20代女性の寄稿 これは私が大学1年生の時のお話です。
大学入学のため地方から上京してきた私は、大学近くのマンションで一人暮らしをしていました。
そのマンションはまだ築3年と新しく、部屋も綺麗でオートロックなどのセキュリティもしっかりしていたので気に入っていました。
金縛りの原因は老婆の霊!事故物件で幽体離脱を体験した恐怖の体験談
ところがそこに入居して3ヶ月ほど経った頃から、週に1度のペースで金縛りにあうようになりました。
夜寝ているときにふと目が覚め、その瞬間に全身がピキッと固まり、指先すら動かせなくなるのです。
その状態が数分続いた後、足や手などをどうにか動かせるようになり、金縛りがとけるのでした。
それまで金縛りになったことがない私は それをとても気味悪く感じましたが、友人に話すと
…と言われ、
…と思ってだんだんと気にしなくなっていきました。
食事が摂れなくなりやつれてきても病院に行く気になれず…
しかし、金縛りが始まって2ヶ月ほど経った頃から、何を食べてもお腹を下すようになり、食事が摂れなくなってきました。
それに伴ってみるみるうちに痩せていった私は 階段を昇り降りすることも苦痛に感じるほど体力が落ちていました。
久しぶりに会った友人には
…と驚かれるほどやつれていました。
…という考えも頭をよぎったのですが、体調は深刻な状態だったにもかかわらず、どういうわけか通院するに気にはなれませんでした。
金縛りからまさかの幽体離脱!?
そんなある日、夜寝ていた私は途中で目が覚め、金縛りにあいました。
またか…と思いながら金縛りがとけるのを待っていましたが、その日はいつもと様子が違っていました。
部屋のどこからか「パシッ」「ピシッ」というラップ音が鳴り、背筋がゾワゾワと逆立つような感覚がしました。
怖くなった私はギュッと目をつぶりましたが、その瞬間、足元から何かがスルスルと上がってくる気配がしました。
私は目をつぶったままでしたが、なぜか何者かの手が私の胸のあたりに置かれている光景がはっきりと頭の中に浮かんできました。
そしてその手はスーッと私の胸の中に入っていき、消えました。
恐ろしくなった私はつぶっていた目を開き、金縛りで動かない体を必死で動かそうとしました。
寝返りを打とうと思いっきり左に体をそらそうとすると、それまでの金縛りが嘘のようにとけ、クルンと左を向くことができました。
ホッとしたのも束の間・・・私は自分の体がないことに気がつきました。
なんと、私の体は金縛りにあっている状態のまま 仰向けで寝ているのに、私の意識だけは体から抜け出して 仰向けに横になっている「私」を見ています。
いわゆる「幽体離脱」のような状態になっていたのです。
そのことに気がついた瞬間、仰向けに寝ていた私の体は、ゆっくりと左を向き始め、私の意識と重なりました。
そして、私は起き上がり、自分の体がちゃんとあることを確認できたのです。
これは霊障?ある整体院にたどり着いて…
…とはっきりと確信した出来事でした。
何か霊障のようなことが起きているかもしれないけれど、一体どうすればいいのかが分かりません。
そこで、ネットで「霊障」「浄化」などのキーワードで検索してみると、自宅から電車で30分ほどの町に、オーラの浄化や除霊を行うという触れ込みの整体院があることを知りました。
私はそういうものには半信半疑でしたが、他にどうすればいいかまるで見当がつかなかったので、その整体院に予約を取ることにしました。
そして予約当日、フラフラの体でどうにか整体院にたどり着きました。
その整体院で私を迎えてくれたのは50代くらいの女性でした。
最初に簡単なカルテを記入してから施術室に入り、ベッドに横になるように言われました。
そしてその女性は しばらく私の頭から腰のあたりに手をかざし続けていました。
私は最初はボーッとしてただベッドに横になっているだけでしたが、ある瞬間を境にパッと頭の中が晴れ、目が覚めたようなすがすがしい気持ちになるのを感じました。
そして、体調が悪くてほとんど何も食べられていなかったのですが、急に
…と食べたいものをウキウキと明るく想像するようになったのです。
あれは本当に不思議な感覚でした。
体重まで落ちてきて困っていた食欲不振と体調不良だったのに、手のひらをかえすように状況が一変したのです。
借りてる部屋がまさかの事故物件だった!しかも心霊物件だったなんて…
整体師さんは30分ほど私に手をかざし続けました。
どんどん体が楽になっていき、ウトウトしているうちに施術は終わりました。
そう言われた私は安堵感でいっぱいになり、その帰りみち、リンゴジュースと羊羹とうな重を買って帰りました。
家に着いてからそれらを全部たいらげましたが 今までのようにお腹を壊すこともなく、久しぶりに食べ物が体に吸収されていくのを感じました。
それからは体調が元通りになって普通に過ごせるようになり、あの時のような体調不良には見舞われることはありませんでした。
後からわかったことですが、あの部屋では整体師さんの言う通りおばあさんが亡くなっていました。
私の入居前に別の入居者がいるので、そのことについて私に対する告知義務はなかったとのことですが、事故物件だけでなく、まさかの心霊物件だったなんて…。
それにしても、なぜあのように私におばあさんの霊が憑いたのかは、はっきりとした理由は分かりません。
しかし、今振り返れば、あの頃の私は上京して知り合いもほとんどいない中、新しい環境の中で孤独を感じていました。
その孤独で寂しい気持ちが、同じく孤独で寂しかったおばあさんの思いとシンクロして、寂しい魂を引き寄せたのかもしれません。