インコの通院バッグの準備と鳥を病院に連れて行くときの保温・保冷法
ここでいうところの通院バッグは『インコを収納するケース(キャリーかプラケース)+ケースを収納する鞄』のセットを指します。
インコの通院バッグはできるだけインコが快適に過ごせるように考えて用意しましょう。
構造や安全性 しっかりとした構造で、インコがかばんから逃げ出すことがないように注意します。安定した形状であることも大切です。
使いやすさ 簡単に掃除や洗濯ができる素材でできていると扱いやすいです。通院後の清潔さを保つために、汚れや臭いがつきづらいことも大切です。
ポケットや収納スペース インコは移動時に飲食をすることはほとんどないので、インコのおやつや水を持っていくのは最小限でいいですが、温度計や保温・保冷剤、おもちゃなどの小物を収納できるポケットや収納スペースがあると便利です。
持ち運びやすさ 軽量で持ち手やショルダーストラップが付いているものが使いやすいです。長時間の通院の際には、肩にかけて楽に持ち運べるタイプがおすすめです。
落ち着いた見た目 インコが落ち着けるような明るい色や、安心感を与える派手さのない柄がいいです。
インコの通院バッグの中身はキャリーかプラケースか?
インコの通院バッグに入れる鳥の収容ケースはミニキャリーかプラケースが使われることが多いですが、それぞれの特性からキャリーのケージタイプは夏向き、プラケースは冬向き…といえるため、シーズンで使い分けるのが理想的です。
キャリーケースのメリット・デメリット
インコのキャリーケースには【バッグ型】【リュック型】【ケージ型】がありますが、ここでは【ケージ型】の特徴について紹介します。
キャリーケージのメリットは普段過ごしているケージと似た環境で移動ができる点です。
インコ用のミニキャリーの中には普段のケージをコンパクトに再現したものが多いため、通気性が良く、
夏場の通院に向いています。
また、キャリーケージには止まり木がついているものがほとんどで、鳥の足にやさしい仕様になっています。
しかし冬場での単体使用や、インコの体調が悪くて止まり木に止まれない時は、キャリーケージは不向きです。
またケージタイプは通気性に優れている分 保温性が低く、体調の優れないインコを運ぶ時は工夫や配慮が必要となります。
プラケース(虫かご)のメリット・デメリット
プラケースのメリットは、保温性に優れている点です。プラケースのほとんどは上部にしか空気の通り道がないため、急激な温度の変化を避けることができます。
また、サイズも豊富でインコの体格に合わせたものが比較的安価で手に入りやすく、蓋もしっかりと閉まるものが多いため、インコの飛び出しにも安心です。
しかし、プラケースは保温性が高い分、夏場の使用には注意が必要です。プラケースはプラスチックで側面を覆われているため、蒸れやすいです。
プラケースは従来のカブトムシ育成用から爬虫類用まで様々なタイプが入手できますが、どれも鳥用に使ってOK
プラケースでも止まり木は使えます。据え置き型の止まり木もありますし、プラケースに穴をあけてねじで固定できる止まり木を設置する等カスタマイズを施して使っている人もたくさんいます。
プラケースの止まり木はこれがいいよ。
(止まり木にコーバン巻いてます) pic.twitter.com/zSJHP2WF9t— ぴんふ (@pase_ume) March 26, 2021
アイリスオーヤマ飼育ランド
透明窓が大きく、日常のお手入れがしやすい。中の観察が楽しくしやすいようにワイドな曲面フォルムのデザインはいかにも「プラケース!」といった感じがせず、おしゃれな見ためで人気があり、サイズはS~3Lまで幅広い。
SANKOクリーンケース
視界が開けていてケース内が明るく、容易に観察できる。持ち運び用の取っ手がついていないが、蓋の上部に積み重ねやすいように枠が付いていてずれないようになっている。
SANKOパノラマ
クリアーで大きな天窓。開放感があり観察しやすくお世話も楽々できる。
ジービー AMC-N 万能ケース
インコの雛や小動物の飼育など何にでも使い勝手の良い万能ケース。掃除の間のペットの一時待機場所などにも。半透明なので
中の様子が見えやすくなっている。
Rainbow プラケース用キャリーバッグ
インコの通院キャリーやプラケースは大きすぎないサイズを選ぶ
体調が優れないインコを病院に連れて行く時には、なるべく小さめのキャリーやプラケースを選ぶのがおすすめです。
外出自体にストレスを感じるインコは多いです。体調の良し悪しに関わらず、移動手段によっては移動中に止まり木から落下したり、ケージが広すぎるゆえに中でパニックを起こして負傷する可能性があります。
キャリーやプラケースを入れる鞄はどんなものがいい?
キャリーやプラケースはそれらがすっぽり入る鞄に入れて移動しましょう。二重にすることで夏は直射日光や病院内の冷房からインコを守り、冬は保温の効果があります。
保温保冷トートバッグを使用すると、夏場の保冷や冬場の保温性を高めることができ、季節問わずインコが快適に過ごすことができます。
大きく口が開くレジカゴバッグならどのキャリーにも対応しやすく便利です。
バッグの開口部が巾着になっているものはインコの目隠しになるため、インコが外の野鳥などを見てパニックを起こすことを予防できます。
内側がアルミになっている保冷バッグは保温にも使えるすぐれものです。
景色が変わることや環境の変化でストレスを感じやすいインコにとっては、鞄でケースを目隠しをすることはストレス緩和に効果的です。
インコは物音や車のライトなどにも敏感で、パニックを起こすと恐怖から逃れるために飛び立とうとして
ケースに体をぶつけて怪我をします。
ケースを鞄に入れれば、予期せぬ出来事からインコを守れます。
鳥種が違ってもこの声は影響するので、待合室には聞こえなくするのがベストです。現在は待合室が診察室から離れていていますが、次の病院は診察室の壁を防音仕様にします。待合室に大きくディストレスコールが聞こえてくる場合、怖がりな仔はキャリーを包んで防音しておくとよいでしょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 6, 2022
インコの通院時のロスト(逃げ出し)対策は万全に!
インコの通院時には、しっかりとロスト対策を行わなければいけません。
キャリーの底外れ対策には、荷締めバンドの使用が効果的です。
ロスト対策に使うバンドはキャリーケース専用のものでなくても、スーツケース用のバンドや一般的な荷締めベルトなどでも代用可能です。
扉開き対策には、ナスカンの使用が便利ですがステンレス製がおすすめです。
亜鉛合金製のナスカンを使ったらセキセイインコが吐いて下痢をしたとのことで来院しました。このナスカンはしばらく使っておらず古いもので、腐食が見られました。扉に使ったらずっと舐めていたとのことでした。レントゲン検査で金属片は見られませんでしたが金属中毒の可能性が高いです。 pic.twitter.com/hp5WTORIIm
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 19, 2022
インコの通院にプラケースを使用する場合はナスカンをかける箇所がないため、プラケースを洗濯ネットに入れてから鞄に入れると手軽にロスト対策を行えます。
洗濯ネットは大小さまざまなサイズが販売されているので、プラケースに合ったサイズのものをひとつ持っておきましょう。
キャリーでもプラケースでも通院する時に中に水を入れないで【地味に重要】
インコ用キャリーのケージタイプにはエサ入れが付属しているものが多いですが、通院の時は内部に水を入れることは控えましょう。
いちばん問題なのは、こぼれたときです。こぼれた水でインコの体が濡れてしまうと、体を冷やして病状が悪化する危険性があります。
通院時に水は入れないようにしましょう。溢れた水で便が濡れると評価ができなくなります。また水が足や羽につくことで体が冷えてしまっていることがよくあります。通院時は緊張しているため水は飲まないことが多いです。通院に時間がかかり心配な場所は途中で一時的に水を入れて飲ませると良いでしょう
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 29, 2021
キャリーに揺れのある移動中にインコが食べたり飲んだりすることはほとんどありませんから、よほどの長距離・長時間移動でない限り、移動中のインコの飲食については心配することはありません。
暑い季節の高温や脱水が心配な方は、小松菜などの野菜を入れておけば、水分補給の代わりになります。
インコの病院の連れて行き方!虫かご(プラケース)の保温・保冷法
インコの病院受診といっても単なる健康診断なのか?インコが怪我をしているのか?体調を崩しているのか?それぞれの状況によって注意点が異なります。
インコを病院に連れて行くときの注意点
幼鳥・病鳥・老鳥は移動中のケース内でも28℃~30℃程度の高い温度を保つのが理想的です。
健康な成鳥の健康診断のための通院(体調良好時)であっても、外気温の寒暖差でインコが体調を
崩すことがありますので、25℃程度に温度を調整するのが理想的です。
外出前にプラケースと収納バッグ内の空気を温めておく【必須】
プラケースは鳥を中に入れる30分程前から温めておくことをおすすめします。
またインコの通院バッグ(プラケースを収納する鞄)は風を通しにくい厚手の生地を使用したものが良いです。
車内で暖房が利いていても保温が十分とは限らない!
車移動の際、車内の暖房を利かせていてもインコにとっての保温は十分ではないことがあります。
しっかりとバッグ内の保温を行いましょう。
通院時の保温が足りず鳥さんが冷えてしまっていることがあります。この時期はキャリーをタオルで囲った程度では温度を保つことができません。カイロや湯たんぽ、ゆたぽんなど必ず熱源になる物を入れて保温を行なって下さい。車で暖房をかけているからと油断して冷やさないよう十分に注意しましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 7, 2021
プラケース内の温度を常に把握する
通院時には センサーコードを使用して室内外の温度をはかることができる温度計を用意しておくと便利です。
インコの通院時の保温・保冷の注意点
幼鳥・病鳥・老鳥の通院では基本的に保温に重点を置きますが、夏場のワンシーズンだけは猛暑時に保冷が必要になる場合があります。
夏場の保冷も温度管理を忘れずに
夏は冬場の保温同様に保冷バッグを使用し、保冷剤を入れることで手軽に冷やすことができます。
ただしこの時も温度計を設置し、冷えすぎていないか?保冷材の冷たい箇所がインコの足に直接触れていないか?など注意して温度管理を行いましょう。
インコの低温やけどに要注意!
冬場の保温はどんな方法を取るかによって注意点が異なります。
保温材をプラケースの下に敷く、または置くタイプのヒーターを使うときは、ケースの床全面が温まらないように、半分くらいスペースを開けておきます。
特に「足に直接触れて温かい」状況は、低温やけどの恐れがあり、危険です。
こちらは低温熱傷を起こしたコザクラインコの足です。布の袋に包んだ使い捨てカイロの上に座っていてなりました。袋は厚手の布でできており折り曲げて使っていたので3枚重なっていました。触っても熱くなく安全な温度と思われても長時間触れていると低温熱傷を起こすことがあるので気をつけましょう。 pic.twitter.com/IQ8GAUuX3K
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) December 8, 2021
ただ現実問題としては…
外出時にはこういうタイプの保温用品しか使えませんので、飼い主さんがインコの様子と温度を確認しながら臨機応変に対応するしかありません。
ケース内に止まり木がなく、インコが床に直におりている場合は、特に床全面を温めないように配慮します。
これは温まらない場所(鳥が暑いと感じたときに逃げられる場所)を設けることで、長時間の同一箇所の過熱による低温やけどを予防するためにも重要です。
使い方を厳重注意すれば使い捨てカイロも使える
使い捨てカイロは便利ですが、インコの通院バッグに使用する場合は注意が必要です。
使い捨てカイロは平均温度が約60℃ですが、最高温度は70℃~80℃近い高温になり、近づけすぎるとインコが火傷をする恐れがあります。
また、使い捨てカイロは空気中の酸素と水分を化学反応させて熱を発する原理により、密閉したバッグの中では酸欠になるおそれがあります。
使い捨てカイロは使い方を誤るとインコの命の危険がありますので、飼い主さんは自己責任で注意しながら臨機応変に利用してください。
インコの通院でおすすめの保温アイテムと使い方の注意点
インコの通院時に常に気を遣うのは温度管理。とりわけ冬季の温度調整で、インコを安全・快適に移動させるにはコツが要ります。
ここではインコの通院時の保温と便利な保温アイテムを中心に紹介します。
通院の移動中も温度管理と確認は必要!温度計は必携アイテム
温度計は100均でも購入可能ですが、キャリーやプラケース内の温度の確認にはケース内外の温度が確認できる温度計が便利です。
センサーをキャリーバッグやプラケース内に設置し、親機で温度を確認することができる仕組みのものがおすすめです。
これならバッグを開け締めしなくても中の温度が確認できるため、バッグの中に冷気が入り込むことを防止できます。
お湯を入れたペットボトル
ペットボトルにお湯を入れて使用する際は温度に注意が必要です。湯温が高すぎると普通のペットボトルでは変形します。
必ずホット用のペットボトルに60℃程度のお湯を入れ、タオル等でくるんで使用しましょう。
途中のコンビニで温かい飲み物を買って、タオルに包んでインコの通院バッグに入れるという手もあります。
もちろんこの場合もバッグやケース内の温度確認やインコの様子のチェックを怠らないでください。
玄米カイロ(玄米ホットパック)
電子レンジで繰り返し温めて使える玄米入りのカイロもあります。
やはりこちらも低温やけどの予防のため、鳥が直接触らない範囲での利用に限ります。
湯たんぽ
お湯を入れるタイプの湯たんぽは金属製、樹脂製などで保温時間が異なります。金属製や樹脂製は保温時間が4時間程度と言われています。
また、ゴム製のものは2時間程度と短いですが、ゴム製は氷枕としても使用できるものがあり、夏場の暑さ対策にも使用できる利点があります。
樹脂製の湯たんぽには70℃前後のお湯、その他の湯たんぽには90℃程度のお湯を入れることができますが、高温ですので使用時は厳重な注意が必要です。
ゆたぽん
ゆたぽんは電子レンジで加熱することで心地よい温かさになるジェルタイプの湯たんぽです。ゆたぽんの商品説明には「布団の中で使用した場合その温かさは約7時間持続する」とあります。
ゆたぽんの本体温度は45℃程度と低めですが、付属の専用カバーに入れて使用しましょう。
比較的低温ではありますが過信せず、常にインコに対して注意を払いながら使ってください。
充電式湯たんぽ
これは袋状のやわらかい湯たんぽで、食塩水が入っており、お湯の交換は不要です。15分程度の充電後はコードレスで4時間程度温かい状態を維持します。
充電式湯たんぽの本体表面温度は60℃程度になるため専用カバーなどを使用して注意して使ってください。
USB接続ヒーティングマット
極寒期にはUSB電源に接続し使用できるヒーティングマットも便利です。モバイルバッテリーを持参し、接続することでいつでも使用が可能です。
薄手のマットのため折りたたむことも可能で、バッグ内でも場所を取りません。
こちらの表面温度は40℃程度ですが、長時間直接インコが触れることは避けましょう。
プラケースの底面に設置する場合は、ヒーティングマットが当たるのは半分くらいのスペースに留め、インコ自身が暑いと感じた時に逃げられる場所を作ることが絶対条件となります。