おひとりさまの老後!認知症に備えた保証人・資金・看取り・住まい
おひとりさまが心配になることのひとつに認知症があります。
認知症になってお金の管理が自分でできなくなったら生活ができませんし、高齢になればなるほど詐欺や悪徳商法の魔の手が忍び寄る確率も上がります。
警察庁の発表によると、高齢者を狙ったオレオレ詐欺や振り込め詐欺の被害は8年連続で300億円超えだということです。
電話による詐欺ばかりでなく、リフォーム詐欺や訪問販売のトラブルなども多発しています。
騙されているのに当の本人がそれに気づかなかったり、だまされたこと自体に恥ずかしさを感じて誰にも相談できないということもあります。
高齢になると認知症でなくても判断能力が鈍ってきますので、こういったトラブルや詐欺に遭いやすくなるので注意が必要です。
おひとりさまは成年後見制度に早めに着手する方がいい
認知症が心配な人に有効な制度として「成年後見制度」があります。
これは認知症や高齢化により判断能力が低下し、日常生活に支障が出てきた人を、後見人が支える仕組みです。
選ばれた成年後見人が 財産管理と身上監護を行って被後見人を守ります。
- 預貯金や現金の入出金管理
- 資産管理と処分(不動産や車など)
- 税金の申告と納税
- 年金の申請と受け取り
- 遺産分割
- 病院の手続き・支払い
- 医療・福祉サービスの手続き
- 住居の手続き・契約・支払い
- 生活状況の定期的な確認
後見人の仕事は介護保険や病院等の手続きをすることです。
日常的な家事や介護、買い物などの行為は含まれていませんので、これらは介護保険のヘルパーを利用することになります。

認知症に備えておひとりさまは任意後見人を決めておこう
成年後見人には「任意後見人」と「法定後見人」があります。
法定後見人と任意後見人
法定後見人はすでに認知症で判断能力が衰えてきた場合に家庭裁判所で選ばれます。
任意後見人は、まだ判断能力が十分にあるうちや 今すぐに後見制度を利用したい場合に選びます。
判断能力がしっかりしているうちに人選するので、自分で好きな人を後見人に選べます。
判断能力があるうちに任意後見人を選んでおく
任意後見人は未成年や破産している人以外であれば、裁判所が認めれば誰でもなれます。
信頼できる人を選べるので家族でも友人でもOKです。
身近に頼める人がいないなら弁護士や司法書士、税理士、社会福祉士などの専門家にお願いすることもできます。
後見人が決まったら契約書は公正証書として、公証役場で作成します。
認知症になってしまったら
実際に認知症になってしまったら、親族や後見人が家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人を選定してもらいます。
この任意後見監督人は、後見人が被後見人に不利益なことをしないかどうかを監視する役目です。
この家裁への申し立てが後見の開始となります。
それまでは契約を結んだだけです。もし最期まで認知症にならなければ、この契約を使わずに生涯が終わりますので 備えとしてのお守りのようなものですね。
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身寄りのないおひとりさまは任意後見契約だけで大丈夫?
実際問題として判断能力が低下したかどうかは自分自身ではわかりません。
自分でわかるようなら認知症ではないです。
また任意後見の契約だけでは、生活していくうえで不十分な場合もありますので、自分のライフスタイルに合わせて必要な契約をプラスしていくことができます。
おひとりさまには見守り契約が有用
おひとりさまの場合はなおさら自分の判断能力の低下をよくわからないことが多いですから、それに備えて「見守り契約」を任意後見契約とセットで結ぶのがおすすめです。
見守り契約をすると後見人が定期的に連絡を入れて、最近の健康状態や生活状況を確認してくれますので、身寄りがない人にはとても良いシステムだと思います。
最近社会問題になっている孤独死を回避する効果も見込めます。
死後事務委任契約までやっておくと安心
後見人は財産管理と身上監護を担当しますが、被後見人が亡くなればその時点で仕事は終わります。
死後の一連の手続き等まで続けてやってほしい場合は、必要に応じて死後事務委任契約を結びましょう。
任意後見人の契約で注意することは、任意後見人には同意権、取消権が与えられていないことです。
例えば被後見人が不動産を売る契約を結んでしまったとして、それが間違いだったとわかっていても、後見人にはそれを取り消すことはできません。
もしも同意権や取消権が必要になったら、任意後見人を法定後見人に切り替えなければなりません。
この切り替えには親族や後見人、本人の申し立てか必要となります。
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リビングウイルと同時に最期の緩和ケアや終の住処について考えておく
リビングウイルと併せて 最期に自分がどこで息を引き取りたいかを考えておくことも大切です。

終の住処を慣れ親しんだ自宅にするのか、病院や老人ホーム、緩和ケア病棟、ホスピスなどの施設という選択肢があります。

病院は人を生かすために治療を行うと同時に 終末期で延命治療をやめた後の看取りは緩和ケア病棟などで担当します。
終末期には 誰でも高い確率で肉体的苦痛が発生しているはずですが、痛みだけではなくさまざまな不快感や苦しさがあるなら緩和ケアを積極的に行ってもらった方がいいと思います。
最期の日までできるだけ苦痛の少ない日々を過ごし、最期は「痛くない死に方」をしたいと思うのは万人共通の思いです。