コザクラインコの飼い主の寄稿です
気性が荒く強く噛むこともあるために敬遠されがちなコザクラインコは、果たして噂に聞く通り飼育が難しい鳥種なのか?
筆者は全くの鳥飼い初心者でしたが「ずんぐりしていて可愛い」という理由でコザクラインコをお迎えしました。
それから7年経った今では、その魅力にすっかりとりつかれています。
コザクラインコの魅力と飼い方について、3つの誤解を解きつつ ご紹介します。
コザクラインコは噛むって本当?
コザクラインコが噛むのは本当か?
残念ながら、本当です。
たとえばセキセイインコやオカメインコに比べると、噛む力が数段強く、相手を簡単に流血させることさえできてしまいます。
コザクラインコに噛ませない・噛まれない工夫はできる
力の強さはともかく、この世に噛まない動物などいません。
自然界で非捕食者であるコザクラインコは、身を守る為の武器として、大きなくちばしを使って戦うしかないのです。
よく観察してみると、「避ける」「逃げる」「威嚇する」など、さまざまな段階を経た後、最終手段として「噛む」という行動を取っていることが分かります。
噛むことは敵の懐に飛び込むことになるので、彼らも好き好んで噛んでいるわけではありません。
何を恐れているのか? 何を嫌悪しているのか?といった噛む理由を具体的に想像することにより 噛ませない 噛まれない工夫をすることは十分に可能です。
生まれ持った気質を躾で変化させることは難しいです。本人に改善の意志がなければ人でさえ治りません。噛む理由が間違った対応の場合は、トレーニングで効果が出る場合があります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 10, 2021
コザクラインコのオスとメスでは性格が違う
もとより気性が荒いイメージのコザクラインコですが、実はオスとメスとで性格が大きく違っています。
個体差はありますが、一般的にオスは大変穏やかな性格で、気性が荒いのはほとんどがメスです。
噛むことが多いのはメスですが、メスだから理由もなく噛むわけではありませんし、オスなら絶対に噛まないというわけでもありません。
コザクラインコは発情期には気性が荒くなる
また、発情期に入ったメスは、さらに気性が荒くなってしまうことも多いので要注意です。
発情は本能に根差した行動なので、発情中の行為をコントロールすることが、鳥自身はもとより、強固な信頼関係で結ばれた飼い主にも難しいのです。
健康上の理由もあり、発情抑制が必須ではありますが、発情してしまった場合はしっかり観察し、微細な変化も見逃さないよう、細心の注意を払うことが重要です。
コザクラインコはなつかないって本当?
コザクラインコはなつかないのは本当か?
いいえなつきます。むしろ、ベタ慣れします。
コザクラインコは「ラブバード」と呼ばれる通り、極めて愛情深い鳥種としても知られています。
コザクラインコは縄張り意識と独占欲が強い
他の鳥種に比べて縄張り意識が強く、パートナーへの独占欲も強い傾向があります。
わが家でいうと、愛鳥は筆者をパートナー認定しているため、筆者が夫と楽しく会話をしていると、急に激しく鳴き始めることが珍しくありません。
その性格から発情抑制が難しく、発情対策に悩む飼い主も少なくないコザクラインコ。
発情は健康上の様々な問題の原因となりうることから可能な限り避けたいものですが、完全にコントロールすることは難しいです。
ただ、発情するのは愛鳥が現在の生活に満足し、卵を産み育てても大丈夫だ…と判断するくらい安心して暮らしている証拠でもありますから、そう考えると必ずしも発情=悪…と断じる必要はありません。
コザクラインコは甘噛みで愛情表現する
気性が荒く年中発情期のわが家の愛鳥は、実は甘噛みがとても上手です。
甘噛みとは、文字通り、甘く、優しく噛むことです。
人の皮膚への触り方が上手くできないとチマチマ噛んだり、ナデナデされるのが苦手になったりしますので、雛を育てる時は、ナデナデをしたり、嘴で人の皮膚を触らせたりする時間を作りましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 4, 2022
コザクラインコは、時に血が出るほど強く噛むことがよく知られていますが、家族、特にパートナーと認めた相手に対して、手指などを甘噛みしてくれることがあります。
これは、鳥同士で羽づくろいをし合うコミュニケーションの、代替行為の一種と考えられています。
一瞬で流血せしめるほどに強い力を持ちながら、マッサージでもするかのように力加減して優しく噛んでくれるのは、コザクラインコにとって、最高の愛情表現ではないでしょうか。
コザクラインコは飼育が難しいって本当?
コザクラインコは飼育が難しいのは本当か?
強い意思と豊かな感情、そして高い知能を持つコザクラインコの飼育は、非常に難しいと言えるでしょう。
コザクラインコの愛情深さが問題行動につながりやすい
コザクラインコは深い無償の愛で応えてくれる鳥ですが、その愛情は時に重く、焼きもちを焼いたり、怒って強く噛んだりするなどの問題行動を引き起こす場合もあります。
そしてペア以外の人には攻撃的になることがあります。これは特に男性ホルモンが強いオスに見られることが分かっており、ペアに他の個体を近づけさせないための排除行動です。ペア以外の人を受け入れないメスも攻撃的になることがあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 17, 2021
しかし、それらの困った行為は、飼い主が愛鳥の心を尊重し、真剣に向き合うことで、解決する場合が多いのです。
毎日の放鳥時間をしっかり確保し、積極的にコミュニケーションを取ることで、愛鳥の心の安寧は守られます。
愛鳥の幸せは、飼い主の幸せ。むしろ、意思表示が明確な分、分かりやすいとも言えるのです。
パートナーを心配するコザクラインコです。一夫一婦制の鳥種は強い絆で結ばれており、もちろん個体差はありますが相手をよく観察しています。だからこそ心配もするし、嫉妬も起こしやすいのです。人をパートナーと認識している場合は、他の鳥と遊んだり、人同士で話しているだけでも嫉妬したりします。 pic.twitter.com/4w77sl9iKl
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) May 27, 2022
コザクラインコは鳴き声が大きいので防音対策が必要
その他、日々の生活の中で忘れてはならないことは、コザクラインコは声が大きく、気分次第でよく鳴くため、最低限の防音対策が必要になるということです。
ケージを置く位置を工夫する、アクリルケースや緩衝材を利用するなど、住環境に合わせた対策を考えてみてください。

また、コザクラインコは南アフリカに生息する小鳥なので、寒さに弱いイメージがありますが、実は暑さ、寒さともに比較的強い個体が多いです。
ただし日本の夏の高温多湿の環境はあまり得意ではなく、エアコンによる温度と湿度の管理が必要ですので、真夏と真冬の光熱費には、くれぐれも覚悟してください。
総合的に見れば、コザクラインコはむしろ小鳥飼育初心者向きなのではないか…とさえ思っています。
十分な愛情と意欲、そしてほんの少しの知識があれば何も恐れることはありませんので、ぜひ、コザクラインコとの激しくも愛に満ちた生活を検討してみてください。