マツダ本社工場連続殺傷事件

マツダ本社工場連続殺傷事件 引寺利明

2010年6月22日午前7時38分、引寺利明(ひきじとしあき・42歳・元期間従業員)がマツダ・ファミリアに乗り、広島県広島市南区のマツダ本社宇品工場で警備員の制止を振り切り侵入し、猛スピードで構内を走りながら 4ヵ所で7人をはねた。

さらに工場内にある専用の端を渡り、本社工場に侵入し、3ヶ所で5人をはねた。

そして引寺利明は 午前7時45分に、南区大州の北門から逃走した。

引寺利明は数分間に工場内を約9.3キロ走行し、12人をはね、車のフロントガラスを激しく破損、ボンネットも変形させた。

被害者12人のうち、マツダ社員のHさん(39歳)が亡くなり、11人が重軽傷を負った。

被害者12人には広島中央労働基準監督署により労働災害認定が下されている。
 
 
引寺利明は犯行後に「わしがやった」と自ら110番通報した。

広島県警の捜査員が広島市府中市の山中で引寺利明と車を発見し、車内に刃渡り18センチの包丁を所持していたことから、殺人未遂および銃刀法違反の疑いで逮捕した。

その後の現場検証で、現場にブレーキ痕がなかったことや、被害に遭った12人全員が歩道や歩行帯にいたことがわかったことなどから、引寺利明は殺人容疑で再逮捕された。
 
 




 
 
マツダ本社工場連続殺傷事件 引寺利明
via:【マツダ本社工場連続殺傷事件】事件現場(大島てる)

 
引寺利明は1986年に広島市内の工業高校を卒業後、マツダと取引のある地元の部品メーカーに就職した。

1992年2月に退社し、派遣社員として自動車関連の10社以上の仕事を経て、2010年3月に期間従業員としてマツダに直接雇用されていた。

そのときの実質勤務時間は引寺が辞職したことからわずか8日間だったが、周囲に「自分のロッカーから物が盗まれた」などと話していた。

4月中旬には「誰かが自宅に侵入して物を動かしている」と警察に訴えていたが、いずれも裏づけは取れていない。

逮捕後の取調べでは「マツダに恨みがあった」と供述しており、今回の犯行は2008年に発生した「秋葉原無差別殺傷事件をまねしてやった。マツダの従業員なら誰でもよかった」とも供述した。
 
 
精神鑑定の結果、広島地検は引寺利明に完全責任能力があると判断し、2010年10月29日に殺人罪などで起訴した。

しかし被告側との間で責任能力や殺意などの争点を巡る意見が食い違っており、裁判の開始が大幅に遅れた。

一審の初公判は2012年1月26日に裁判員裁判となった。

審理過程で引寺利明は被害者遺族に「100万円差し入れて」などと支払われた保険金を要求するなどの 特異な行動を起こしている。

2012年3月9日、広島地裁は被告人の完全責任能力を認め、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

この判決について引寺利明被告は「マツダ従業員による嫌がらせ行為が妄想と判断されたことが不服である」として控訴。

2013年3月11日、広島高裁は「被告に殺意があり、完全責任能力があると認めた一審判決に不合理があるとは認められず、法令適用の誤りもみられない」として、被告側の控訴を棄却。

2013年9月24日、最高裁判所は被告人の上告を棄却し、引寺利明の無期懲役判決が確定した。
 
 
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マツダ本社工場連続殺傷事件 引寺利明