大崎事件とは?再審する38年前の殺人!原口アヤ子さんは冤罪!?

 
大崎事件 再審
 
1979年に鹿児島県大崎町で起こった「大崎事件」で、鹿児島地裁は殺人罪で懲役10年の判決が確定していた原口アヤ子さんの第3次再審請求を認めました。

原口さんの元夫で懲役8年の刑で服役していた中村善三(1993年に死亡)さんについても再審開始を決めています。

大崎事件とは?

1975年(昭和54年)10月15日、鹿児島県大崎町の農業・中村邦夫さん(当時42歳)が、自宅牛小屋の堆肥の中から遺体で発見された。
 

大崎事件にかかわった人たち
仲村邦夫さん・・・中村家の四男・当時42歳・被害者

中村善三さん・・・中村家の長男・当時52歳。1993年10月に病死(服役中)
原口アヤ子さん・・・中村善三さんの元妻・当時52歳。1990年7月23日(出所後)に善三さんと協議離婚。

中村喜作さん・・・中村家の次男・当時50歳。1987年4月に自殺(服役後)
中村善則さん・・・喜作さんの長男・当時25歳。2001年5月に自殺(服役後)

 
 
事件発覚の3日前、邦夫さんは泥酔して用水路の中に自転車ごと落ちて倒れているところを通行人に発見され、家まで送り届けてもらっていたのだが、その後に行方が分からなくなり、家族から捜索願が出されていた。

警察は10月18日に 同一敷地内に住む中村善三さん(当時52歳)と中村喜作さん(当時50歳) 10月27日に中村善則さん(当時25歳) 10月30日に原口(当時中村)アヤ子さん(当時52歳)の4名を逮捕。

中村義則さん(被害者の甥)は死体遺棄で、その他の三人は殺人と死体遺棄の容疑である。

原口アヤ子さんは一貫して否認し続けたが、他の三人は自白し、起訴された。

検察側は 原口さんが主犯で邦夫さん殺害による保険金詐取を企てたと主張し、原口さん、善三さん、喜作さんの三人が組んで邦夫さんを締め殺し、牛小屋堆肥に死体を遺棄したと考えた。

裁判所は「他殺による窒息死」という鑑定書と、殺害・死体遺棄を実行したと三人が自白したことを根拠に、保険金目的という殺害動機以外の検察側の主張を公判で認めた。

そして主犯とされた原口さんには懲役10年、元夫の善三さんが懲役8年、義弟の喜作さんは懲役7年、甥の善則さんは懲役1年の実刑を言い渡した。

自白した三人は控訴せずに服役したが、原口アヤ子さんは控訴・上告したものの、いずれも棄却された。

原口さんは仮出獄を拒否し、1990年7月17日の刑期満了まで服役した。

原口さんは出所後の1995年(平成3年)4月19日から、死体遺棄罪で懲役1年の刑を受けて服役している。

 
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大崎事件、原口アヤ子さんの再審請求の変遷

原口さんの第一次再審請求が開始されたのは2002年で、中村さんについては遺族が再審請求をしています。

この事件の特徴は原口さんとその他三人を結び付ける客観的証拠が挙がっていないことで、それゆえに原口さん以外の三人の自白の信用性と、被害者の死因が裁判での争点となりました。

いちばんの焦点は、主犯の原口さんから親族三人が「犯行を持ちかけられた」と自白したこと。

さらに義妹(2004年に死去)が中村喜作さんから「邦夫を殺してきた」と聞いたとされることや「原口さんと親族が共謀するのを見た」といった証言があり、これが三人の自白の信用性を裏付けるものとして認定されています。

しかし、再審するにしても、原口さん以外の三人は故人であり、供述が取れない。

そのため弁護側は第二次再審請求から「供述心理鑑定」を行っています。

※供述心理鑑定・・・公判供述や取り調べ段階の供述調書を分析する方法。出来事に遭遇したときの驚きや反応や聞き返しなどに現れる行為を分析し、不自然な点がないか、それが体験に基づいた供述化を確認していく。

第二次再審請求では、親族三人の鑑定を行った心理学者に証人尋問をし、「自白の変遷があり、その信用性は高くない」と認定をしています。

ところが義妹の証言は信用できるとされて、福岡高裁で確定判決がひっくり返ることはありませんでした。
 
 




 
 

大崎事件の第三次再審請求はどうなるか

 
大崎事件 再審請求

via:中日新聞

 
前回の福岡高裁での決定を受けて、原口さんの弁護団は、いちばんのネックとなった義妹の証言である「原口さんと親族が共謀するのを見た」の信用性を崩す方向でいくようです。

この証言が崩れれば 同時に三人の自白の信用性もさらに低くなります。

そこで義妹にも 二人の心理学者による供述心理鑑定が行われました。

その結果、義妹は原口さんの事件を直結する話をするときだけ「驚きがない」などの不自然な点があることがわかりました。

つまりそれは「義妹の証言は 実際の体験に基づかない可能性が高い」ことを示唆しています。

さらに第三次請求で検察側に証拠開示をうながしたところ、これまで明らかにされていなかった実況見分などの写真が約700枚存在することが判明しました。

検察は「これ以上の写真は存在しない」と言い切ったものの、その1か月後には新たなネガフィルムが18本も出てきたとか。

一体どうなってるの、検察は!?

いずれにしても、鹿児島地裁は検察側の手持ちの証拠を明らかにした上で判断を下すという姿勢を示していることは評価できると思います。

二度目の再審開始決定が出るというのは、それだけ事件に冤罪のにおいがプンプンする表れだと思うんですよ。

証拠がいい加減なものだったとか、自白の強要とか いろんな可能性が考えられますが、これらはどれも裁判官の心証次第で結果ががらりと変わるもの。

なので再審でさえ、これからどちらに転ぶのかはわかりません。

大崎事件では東電OL殺人事件のように原口さんの無罪は確定するのか!?

最近はDNA鑑定の精度が昔とは段違いに向上したことから、再審で判決をひっくり返す事例を目にしますね。

記憶に新しいところでは 1997年の東電OL殺人事件は体液が容疑者のDNA型と一致しなかったことから 被告が再審無罪となっています。

1990年の足利事件では、被害者のシャツについた体液が被告のものとは違うDNA型だとわかり、こちらも無罪が確定しています。

1966年の袴田事件でも、衣類に付いた血痕のDNA鑑定から再審開始を決定し、現在も東京高裁で即時抗告審が続いています。

血痕や体液のような客観証拠が存在する場合は再審無罪へ動き出す確率は高いですが、この大崎事件に関してはそういったものがないだけに どうなる???という一面があります。

客観証拠がなく、共犯者とされる者たちの自白が有罪の根拠となっていたわけですから、再審で供述の信用性を覆すのは非常に難しいと考えられます(ましてや三人はすでに故人なので)

供述心理学鑑定により供述の信用性を否定することがどこまで通用するのか・・・。

「疑わしきは被告人の利益に」とは言われますが、実際の裁判ではなかなかそうはなっていないのが現状のような気もします。

大崎事件の再審では、義妹証言の信用性を否定する心理鑑定書が提出されており、これが「高い証拠価値がある」と判断されていることから もしかしたら・・・ひっくり返る可能性はゼロではないでしょうね。

原口アヤ子さんの長女と弁護団の鴨志田祐美事務局長はこういっていました。

長女
母は高齢だが、事件の事だけは頭から離れない。
検察は抗告(不服の申し立て)せず、無罪にしてもらわないと困る。
鴨志田弁護士
踏み込んだ判断で、司法の良心をひしひしと感じた。
原口さんは90歳。無罪を勝ち取らせたい

弁護団は最高検察庁を訪問し、即時抗告をしないよう要請しています。
 
  
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大崎事件再審請求審の争点

義妹の供述について

弁護団
原口さんが事件に関与したとする供述で不自然な点があり、体験していないことを語っている可能性が高い。
検察側
鑑定の分析対象が恣意的。
取調官の質問方法の違いなどが原因。
鹿児島地裁
不自然な点が多く、信用性を全面的に認めることは困難。

死因について

弁護団
窒息死の遺体に見られる死斑などが見られず、確定判決の死因(窒息死)と矛盾する
検察側
遺体が腐敗すれば死斑などは見られなくなることがある。
鹿児島地裁
窒息死したと推定したことには疑問が残る。

弁護団事務局長の鴨志田佑美弁護士は、最高検検事にこう言っています。

鴨志田弁護士
裁判所が悪いとか、捜査が悪いということだけを言いに来たわけではない。
38年前の刑事手続の中で、弁護人も十分な弁護活動をしてこなかった。
それぞれの法曹の先輩たちが犯した誤りを、今の私たちがみんなで、新しい科学の知見をもって改めていくことが、失われている司法への信頼を回復することになるのではないか。

即時抗告の期限は7月3日で、こちら↓に続きます。

大崎事件の再審請求の行方


 
 
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