20代女性の寄稿 これは私が高校生3年の時に体験した、人の念の怖さを痛感した出来事です。
家族はとうに寝静まり、私は自分の部屋で受験勉強をしていて、ふと時計を見ると すでに午前1時を回っていました。
婚家の墓に入りたくない!おばの執念の霊障を解いた体験談
もうそろそろ寝よう…と思い、トイレに行くために部屋のドアノブに手をかけた時のこと。
何の前触れもなく(ザワザワザワ…)と耳鳴りのような雑音がしだし、心臓をぎゅーっと掴まれているような感覚に襲われました。
私の父方の家系は霊感のある人が多く、私もその霊感を引き継いでいました。
そのため小さいころから不思議な体験はよくしてきたので、このときも
…とすぐにわかりました。
そのまま部屋のドアを開けてみると、トイレに続く廊下の途中にある玄関から 嫌な空気が漂っているのを感じます。
雑音や心臓を掴まれたような感覚はまだ続いていましたが、これらは今までも経験したことがある程度の感覚だったため
…と不穏な空気をあまり気にしないようにしながら玄関前を通りすぎようとしたのですが、次の瞬間、いきなり「ガシッ!」と足首を掴まれたような感覚があり、私はその場から動けなくなってしまいました。
一般的には、霊感といっても「視えるだけ」「視えないけど感じる」「声だけが聞こえる」などいくつか種類があります。
そして私は「視えないけど感じる」+「声が聞こえる」タイプです。
しかも始末が悪いことに、ただの浮遊霊ではなく この世に未練を残している…つまり何らかの訴えたいことがあって近づいてくる霊の存在だけがわかる…というものでした。
いずれにしても「視る」ことはできませんから、掴まれた感覚のある足首を見ても何も見えません。
そしてその間にも、ずっと続いていた雑音がだんだんと大きくなっていきました。
近くまで集まってきた感覚に気づき、それが次第に雑音が人の声になり…その声が私に訴えました。
私は父方の家で数代続いているお寺の住職である祖父から こういう場合の対処法を教わっていました。
その方法で足首の感覚を振り切って、急いでトイレに行き そのまま部屋へ戻りました。
その日はそのまま何事もなく眠りについて朝を迎えたのですが、その日から毎晩、玄関で足首を掴まれては
…と訴えかけられるようになりました。
しかしその都度それを振り切っていたので、
…と あまり気にすることなく過ごしていました。
そんな状態が10日ほど続いた夜、いつものように受験勉強を終えてトイレに行こうと部屋のドアを開けると、いつもより空気が数段重いのを感じました。
雑音もこれまで以上にひどく、一瞬でどっと冷や汗が出てくるのを感じました。
…と思いながらも、いつものように玄関前を通ると…
ダァンッ!!!
いつもなら掴まれるだけの足首にものすごい激痛が走り、今回はその足を引っ張られ 私は思いっきり床に倒されてしまいました。
そのときに勢い余って肩を強打しましたが、それ以上に
…と思うほどの激痛です。
それまでは耳元に集まってきた雑音が、とつぜん明瞭な人の声になったとき、あまりの恐怖から足首の激痛すらも感じなくなりました。
断末魔の叫び声を聞いているうちに、こちらも叫ばなければおかしくなりそうなほどの恐怖を感じながら、私は耳をふさぎながら
…と叫ぶと、別室で寝ていた母が慌てて部屋から出てきました。
そして電気をつけたその時、私を見た母が大きな叫び声を上げました。
ハッと我に返った私が自分の足を見てみると・・・足首に赤黒い手形がくっきりついていました。
ですがそのときの私には、その赤黒い手形などを気にしている余裕なんてありませんでした。
耳をつんざくような叫び声に叫び声で抵抗するのに必死でした。
それはずっと泣き叫んでいました。悲しみと深い寂しさ、恋しさが混ざったような声で…
思わず私はその声に答えてしまいそうになりましたが、
…と祖父から言われていたことを思い出し、絶対に答えないように、必死に自らも叫んで抵抗していました。
すると次の瞬間、突然別の声が聞こえてきました。
それは祖父の声でした。
その瞬間、気が狂いそうなほどの叫び声がバタッと止み、足首の激痛も嘘のようにすーっと消え去っていきました。
私が叫んでいる間に母が祖父に電話をして、祖父がお寺から私を襲っていたものに怒鳴りつけて助けてくれたのでした。
その時には足首の赤黒い手形も跡形もなく消え去っていましたが、転倒して強打した肩が腫れ上がってしまい、そのまま救急病院へ行くことになりました。
肩は脱臼していてその処置を受けている間にようやく頭が正常に働きだし、助けてくれた祖父の言葉を思い返しました。
あの日を境に 玄関に嫌な気配を感じることもなくなり、私の身にも何も起きなくなりましたが、祖父が叫んだ「Y美」のことが気になって仕方がありませんでした。
そこで後日、祖父に電話をして話を聞いてみたのです。
実は3か月前に亡くなった親戚のY美おばさんが、嫁ぎ先のお墓に入れられたのがどうしても嫌だったと。
Y美おばさんは「実家のお墓に自分のお骨を移してほしい」と何度も祖父のところに現れて頼んでいたそうです。
しかしそれにすぐに対処してくれなかった祖父にしびれをきらし、Y美おばさんは声を聞ける私のところに訴えかけてくるようになったのでした。
私が襲われた日から数日後に、祖父が亡くなったY美おばさんを実家のお墓に移したので、それ以来祖父のところにもY美おばさんは現れなくなったということです。