伊東市干物販売店強盗殺人事件

2012/12/19 静岡県伊東市干物販売店強盗殺人事件

2012年12月19日午前8時半頃、静岡県伊東市八幡野の干物販売店「八八ひものセンター」で、出勤してきた従業員から「2人が死んでいる」との通報があった。

2人は「八八ひものセンター」の女性経営者・清水高子さん(当時59歳)と常務・小淵慶五郎さん(当時71歳)

2人は店内の大型業務用冷凍庫の中で血を流して倒れているのが発見された。
 
伊東市干物販売店強盗殺人事件

via:事件現場(大島てる)

 

 
司法解剖の結果、2人の死因は刃物のようなもので首などを刺されたことによる出血性ショック死で、死亡推定時刻は店舗閉店後の午後5時から数時間の間であることが判明した。

店内から売上金数十万円がなくなっている現場の状況から 警察は強盗殺人として捜査本部を立ち上げて捜査を開始した。

2013年6月4日、捜査本部は、この干物店で約1年5ヶ月ほど勤務していた(2009年5月~2010年10月)元従業員・肥田公明(当時60歳・無職)を強盗殺人容疑で逮捕。

肥田公明は2011年7月から10月までの4回、三島公共職業安定所伊東出張所から失業給付金を詐取、さらに2013年2月・3月にハローワークに虚偽申請をして失業給付金約39万円を詐取し、詐欺容疑で懲役1年6月・執行猶予3年の有罪判決を受けていた。

肥田は「失業保険のために解雇したことにしてほしい」と清水さんに迫り 警察が介入するトラブルを起こしたこともあるという。

また肥田は、ギャンブルなどによる数百万円の借金を 清水さんや金融業者、親族などからしていたことがわかっている。
 
 
スポンサーリンク



 
 

2016/11/24 一審・静岡地裁~死刑判決

肥田公明被告(64)は2016年9月20日、静岡地裁の裁判員裁判・初公判で「全て間違っています」と起訴内容を全面否認し、無罪を主張しました。

本件では凶器などの物証はほとんど見つかっておらず、被告が多額の借金を抱えていたことや事件前後の被告の行動などの状況証拠の評価が争点となっていました。

肥田被告の衣服などに、殺害された女性経営者のものと矛盾しないDNA型の血液が付着していたことを法廷で明らかにし、

検察側
犯行当日に店の駐車場で被告の車が目撃されている。
犯行の機会があったのは被告しかいない。

しかし、肥田被告は捜査段階から一貫して関与を否認。

弁護側
被告は第1発見者で怖くなって現場を逃げただけだ。
犯行を裏付ける直接的な証拠はない。
検察側
被告は清水高子さんが閉店後に売り上げを計算すると知っており、金目当ての身勝手な動機で2人を殺害した。
刃物で刺した後、冷凍庫に閉じ込めるなど想像を絶する残虐な犯行。
弁護側
被告は2人を殺害しておらず、事件と結びつける直接的な証拠もない。
肥田被告
私は検察が指摘するような行動はしていません。

検察側はこれまでの公判で 事件の関与を裏付ける証拠として、被告の衣服や車に付着していた血痕が「清水さんのDNA型と矛盾しない」とする鑑定結果を提出していましたが、弁護側は「DNA型は一部が一致せず、別人の疑いがある」と反論。
 
 

そして2016年11月24日、一審・静岡地裁は肥田公明被告に求刑通り死刑を言い渡しました。

斎藤千恵裁判長
刃物で刺され致命的な重傷を負った被害者を、冷凍庫に閉じ込めた行為は非人間的で残虐。
反省の情は皆無で、極刑はやむを得ない。

肥田被告は事件当日の夜に店内にいたことは認めていましたが「店に行くと冷凍庫前で血まみれの2人が座っており、怖くなって10分程度で店を出た」と主張。

これに対し判決は、現場近くを通ったタクシーのドライブレコーダーの記録などを基に被告が店の駐車場に車を止め約40分間は店内にいたと認定。

その上で「被害者の惨状を目にしながら立ち去ったと言うが、被害者がいたという場所に血痕も見当たらず、弁解は不自然で不合理」と退けています。

また、店から奪った多額の硬貨について。

金融業者から借金返済を迫られていた肥田被告が、事件直後に金額、種類がほぼ一致する硬貨を使っていたことについて「単なる偶然の一致とは考えにくい」と指摘し、被告が店から持ち去ったものと判断されました。

被告側は一審の死刑判決を不当として東京高裁へ控訴。

控訴審・東京高裁

via:産経新聞

 

2017/11/17 控訴審・初公判

肥田被告は、濃紺のスーツに白いワイシャツ姿で控訴審初公判に臨みました。

深々と一礼して入廷して着席し、証言台の前に立って裁判長から名前を尋ねられると「肥田公明です」とはっきりとした口調で答えています。

その後は落ち着いた様子で席に座り、時折周囲を見回すほかは ほとんど身じろぎせずに裁判官と弁護士、検察官の発言に耳を傾けていました。

この控訴審・初公判は、25枚の傍聴券に対して56人が並んだため、パソコン抽選が行われました。
 
 
一審・静岡地裁沼津支部で死刑判決を受けた肥田公明被告(65歳・元従業員)の控訴審・第一回公判で弁護側は、犯行時間帯に肥田被告のものと異なる車が現場で目撃されていたことが明らかになったとして、改めて無罪を主張しました。

弁護側によると、控訴審で検察側が新たに開示した捜査報告書には、2人が殺害された時間帯に肥田被告のものと異なる車が店の駐車場から走り去るのを、通行人が目撃していたとの記載があります。

その2時間後にも駐車場にライトをつけた車が止まっており、2人組が立っているのが目撃されていたということです。

一方、検察側は控訴棄却を求めています。

2018/1/13 控訴審・第2回公判~被告人質問

1月12日、東京高等裁判所で開かれた第2回公判では、犯行が行われたとみられる時間帯に、被告の車と似た車が店の駐車場に止まっていたことについての被告人質問が行われました。

肥田被告
店に行ったら人が倒れているのを見つけてしまい、犯人と疑われないよういったん店を出て車で自宅へ向かったが、気になったので戻った。

肥田被告は事件当日の行動について

肥田被告
午後7時10分ごろ 八八ひものに行って血を流した2人を発見したが そのまま立ち去り、30分後に再び戻り、建物の中に入らずに離れた。

…と証言したものの、一審では八八ひものに戻ったことは証言していませんでした。

このことに対する質問には

肥田被告
当時の弁護士から話さないほうがいいと言われた。
法律の専門家なので言うことを聞くしかないと思った。

検察官と裁判官は、主に八八ひものから立ち去った後の肥田被告の立ち寄り先や行動について質問しましたが、供述の一部にあいまいな部分もありました。

肥田被告
記憶違いはあるが、ウソを言ってはいない。
真実を述べている。

2018/2/9 控訴審・第3回公判~証人尋問

検察側の証人として出廷した法医学者に対する証人尋問が行われました。

法医学者
2人は首の静脈を傷つけられており、意識がなくなるまで15~20分かかったとみられる。
 
冷凍庫の扉の内側に清水さんのものと思われる血液が付いていることから、清水さんは意識がある状態で閉じ込められたと思われる。
 
小淵さんについては、すぐに死亡するような傷ではないので、恐らく意識があるまま冷凍庫の中に入れられたのではないかと推測する。

弁護側は被害者が意識を失った理由について、

弁護側
出血によるものだけでなく神経反射による失神もあり得る。
法医学者
それは普通はない。
 
 
スポンサーリンク