孤独死アパートオーナーが原状回復費用を連帯保証人に請求した体験談
30代女性 これは賃貸アパートオーナーである私が 瑕疵物件(孤独シ)現場に立ち会った時の話です。
6月のある日、アパート管理会社の担当から電話がきましたが、その第一声から緊迫した雰囲気を感じました。聞けば、アパート入居者の70代後半男性(一人暮らしの年金生活者)に連絡がつかないとのこと。
元々家賃を滞納しがちな入居者だったので、不動産管理会社から入居者へ毎月連絡を入れていたそうです。
ちょうどそんな中、入居者男性の妹(アパートの連帯保証人)がやってきたのですが「兄の応答がないのはおかしい」と管理会社へ連絡がきた…とのこと。
私はすぐに担当と一緒にそのアパートに向かいました。
部屋を開けて中を見ると、変わり果てた姿の入居者男性が倒れていました。
6月の孤独シは地獄絵図…高温多湿の環境下で〇敗が早く、鼻を突く強烈な異臭が周辺に立ち込めていました。
100万円超えの特殊清掃費用の見積もりが出て…
こうした瑕疵物件(孤独シ現場)の部屋のクリーニングは特殊なものです。シ臭がしみついている部屋全体の原状回復に遺品整理も加わるため、かなりの費用負担となります。
賃貸物件オーナーは孤独シ保険に加入していることが多いですが、すべてがそれだけで賄われるわけではありません。保険が下りないケースや免責もあり、自己負担も生じます。
不動産管理会社の担当が見積もりを提示したのを見ましたが、その金額はトータルでゆうに100万円を超えており、連帯保証人もとても困惑していました。
知り合いの特殊清掃業者に特殊クリーニングを依頼して
私はふと 不動産会社に勤めていた頃に知り合った特殊清掃人のことを思い出し、彼に連絡をとりました。
不動産管理会社を通せばそこには当然マージン(利益分)が発生しますが、直接特殊清掃業者に依頼することで その利益分のカットが可能になります。
私自身の知り合いであることからかなり勉強してもらえたため、最初に提示した料金の1/3で特殊清掃を入れることができ、連帯保証人からとても感謝されました。
それに伴い、オーナーが負担しなくてはいけない金額も最小限ですみましたので、一挙両得でした。
孤独死アパートの損害賠償!連帯保証人のリスクは想像以上に大きい
賃貸物件で一人暮らしの人がシ亡したとしても 病シや自然シの場合は 孤独シにも事故物件にも該当しないケースが多くあります。
連帯保証人になる前に保証・補償内容共にしっかり確認すべし
賃貸物件の連帯保証人になる方は 入居者がどんな保証に入っていてどこまで対応してもらえるか?や、連帯保証人である自分がどこまで保証すればいいのかを確認しておきましょう。
連帯保証人は賃貸物件の借主と同じ責任を負います。その点を入居者と相談し、了承してから連帯保証人を引き受ける必要があります。
最近は賃貸契約の連帯保証人を親族か相続人だけに限定しているところが多いですが(一般的には3親等以内) それは万が一の時に相続人全員に原状回復費用や未回収の家賃を請求できるということです。
ただ、どんな理由で事故物件になったかにもよりますが、相続放棄する相続人も多いです。賃貸住宅入居者の孤独シでは遺産があまりないことが多いので、相続人がそれを負担することになるからでしょう。
しかし、連帯保証人には相続人のような逃げ道はないので、その放棄ができません。連帯保証人は賃貸人(不動産会社や物件オーナー)との契約があるため、独自の負債を負うことになります。
ただし連帯保証人=相続人ではないのなら、負うのは金銭的な債務のみです。室内を片付ける義務はありません。
【民法改正】極度額が決められているかどうかを確認!
親族・相続人以外の他人が連帯保証人になっている場合。何も調べずに安易に連帯保証人を引き受けると、今回のケースのような不測の事態に巻き込まれたときにはタダではすみませんので、注意が必要です。
民法の改正により、個人保証をする場合、保証をする最大の額(極度額)を決めなければならないというルールになりました。なので、事故物件で賃貸人が新しく貸すことが難しくなったことで失った利益分の損害賠償というものが、仮に10年分という高額なものになったとしても、保証人は極度額の範囲でしか負担しなくていいことになったのです。
けれども、この民法改正前にすでに賃貸借契約が結ばれていて、その際に保証人になって今に至っている方については改正民法の適用はなく、以前の民法に従うことになっていますので、その場合、保証人の負担がどれくらいになるかは、損害賠償額の算定に左右されることになります。場合によっては、とんでもない額の請求が来ることだってあり得るのです。
引用元:sankei biz 令和2年4月1日施行
もしもあなたが連帯保証人として賃貸借契約を結んでいるなら、それがいつ締結されたものなのか確認しましょう。
それが民法改正前のものなら、次の更新時に賃借人・賃貸人と今後の契約について相談することをおすすめします。