小鳥も人間と同様に循環器(心臓)の病気があり、小鳥の心疾患は聴診やレントゲン検査、超音波検査、心電図などで診断されます。
しかしながら飼い鳥の心疾患については専門家でも未だよくわからないことが多い領域です。
オカメインコの突然死を招く心不全の病気のサインは肩の上がりだった
鳥は専門に診てくれる病院が少ないだけでなく、患者の臨床例でも心疾患の報告はとても少ないことも その理由のひとつです。
愛鳥がお星様になってから病理解剖に回した結果 死因が心疾患によるものだった診断が下ることが多い・・・つまり生前の鳥の心疾患の診断はなかなか難しいということです。
小鳥の心疾患は肥満だけが原因というわけではなく、皮膚からの細菌感染(感染性の心不全)もあります。
また、心臓が悪いことに気づかずにいるところへ運動や大きなストレスなどがかかると突然死するケースも少なくありません。
感染性心不全は若い鳥に多いのですが、心不全自体は加齢と共に増加します。高齢のブンチョウやラブバードに多い傾向があります。
心疾患の症状は ①突然死 ②運動不耐性(安静時は正常だが、運動後 特に飛翔後に呼吸促迫や疲れ、虚脱の症状) ③呼吸困難 ④腹水 ⑤咳 ⑥頸静脈怒張(頸静脈が膨らんだ状態)など。
※鳥の場合、X線検査をしても心臓の形から心疾患を識別するのは難しい。
via:コンパニオンバードの病気百科
この記事では 心不全の診断が下されたオカメインコのふくちゃんのこれまでの治療や経過、日常生活で気をつけていることなどを 飼い主さんの寄稿で紹介していきます。
とても勉強になりますので、ぜひ読んでみてください。
オカメインコの右肩が上がっている!痛がる様子は見られないけど何かおかしい…
これはオカメインコの飼い主さんの寄稿です 我が家にはオカメインコ2羽、セキセイインコ4羽がいます。
今回はオカメインコ6歳のシナモンパイド・メス、ふくちゃんの闘病生活について紹介します。
ある日の放鳥タイムで皆を遊ばせていた時に、私はふくちゃんの異変に気がつきました。
右肩が不自然に上にあがってる状態に気づいたのです。
それに気づく直前まで飛んで遊んでいたので、
・・・と思いました。
しかし、それにしては本人も痛がってはいない。
食欲もあり、右肩が上がっている以外は いつも通り いたって元気です。
本人も右肩が少し気になってるようなそぶりを時折見せていましたが、私はそれをあまり重大視することなく、
・・・と思いました。
しかし、それから3日たっても ふくちゃんの右肩があがったままです。
なにか嫌な予感がした私は いつもお世話になっている小鳥のクリニックへ ふくちゃんを連れて行きました。
「この子は心不全を起こしている。飛ばしちゃだめだよ!」
病院ではすぐにレントゲン撮影をしました。
さらに心音や呼吸音の診察をしたとき、ドクターからこう言われました。
そのときに見せられたレントゲン写真の、あまりにも大きく肥大した心臓に 私は絶句しました。
思ってもみなかった まさかの診断です。
ドクターの聴診器で、ふくちゃんの心音を聞かせてもらったところ、トントントントンと聞こえるはずの鼓動が、トントン……何秒か止まり、またトントン…また止まり…の繰り返しでした。
本当にこの段階で異変に気づけて、不幸中の幸いでした。
とりあえず病名がわかり一安心ではありますが、心不全だなんて・・・。
ひとまずこれ以上ふくちゃんの心臓に負担がかからないように 治療方法と今後について ドクターと相談しました。
心臓に負担をかけさせないクリッピングと闘病生活と食餌制限の始まり
心臓に負担を掛けたら命取りになるため、まずはふくちゃんが飛べないように 翼をクリッピングしました。
さらに毎日、朝晩の降圧剤の投与があります。
その降圧剤は一度でも投与し忘れると鳥が亡くなってしまう可能性がある…ということで、私にとって責任重大な課題です。
小鳥の病院からは食餌にも指導が入っていました。
ふくちゃんの心臓をこれ以上悪化させないための重要任務の本格始動。私は毎日アラームをつけ 投薬を絶対に忘れないようにしました。
放鳥したときにふくちゃんが急に飛び立とうとしないよう細心の注意を払うため、常に私が目の前にいる状態でケージから出したり、ストレスがたまらないようにいっしょに遊んであげる工夫しました。
飛ばなくなったら体重増加!ペレット食に切り替えて闘病生活再スタート
病院の受診から数日後、ふくちゃんに投薬の効果が現れ始めたのか、あがった右肩が次第に元の位置に戻ってきました。
クリニックに再診した時にも再びふくちゃんの心音を聞かせてもらったのですが、このときのは多少乱れてはいたもののしっかり鼓動は聞こえていて、前回との違いがはっきりわかりました。
これにより、治療効果が確実に上がってきていることを実感できました。
このときにふくちゃんの体重を計ったのですが、何故か83gから92gまで増加していました。
この理由は ドクターによると、
・・・ということでした。
食餌をシード食からペレットを中心とした内容に移行し、さらにダイエットを意識しながらの闘病生活を続けていくことに決まりました。
投薬に食餌制限を組み合わせた闘病生活を続けたのちに、再度クリニックを受診したところ、前回92gまで増えていた体重は85g程度まで減量できました。
また心音も落ち着いた状態で さらに快方に向かっていることがわかりました。
ふくちゃんの治療にとことん付き合っていく覚悟を決めた!
最近のふくちゃんは少しずつ羽も伸びてきてジャンプ程度に飛べる?ようになってきています。
そこで心臓に無理のない範囲で 動く時間を増やしていっています。
この投薬治療を初めてから早10カ月が経とうとしています。
現在も以前のように ふくちゃんを思いきり自由に飛ばせてあげることは出来ませんが、少しくらいなら飛んでも肩が上がらない程度にまでになりました。
投薬治療は薬代(降圧剤3本・1本で1週間分ほど)だけで7200円ほどかかります。
決して安いものではありません。
そこに診察が加わるので あわせて1万円強の治療費がかかっていますが、ふくちゃんの命には替えられない出費です。
実は私の自宅から小鳥の病院まで遠距離であるため、降圧剤は3本目をあけたら すぐ病院に電話をして郵送してもらっています。
その病院側の配慮がとてもありがたく、そのおかげもあって 今までふくちゃんとの二人三脚ががんばってこれたのです。
これだけ毎日投薬を続けていると ふくちゃんもそれが日課だと認識してくれたらしく、自ら口をあけて 飲みたくもないお薬を我慢して飲んでくれるようになりました。
また羽が伸びてきてしまうと どうしても習性上飛んでしまうので、先日もまたクリッピングしてきました。
心不全が発覚して初めの3か月間は症状が落ち着くまで月1ペースで通院していましたが、今は2ヶ月に1度の通院ペースになりました。
しかし残念ながら この心不全は完治することはありません。
ですが ふくちゃんはドクターに診察のたびに「シャーッ!」と威嚇するほど元気です(笑)
ふくちゃんの心臓がいつまでもつかは分かりませんが…唯一無二の大切な家族であるふくちゃんの治療に 私はとことん付き合っていく覚悟を決めています。
子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人で、これは鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)に役立つ情報や体験談を集めたコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新します。