20代男性の寄稿 これは私が大学生だった時の怪異にまつわるエピソードです。
私は友人と共に山口県にある心霊スポットを巡ることを趣味のひとつとしていました。
いつもつるんでいたのは私を含めて3人。
私と小学校からの幼馴染で住んでいる所も近いA男と、関西出身のB男でした。
佐波川ダムとトンネル心霊体験談!動画で見たのと違う霊に遭遇した話
私とB男には全く霊感がないのですが A男には鋭い霊感があり、普通に歩いていても
とよく言っていたくらい、よく視えている友人でした。
ある夜、心霊スポットとして動画で有名になっていた山口県の佐波川ダムに3人で行きました。
夜中の1時ころです。
瑞風撮影の帰りに佐波川ダムの心霊スポットのトンネルに寄り道、ただのトンネルだが暗い為にいつの頃からか心霊スポットになった。 pic.twitter.com/P5tqQKEyB5
— y1093t_yuki (@TokumiYukio) September 23, 2018
堤防の奥に佐波川トンネルがありました。
当時は夜は奥まで進むことができず 入っていったものの特に何も起こらなかったのでそのまま帰ろうとしていた矢先、ちょうど半ばぐらいで A男の身体が硬直しました。
…と話しかけた瞬間に 私の目の端に髪の長い女性らしき人の姿が映ったのです。
それまで、私は一回も霊を見たことがありませんでした。
しかしそんな私でも はっきりと「それ」が人の形をしていたのが把握できました。
この瞬間にその姿を捉えていたのは私だけでしたが、A男が微動だにできずに硬直していたところをみると 彼はかなり前から「それ」を感じていたのではないかと思います。
佐波川ダムの心霊動画で有名になって私が見たのは「堤防の真ん中で手招きをする自〇した人の姿が捉えられた」というものでした。
しかし私が見たのは手招きもしていませんし、白い服を着ていたように思いますので どちらかというと映画の貞子のような存在感でしたし、髪が長いので女性のようでした。
以前から霊感がないながらも「できれば霊と対話ができないかな」などと軽く考えていた私は、そのときは恐怖心というよりも「真正面から見てみたい」という好奇心が勝ってしまいました。
思い切ってゆっくりとトンネルの方向を向きなおそうとすると、A男が私に向かってこう叫びました。
A男が硬直して動けなくなっていた時間は10分くらいあったのですが、その間にその霊がこちらに近づいてくる気配は全くありませんでした。
10数分後、ようやく硬直していたA男の体から一気に力が抜けたことを確認したところで 思い切って振り向いてみると もうそこには何もいませんでした。
ただおかしなことに いっしょにいたB男には全くその霊の存在がわからなかったのです。
B男は何度もトンネルの方も向いて
…と私たちに尋ねていたのですが。
私は横目で、Aは前を向きながら 後方に確かにその存在を感じていたのにもかかわらず、B男にはその所在がまったく掴めていないようでした。
そのときに終始私が感じていたのは「恐怖」ではありませんでした。
不思議なことに怖いとは思わなかったのですが、A男は
…と言っていました。
そして私達が「A男が硬直していた」と思っていた彼の様子は、
…ということでした。
私たち3人はそのまま一人暮らししていた私の家に戻り「あれはいったい何だったのかな!?」と話しながら寝てしまいました。
そしてこの後、短期間ではありますが 私以外のA男とB男の2人の身に、おそらくあの霊がかかわっていたと思われる、生活に影響する出来事がありました。
まずA男は あれからも頻繁に その霊を自宅で見たと言っていました。
実家暮らしで公団住宅に住んでいたA男が 朝に階段を下りている時にその霊は階段の踊り場にいたり、洗面所の鏡の自分の後ろに映ったり、まるでテレビみたいな出方をする霊を何度も見かけたそうです。
ただ、見かけるだけでA男には災い的な霊障はなかったということです。
B男は佐波川にいった日から1週間後に原付で壁に激突して 全治2か月の骨折をする事故に遭いました。
平日の昼間、見通しの悪くない大きな道路であるにも関わらず、曲がりきれずに壁にぶつかったそうです。
…と考えた私たちは B男が松葉杖で動けるようになったのを見計らって、私の高校時代の友人が住職を務めるお寺にお祓いにいきました。
「自力」の宗派のそのお寺の入り口で、その住職の友人は私たちを一瞥しただけで
…と開口一番に言い放ちました。
その後にお祓いを半日くらいかけて行い、そのおかげなのか それ以来A男があの霊を見かける事はなくなり、B男のけがも順調に回復しました。
そのときの住職の友人に後でこう言われました。
もしかしたらもう少しお祓いに行くのが遅ければ、私の身にも何か災いが起こっていたのかもしれません。
この話を聞いた私は背筋に冷たいものが走るのを感じましたが、こんな目に遭っても…そしてもし何かあったとしても…
…などと思う私は つくづく自分を「懲りないヤツ」だと思いますが、この好奇心がどこからやって来ているのかも気になるところです。