これは「死」について深く考えさせられる本です。
読み進めていくと、
自ら命を絶つ「自〇」が出てきますが
このキーワードを連想した時、
たいていの人はマイナスイメージを持ちます。
しかしこの本の著者シェリー・ケーガン教授は
「自〇」で人生を終えるのは悪くないのでは
…と考えています。
確かに本人がその方法をあえて選んでいる。
でも、残された家族や縁者からしてみれば、
それはとてもつらく悲しい出来事。
「何で?」そんな気持ちになります。
とはいえ、人間は不死身ではないので、
死を否定することはおかしいとも考えることができる。
死生観は千差万別で、偏りも大きいもの。
とりわけ日本では、自〇遺族に対する
差別と偏見がきつい傾向があります。
自〇はする方もされる方も
つらく悲しいですが、
それはある意味、自分のタイミングで
人生のピリオドを打っているだけ
そう考えることもできると。
年を重ねて老衰で、あるいは病気で、
この世を去ることと自〇とでは
形は違えど、人生を終えることに変わりはない。
この本を読んでいると人の死について
今まで考えもしなかった思考に辿り着くので、
人生観や日々の暗いニュースなどを
見たり聞いたりした時の反応が変わります。
これをシェリー・ケーガン教授は指摘されています。
確かにその通りです。
人生で大きく挫折をした時、
折れ線グラフにたとえると
どんどん下降していく未来を想定するもの。
それに耐えきれなくなった人は
人生をドロップアウトするかもしれない。
そんな時には一度立ち止まり、
本書に書いてある重要なことを思い出すといいです。
生きていれば上昇する未来が待っているかもしれない。
現在の思考に捉われすぎて
一時的に思考が硬くなっている可能性があること。
本当に深く考えさせられる内容です。
最初は読んでいても難しく感じますが
次第に興味が湧いて引き込まれていきます。
ケーガン教授の講義が人気あることに
納得がいきました。
生と死は表裏一体。
死について考えることは
生に真剣に向き合うこととイコール。
内容はドライですが、
私は真理に近いと思いました。
今 何かに悩んでいる方や生きづらさを感じている方。
逆にそういう人を救いたい方。
学問目線で「死」について興味がある方など、
多くの人に1度手に取って読んでみてほしい1冊です。