好きな時期に育てることができます。
茎をのばすカイワレ型スプラウトでも1週間あればぎっしり育ちますので、自分のペースに合わせて育てられます。
ですが、基本的に発芽までの管理やすすぎの頻度は「こうすれば失敗しない!」とひとことでは言い切れないものです。
住んでいる地域や季節・気候によって臨機応変に対応すべきなので、それぞれが試行錯誤を繰り返し、正解を見つけてください。
スプラウト育てコツのコツ
スプラウトの育て方は共通するところが多いですが、植物の種類によって浸水時間などがまちまちだったり、気を付ける点もありますので、種子の袋に掲載されている説明書きに従ってください。
初夏から夏にかけては冷蔵庫をうまく利用してください。
衛生管理上の盲点が人間の手。種子を不用意に手で触らないようにします。直接触れると雑菌がついてカビやすくなるので、清潔なスプーンなどを使いましょう。
マスタードとラディッシュの種子には植物性の抗生物質が含まれるので、これらを少し混ぜておくと、カビの発生を抑制する効果があると言われています。
カビや変質防止のためにビネガー類を使う人もいます。一晩水につける前に、少量のアップルサイダー(リンゴ酢)を入れた水に15分程度浸して、バクテリアやカビを殺菌しておくとより安心です。GSE(grapefruit seed extract)もおすすめです。
ここで活字で読んでいると難しそうに思えるかもしれませんが、やることはシンプル。
手間を惜しまなければ、発芽シード(スプラウト)作りはほとんど失敗しませんよ。
新鮮な水と酸素と適温(18~22℃)がそろえば発芽します。
私は少し大量に作りたい時は洗濯ネットを使うこともあるし、風呂の蓋の上に置いたりもします。
植物が「心地よい」と感じて「発芽したくなる」環境を考えたら、スプラウトは簡単にできます。
スプラウト栽培を失敗したくないなら、植物の目線に立って栽培してください。植物も「いきもの」です。
スプラウトのひげ根・根毛とカビの見分け方
スプラウト初心者の方に注意してほしいのは、根毛をカビだと勘違いしないこと。
根毛なのかカビなのかを見分ける決め手は「におい」です。
カビや変質もにおいでわかりますから、嗅覚フル活用で!
悪臭がするならカビ、スプラウト特有の芳香が感じられるなら根毛です。
根毛はすすぎで消えることがあるので、適切なすすぎをしていればどちらなのかすぐに見分けがつきますし、カビが生えることは少ないです。
もしも悪臭がしたらそれらは躊躇せずすべて廃棄し、栽培容器は酢水等でよく洗って乾かし、リセットしてください。
また、上述しましたが、マスタードやラディッシュのスプラウト種子には植物性の抗生物質が含まれると言われていて、これがカビの発生を抑制する効果が見込めますので、ほんの少し混ぜて蒔くのもおすすめです。
適切なすすぎを繰り返し健全に生長しているスプラウトは特有の良い香りを堪能できます。
何度かトライするうちにコツがつかめてきますから、失敗したからといってすぐに諦めずに、慣れるまでやってみることが大切です。
スプラウトはホールフード!自家製なら根まで丸ごと食べられる
完全無農薬でフレッシュな栄養の宝庫を、栄養成分が最大値になったベストタイミングでインコに与えたり、家庭の食卓に出せるのが、スプラウトのすばらしいところです。
根があるので適切にお世話すればすぐに枯れることはないですから、観葉植物代わりのマイクログリーンとして、またインコのおやつ野菜として、そのまましばらく育てるのもアリです。
カイワレやブロッコリースプラウトなどの市販のスプラウトは底面にスポンジやマットがついています。
その部分を掴んで水をためたボウルの中に逆さに入れて流水洗いで種子殻を取り除き、根元をハサミで切ってスポンジから取り外します。
ですが、シートを敷かずに家庭で栽培したスプラウトなら根まで丸ごと食べられます。
つまりスプラウトはホールフード(whoul food)
食品ロスの削減だけでなく、栄養素を丸ごといただける 今どきの賢い食べ方です。