オカメインコの挿し餌について、正しい方法と注意点を詳しく解説します。雛の健康な成長のために、挿し餌の温度管理や給餌量、タイミングなど、細かな配慮が必要です。
多くの方が「雛の挿し餌、本当にこれで合っているのかな?」「温度や量は適切?」といった不安を抱えているのではないでしょうか。実は、オカメインコの挿し餌には、温度管理と保温という2つの重要なポイントがあります。
挿し餌は40~42℃の適温を維持し、雛の住まいは28~30℃で保温することが大切です。また、1回10~15gを目安に、3~4時間おきの給餌が基本となります。
この記事では、オカメインコの雛を健康に育てるための挿し餌の具体的な方法について、詳しく説明していきます。
適切な温度管理と給餌のタイミング
雛が餌を食べない時の対処法
パウダーフードを基本とし、青菜粉末を加えることで野菜好きな食習慣も育てられます。また、体重測定をしっかり行うことで、成長段階に応じた適切な給餌量を把握できます。
愛鳥の健康を第一に考え、安全な挿し餌の方法を身につけていきましょう。
この記事は「オカメインコの挿し餌」をテーマにしていますが、オカメインコに限らず挿し餌するインコにほぼ共通した内容です。
オカメインコの挿し餌はパウダーフードにする【大前提】
オカメインコの挿し餌にするパウダーフードはお迎え当初は雛が元いたペットショップやブリーダーが与えていたものと同じものを使用してください。
オカメインコの雛が新しい環境に慣れてなじんできたら、飼い主さんの裁量で別のパウダーフードに切り替えても大丈夫です。
生まれたて雛にも問題なく使えた!インコ用パウダーフードのおすすめ4選
雛の挿し餌には粟玉とパウダーフードを混ぜて与える方法もありますが、個人的にはおすすめしません。
個人的見解ですが、私はオカメインコの挿し餌はパウダーフード主体がいいと思っていて、そこに加えるとしたら青菜のすりつぶしや粉末を混ぜ込む程度です。
粟玉は混ぜません。
市販の青菜粉またはすりつぶした生の青菜は、野菜好きの鳥の味覚を育てる下地となりますので、入れた方がいいです。このころから青菜の味を教えてあげないと、野菜を食べないインコになってしまいます。
これは一生涯の食生活に関わる由々しき問題です。幼いうちから野菜の味を、飼い主さんが意識的に教えることがとても大切です。
オカメインコの挿し餌の作り方
- パウダーフード
- 挿し餌を作る容器
- 湯煎する容器
- 挿し餌スプーンまたはシリンジ
- 温度計

- STEP1お湯を冷ます沸騰させたお湯を60℃まで冷まします。60℃を超えるのは厳禁です。
- STEP2挿し餌を作るパウダーフードにお湯を入れ、よくかき混ぜます。コーンポタージュくらいのとろみがベストです。
- STEP3適温まで冷ますお湯の温度が、40〜42℃になったら雛に挿し餌を与えます。
- STEP4適温を確認して与える与えるときは、挿し餌が冷めないように湯煎をしながら与えるのがポイントです。
挿し餌を熱いまま雛に与えると口の中やそのうをやけどしてしまうので、温度計で適温になったことを
しっかりと確認してください。
逆に、挿し餌が冷たすぎると雛が食べなくなることがありますので、挿し餌の適温をキープするために
湯煎をしながら与えるのがポイントです。
挿し餌を雛にあげるときは挿し餌専用スプーンかシリンジを使います。
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オカメインコの挿し餌のやり方とコツ
オカメインコの雛に挿し餌をあげるときは、雛のくちばしを上に向けて、上から流し込むようにして食べさせます。
お腹を空かせた雛は勢いよく餌を食べるので、このとき鼻の中に挿し餌が入らないように気をつけましょう。
一回に与える量が多いと、雛がガツガツ食べているうちに体に餌が飛び散ってしまうので、少しずつ餌を出して与えてください。
雛がなかなか口を開いてくれないときは、くちばしの付け根付近を軽くトントンと刺激すると開けてくれます。
オカメインコの挿し餌の量は?
オカメインコの雛に適した挿し餌の量は、1回に10〜15g程度が目安となりますが、基本的には口を開けなくなるまで与えることや、4〜5時間でそのうが空になるくらいが適した量といえます。
きちんと餌が食べられたかや順調に成長しているかを把握するために、挿し餌の前と後で雛の体重を計測することも大切です。
雛の体重計測だけでなく餌の計量にも使うので、クッキングスケールをインコ用にひとつ用意しておくといいでしょう。
鳥用には0.1g単位ではかれるスケールがおすすめです。
オカメインコの挿し餌の回数や時間は?そのうを空にしないのがポイント
オカメインコの挿し餌の回数や時間は一般的には7時から19時くらいの間で、3〜4時間おきに挿し餌をするのが良いといわれています。
幼雛は1日4回の挿し餌から始めて、3回→2回と、少しずつ回数を減らしていきます。
つまりそ嚢内の食物が少ないほどそ嚢内から食物が胃へ出て行く速度が遅くなります。これは雛を育てる上でも重要で、そ嚢には常に餌が入っていることで1日に摂取できる餌の量を増やすことができます。そ嚢が空になってからさし餌すると摂取量が減ってしまいます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 3, 2021
親鳥は雛のそ嚢が空になってから与えることはなく、常にそ嚢に餌が入っているように食べさせます。空になってから食べさせるのは、消化管の機能から見てもやらない方が良いと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 3, 2021
オカメインコが挿し餌を食べない理由と対処法
雛が餌を食べてくれないときはいくつかの対処法を試みてください。
オカメインコ雛の環境や状態の変化を少なくする
オカメインコはとても繊細な鳥です。
雛だけでなく成鳥でさえも環境の変化があったり餌が違うものに変わると、食べなくなってしまうことがあります。
餌だけでなく、与えているシリンジやスプーンが変わるだけでも食いつきが悪くなる子もいますので、元いた場所で使っていたものと同じ用品・フードを揃えるのが望ましいです。
さし餌が薄くて腎臓、肝臓に負担がかかることはないですが、栄養摂取量が減るので、適切な濃度で与えた方が良いです。あまり食べないヒナに対して、薄くした方が食べるならそれで良いですが、その状態が続くと栄養が足りなくなるので、早めに病院で診てもらった方が良いです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 16, 2020
オカメインコ雛の住まいをしっかりと保温する!保温なしでは雛は生きられません
オカメインコの雛に限りませんが、幼鳥は体温調整ができないため、雛の住まいは28〜30℃くらいの温度をキープしてください。
寒いと食欲が落ちてしまい、挿し餌を食べなくなってしまうこともよくあります。
丸一日空腹になると命を落としてしまう危険性がありますので、どうしても挿し餌を食べないときは強制給餌が必要な場合もあります。
当院では強制給餌はステンレス製のゾンデを使っています。そ嚢まで挿入して流動食を注入します。この手技ができるようになるにはかなりの経験が必要です。自宅で市販のフードポンプで強制給餌しようとして食道やそ嚢を傷つけて来院することがありますので、自信のない方はやらないことをお勧めします。 pic.twitter.com/S3smfiz4Js
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 25, 2021
強制給餌をいきなり自分でやるのはほとんどの方には無理だと思いますので雛が餌を食べられない時には
様子見するのではなく、動物病院に相談してください。
オカメインコの挿し餌の温度を40〜42℃にキープする
挿し餌が冷めてしまっただけでも雛は餌を食べなくなります。
挿し餌はしっかり湯煎をして、温度を40〜42℃くらいに保ちながら与えましょう。
一度冷めてしまった挿し餌を電子レンジで温めるのはNG です。気を付けていても一気に煮えます。
挿し餌の温めや温度のキープは必ずゆるやかな湯煎で温めるのが望ましいです。
理由があって挿し餌を食べない~オカメインコ雛が飛び立つための準備をしている
オカメインコの雛は生後4週前後で飛び立ちます。
保温ケースの中で羽ばたきの練習が始まったら、初飛行の日が近いと思ってください。
まだあまり筋肉がついていない状態ですから飛行自体はすごくへたくそですが(笑)生後ひと月前後でがんばって自力で飛び立ちます。
翼を使って空を飛ぶには体が重くてはいけません。
飛べないことはないですが飛びづらいですよね、重たいと。
そこで雛の減量大作戦が始まります。

生まれたては10g。遺伝の法則でこの時点ですでにメス確定のオカメインコ雛

生後2週齢のオカメインコ雛。ハゲハゲのむっちむちでもずっしり79グラム(笑)

生後4週齢。初飛行直後の興奮が冷めやらない オカメインコノーマル(オス)体重95g
我が家生まれのオカメインコ雛の場合、3週齢の体重が100~110グラムくらいです。
さすがに100グラム超えだと飛ぶには体が重いらしくて、多分それを鳥自身も本能で悟っているんでしょうね。
雛自身が食べる量をセーブして1週間くらいかけて5~10パーセントくらい体重を落としてきます。
初飛行記念日に体重測定すると90~100グラムくらいになっている子が多いです。
羽ばたきしている瞳がキラキラしていて元気があるなら、餌を食べる量が少なくなってもあまり心配ないことが多いです。
それは鳥自身が自立する時期に来ていることを意味しているからで、初飛行が早い子は一人餌になるのも早いです。
飼い主さんはその見極めに不安を感じることもあると思いますので、体重が落ちてきて心配な方は早めに動物病院に相談した方がいいでしょう。
オカメインコの挿し餌は適温と保温がポイント【総括】
パウダーフードを基本とした挿し餌の選択
40~42℃の適温維持が重要
1回10~15gを目安とした給餌量
3~4時間おきの定期的な給餌
28~30℃での雛の保温管理
湯煎による安全な温度管理
青菜粉末の添加による野菜嗜好の育成
体重測定による成長管理
生後4週前後での飛行準備期間への対応
環境変化による食欲低下への適切な対処
専用スプーンやシリンジの使用
そのうを空にしない給餌タイミング
強制給餌が必要な場合の獣医師への相談
オカメインコの雛育ては慎重な温度管理と適切な給餌が必要な繊細な作業です。不安なことがありましたら、まずは動物病院に相談することをおすすめします。経験豊富な獣医師のアドバイスを受けることで、安全に雛を育てることができます。