鳥の産卵のメカニズム
卵の重さは例外もありますが、一般的には体重の3%といわれます。
ヒメウズラは体重が50グラム、オカメは100グラムなのに、卵の大きさはほぼ同じ^^;
産卵といえば、まず思い浮かぶのは家禽の卵(鶏やうずらなど)ですが、一般的に鳥類は日照時間の増加が発情の引き金になります。「光」という刺激から性腺ホルモンが分泌されて、発情してしまうのです。
それに加えて、鳥は卵が一定数になるまで産み足そうとする習性があります(←絶対ではないですが)だから養鶏場では一晩中灯りをつけたままにして産卵を促します。バタリ―ケージという金網でできたケージに鶏を入れ、産むそばから卵を取り上げていく。
こうすることで、最小限の物理的空間で最大限の収穫をしてるわけです。こういうのを考えると何だか切なくて、卵を食べたくなくなるのですが (w_-;
飼い鳥はオスがいなくてもメスだけでも発情し、産卵します。発情が続けば、多くの場合、産卵も続きます。
そんなとき飼い主さんが不用意に「また産んじゃったよ~」とばかりに 産んだ卵を次々に取り上げてしまうと、鳥は「まだ数が足りないんだよ!」とがんばって産み足してしまうケースが多いのです。
人や一般的な哺乳類とは明らかに違う鳥類の生殖メカニズム。ペアで交尾したからといって、必ずしも産卵につながるというわけではないし、生命の誕生は 未だにわからないことだらけです(>_<)
これはうちのビッグマミーが産んだお玉たち。1サイクルで連続8個産卵。うち、有精卵が7個。ここから5羽が孵り、元気に育ちました。
鳥類の産卵サイクルと卵詰まり
ほとんどの種類は、排卵から産卵までに要するのは24時間。
1回に1個のみ。2個以上つくられることはなく、その卵を24時間以内に生み出すことができない状態が「卵詰まり」と呼ばれるものです。
鳥類の産卵は2種類あります。補充性卵生と非補充性卵生です。
補充性卵生はニワトリのように、卵を取り除くとまた産んでしまうタイプで、一般的な鳥は「非補充性卵生」で、一定期間に一定数を産むタイプです。
オカメインコの産卵最高記録は連続80個
オカメインコは「非補充性卵生」のはずなのですが、現実は卵を取り上げると産み足す子が多いです。
飼い鳥化されている影響だろうか?うちのオカメも、卵を次々に取り上げたら、連続で9個産卵してしまったことがありました。
当時は、産卵シーズン最中に不用意に卵を取り上げることは良くないのを知らずに取り上げてしまったせいですが。
その9個産卵した子は決して多産系ではなく、通常なら5個しか産卵しないオカメインコ。おそらく わたしが不用意に卵を取り上げたことで、およそ倍数の産卵をしてしまったのだと推測します。
取り上げたからといって必ず生み足すかどうかは個体差があるので一概には言えませんが、産卵が止まるまでの間に卵を取り上げたいときは擬卵(ギラン)とすりかえるようにしてください。
不必要な産卵はリスクも不要なエネルギー消耗も高いので 絶対にNGです。卵を取り上げる時には必ず擬卵を足して 数の帳尻を合わせておきましょう。
オカメインコは毎日産卵しません。1日おきに卵を産みます。
オカメインコの産卵最高記録は、連続80個です。
80個って・・・信じられない(汗)
そりゃあ、やばいよ ( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚
鳥類はフンをするのも卵を産むのも一穴なんです。
なのに、うまれたての卵が汚れていないのはなぜか?というと、鳥の排泄器官(排泄腔)は産卵時に反転し、卵管口が排泄口に重なるからなんです。
だから卵が排泄物と接触することなく産卵されるんですね。なんとも不思議な構造だなあと思いますが。
オカメインコが卵詰まりを起こしたときの症状
卵詰まりになったメスはふつう巣箱から出てきて、いかにも具合が悪い様子になります。
バランス感覚がおかしくなるため、脚がぐらつき、とまり木に止まっていられなくなり、床に降りてしまいます。
この異常は、卵が輸卵管の下部で詰まり、障害物となってしまうことが原因で、卵が詰まっているため圧力がかかり、周囲の神経系が影響を受けるせいだといわれています。
オカメインコが卵詰まりが起こりやすいのはどんなとき?
女の子鳥がふらふらして床に下りてしまったら、卵詰まりの可能性があります。
卵詰まりは初産や多産の場合に良く起こります。
また寒い時期に起こりやすいです。
なぜかというと、冬は日光浴不足になりやすいから。
冬季に卵詰まりがおきやすい理由は寒いからではなくて、ここにあるんです。
寒い時期はガラス越しの日の光しか浴びられないことも一因でしょう。
ガラス越しの日光浴ではb波がほとんどカットされてしまうため、ビタミンDがうまく吸収されないのです。
オカメインコの卵詰まりの原因
カルシウム不足
卵殻のカルシウム量は血中カルシウム量よりも多いということです。だから卵がつくられる時には、食物や骨からカルシウムを総動員しているのだとか。
カルシウムが欠乏=低カルシウム血症になると卵殻がうまく作られなかったりして、卵詰まりが起こります。だから、カルシウムの適度な補充は産卵期には必須です。
初産・多産
オカメインコの1羽飼いでも、産卵してしまうケースは少なくありません。
飼い主さんが体を触ることで過発情を誘発してしまうことがよくありますので、ちょっとさびしいですけど、お年頃オカメインコへのスキンシップはほどほどにしたほうがいいですね。
運動不足
運動不足も卵詰まりが起こりやすくなる一因ですから、手乗りの子は適度に放鳥させてあげたいですね。
オカメインコが卵づまりかも?と思ったら気を付けるべき2つのこと
卵詰まりかな?と思ったら、軽度であれば、暖かい保温容器にいれて安静にしていれば、がんばって自力で産卵できることがあります。
ですが、あまり長引くと命に関わることもあるので、お医者さんに連れて行くのが賢明です。
そのときに詰まっている卵をお腹を押すことで壊してしまうと、腹膜炎を起こす可能性があります。
女の子をを捕まえる時の扱いはソフトにやさしく注意深く。
お医者さんに連れて行くために捕まえるにも ぎゅっと握るのは危険なので、注意してください。
オカメインコの卵詰まりの医療現場での治療
うちは幸い、今のところ、卵詰まりを起こした子が出たことがないのですが、以前小鳥の獣医さんを受診したときに、参考に卵詰まりの処置を先生に尋ねたことがあります。
卵詰まりの処置には 低カルシウム血症の場合はカルシウム剤を注射するんですって。
カルシウム不足やカルシウム代謝の異常で卵殻が柔らかなゴム状になってしまうので、筋肉が卵を卵管から送り出せなくなっているのが卵詰まり。
だから注射でカルシウムを送り込んでやるのが、効果があるのだということです。
それでも卵を生み出せない場合は、卵の中身を吸い取ったり、殻を砕いて摘出したり、それでもだめなら開腹手術になると。
何度も繰り返し卵秘が続く場合は、卵管摘出という手もあるそうです。
オカメインコの卵詰まりの予防のためにできること
過発情の予防
重ね重ねいいますが、卵詰まり予防のためにいちばん効果があるのは発情させすぎないことです。
本能による発情は不可抗力ですけれど…だって本能として備わっているのだから「発情するな!」なんて言えませんよね。
そうではなくて、人間とのかかわりで過発情になっているケースが少なくないという話です。
お年頃女の子鳥は、手乗りだとスキンシップで発情してしまうことがあります。
ほどほどであればいいのですが、それでしょっちゅう産卵してしまうとしたら、それは完全なる「過発情」状態ですので、ご注意を。
犬・猫は人に恋をしませんが、鳥は人に恋をします。これは飼い主さんがしっかり認識しておいたほうがいいです。
光(明るさ)の管理
あとは、1年中 快適すぎる環境で、飼い主さんと一緒に夜まで起きていることも、過発情の一因です。
この記事の初めの方にも書きましたが、発情は光が大きく関与してますから。
温度管理
それと発情には 飼育するときの温度も関係しています。
オカメインコに関していえば、彼らは本来 寒さに強い鳥種ですから、実は暖房にそんなに神経質になることはないんです。
極寒の地域は別として、日本のほとんどは温帯に属しているのですから 健康体なら寒さに少しずつなれさせていけば、ヒーターを四六時中使う必要はありません。
四季感を感じさせる環境が理想
さらに食べるものに不自由がなく環境があまりにも恵まれすぎていると 鳥は四季感を感じることがなくなります。
その結果、1年中産卵してもいいと思ってしまうし、そうすると 発情シーズンなど関係なく、年がら年中卵を産んでしまいます。
ぶっちゃければ究極な話、うちの子が老鳥であれば環境を整えてあげる必要がありますが、飼い主が過発情に悩むような若い鳥たちには、そんなにぽかぽかな環境は要らないということです。
オカメインコは強くて丈夫で長生きする鳥です。
「オカメインコは弱い」神話がささやかれていますが、それは半分はウソです。
落鳥率が高いのは生後1年未満の幼鳥であって、それの時期を乗り越えた若鳥は先天的な疾患を持っていない健康体であれば、とても丈夫で長生きする種ですから。
平均寿命は18年前後で 犬・猫よりも長生きですし、20~30歳まで生きる子も珍しくはありません。
だから、オカメは弱い!なんて決め付けずに、若い子はあまり過保護にする必要はないことを知っておいてほしいと思います。
微量栄養素と日光不足を予防する
そのほかに大切なのは適切な栄養管理。
ビタミンDとカルシウム不足に気をつけて、日光浴も時々させること。
ガラス越しでは日光浴にはならないことも知っておいてください。
紫外線のB波(UV-B)は、ガラスを通過することができないからです。
だから ビタミンDを取り込むには、屋外でUV-Bを直接浴びることが必要なのです。
冬場はどうしても屋外に出してあげることができずに、日光浴不足に陥りがちです。
そういった場合は、スパイラルライトを使う方法もあります。
スパイラルライトの多くは爬虫類用ですが、それは小鳥には強すぎる場合もありますので、小鳥には小鳥用のものを使いましょう。
オカメインコの卵詰まりを早期発見するには
卵詰まりを早期発見するには、当たり前なんですが、日ごろからよく愛鳥を観察することです。
特に、普段まめに体重測定をしていると、異変に気付きやすいですよね。
毎日は無理でも もしかして今 発情期かな?と思った時には その期間だけでも できれば毎日体重測定をすると、微妙ではありますが その測定値で卵があるかどうかを概ねチェックできます。
それよりもさらに確実な方法はお腹を触診することです。
お腹を触ると卵があるかどうかがほぼわかります。
それには、人の手で捕まえられて触られても大丈夫なくらい、小鳥と仲良くなっておくことも必要ですね。
オカメインコの卵詰まりの病院での治療費はいくら?
触診して卵があるのがわかっているのに24時間産卵しない場合は「卵詰まり」の診断が下ります。
ですから苦しそうにしているときと同様に、病院に相談してください。
卵詰まりをオイルなどを使って、自分で取り出すという人もいますが、素人の荒療治ではどうにもできない場合も多いですし、命に関わることもあるので、病院に相談するのが賢明です。。
治療費に関しては、うちの子が卵詰まりで病院のお世話になったことがないですし、病院や鳥の種類、治療内容によってケースバイケースですので、ここでは何とも断言はできません。
ただ、参考のためにひとつ書いておきますが。
うちのかかりつけの病院では 糞便検査と投薬だけで5000円前後かかるので(初診料込みで) 注射で+アルファの数千円増しとか、外科的治療になれば1万円は越えるんじゃないかなあ・・・と推測します。
これはあくまでも、わたし個人の推測ですので、念のため。
オカメインコが卵詰まりかな?と思ったらどう対処する?
こういう緊急時は、まず保温してあげるのが基本です。
プラケースやガラス水槽などに小鳥を隔離して、保温して少し様子を見てから、あわてず落ち着いて、臨機応変に対処してください。
アクリルケージがあれば、こういう場合に小鳥を移動しないですみます(いつもの鳥かごのまま過ごせる)
水槽に移動させるよりもずっと鳥にかかるストレスを減らせますから、看護病棟用にアクリルケージをひとつ用意しておくと重宝します。
看護ケース内の保温は 内部の空気を28~30℃くらいに温めます。
32度以上になると鳥が脱水症状を起こしますので、保温ケースを使っての温度管理には必ずサーモスタットを使いましょう。
卵詰まりは保温してあげるだけで、何とか自力で産み落せる場合もあるのです。
ただし、しばらく様子を見ていてもそれが難しいようなら できるだけ早く小鳥の診察ができる病院を受診してください。