私の愛鳥のセキセイインコ(すずめ)は現在5歳の女の子です。
もともとは家族が購入してきたセキセイインコだったのですが、あまり手をかけている様子がなかったため、見かねて私がお世話をかってでました。
しかし、私もインコを飼ったことがなく、今思い返せば知識も準備も足りていなかったように思います。
食べさせてはいけないものや放鳥時の危険等、最低限の注意はしていたものの、基本的には自由に過ごさせ、べたべたに甘やかして育てていました。
セキセイインコの卵管脱で深夜の緊急手術に立ち会った話【閲覧注意】

画像はイメージです
最初の異変は、私のセキセイインコが1歳になった頃でした。
私に向かって、見たことのない表情、ポーズで固まってしまったのです。
シャチホコポーズといわれるそのポーズはインコの発情のサインで、すずめは初産卵で6個を産みました。
初めての産卵で心配はしたものの、無事に産み終わり、偽卵に取り替えて抱卵を辞めるまでスムーズに進んだため、あまり気に留めていませんでした。
しかし、その後もすずめは発情と産卵を繰り返すことになるのでした。
セキセイインコが1歳でシャチホコポーズ!過剰産卵を繰り返すようになって
産卵後のすずめはいつも憔悴した様子を見せていました。
次第に産む卵の数も10個前後と増えていき、心配になった私は一度動物病院にこの件を相談することを決めました。
しかしこの時にはじめて気がついたのです、「鳥を診られる専門医がとても少ない」ことに。
小動物を受け入れている病院に問い合わせても「出来ることが限られるので専門医に診てもらうことをおすすめする」と言われました。
そんな中、幸い車で40分ほどの場所に鳥を専門とする動物病院が見つかり、そちらを受診することになりました。
診察の結果、過発情・過剰産卵の予防として獣医からアドバイスされたことは、 発情対象を近づけないこと 適度なストレスを与えること …でした。
発情対象を近づけないこと
セキセイインコの発情対象は人であったり物であったり様々です。
うちのセキセイインコの場合の発情対象は私だったので、発情の兆候がみられたら家族にお世話を変わってもらう事を考えました。
これは発情の兆候がみられてからの対処でも遅くないということでした。
しかし、すずめは気性が荒くて私以外の人間には攻撃的なので、我が家ではそれは現実的ではありませんでした。
適度なストレスを与えるためにプチ食餌制限を取り入れてみた
適度なストレスとは、具体的には食事制限やケージ内の模様替えや移動でした。
安心して産卵できる、落ち着く環境を作らないことで発情が抑えられるということです。
私は自分の力だけでできるこちらの対策を進めることを決めました。
食事制限についてはそれまで全くしておらず、インコの体重も把握していませんでした。
発情させないためには少し空腹くらいでいるのがいいのだということです。
すずめは平均より重めの42グラムだったので、まずは獣医の指導の元、セキセイインコの平均体重である30グラム代まで体重を落とすことを目標にしました。
餌をケージ内に入れたままにせず、朝と夕方に時間を決めて与えることから始め、毎朝の体重測定やケージ内の模様替えも同時に行いました。
産卵のしすぎはタンパクを喪失し、嘴の質に変化が出ます。タンパク質を補うことも大切ですが、それよりも早く産卵を止めることだと思います。科学的去勢をして一刻も早く止めないといけないと思います。タンパク質を補うにはラウディブッシュのブリーダーやハリソンのハイポテシィを使ってください。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 10, 2021
長生きを選ぶか自由を選ぶか?究極の選択を迫られたが煮え切らず…
そんなふうにセキセイインコの環境を変えてみたものの、体重は変わらず、発情もなくなることはありませんでしたが、獣医からは
…と言われたことを覚えています。
このときはまだ過発情・過剰産卵を抑えるためにストレスのある生活を送らせることに対して私の中には罪悪感がありました。
セキセイインコの卵管脱を目の当たりにして卒倒し…
インコにストレスを与えることに対する罪悪感をなかなかぬぐえなかった私は どうしても強硬な対策は取れず、中途半端なことを続けていました。
そんな私の意識が大きく変わったのは、すずめが卵管脱になってしまってからでした。
お尻から赤いものが出ている場合は、卵管脱、クロアカ脱、クロアカ腫瘍などがあります。単純な卵管脱は、卵管口が緩んで、卵管が反転して脱出したものですが、卵管重積を起こすこともあります。卵管重積は卵管の途中から重積を起こしてお尻から出てくるものです。この場合は、緊急手術が必要です。 pic.twitter.com/WCU0eoYQSa
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 24, 2020
雌の鳥のお尻から赤い物が出ている場合は、クロアカ脱、卵管脱、ポリープなどがあります。画像はブンチョウのお尻から出てきたポリープです。治療は茎を結紮して切除しますが再発することも多いです。慢性発情が原因と見られています。下血や排便し難い場合は、ポリープができていることがあります。 pic.twitter.com/to6f5W2LmS
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 27, 2020
ケージ周りの環境を変えたことで発情期がやってくるペースはほんの少し落ちたものの、たまに発情・産卵してしまっていたすずめは、卵管に炎症が残っていたことから おしりから卵管が飛び出てきてしまったのです。
深夜に飛び出た卵管を見て卒倒し…
卵管脱になっても すずめ自身はそこまで衰弱している様子では見られませんでした。
しかし臓器が出てきてしまっているのを見た私は卒倒し、大パニックに陥り、初めてリアルに「すずめが死んでしまう!」と思いました。
それがよりにもよって深夜の出来事。
当然かかりつけの動物病院も閉まっていたため、必死で夜間診療をしている動物病院を探し周りました。
どこを当たってもやはり「専門医がいない」と言われたのですが、ある動物病院1軒だけが こちらの状況を説明すると診てくれると言ってくれました。本当にありがたかったです。
卵管脱で深夜の緊急手術に立ち会って
そこで飛び込みで緊急手術をしてもらうことに。
しかし夜間で先生が一人での対応だったため、私が助手として手術に立ち会って セキセイインコを保定していなければなりませんでした。
あのときは自分の手の震えを抑えるのに必死だったことを覚えています。
私の手の中で処置をされる愛鳥を見ながら
…と強く思いました。
すずめは夜間の緊急手術を終え、翌日からはかかりつけの病院に入院することになりました。
セキセイインコにしては体格が良くて体力があったから なんとか命を取り留めることが出来たようです。
セキセイインコの食事制限をより厳しく行うことを固く決意
もう絶対にすずめを発情させない!と心に誓った私は、改めて今後の対策について深く考えました。
そして今までやり方が甘かった食事制限をより厳しくすることにしました。
方法としては、朝と夕方に時間を決めて餌をあげるというのはそのままに、量を5グラムきっちりと計量することにしました。
朝、シードを計ってケージに入れ、ある程度食べたら一度餌箱を取り出し、殻を取り除き、残りを夕方に与えます。
気の強いすずめは 厳しい食事制限に対して大暴れして抗議していましたが、私は心を鬼にしてこの方針を徹底すると決めていました。
するとほどなくしてセキセイインコの食事制限の効果は見え始め、42gあった体重を36グラムまで落とすことに成功しました。
持続的に血中カルシウム濃度が高値になるので体の負担が大きいです。ホルモン剤で早期に発情を止めることで、体の負担を軽減し、生殖器系疾患の予防になります。食事制限で常に飢えている様子があるようでしたら、使うと過剰な食欲が正常化して楽になることもあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 30, 2021
もともとが大柄な子なので 平均体重まで落としただけでも十分な発情抑制にはなったようです。
完全に発情抑制できているわけではないのかもしれませんが、その後は発情らしい発情は起こらなくなりました。
愛鳥を守る「覚悟」に到達するまでの反省すべきことの数々を挙げてみた
これまでの経験からの私の反省点は3つあります。
夜間診療をしている病院を調べていなかったこと
「愛鳥の命を守る」覚悟が足りなかったこと
インコのように身体の小さな生き物は、本当にちょっとしたことでも簡単に命を落としてしまいますから、素早い判断と素早い対応が必要になります。
すずめはたまたま体力があったので頑張ってくれましたが、あの時は命を落としていてもおかしくない状況でした。
卵管脱は脱出して時間がたって来院すると卵管脱は戻せても死亡する場合はあります。しかしいつから脱出したか正確にわからないのも実情です。
引用元:オダガワ動物病院
愛鳥の命を守る「覚悟」を決めなければ始まらない
緊急時に素早く動けるよう、最低限でも動物病院の情報は持っていなければいけなかった…と反省しています。
なにより「命を守る覚悟が足りなかった」…これが最も軽率だったことです。
…とどこかで簡単に考えたいと思い込んでいた甘さが、自分の中にはあったのです。
人間だって一度の出産で命を落とすことがあります。
それは鳥だって同じことで、
これをもっと真剣に考えるべきでした。
毎日の体重測定を欠かさず適性体重のキープを目指す
これはインコを飼ったその日から、当たり前にしていなければいけないことでした。
少しの変化に気がつくためにも、飼い主として最低限の責任と義務です。
そういった意識が最初から私にもあれば、セキセイインコにあんなにつらい経験をさせずに済んだのだと後悔しています。
やると決めた健康管理はきっちり継続する
愛情はたっぷりとそそぎながら、長生きしてもらうための健康管理は「厳しく」行う必要があります。
そう自覚させられた出来事でした。
今は責任を持って愛鳥を育てているのですずめも元気いっぱいですし、彼女が少しでも長生きしてくれるよう強く願い続けています。