孤独死の後始末!遺族への請求や損害賠償はあり得るか?
最近は一つ屋根の下に暮らしているにもかかわらず、家族のシ亡に気づかないでいる「同居孤独死」も増えていますが、
遺族のやること・負担・請求・損害賠償は 住居の形態と孤独シの原因、シ因により大きく異なります。
中でも賃貸物件における自〇は「善管注意義務違反」にあたるため、遺族に大きな負担が強いられるケースが多いです。
遺族は縁者から怒りや批難をぶつけられることがある
長期間放置されていた場合は〇敗が進むので、お通夜や葬儀でイ体と対面することはほとんどありません(葬祭スタッフから止められることが多い)
損傷がひどいと納体袋(ビニール袋)に入れて納棺しての葬儀になります。さらにひどい状態なら、先に火葬してからの葬儀です。
故人の家がゴミ屋敷だったり、セルフネグレクトで孤立していたことが明らかになると
…などと周囲から詰め寄られたり、心無い言葉で批難されたりするケースも少なくありません。
遺族は近隣住民から怒りや批難をぶつけられることがある
事故物件(事故部屋)の特殊清掃を始める前に、遺族は近隣住民に謝罪やあいさつ回りに行く必要があります。
強烈な異臭や害虫の大量発生で多大な迷惑をこうむった近隣住民に、丁重に謝罪しなければいけないケースもあります。
憤懣やるかたない近隣住民に一体どう謝罪したらいいのか?中にはキレて遺族をガンガン責め立てる人もいるでしょう。
誠心誠意 謝るのは当然のことですが、それはもう針のむしろです。
遺族は大家から怒りや批難をぶつけられることがある
孤独シ発生のいちばんの被害者は賃貸住宅のオーナーや大家です。
近隣住民からクレームの嵐を受けるのは遺族だけではありません。オーナーや大家も同じです。
特に孤独シが自〇によるものだと「善管注意義務違反」でもあるため、遺族に同情などできない状況です。
後始末する遺族は悲しみと罪悪感に苛まれますが、平謝りするしかありません。
孤独死で損害賠償を求められることがある
場合によっては、近隣住民や大家への賠償責任が発生することがあります。
その件でのさんざんな被害者は階下の住人である場合もあります。
長期間放置されると、下の階まで〇液が滲出することは珍しくありません。そうなると特殊清掃だけではすまず、リフォームなどの修復作業が終わるまでの間 階下の住人には部屋を明け渡してもらうケースもあります。
その間に住人にはホテル住まいをしてもらう手配をするので、遺族にはホテル代の補填分も請求される可能性があります。
どういう経路をたどったのか不明だが、下階の部屋にウ〇が落っこちてきたことで故人は発見されることとなった。
遺族は高齢の男性二人。故人とは遠縁のようで、関係する複数の親族を代表して来たよう。悪意ある犯罪ではないにも関わらず「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と平身低頭。そうは言っても、落ち度のない多くの人に迷惑をかけ、相応の損害を与えてしまう現実もある。あと遠縁とはいえ血縁者が孤独死し、それに気づかす放置してしまったことの気マズさもあるのだろう。
大家は故人の後始末の一切合切をはじめ、そこから派生した損害の賠償も遺族が負うのが当然といったスタンス。事に乗じて不当な利益を得るつもりもなかったと思うけど、下室住人が避難している間のホテル宿泊費、その後に予定している引越費用、家財の買い替え費用、下室の消毒費、空室となる下室と故人宅の家賃等々、諸々の費用を請求した。
遺族の中で故人と近しい間柄だった者は誰一人としておらず。当然、故人の相続人でもなく、身元保証人でもマンション賃貸借契約の保証人でもなし。また、皆、高齢で、年金収入で慎ましい生活を送っていた。それでも血縁者としての道義を重んじて誠意をもって対応するつもりだった。が、ない袖は振れない。
考えあぐねた遺族は本件を弁護士に相談。その結論は「法的責任はなく、大家の要求を受け入れる義務はない」というもの。そして遺族は大家に「今回の事案は、マンションを経営するうえで想定されるべきリスクであり、我々は責任を負うべき立場になく、よって、一切の後始末から手を引く」といった旨を通達した。道義的なことを考えて葛藤もあったが、それは中途半端に関わるより一切から手を引いた方が安全と考えてのことだった。
引用元:特殊清掃「戦う男たち」
賃貸物件の場合は自死は心理的瑕疵であり善管注意義務違反である。自死は「目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥がある」場合も含まれるという民法 570 条の瑕疵担保責任に該当。このことにより 過大解釈が横行し、配管や壁紙、風呂場やトイレ、台所、エアコン等々全面改装の請求や、建物全体と取り壊し費用や、建て替え費用の請求も多くみられる。
また、部屋で亡くなっていない場合(マンションの玄関や、エレベーターの前や病院に搬送され亡くなったのが病院であっても)でも、部屋に住んでいた人が自死したというだけで、全面改装の請求や気味が悪いから近隣住民と大家への慰謝料の請求もある。
亡くなった部屋と、もともと住んでいない部屋の家賃を次の人が決まるまで永久に支払うようにという請求もある。
飛び降りた場合は、土の入れ替えの請求。売買の場合建物を取り壊して、土地だけを売るときも建物を売るとき同様に半額。気味が悪いという理由。
引用元:厚労省
華厳の滝「自殺」遺体、収容費用は遺族に請求へ…重機9台・75人作業
栃木県警日光署は4日、同県日光市中宮祠の華厳の滝付近で男性の遺体を収容したと発表した。男性は年齢不詳で、身長約1メートル70。黒いポロシャツに半ズボン、黒のスニーカーを身につけていた。自殺とみられ、同署が身元の確認を進めている。
遺体については、9月1日に県警のヘリコプターが発見していたが、滝の上部から約60メートル下の岩場で、収容は困難と判断。このため10月4日早朝から、トレーラーなど大型重機9台を投入し、県警機動隊や土木工事会社の作業員ら約75人で、収容作業を実施した。重機の輸送に伴い、同日午後2時から3時半まで、第2いろは坂(国道120号)の馬返しから二荒橋までの通行規制も実施した。
同様の作業は2002、03年にも実施。約300万円の費用がかかり、身元が判明し次第、遺族に請求されるという。
引用元:読売新聞オンライン 2019年10月5日
孤独死の損害賠償請求は入居者に過失がないならできないこともあるが…
損害賠償請求が要求されても、どこまで認められるかはわかりません。
賃貸住宅では原状回復費用や家賃保証のある保険をかけていることが多いので、遺族や連帯保証人にふりかかる補償は少なくて済むかもしれませんし、入居者に過失がなければ損害賠償請求できないこともあります。
さらに事件性がない自然シは事故物件扱いにならなかったり、過去の判例では「半年以上経過していると告知義務はない」とされたこともあります。
これらは孤独シとは呼ばれませんが、遺族への損害賠償請求の可能性はゼロではないと思っておいた方がいいです。
特に賃貸住宅の孤独シは「孤立」のひと言で片付くものでも許されるものでもありません。大勢の赤の他人をまき込む大騒動です。
そう考えると恐ろしくなってきませんか。特にセルフネグレクト(ひきこもり)は最も孤独シに近い立ち位置であると言われています。

まっとうに社会人生活を送っているおひとりさまでも、明日の命の保証はありません。日ごろから強く孤独シ対策を意識しておきたいものです。
孤独シしても早く発見してもらうことができれば、こういう最悪な顛末は回避できるのです。