小泉毅 死刑囚の犬の仇討ち【元厚生省事務次官宅 連続襲撃事件】

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小泉毅 元厚生省事務次官宅 連続襲撃事件

凶行

2008年(平成20年)11月18日午前、さいたま市南区の元厚生省事務次官・山口剛彦さん(66歳)とその妻(61歳)が自宅玄関で血まみれで倒れているのが発見された。

>>大島てる(さいたま市南区)

死後硬直から二人は前日の夕方から夜にかけて襲われたと推定された。

そして11月18日夕方、中野区に住む元厚生省事務次官・吉原健二さん(76歳)の自宅が襲われ、妻(72歳)が重症を負った。

吉原健二さんは外出中で難を逃れた。

歴代の厚生省幹部を襲ったテロ行為に対してものものしい警戒措置がとられた。

厚労省が入っている霞ヶ関の中央合同庁舎は、入り口に金属探知機が設置されたり、来庁者の所持品検査をするなど、警戒を強化した。

事件直後は なぜ厚生省関係者がが狙われたのかは謎だった。

襲撃された2人の元厚生事務次官が共に年金大改正に携わっていたことから、年金問題を巡る不満を持つ人間による年金テロなのではないかと見る論調があったが、それから4日後、事態は急展開した。

11月22日夜、小泉毅(こいずみたけし・46歳・さいたま市北区)が警視庁に車で乗り付けて自首してきたのだ。

小泉毅
自分が元公正事務次官を殺した

車内には犯行に使われたと思われる刃渡り20センチの血まみれのナイフがあったので、警視庁は小泉毅を銃刀法違反容疑で逮捕した。

小泉毅は出頭前に、複数のメディアにメールを送っていた。

小泉毅
今回の決起は年金テロではない!

今回の決起は34年前、保健所に家族を殺された仇討ちである!

私はマモノ(元官僚)一匹と、ザコ(マモノと共生しているやつら)一匹を殺したが、やつらは今年も、何の罪もない50万頭ものペットを殺し続けている。

無駄な殺生はするな!!!

無駄な殺生をすれば、それは自分に返ってくると思え!
 
最初から逃げる気はないので、今から自首する。

  
 

取調べ

 


 
小泉毅は取調べでこう供述していた。

小泉毅
自分が以前飼っていた犬を保健所に捕まえられて殺されたことに腹が立ってた
小泉毅
元厚生次官の山口剛彦と吉原健二は平気で命を奪う魔物。

昔飼っていた犬に代わって、自分が敵を討った。

小泉毅の自宅アパートからは何十年か前のものと見られる犬の毛らしいものが見つかっていた。

また、犯行の直後に山口県に住む父親に出した手紙にもこう書き残している。

小泉毅の手紙
1974年4月にチロが殺された。敵を討った。
 
 

取調官
でもなあ小泉、保健所の所轄は厚労省ではないぞ。
小泉毅
えっ!

保健所は都道府県や政令指定都市の管轄であって、厚労省は関わっていない。

小泉毅は犬を殺したのは厚労省だと勝手に思い込み、勘違いしたまま、一方的に恨みを募らせてこの大事件を起こしたのだった。
 
 
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犯行動機

小泉毅は山口県の進学校に進み、佐賀大に入学するが中退し、上京してからコンピューター関連会社に勤めていた。

その後埼玉に引っ越しているが、小泉いわく「埼玉に引っ越してきたのもチロの敵を討つため」

犯行のために徹底して肉体を鍛えると同時に、厚生省の歴代幹部たち10人前後の住所を図書館で調べ上げていた。
 
 

この事件の焦点は 果たして殺人事件の公判の維持が可能なのか?だった。

犯行の動機が三十数年前の「犬の仇討ち」である。

さいたま地検は小泉毅の刑事責任能力が争われる可能性を考えて、起訴前に精神鑑定を行った。

その結果「責任能力あり」との鑑定結果を得て、起訴に踏み切っている。

公判


 
元厚生省事務次官宅連続襲撃事件の初公判は2009年11月26日に行われた。

小泉毅は起訴事実を大筋で認めた上で、こう発言した。

小泉毅
あくまで無罪を主張する!

愛犬の殺害をした厚生省幹部はマモノであり、マモノを殺害をすることは正当である。

小泉毅
私の仇討ちを批判する前に、人の命だけがなぜ尊いのか説明しなさい。

猫や犬が処分されていい理由を説明しなさい。

刑事責任能力がありとされていても、公判での小泉毅被告の思い込みと妄想はとどまるところを知らなかった。

また、法廷では独自の殺人理論を展開していた。

小泉毅
(1995年の地下鉄サリン事件に対して)相手が組織なのか個人なのかを考え、組織であれば下っ端を狙っても意味がない
小泉毅
(2008年の秋葉原通り魔事件に対して)恨みに思った奴だけをピンポイントで狙えばよく、一般の人の命を狙うなんて許せない

ところが、厚生省幹部の妻の殺害に対しては、こう発言して平然と自己正当化した。

小泉毅
マモノの家族もマモノ。

マモノを殺害することは正当だ。

判決

2010年3月30日、一審のさいたま地裁は小泉毅に死刑を言い渡している。

裁判長
被告人が宅配便に変装するなど犯行は計画的であり、更生は期待できない

この判決に対し、被告側は即日控訴。

2011年12月26日、東京高裁は死刑判決を支持し、控訴を棄却。

裁判長
被告人の動機は動物の殺処分に限らず、国家行政への怒りや不満から元官僚らに対する殺意を抱いたことにある。

被告人が主張する動機である『愛犬のあだ討ち』については、公判で無罪を主張する計画の中で口実として脚色した疑いが強く、重視するのは適切でない

判決を不服として、被告側は上告。

2014年6月13日、最高裁は一審・二審の死刑判決を支持して被告人の上告を棄却。

これにより小泉毅被告の死刑判決が確定した。

2017年8月現在、小泉毅死刑囚(55歳)は 東京拘置所に収監されている。
 
 
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