30代女性の寄稿 これは私が自宅で体験した不思議な出来事です。
新生児の子供が夜中に頻回起きる為、主人や上の子の睡眠を妨げないように別室で寝ていた時のこと。
隣で寝ているわが子とは違う、遠く離れた場所から聞こえる赤ちゃんの泣き声に気づきました。
水子の霊体験!7年前に中絶した赤ちゃんが命日に会いに来た話
声を聞いてすぐに起き上がろうと思ったのですが、目は開くのに体はぴくりとも動きません。
いわゆる金縛りの状態です。
子どもに背を向ける形で寝ていた為、一度わが子の顔を見ようと試みましたが 体がかちこちに固まって動かず。
目では確認はできなかったのですが、耳を澄ましてみると 我が子は静かな寝息を立てているのがわかりました。
でも、わが子とは別に はっきりと赤ちゃんが泣いている声が聞こえるのです。
…と私は心の中でパニックになりました。
体が動かないので しばらく思考だけ巡らせていると、目の前に置いてあるバウンサー(ベビー用チェア)が 誰も乗っていないのに動き始めたのです。
これを見たときに、
…と感じました。
姿は見えなくても赤ちゃんの声が聞こえ バウンサーはすごい音を立てて 勝手に動いているのです。
私は今までに心霊体験などしたことがなく、そういったものが視えたことも感じたこともありませんでしたが、
…と思いました。
依然として体はまったく動けず、首を横に向かせたくても それすらできず。
かろうじて目だけが左右に動いたので、私には真っ暗闇の中の目をキョロキョロさせていましたが、何も見えませんでした。
その時にふと思い出しました。ずいぶん前ですが、父がハワイで金縛りにあったことを。
…と父はその時言っていました。
それで私も心の中で強く念じてみました。
しかし、得体の知れないものはなかなか泣き止まず、バウンサーも止まりません。
私はひたすら謝り続けました。
かれこれ20回ほど「ごめんなさい!」と念じていると、フッと体が軽くなり 金縛りが解けて ようやく動けるようになりました。
あわてて後ろを振り返ると やはり我が子はすやすやと眠っています。
しかしよく目を凝らすと 子どもの背中側にもう一人の赤ちゃんのような大きさの「何か」が座っていました。
恐怖に凍りついた私は 怖くて怖くて 再び泣いて謝り続けるしかありませんでした。
どのくらいの時間が経ったのか 卒倒していた私にはよくわかりませんが、ふと気がつくと その「何か」はもう消えていました。
初めての恐怖体験の恐ろしさと「何か」が消えてくれてホッとする気持ちから、私はその場でしばらく放心していました。
しばらくしてから落ち着きを取り戻し、どうしてあの赤ちゃんの幽霊みたいな「何か」が現れたのだろうと考えていました。
あれこれ思いを巡らせているうちに、ふと視界に入ってきたカレンダーを見て 私ははっと気がつきました。
私は7年前の同じ日に 当時付き合っていた彼とのこどもを堕してしまったのです。
なんとなくですが、雰囲気からして女の子の様な気がしました。
あの子が私に恨み言を言いに来たのか、それとも命日に自分を思い出してほしかったのか…。
私はただひたすら中絶した子どもに対して申し訳ない思いでいっぱいになりました。
私はその日のお昼にお寺に行って手を合わせて、「本当にごめんなさい」とあの子に伝えました。
私の思いが届いたのかどうかわかりませんが、あれ以来、あの子は1度も私のところには来てくれません。
もし もう一度会いに来てくれたなら 今度は「ごめんなさい」以外の言葉をかけたいと思うのですが。
…などと思い浮かびましたが、元彼は当時も私が手術した日を覚えていないくらい無頓着で、供養もろくにしておらず、反省すらありませんでしたから、あの子は薄情な父親のところには行っていないでしょう。
私は「ごめんなさい」と「忘れないよ」の気持ちを込めてこの体験を記しました。