セキセイインコの老衰は6歳頃から始まる自然な過程ですが、その兆候に気づくのが難しく、多くの飼い主さんが戸惑いを感じています。元気だった愛鳥が突然、床にうずくまるようになったり、飛ぶ力が弱くなったりと、予期せぬ変化に驚かれる方も少なくありません。
しかし、老衰の兆候を早期に発見し、適切なケアを行うことで、愛鳥により穏やかな晩年を過ごさせることができます。大切なのは、日常的な観察と環境づくり、そして家族で寄り添う時間を作ることです。
この記事では、実際の看取り体験をもとに、セキセイインコの老衰について詳しく解説していきます。
老鳥に必要な環境づくりと日々のケア
家族でできる看取りの方法
小鳥の病院の診断は「老衰」
セキセイインコの飼い主の寄稿
実家で飼っていたそら(オス)は、毎日放鳥してもらって自由に飛び回って遊ぶのが日課でした。11歳になってからは飛ぶ速度が落ちたり、ケージ外に出てくる回数が減ってきたものの、毎日楽しく過ごしていました。
突然の異変に気付く
私がそらの異変に気付いたのはケージの中での過ごし方がいつもと少し違うことがきっかけでした。いつも止まり木に止まっているのに、その時は床にペタッと体をくっつけてうずくまっています。
今までそのような姿は見たことがなく異変を感じたので、すぐに小鳥の病院へ連れて行きました。
全体を診察していただいた診断結果は「老衰」でした。スポイトで飲ませるタイプの栄養剤を処方され、

もうあまり長くはないかもしれないです。老鳥なので防寒対策をしっかりしてあげてください。それから体力的に止まり木で過ごすことが負担なようだから、かごの中の止まり木は取り外してください。
老齢になってくると寝る時間が増え、脚力や握力が弱ってきます。これらの徴候は急になることがよくあります。昨日まで元気だったのになぜ?となりますが老化の影響は徐々にというよりも突然ガクッとくることが多いです。特に鳥は老化が遅く高齢になって急に様子が変わるので油断しないようにしましょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 15, 2021
病気ではないので、栄養を補助してあげる以外は、何も処置できることはありませんでした。
セキセイインコは6歳くらいから老鳥期に入るということです。
セキセイインコの11歳は高齢ですが、いつも元気いっぱいのそらに対して、私は「老鳥」の意識を持ったことがなかったのです。
余生を過ごしやすいようにケージレイアウトを少しだけ変更した
落ち込んでばかりもいられません。そらの余生を快適に過ごしてもらうように準備することにしました。
まだそれほど寒い季節ではなかったのですが、防寒対策としてケージに保温電球ヒーターを設置。止まり木とフンきり網を取り外して床をバリアフリーにし、ヒーターから離れたところに餌と水を置きました。
ケージレイアウトを変えてからは、なるべくそらの近くで家族みんなで一緒に過ごすようにしました。そらのお世話は私と母と妹で行っていたので、順番で誰かが近くで付き添ってあげるようにしていました。
そして、疲れない程度にそらをケージから出し、掌に乗せて話しかけたりするなど、皆で触れ合う時間を持ちました。
人の手からどこかに移動するような元気がそらにはもうありませんでしたが、そんな弱っている時でも「おはよう」「○○ちゃん」などとおしゃべりをしていました。
食欲は全くなくなったわけではなくボチボチ食べている感じでしたが、そらが好きだったレタスを近くに置いてみたら、喜んで口をつけてくれました。
そらに快適に過ごしてもらうために、常に部屋を温かくしておく 誰かがいつもそらの近くにいてあげる …残された最後の日々、家族で協力してこの2つを徹底しました。
セキセイインコの老衰症状に最期の1週間まで気づかなかったけれど…
愛鳥への寄り添いから1週間後の夜、そらは母の手の上で虹の橋を渡っていきました。私がそらの訃報を知って慌てて帰宅してみると、うっすらと目をあけて眠っているそらがいました。
いつも私が帰宅するとそらは「おかえり」ではなく「おはよう」と言ってくれていたので、何も話さなくなったそらを見ているととても悲しくて寂しくて、どうしようもなくなりました。
晩年のそらはうずくまって休んでいることばかりでしたが、苦しんで鳴くようなことや、嘔吐・下痢などもなかったので、老衰で自然に逝くことが出来たのはよかったと思っています。
前日までいつも通り飛び回って遊んでいたのに、翌日には止まり木にもとまれなくなったそらの老衰症状があまりにも急展開で驚いたと同時に

もっと早い段階で 老いのつらさに気づいてあげることはできなかったのだろうか?
…と思うところもあったのですが、そらとの最期の時をゆっくりと一緒に過ごせたことは良かったと思っています。
永遠の別れは悲しすぎて思い出すたびに涙が出ますが、これは人間でいうところのPPK(ピンピンコロリ)なのでしょう。そらは苦しむことが少なく、闘病生活も短く、天命を全うして静かに旅立って行けたので大往生だと思います。
インコを飼っている方には、愛鳥が若くて元気なうちに、頼りにできる「鳥を診察できる動物病院」を見つけておくことをおすすめします。
大切なインコとのお別れはとても悲しいですが、後悔のないお別れが、その子へのいちばんの恩返しになると思うのです。
セキセイインコの老衰は穏やかな最期のために早期発見が大切【総括】
セキセイインコは6歳頃から老鳥期に入る
床にうずくまる姿は老衰のサイン
止まり木は取り外し、床をバリアフリーに
保温電球による温度管理が重要
好みの食べ物を用意し、食欲を維持
老衰は急激に進行することもある
苦痛の少ない自然な最期もある
鳥専門の獣医師をあらかじめ見つけておく
日常的な観察で体調変化に気づく
最期まで家族で寄り添うことが大切
セキセイインコとの別れは避けられないものですが、老衰の兆候に早めに気づき、適切なケアを行うことで、愛鳥に穏やかな最期を迎えさせることができます。鳥専門の獣医師に相談しながら、家族で協力して看取りの時間を大切にしましょう。最期まで寄り添える環境づくりが、大切な家族への最高の恩返しとなります。