インコの爪切りが苦手!その一歩手前の保定も四苦八苦!…という方は多いです。
インコの爪の伸び方や手入れの度合いは個体差があり、ほとんど爪切りの必要がない子もいれば、爪の伸びが早く爪切り頻度が高い子もいます。
インコの爪とぎはおすすめしない!爪とぎパーチも備長炭も優しくない
楽にインコの爪とぎができたらいいのに!それなら爪切しなくてもいいのに!…思っている方も多いはず。
でも残念ながら健康的・安全、それでいて確実に飼い鳥インコの爪を研ぐ方法はありません。
インコの爪問題で最もストレスのない方法…それは自然に爪が研げることですが
…などと安易に考えないでください。
サンドパーチを勧めない理由は、砂を食べてしまうからです。不溶性グリットの過食は胃に負担がかかる可能性があります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 31, 2022
もちろん足にも悪いですよ。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 31, 2022
爪とぎ目的で市販されている止まり木は足の裏や指が傷つくだけでなく、飲み込んだ砂(グリット)消化器疾患につながることもあるので、絶対おすすめしません。
グリットとは、筋胃(砂肝)内にたまる砂のことです。鳥はここで食物をすりつぶします。
グリットはすり潰しの補助に使われますが過剰にあると胃の負担になります。グリットが無い場合は筋胃に障害があることが多くこの場合はグリットになるボレー粉等は与えないで下さい。以前に他院にてグリットが無いと言われたため飼い主さんが焼砂を与えたセキセイインコが胃穿孔を起こした事があります
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 19, 2021
鳥種別や個体差により、グリットが必要か否かは異なります。
エンバクやオーチャードグラスを主食にするのがお勧めです。エンバクを食べない場合は、ムキ餌をミルで砕いた物かフォニオパディのような小さいシードを使うこともできますが胃の負担はさほど取れません。どうしてもシードしか食べない場合はスプラウトにしたり、ムキ餌をお湯でふやかして与えます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 27, 2021
あまり必要がない子にグリットを多量摂取すると「グリットインパクション」をもたらすので注意が必要です。
『グリットインパクション』
鳥には胃が二つあります。消化液を分泌する腺胃(前胃)、食物をすり潰す筋胃(砂嚢)です。硬いものをグリットとして筋胃に蓄積する性質があり、砂や鉱物、ボレー粉などを筋胃に溜め込みます。過剰に溜め込んでしまうと筋胃は動かなくなってしまい胃腸機能低下します↓ pic.twitter.com/twrFCx0NEy— 髙木慎介@鳥の獣医師 (@takagibirdvet) September 13, 2023
グリットインパクションの問題は、止まり木に巻いて使う紙やすり「サンドパーチ」でも同じ問題があるようです
また、サンドパーチは、効果よりもトラブルの方が多い商品で、多くの小鳥専門の獣医さんも使用しないように指導しています
以前のアンケート結果にも多くのトラブルが寄せられました pic.twitter.com/h4du0cla1p
— いいちこインコの飼い主@花沢りん吉 (@iichiko_hana) September 8, 2017
インコの爪とぎに備長炭の止まり木はやさしくない!
爪が研げると人気のある備長炭パーチもデメリットが目立つことから、インコにやさしい止まり木とは言いきれません。
備長炭パーチは硬いのと齧って食べているとミネラルの吸収を阻害するので常用はお勧めしません。時折使うと爪の摩耗に役立つこともあります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 13, 2021
備長炭の止まり木は硬いので、注意して使って貰っています。体重が正常でしたら、足の裏が赤くなってこないか見ながら使うと良いと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 27, 2020
齧ってるだけでも食べてしまうので、やめた方が良いと思います。炭は少量ならデトックス効果がありますが、食べ過ぎるとタンパク質やミネラルを吸着するので、栄養の吸収を阻害します。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 21, 2020
インコの爪とぎパーチは鳥にやさしくない!足の悪い鳥になる原因にも
インコの爪を自然にすり減らしたり爪を研がせる目的の止まり木がいろいろと市販されています。
サンドパーチカバーとかセメントパーチとか、いろいろな呼び方の「やすり系」商品がありますが、インコの足にやさしいものはひとつもありません。
爪の問題以前に鳥の足裏を傷つける可能性が高いです。
インコの爪とぎパーチは鳥の趾瘤症(バンブルフット)や擦過傷の原因
やすりのような爪とぎパーチの効果は、飼い主が考えるほど高くありません。
それどころか爪とぎパーチの利用は鳥の健康に高いリスクを伴います。
「インコの爪をとぐ」効果を謳われると、飼い主は「楽ができて好都合♪」…などと思うかもしれませんが、24時間365日、不自然な爪とぎパーチの上にとどまり続けることを余儀なくされる…
これはインコたちにとっては難行苦行なのでは!?
インコの爪とぎパーチの摩耗度は期待するほどではない
そもそも飼い鳥であるインコは野鳥のように動き回らないので、止まり木との摩擦による
爪の摩耗度は高くありません。
研磨効果があまり高くないにもかかわらず、足裏を傷つけたりタコや褥瘡ができたりしては、若いうちから足が不自由なインコになってしまいます。
重度の趾瘤症(バンブルフット)になると、止まり木に止まっていられなくなったりします。

「バンブルフット(趾瘤症)」は、自然界では見る事のない、飼鳥特有の病気のようです。
真っ直ぐな止まり木は、鳥にとって、何一つ、良い事はありません。真っ直ぐな止まり木が「鳥カゴの初期セット」なのは、大問題で、飼鳥のグッズも、まだまだ、信頼出来ないモノが沢山ある事を知って置いて下さい。 https://t.co/XW1OX8Vwkp
— いいちこインコの飼い主@花沢りん吉 (@iichiko_hana) October 12, 2018
これは趾瘤症ですね。早く治療した方が良い状態です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) March 18, 2021
若くて元気なインコでも趾瘤症になります。
傷口からばい菌が入ったり、万一敗血症でも起こしたら、深刻で最悪の事態を招きます。
365日利用するインコの止まり木は、鳥の足にやさしいものを選ぶのが絶対条件。
研磨タイプの止まり木は使わない方がいいでしょう。
インコの爪とぎ効果は低くても止まり木は自然木がおすすめ!
インコの止まり木にはまっすぐの一本棒より、自然の木々に近いでこぼこのある木や、少し曲がっている木を準備してあげるのがおすすめです。
ケージに付属する丸棒止まり木のようなつるつるすべすべよりも、自然木の方がインコの足にナチュラルでフィットする上に健康的です。

インコの指には長短がありますが、まんべんなく爪を使うために、止まり木は太いものと細いものを準備するなど、メリハリをつけてあげるのもいいです。
止まり木を掴んだ時に、3/4〜2/3ほど握れる太さが目安です。握り方にも個体差がありますので、爪を立てて握れているかを観察してください。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) August 21, 2020
飼い鳥は野鳥のような運動量がないので、どうしても爪が摩耗する機会に恵まれず、伸びてしまいがちです。
自然木の止まり木の爪とぎ効果はそれほど高くありませんが、太さがまちまちだったり表面がごつごつしていたりして、適度なにぎり加減(力配分)と自然な「良い刺激」を鳥に与えられます。
自然木パーチは趾瘤症(バンブルフット)の予防にもなるので、インコの足の健康のためにも止まり木にはこだわりをもってぜひ良いものを選んでください。
