インコの爪切りの安全なやり方と保定から止血までの注意点

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もくじ

インコの爪切りの本質を突いた爪の切り方と保定から止血までの注意点

インコの爪切りは日常的なお世話のひとつですが、保定から始まるそれは初心者さんにはなかなか難しいことがあります。

爪切りの際に負傷する可能性があるため慎重に行う必要があります。

爪切りをする前の注意点

適切な道具を使う 専用の爪切りを使うのが一番仕事が早くて楽な方法です。普通のはさみや爪切りでも切れますが、インコ専用の爪切りを使うと安心・安全です。この記事でおすすめの爪切りも紹介していきます。

止血剤を準備する 爪切りの際にインコが怪我をしないように十分注意してください。動物の血管(爪の内側)を切ってしまうと大量に出血することがありますので、止血剤を用意しておくことをおすすめします。片栗粉や小麦粉で代用するのはNGです。

適切なタイミングで爪切りする 爪が伸びやすい子がいる一方で、自分で処理するため爪切りが要らない子がいたりと爪切りの適切なタイミングは個体によって異なりますが、一般的には、定期的に切っている人が多いです。爪が長く伸びすぎた状態でいると、鳥自身だけでなく飼い主も負傷することがあるので、普段から観察を欠かさないようにしましょう。

換羽期に爪をチェックする インコは換羽期になると爪が伸びることがありますので、この時期には特に注意して爪をチェックしましょう。

獣医の指示に従う【インコの疾患】 インコの健康状態によって爪の切り方や頻度が異なります。例えば、呼吸に異常がある鳥は飼い主が保定することは控えたほうがいいです。「たかが爪切りくらいで…」などと考えず、健康状態に不安がある場合は動物病院を受診し、獣医に相談して指示を受けましょう。

獣医の指示に従う【インコの種類】 インコの種類によって爪の切り方や頻度が異なります。大型鳥の場合、片手で保定できないのでバスタオル等を使って体を押さえますが、やり方は獣医に教わるのが最善です。

保定の注意点

向かって左が二点保定法。右が三点保定法。

保定の技術を身につける① 素手で鳥を持つことに抵抗がある人や、鳥にだいぶ暴れられて厄介で保定が難しい場合は、小型~中型インコなら、小さなハンドタオルを使って保定します。

保定の技術を身につける② 爪切りでは鳥の体をしっかり保定しないと安全にできません。爪切りの時は【二点保定法】 薬を飲ませたり目薬を差したりするときは【三点保定法】で行います。

二点保定法
  • ケージからケージへ移動させる時
  • 爪切り
三点保定法
  • 二点保定法より鳥が動かないのでしっかり固定できる
  • 薬を飲ませる時
  • 目薬をさす時
保定のメリット
  • 飼い主が自分で爪切りできる・投薬ができる・目薬がさせる
保定のデメリット
  • 保定に慣れるまで慎重に行っていかなければ、鳥が人や手を怖がるようになる

中途半端に手を出すことが手乗り崩れを招く

インコの爪切りを1~2回試すだけの「中途半端」なやり方はデメリットしかありません。

初めての爪切りに飼い主もビビってるかもしれませんが、鳥がビビるのも当たり前。誰もが最初はへたくそなのも当たり前。保定や爪切りによりインコが手を怖がるようになることは確かにあります。でもそこでやめてしまっては「鳥に恐怖を植え付けた」結果が残るだけ(最悪)

保定も爪切りも定期的に行うと飼い主も腕が上達します。手技を上達させるには気合や覚悟が要ることも、すべての人に共通しています。

出血の恐れがあるから爪切りを怖いと感じるはずなので、何の知識もない状態で爪を深くがっつり切る人なんていません。また、保定はビール瓶などを使って事前練習ができますし、もし爪切りで出血させてしまっても止血剤を準備して適切な処置をすれば、インコが爪切りで死亡することはありません。

あまり深く考えすぎると、自分でインコの爪切りをするのは一生無理です。知識と準備を整えれば何とかなるもの…と考えて、まずは一歩を踏み出してみてください。

インコの爪切りストレスを最小限にするための4つの条件

良い道具(爪切り)を選ぶこと
②飼い主が練習を何度も重ねて上達すること
若年期から爪切りの習慣をつけること(年を取るほど新しいことに慣れにくい)
④インコとの信頼関係を築いておくこと

②の練習とは保定です。オカメインコくらいまでのサイズの鳥なら、できればタオルなどの小道具を使わずに、二点保定法・三点保定法共にマスターするのが理想的。飼い主の腕が上がれば、インコに保定で恐怖を与えることがなくなります。

繰り返しやっているうちに「鳥が保定に慣れてきたから怖がらなくなる」もありますが、飼い主の気持ちの余裕のなさが鳥をビビらせる原因になっていることが多いのです(鳥はそういうのを敏感に感じ取る生き物です)

④の信頼関係の構築は重要です。これができていれば、まずインコが手乗りくずれになることはないです。一時的に手乗り崩れになることはあるかもしれませんが、比較的短期間で元の関係性に戻れます。

「爪切りのせいで手乗りくずれになった」という人がいますが、それは単なるきっかけであって、爪切りという「行為」だけのせいで手を怖がるわけではありません。本当の理由はインコ側の精神的な問題…信頼関係がイマイチなところから来ていることも多いのです。

どうしても自分でできない!など保定や爪切りに不安を感じる方は、無理をする必要はありません。初めから動物病院にお願いすればいいのです。それで問題は完全解決します。

【インコの爪切りの本質】爪の役割は?爪切りは必ず必要なのか?

爪切りのトラブルに遭うと、ほとんどの人がこのように考えると思います。

ただでさえ臆病、びびりと言われるオカメインコ。そんなインコにストレスを与えてまで、無理に爪切りをする必要は本当にあるのだろうか?

実は爪切りの本質は想像以上に深い事実(単に爪の長さの調整をするだけの問題ではすまない)があります。

インコの爪が伸びすぎてしまう原因とは?

爪が摩耗しにくい環境によるもの

とまり木のサイズが足に合っていない。握力が弱い。柔らかい場所にとまっているなどの要因で、爪が摩耗しにくく、伸びすぎてしまいます。

病気や障害によるもの

肝不全や栄養不良による爪の形成異常や、外傷や疥癬による障害に伴い、爪が伸びすぎることがあります。

インコは爪で鼻くそ(汚れ)をほじる…爪には適切な長さとほどよい尖りが必要

爪は鼻腔(鼻の穴)の掃除をするためのツールでもあります。

鳥は鼻腔の汚れを爪で掻き出して掃除しますが、爪が伸びすぎていたり、爪がとがっていなかったりすると掃除ができずに鼻腔がつまり、鼻呼吸ができなくなったり、感染症をおこしやすくなったりします。

そのため、爪は常に適切な長さで、ある程度はとがらせておく必要があるのです。

爪でうまく鼻を掃除できなくなった場合、小鳥の病院では洗浄液を点鼻後、吸引して掃除します。

伸びた爪が引っかかり、けがをする危険性があります。

放鳥時に人の服やカーテンなどに爪が引っかかり、けがにつながることが多いので、爪の先端は丸めておく必要があります。

インコの爪切りは先延ばしすると出血リスクが高まる(正常な長さで切っても出血する)

伸び過ぎた爪を切るのは深爪と出血リスクが高まります。つまり爪切りの先延ばしはデメリットしかありません。出血させて痛い思いをさせるのもかわいそうですから、伸びすぎないうちに爪を切ることを常に意識した方がいいでしょう。

インコの爪に求められる理想形…爪の先端に適度な丸みが必要

鳥の爪は伸びすぎていても、短すぎても、先が丸すぎても、とがりすぎていても、鳥にとって良くありません。

野鳥は自然界で生活するうちに爪が研がれたり削られたりして自然に整えられますが、飼い鳥ではそうはいきません。

だから飼い主が環境を整え、適切に爪切りをすることが、思わぬけがや病気から愛鳥を守ることにつながるのです。

しかし、その爪切りのやり方を間違えてけがをさせてしまっては本末転倒です。

上述の通り、爪が伸びすぎると出血するリスクが高まるため、安全にインコの爪切りを行うためには、定期的にやることが重要なポイントになってきます。

飼い主が長さを調整してあげれば、あとはインコが自分で爪先をかじったりして、適度な丸みが保たれます。

【インコの保定のコツ】二点保定法の練習はビール瓶を使う方法が簡単

獣医や動物看護師が診療時に動物を抱いたり、押さえたりして動きを抑制することを「保定」といいます。

保定に求められる技量は、 その時に行う処置(診察や注射等)を動物に負担をかけずにすみやかに行うこと  必要な処置を短時間でささっ終わらせて飼い主に安心感を伝える

傍から見たら「当たり前」に見えるけれど、自分でやるとなると難易度が高い技術です。

鳥の保定は「チョーク」が正当技

これではインコに嚙まれます

正しい保定はこちら

保定は哺乳類と鳥類とでは、やり方がかなり異なります。

哺乳類は首をしめられれば苦しみます。犬の保定時には腕を首に回すことがありますが、力まかせにしめ上げては窒息しますし、疾患のある個体はチアノーゼを起こして危険な状態になることもあります。

しかし鳥の場合はその真逆。鳥の保定では、プロレスの反則技チョーク(喉を締める)こそ、正当な技法です。

頸部を人さし指と中指の間に挟んで動きを抑制する保定法なら鳥を窒息させることがなく、噛まれることもない理想型です。

鳥には横隔膜がないので、人の肺のように伸縮して呼吸しているのではありません。鳥は二酸化炭素と酸素のガス交換をする肺が固定容量で、大きさが変化しないのです。

鳥体への空気の出入りは気嚢(きのう)で行われていますが、気嚢はガス交換機能を持っておらず、ふいご(=空気の流れを生み出す器具)の働きをしています。

哺乳類と鳥類では保定法が全く違うのはこのためです。

胸部を圧迫する保定では、ふいごの機能を抑制することになるので、鳥には命の危険があります。

小鳥の保定の練習はビール瓶を使ってイメージトレーニングから始める

獣医師の卵も動物看護師も、はじめは誰もがど素人。しっかり訓練を行わないうちにいきなり保定させては、動物を締め殺してしまう危険があります。

現代は動物福祉に十分配慮しなければ「動物虐待」とされる時代です。

そこで実際に生体に触れる前に行う基礎訓練として導入されたのがビール瓶を利用した保定練習法です。

via:日本経済新聞
ビール瓶の首を人さし指と中指の間にはさみ、指の力でぶら下げてから、瓶の肩の辺りを残りの3指で添えるように支えます。これが「首は絞めているが胸は圧迫していない」理想的な飼い鳥の保定スタイルです。

給餌や投薬のような細かい作業は利き手で行うので、右利きの人は左手で保定を行います。だから普段から練習して慣れておかないと「いざやるぞ!」というときになかなかうまくいきません。

小鳥を飼ってると保定が必要になる場面に多く遭遇しますが、この方法なら比較的簡単にイメージトレーニングと練習ができます。試してみてください。

【インコの爪切りはどこまで?】爪切り時の必需品・コツ・注意点

インコの爪は小さいけれど 飛び立つときにはスパイク、着地するときはストッパーの役目を果たす、日常生活に地味に重要な部分です。

野鳥であれば自然と爪が研がれていくので爪を切る必要はありませんが、ケージの中で暮らしている飼い鳥はどうしても爪が伸びすぎる傾向があります。

インコの爪が長すぎると止まり木に止まりにくくなります。放鳥時に飼い主の衣服に爪が引っかかって爪や足指を負傷する可能性もあります。

また、爪が伸びすぎると歩きの移動もしにくくなりますから不自由がないようによく観察してあげましょう。

インコの爪切りのコツ

まずは、てのひらで鳥体を包み込むようにやさしく体を掴んで保定しますが、インコの爪切りのコツは、人差し指と中指で鳥の首をしっかり伸ばすように支えることです。そうすると脚も伸びやすくなります。

鳥を掴むときにはお腹を押さえつけないように注意します。

鳥の保定に慣れていない場合は、1人が保定してもう一人が爪を切るなど、2人がかりで行うのがよいです。

どうしても1人で行わなくてはいけないなら爪が引っかかりづらい毛足の短いミニタオルを用意して、それをインコの体をまいてあげると暴れません。

インコの爪切りはどこまで?

インコの爪には神経も血管も通っています。昼間に明るい場所で爪切りを行うか、見づらければライトを当ててください。

ライトで照らすと血管が透けて見えるので、深爪にならないように血管の少し手前で切ってあげましょう。

ノーマル系のオカメインコは爪の色が黒いためライトで照らしても透けて見えづらいですから、切りすぎには十分に注意してください。

止血剤はインコの爪切りの必需品!線香で焼いたり片栗粉をつけたりしないで

爪を切るときには不測の事態に備えて、市販の止血剤(クイックストップ)を用意しておきましょう。

これは爪切りの出血用の止血剤です。

線香などで患部を焼いて止血するのはNGです。重度のやけどの恐れだけでなく、鳥が煙を吸引すると命の危険があります。爪用の止血剤は化学薬品で患部に軽いやけどを起こすからこそ止血の効果があるのです。台所にある粉類では血液を受け止めるだけで止血の効果はありません。「なんとなく止まりそうな気がする」は単なるイメージにすぎません。

インコの爪切りのおすすめは「小鳥専用爪切り」道具を選べば楽に爪が切れる

爪切りをできるだけ楽に行ういちばん簡単な方法は良い道具を使うこと。短時間で楽にインコの爪を切れる爪切りを選ぶことです。

道具の良し悪しが勝敗を分けるのが世の常。

「弘法筆を選ばず」なんて実は嘘っぱちで、あの弘法大師でさえ筆を選んでいたそうです。しかも高級な筆を使っていたという…凡人ならなおさら道具を選ぶべきです。

この爪切りで対応可能な鳥類

キンカチョウ、十姉妹、文鳥、セキセイインコ、マメルリハ、オカメインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、サザナミインコ、ウロコインコ、アキクサインコ、ヒインコ、ヨウム…など

この爪切を使ってみたら、今までの苦労が嘘みたいです。オカメインコをタオルにそっと包んで顔を見えなくして足だけ出して爪を切るだけ。爪を切ってる私の姿が見えないのでインコから嫌われることもないです。もっと早く購入すればよかった。高いと思いましたが、お値段以上の値打ちがありました。爪切りされていることを本人も気づいていないようです。

オカメインコ用に購入しました。がっちりと保定しなくても狙いを定めてぱちんと切れます。一人でもうまくいきました。爪が引っかかることが多かったので、爪切りで歩きやすくなって良かったです。

4歳のオカメインコの爪切に毎回悪戦苦闘していました。動物病院で爪切りのやり方を教わりましたが、うまくいかなくて、この爪切を購入。ダメなら飼い主が使えばいいかと思って買ったのですが、スムーズに切れてびっくり。インコも「あれ?そんなにイヤな感じがしない」と思ったようで、ご機嫌取りのフォローも要りませんでした。もっと早く買っていればよかった。

今までインコの爪切に人間用のを使っていたのですが、鳥が暴れると危険でした。長く鳥を押さえつけていると瀕死寸前の状態になったりとか、インコがだいぶつらい思いをしていました。この爪切にしたらとても切りやすくて、飼い主もインコも助かってます。毎回病院で爪切りを頼んでいたら費用がバカにならないですから、ちょっと高くてもこの爪切を買って使う方が経済的です。

人間用の爪切り、ペット用の爪切り、小ばさみなど、インコの爪切に色々使ってみましたが、4羽いるので毎回疲れ果ててました。嫌がられるし、逃げられるし、噛まれるしでへとへとになっていましたが、この爪切りはとても切りやすいです。保定する時間が短くなるので、インコたちもストレスが軽減しました。いい買い物をしました。

ずっと小動物用の爪切りを使っていましたが、インコの爪は長さや向きが違うので切りづらく、この爪切りはずっと欲しいと思っていました。爪の切り方の説明書までついているのでありがたい。

4羽の中型・大型インコの爪きりに悪戦苦闘していました。この爪切りは曲がっているので簡単に爪が切れるので、素早く爪が切れて、鳥たちもあれ?と思っているようです。

【体験談】オカメインコの爪を切りすぎたらストレスでぐったり…小鳥の病院を受診

オカメインコの飼い主の体験談

ある日いつものようにオカメインコを放鳥していた私は、自分の手や腕に無数のひっかき傷があることに気づきました。

放鳥時は「小鳥と遊ぶこと」だけに集中しているのですぐにはそれに気づきませんでしたが、傷だらけの手や腕を見たときは「これはなんとかしなくちゃ」と思いました。

引っかき傷の原因はインコの伸び過ぎた爪だったからです。

オカメインコの爪切りをやらなくて大丈夫とずっと思っていた…

実はお迎えしてからこの時(3歳)まで、オカメインコの爪を一度も切ったことがなかったのです。

止まっているうちに自然に爪の伸びすぎを防ぐ「サンドパーチ」を使っていたので、爪の伸びすぎをしのいでいる(つもり)でいたのですが、現実には爪とぎ効果はありませんでした。

インコの爪とぎパーチが良くないものと知ったのは、後述する小鳥の病院を受診した時でした。

爪とぎパーチは鳥の健康を害すから使わないで。

…と獣医さんから説明を受けるまで、私はそのことを知らずにいました。

はじめてのオカメインコの爪切りで切りすぎた!

そういういきさつを経て、私はオカメインコの初めての爪切りに取り組んだのでした。

ネット検索して、自分でインコの爪を切る方法を確認しましたが、小鳥の爪切りを持っていなかったため、人間用の爪切りを使うことにしました。

インコが怖がらないようにタオルで軽く目隠しをしながら保定して爪切りを開始したものの、ただでさえ臆病なオカメインコだけに、暴れて大変なことになりました。

そんなこんなでなんとか爪切りを終えたときには、私もインコもぐったりと疲労困憊状態。

自分では深爪に注意をして切っていたつもりでしたが、ふとインコの足元を見ると、爪の先から出血しています。

あわてて小麦粉を塗って止血しましたが、爪切りのショックと大暴れの抵抗で、インコのぐったり状態はその日中続きました。

あまりの元気のなさに不安になった私は、翌日病院に連れて行くことを決めました。

爪切りのストレスでぐったりしてしまったオカメインコの病院受診を決めて

小鳥の病院限定で調べていくと、電車とバスを乗り継いで2時間弱のところに、小鳥専門のクリニックがあることがわかりました。

私はすぐに小鳥専門クリニックに電話をして状況を伝えたところ、翌日に予約を入れていただけました。

病院に連れていくまでに何をすればいいかや、おおよその治療費をあらかじめ電話で教えてもらったので、少しだけ安心できました。

私のオカメインコは緊急を要するほど衰弱していたわけではありませんでしたが、こんなアドバイスをいただきました。

もしも餌も食べられない状況なら、ブドウ糖溶液をストローでくちばしの横からほんの少量流し込んであげるといいですよ。

はじめての小鳥の病院受診

予約当日、オカメインコをプラケースの中に入れ、ケース外側の両脇には使い捨てカイロを貼り、その上から厚手のバスタオルで包み、公共交通機関に持ち込めるサイズのバッグに入れて病院へ向かいました。

2時間かけて病院到着後、待つこと30分。いよいよ順番がまわって来ました。

診療を担当したのは話しやすい雰囲気の女医さんでした。

どんな状況でケガをしたか?どこが気になるか?…などを尋ねられた後に、体重測定やフンの検査・触診を開始。触診の段階で

骨が折れている心配はないです

…と言われてまずはひと安心。

グッタリしつつもギャーギャー暴れてるインコを見ていた私は、診察が終わるまで本当に心配でしたが、診断結果は

骨や羽根に異常なし。ただし爪を切りすぎてしまったことによる出血に伴う貧血状態とストレスによるショック状態になっている可能性があります。

最期に貧血解消と炎症止めを処方してもらいました。どちらもくちばしの横から流し込んで飲ませる薬です。さらに、爪切りを自宅でする際に必要な「止血剤」の小分けもいただいてきました。

診察の終盤には、普段のお世話の仕方や、気をつけたほうが良いことについてもレクチャーしていただくことができました。

爪切り時はしっかりと保定すること
爪切り時には止血剤を常備しておくこと
小回りの利くニッパーのようなもので爪切りすること
爪切りが難しければ無理せず病院へ連れて来たほうがよい
サンドパーチやセメントパーチ(小鳥の爪とぎ用止まり木)は肝臓に良くないので使わないこと
ペレットも野菜も食べない鳥には ネクトンのようなサプリメントを与えること

受診前に電話でお聞きしていたおおよその診療費用は
診察代 3,500円
レントゲン 5,000円~
血液検査 10,000円~ でしたが、

実際のお会計は
診察代 3,500円
フンの検査 1,000円
炎症止めと貧血解消剤5日分 2,000円
止血剤  500円
合計で7,000円のお支払いでした。

私のオカメインコは3日間ほどで全く心配がない状況になり、通院はこの1回で終わりとなりました。

【体験談】インコの爪を切りすぎた!血が止まらない!から学んだ我が家の爪切りの十戒

オカメインコの飼い主の体験談

我が家のオカメインコ(オス・4歳)はお迎えからずっと自宅で爪切りをしてきました。

小鳥の病院が頻回に通える距離になかったことと、うちのインコは爪切りを嫌がるものの、人の手には慣れているため、どうにかこなせていたからです。

最初はおっかなびっくりでしたが、回数を重ねるうちに慣れや惰性からインコの爪切りに対する緊張感が薄れていきました。そして3年目のある日、はじめて爪切りを失敗してしまったのです。

ある土曜日の朝、オカメインコの機嫌がいいタイミングを見計らい、夫と協力しながら爪切りを始めました。

あまりストレスを与えたくなかったので、切る回数を少なくし、一度でできるだけ短く切るるようにしていたのです。

オカメインコの爪を切りすぎた!血が止まらない!どうしよう!

その日もいつも通りに爪を切ったつもりでした。私のオカメインコはノーマルなので、もともと爪が黒いため血管が透けて見えません。ところが爪を切った瞬間、先からぷくりと赤い血の粒があふれてきました。

え!?切りすぎた!?出血した!

出血はごく少量なのですぐに止まるだろうと考え、患部をティッシュで押さえましたが、血のつぶはみるみる大きくなり、次から次へとあふれてきます。からだの小さなインコにとっては、数滴でも命の危機に瀕する大出血です。

そのとき私の脳裏にどこかで見かけた「片栗粉で押さえて止血する」方法が浮かびました。急いで台所から片栗粉をもってきて、爪の先につけてみましたが、インコは嫌がってオカメパニックに陥り部屋中を逃げ回りました。

私も焦って追いかけていって何度も止血を試みますが、いくら片栗粉をつけて押さえても出血が止まりませんでした。

あわてて近くの動物病院に駆け込み 事なきを得たが…

急いで夫が、車で5分の動物病院(小鳥専門ではない)に電話をかけたところ、すぐに受診できることになりました。

オカメインコは興奮はしているものの、息が荒くなる様子は見られなかったため、自分たちでの止血は一旦あきらめてインコをキャリーに入れて車に乗り込みました。

そこでふと我にかえると、私の手も服もインコの羽根も、あちこちが血で汚れていました。

動物病院に着くと、すぐに処置室に呼ばれました。先生は落ち着いた様子で、黄色い止血剤の粉を爪にグッと押し込みました。

その処置のおかげですぐに出血は止まり、インコにぐったりしている様子がなかったことから、それ以上の診察や検査を受けることもなくそのまま帰宅できました。止血した患部は再出血も見られませんでした。

小鳥専門でないにもかかわらず鳥の急患を受け入れ、丁寧に診察・処置をしてくれた先生とスタッフの方々に本当に感謝でいっぱいでした。

インコの安全な爪切り実践のための我が家の十戒

その爪切り失敗を経て、私は「正しく安全に爪切りができるようにきちんとやり方を見直そう」と考えました。

ここでは一般的な正しい爪切り方法に加えて「我が家とうちの子に合った方法」を考慮し、見直したポイントの10箇条を決めました。

オカメインコの爪を切るタイミングと環境に関する3か条

爪切りの出血やけがに備えて、以下のことを必ず守っています。

①爪切りは必ず、平日の病院が開いている時間に行う
②できるだけオカメインコの機嫌がいいときを見計らって行う
③止血剤の粉末(ネットで購入した)をそばに準備しておく

我が家の爪切り方法に関する7か条

①夫と私の2人体制で行い、それぞれ保定係と爪切り係を分担する
②保定の際は両手を使い、オカメインコの体をミニタオルでやさしく包む
③爪切りの道具をオカメインコに見せないよう配慮する(見ると警戒し逃げようとするため)
④優しく声をかけ、頭をなでながら、爪切りの恐怖感を和らげるよう努める
⑤爪切りは小鳥用の爪切りと人間用の小さめの爪切りと複数用意。その時々のオカメインコの体勢や足趾の向きに応じて切りやすいものを選び、使い分ける
⑥オカメインコが暴れて爪切りが安全にできない場合は無理に切らない
⑦爪切りが終わったらごほうびに大好きなひまわりの種をあげ、気が済むまで一緒に遊び、安心させる

【体験談】オカメインコの爪から大量出血!九死に一生を得た放鳥時の大惨事

オカメインコの飼い主の体験談 これは爪切りのエピソードではありません

我が家には5羽のインコがいて、朝夕2回の放鳥タイムがあります。その日も鳥のための6畳ほどの部屋の雨戸を開け「おはよう」とインコたちに挨拶して、いつもの1日が始まりました。

インコたちは朝食後には皆思い思いの場所でくつろいで過ごしますが、その日はオカメインコが何やら大声をあげて騒いでいます。ふと振り返ると、白い壁に一本の赤い線がすーっと入っている光景が目に飛び込んできました。

え?何!?どういうこと??

すぐにその一本の線が血であることに気づきました。そのまま視線を上に巡らせると、その先にはエアコンがあり、その上にオカメインコの吟ちゃんと、ウロコインコのもんちゃんがいます。

血は吟ちゃんの足を真っ赤に染めています。血が出ている事を気にして足をいじったり、頭をかいたり、何かと落ち着きがない吟ちゃんの全身にも血がついているのが見えました。

口の中も血まみれだ…。口の中が切れたのだろうか?

卒倒しそうな心を抑えて、私は吟ちゃんの方に静かに近づいていきました。ここで飛び立ってしまったらさらに出血するので、できるだけ驚かさないように、そうっと脚立に乗って吟ちゃんを手にのせました。

すると吟ちゃんの爪の間から血がにじみ出ているのがわかりました。足の爪から血がぽたぽたと3秒に1粒くらいのペースで血の雫が生まれては伝って、下にしたたり落ちていました。

大急ぎでかかりつけの動物病院に駆けこんで…

私はすぐにかかりつけの動物病院に電話しました。朝は9時始まりの病院ですが、8時20分でも電話に出てくれました。「すぐに連れてきてください」と言われ、私は急いで吟ちゃんを連れて車に乗り込みました。

吟ちゃんの血は止まりません。キャリーケージの中で暴れるのでさらに血だらけになって、はあはあと肩で息をしています。

どうしようもない。とにかく早く先生に診てもらうしかない。

信号ひとつひとつが永遠に赤のままであるかのような錯覚に陥りながら、ようやく動物病院へ辿り着きました。

「血は止まりました?」と受付の方の声に「いいえ」と返事を返すと「えっ!?」と驚かれ…。

それはそうでしょう。通常の出血はこんなに長く続かないことを、私も長いインコの飼育経験から知っていました。

怪我に気づいてから、その時点で銀ちゃんは20分は出血し続けていたのです。

ダメかもしれない…いやいや、そんなことをちょっとでも思ったらおしまいだ!

受付の方にキャリーを手渡すと、すぐさまその女性は走り去って病院に入っていきました。

吟ちゃんの血を服のあちこちに付けながら、私は動物病院の待合室に入って座りました。待合には早い時間から患畜を連れた方々がいて、皆の視線が一斉に私に注がれ…

そりゃあ…これだけ血だらけの姿してたら びっくりするよねえ(汗)

そこはエギソチックアニマルの診療をする動物病院です。待合室を犬猫とエギソチックアニマルに別々に設ける気配りのある病院で、私はいつもここで吟ちゃんの健康診断をお願いしています。

待合室で待っていると、突如吟ちゃんの痛そうな叫び声が、診察室から聞こえてきました。

あぁ…吟ちゃん大丈夫だろうか。

はらはらしながら待っていると、先生が笑顔で診察室から出てきました。

吟ちゃんの出血、止まりましたよ。いやあ、すごい出血でしたね。もう少し遅かったらどうなっていたか。ラッキーでした!よかったですねえ。

私は涙目になりながら、先生のお話を伺いに診察室に入りました。

爪の血管を縦に分断!出血面積が大きくなったことで大出血に

いったい何があったのか。どうしてこのような大出血になったのか。そしてどのように止血したのか。先生は絵を書いて教えてくれました。

吟ちゃんの大出血は、隣にいたウロコインコがオカメインコの足の爪を噛んだのが原因のようでした。

吟ちゃんはウロコインコのもんちゃんによく頭をカキカキしてもらっています。今朝もいつものように2羽で一緒にいたのですが、何かの拍子にイラっとしたもんちゃんが吟ちゃんの足に噛みついたのだと思われました。

インコのクチバシがオカメインコの足の爪を縦に割いたため、血管を縦に分断し出血面積が大きくなり大出血になりました。それを止血するために今度は爪の根本付近を横にハサミで切り、そこに止血パウダーを塗って止血しました。

何とか無事に帰宅し安静に過ごし…事なきを得た

無事に止血できたとはいえ、あれほどの大量出血…体重90グラムの吟ちゃんが耐えられる出血量なのだろうか?

しばらくの間は吟ちゃんは餌を食べず、ずっと籠の隅でうずくまり、貧血による体調不良に耐えるしかありませんでした。ほとんど籠に体をもたれかけて過ごしました。

全身羽毛に覆われているので顔色はわかりませんが、もし羽が生えていなかったら体が真っ青なのではないか…と思うほど、吟ちゃんはぐったりしていました。

吟ちゃんのケージまわりの温度を28~29℃に保ち、常に様子を伺いながら、安静にして過ごさせました。

鳥は餌を摂ることや消化させることにも体力を奪うと判断すると、何も食べずに回復を待つ。

…と聞いたことがあったので、心配はしましたが無理やり食べさせることはせずに、静かに寝かせてやりました。

吟ちゃんは3日目の朝あたりから、呼びかけると反応してちまちまと餌をつつく姿を見せるようになりました。

ああよかった。これなら助かる。

心底ホッとした瞬間でした。

あれから早2年。吟ちゃんの断裂した爪は元通りになり、元気に飛び回って毎日を楽しく過ごしています。

あの時に動物病院を探すところから始めていたら…と思うとぞっとします。もしそうだったなら吟ちゃんは間違いなくお星さまになっていたでしょう。

小さな命を守るためのひとつの心がけとして、かかりつけ医をしっかりと決めておくことは本当に大切です。

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