コザクラインコの飼い主の寄稿です
インコの発情抑制対策に頭を悩ませている方は少なくないでしょう。
多くの専門家や愛鳥家たちがさまざまな立場から発情抑制ついて発信していますが、残念ながら絶対的な正解はありません。
個々の性格、飼い主との関係性やライフスタイルなど事情はさまざまです。
コザクラインコの発情期と発情抑制対策の考え方!メス7歳のケース
それぞれの事情に合わせた発情抑制対策を、飼い主自身が都度 判断しなければなりません。
たとえばわが家のコザクラインコ(メス)は、実は一年中発情しています。
7歳になった現在は少し落ち着いていますが、4歳頃までは心配の連続でした。
その中でわが家が試みた発情抑制対策、また手を出さなかった対策についてお話しします。
インコが発情する原因は?鳥が発情する条件とは?
インコの発情する原因は
…と鳥が判断することで始まり、それは子孫を残すための手段に過ぎません。
では、どんな環境が発情に足る条件なのか。
ここでは、食事・温度・巣材・対象の4つに絞って考えてみます。
365日不足なく与えられている食事
インコも人間も食べることは生きることの基本であり、食べ物を得られなければ生き残るも子孫を残すこともできません。
食べ物が十分にあり栄養を蓄えることができれば繁殖が可能となるため、常に最低限の食物しか得ることができない野鳥には年に1~2回程度しか発情期が訪れません。
一方、食べ物に困ることのない飼い鳥はいつでも発情のチャンスがあります。
1年じゅう快適な温度で四季を感じない
人間と暮らしていて、それが鳥にとって快適であれば「今は卵を産んでも大丈夫だな。雛を育てられる」とインコが判断します。
真夏と真冬の冷暖房は最低限の健康を保つ上で必要なことですが、インコが快適過ぎない温度管理を模索する必要があります。
巣や巣材の存在が発情スイッチをオンにする
巣作りをさせないこと、巣材を与えないことも重要です。
鳥は卵ができてから巣を作るのではなく、卵ができる前にまず巣を作るそうです。
すなわち、巣を作ることができなければ、発情していても卵ができない(産まない)可能性もあるのです。
特に雌の場合、卵詰まりなど産卵に関するリスクは深刻です。
身近に巣材にしやすそうなものがある、巣として代用できそうなものがあるとしたら、それは大変危険なことです。
発情対象の存在!鳥やヒトとは限らない発情のお相手
つがいなら発情対象は明確ですが、単羽飼育されていることも多いのでその発情対象はさまざま。
最も多いのが飼い主が発情対象となるケースです。
わが家の場合、筆者はコザクラインコにパートナーとして認められており、発情対象でもあります。
奇妙なことに発情対象は、必ずしもインコや人間とは限りません。
お気に入りのおもちゃ、お気に入りのタオル、止まり木など、「物」に対して発情するケースや、そもそも対象が「人」なのか「物」なのか判然としない場合もあります。
インコの発情抑制対策は?発情させないためにやりたいこと・やりたくないこと
発情原因が明らかになれば、それぞれに対策を打つことで問題は解決…すれば話は簡単ですが、そううまくはいきません。
インコにも飼い主にも無理のない範囲で、できる限りの発情抑制対策を考えましょう。
食事のコントロール
食事のコントロールは、発情抑制における最重要課題と言われています。
ケージの中に一日中餌を入れっぱなしにしている場合、この点を見直すことで大きく改善されるケースがあるようです。
具体的には、朝と晩などの1日2回に時間を決めて少しずつ与えることで「いつでも餌が豊富にある訳ではない」状況を作り出すことができます。
つまり「卵を産む余裕はないかもしれない」軽い危機感を抱かせることができます。
また、獣医師に適正体重を確認した上でインコの体重管理を併せて行う…それにより現状で餌が多過ぎないかを見極めることも大切です。
わが家の場合、実はこの対策ができていません。
夫婦共働きで夜の帰宅が遅くなることもあるため、毎日決まった時間に食事を出すことができないからです。
また、東日本大震災の夜に会社に一泊せざるを得なかった経験をふまえ、餌はケージに入れっぱなしにしています。
体重測定は毎日行い、体重の増減には目を光らせています。
発情が問題視される成鳥には温度管理をしっかりと見極める
温度管理で重要なのは「健康に過ごすことができ、かつ、快適過ぎない温度」を知ることです。
これは鳥種によっても異なりますので、必ず「本来はどんな気候で暮らしているインコなのか」を確認してください。
コザクラインコに限らず、特に雛や病鳥にとって「保温」は重要です。
わが家では幼鳥時代までは、部屋のエアコンの他に、ケージにヒーターをつけていました。
サーモスタットを使えば、急に冷え込んだ時も安心です。
しかし成鳥になってある程度の寒さにも耐えられるようになったら、ヒーターは取り外してしまいました。
現在は夏も冬も飼い主がエアコンで管理する室温とほぼ同じ温度で暮らしています。
インコにとってはもう少し暖かい方が嬉しいかもしれませんが、「もう少し暖かかったらなぁ」といった不足があれば、発情への一歩が遠のく可能性が高いのです。
ケージに温度計をつけておき、常に室温を確認する習慣をつけましょう。
巣と巣材を「なるべく」遠ざける
巣を作らせないためには巣材になるものをなるべく避けるしかありません。
コザクラインコにはシュレッダーのように紙を細長くかみちぎる性質があります。
壁にカレンダーをかけている場合「まだ1月なのにもう5月が犠牲になった(かじられた)」といったエピソードをよく耳にします。
しかしこれは単なる遊びではなく巣材集め…すなわち巣作りの準備ですから、発情抑制の観点からはあまり好ましい行動ではありません。
では、カレンダーをはじめ、全ての紙類を隠してしまえばいいかというと…事はそう簡単ではないのです。
紙がなければ木の皮を、木綿の生地を、ビニールを、ありとあらゆるものを巣材にしてしまうので「なるべく」避けるよう、気をつけるしかありません。
わが家では巣材にしにくいプラスチックやコルクのおもちゃを採用しています。
全てを取り上げるのではなく、何なら与えてもいいか?安全か? ひとつずつ模索していきましょう。
発情対象との距離・兼ね合いを見極める
インコの発情対象がおもちゃや何か特定の「物」であれば、なるべく遠ざける・接する機会を少なくすることが可能です。
発情対象が人間の場合、該当者を遠ざけることがいちばんの発情抑制対策ですが、お世話の都合もありますし、そうはいかない場合もあるでしょう。
また、発情を恐れるあまり、最低限のスキンシップすら取り上げてしまっては、インコも飼い主も不幸なだけです。
群れで生活するインコにとって仲間とコミュニケーションをとることは、生きる上で必要かつ喜びでもあります。
鳥の幸せとは何か?を見失うような結果にだけはしてはいけませんので、うまく兼ね合いを見つけることが肝要です。
我が家の発情抑制対策の結果…いちばん大切なことは「インコがしあわせかどうか」
インコの発情の原因と対策を考えることはもちろん重要ですが、考えている通りになるとは限りませんし、それが全てでもありません。
大切なのは「鳥が幸せかどうか」です。
わが家の場合、細かいものも含めて原因の洗い出しはできているのですが、先述の通りあまり厳密な発情抑制対策をとってはいません。
幸い発情を主原因とする健康上の問題が起きていないからです。
※もし現在何か問題が起きている場合は、迷わず早急に獣医師に相談してください。解決しない・飼い主さんが納得できない場合はセカンドオピニオンも必要です。
わが家の発情抑制対策がゆるいのは インコにとっても飼い主にとっても無理のない範囲で行うこと どんな対策もインコのためでなければならない …と筆者が考えているからです。
7歳という年齢のせいもあるかもしれませんが、結果として「緩やかな発情期が一年中続く」状態で落ち着いています。
これがいいことなのか悪いことなのかは誰にも分かりませんが(※医学的にはよくないです)愛鳥の自信に満ちあふれた幸福そうな表情からは、及第点をもらえている気がします。
インコの発情抑制対策に正解なし!両者の折り合いをつけることが大切
そんなわが家で日常的に気をつけていることは、温度管理と体重の記録、そして「適度なストレス」です。
「適度なストレス」とは一緒に外出したり、見慣れないおもちゃを見せたり、にぎやかな音の出る動画を見せるなど、ちょっとしたことです。
例えば、見慣れないおもちゃに対しては、警戒心が強くなかなか打ち解けませんが、時間をかけると少しずつ慣れ、最終的には全く動じなくなります。
コザクラインコにとっては苦手を克服し、選択肢が増えると同時に、慣れるまでの間に適度なストレスにさらされ続けることで、緩やかな発情抑制対策ともなるのです。
鳥も人もそれぞれ性格が違いますから、人間の子育てと同様で正解はありません。
また、発情は「鳥が幸せに暮らしている(満足している)」ことの証明でもあります。
ですから発情抑制に悩む飼い主さんが、どうか必要以上に自分を追い詰めることのないように…と切に願います。