オカメインコの飼い主の寄稿です
これは私が「インコが食べていいもの・食べてはいけないものがわからない」という疑問を大幅解決してみた話です。
「我が家のインコの食生活を変えよう!」と私が決断したのは2022年の春でした。
私が飼うオオハナインコの羽が黒ずんで脂ぎってきたのを目にして
…と思ったことがきっかけです。
また同時に、オカメインコの吟ちゃんがどうも体が弱いのではないか?と思い当たったことでも悩んでいましたから、2022年の夏から本格的に我が家のインコの食生活を変えていくことになったのです。
インコの食べ物で食べてはいけないもの食べていいものの正解を見る話
インコの食生活についての情報収集から始めたのですが、どうにもよく分かりませんでした。
というのも、ネットで調べても、
そんなことが多く「結局どうしたらいいの?」のはてなマークの毎日でした。
そうやって調べていくうちにたどり着いたのが、海外のオオハナインコの有料サイトです。
そこで得た「抗栄養素(反栄養素)」の知識に、私は目からウロコの感激を覚え、ようやく答えにたどり着いたと感じたのです。
オオハナインコの食事問題にぶち当たり…インコの手作りご飯への飽くなき探求の開始
海外有料サイトでインコの食の疑問が解けてきた!鍵は「抗栄養素」が握っている
最初は有料サイトに目を通しても「なに?これは一体どういうこと?」ばかりでした。
それは海外サイトのために英語で書かれていたからです。
理解よりも先にまずは翻訳から始まるのですが、あまりに専門用語が多く飛び交うので 翻訳ツールを使ってもよく分かりません。
四苦八苦しながら何度も読んでいくにしたがって内容が段々と理解できるようになり、インコの食の疑問が少しずつ解消していきました。
そのキーになるのが抗栄養素(反栄養素)の存在です。
抗栄養素(反栄養素)の知識抜きにしてインコの食を考えるのは無理がある
抗栄養素(反栄養素)とは、植物が生き延びるために、自らに備えている防衛機能のひとつです。
身動きが取れない植物は天敵に対抗する独自の防御システムを持っていて、それで自らの身を守っています。
天敵は植物から栄養素(メリット)を得ると同時に、天敵自身の健康に害をきたす有害な物質(デメリット)も体内に取り込んでいます。
有益な栄養素の吸収を妨げる有害物質が抗栄養素です。
抗栄養素がさらに強烈になったものが「毒」であり、中には死に至る成分も存在しますが、植物の持つ毒の多くは食べ過ぎると気持ち悪くなったり、軽い中毒を起こしたり、女性特有・男性特有の病気を誘発するホルモン様物質であったりと、軽微な症状がほとんどです。
インコが気を付けるべき9の抗栄養素(反栄養素)
レクチン
種・皮・葉に多く含まれ、そればかり食べると腸を刺激し、吐き気、下痢を引き起こします。
シュウ酸
灰汁(あく)と呼ばれるもので、カルシウムや鉄の吸収を阻害します。
ヒトではシュウ酸を過剰摂取すると腎臓のシュウ酸濃度が高くなり、結石になります(尿道結石)
フィチン酸
種に含まれるもので、種の栄養(鉄・亜鉛など)と結合して存在します。
芽や葉、実を作る力を持つものであり、とても栄養がありますが 結合しているために動物の体内に摂取できません。
だから種が鳥に食べられても糞で排泄されたものでも発芽するのですね。納得。
ゴイトロゲン
ゴイトロゲンは食べ過ぎると甲状腺機能低下症を発症します。
甲状腺ホルモンとは、血液で運ばれて身体中の新陳代謝を促進するホルモンです。
そのホルモンが低下するわけですから、代謝が落ちた状態になります。
ゴイトロゲンを多量摂取したインコは甲状腺腫になることがあります。
ゴイトロゲンがヨウ素の取り込みを抑制するので、産卵するメスには与えないようにしましょう。
フィトエストロゲン
内分泌系の混乱を誘発します。
エストロゲン(黄体ホルモン)を混乱させるリスクを増加させるもので、イソフラボンもこの中にあります。
タンニン
「しぶ」と呼ばれるものです。
過剰なタンニンは胃の粘膜を荒らし、消化液の分泌を妨げ、胃腸の弱い人には、吐き気や下痢を引き起こす原因となります。
硫化アリル
人間はこれを分解する酵素を持っているので栄養素を享受出来ますが、人以外のほぼ全ての生物がそれを分解する酵素を持っていません。
そのため誤って食べると中毒を起こして貧血になり、慢性疾患では肝機能低下です。
硫化アリルの怖いところは、熱しても加工しても毒性が消えないことです。
ペルシン
アボカドに含まれる抗栄養素です。
まだ見つかって日が浅いため研究段階ですが、ペルシンも人間のみが分解する酵素を持っていることがわかっています。
そのためヒト以外の生物が誤って口にすると中毒症状を発症します。
しかも中毒症状は鳥が最も重篤と言われており、呼吸困難を起こして死に至ることもあります。
アクリルアミド
アクリルアミドを摂取すると血管が汚れ、傷つきます。
動脈硬化や心筋梗塞を引き起こすことが分かっています。
抗栄養素を知るとインコに食べさせてはいけないものがわかる
抗栄養素を勉強することで、何を食べさせてはいけないか?が分かって来ました。
まず、抗栄養素を沢山含む植物は除外し、あまり入っていないものは少しずつ食べさせます。例えば…
ほうれん草はかなりの量のシュウ酸を含むので、わざわざ与える必要はない。青梗菜、パクチー、セロリで代用する。
オクラはシュウ酸が含まれているが、大した量ではない。タネが入っているので、自宅で栽培したオクラは早めに収穫し、蒸して食べさせる。
いちごもタネがついてるからフィチン酸が入っている。だから与えすぎないようにする。
とうもろこしは甘くてみんな大好きだけど、高脂肪。さらにフィチン酸が入っているので、与えすぎは禁物。
「種」は沢山の栄養素を含有するが、種の保存のために多くの抗栄養素を保有するので、与えすぎてはいけない。
抗栄養素ではなく、毒素を含有しているものもあるので、取扱には十分注意する(スプラウトのように芽を出してから与えるなど)
インコに大豆を与えていない理由
私は大豆を様々な抗栄養素を含む食べ物として捉えており、豆類ではさやつきのインゲンを蒸したもののみ与えることにしています。
インコに玄米・小麦を与えていない理由
米については玄米を使用しない理由も「抗栄養素」にあります。
玄米は皮の部分に沢山の栄養素があることは分かっていますが、抗栄養素(レクチン・フィチン酸)を含むため、使うのは白米で、これを主食のように扱うことにしています。
フィチン酸はアルカリ条件(体内の多くの環境)では、鉄や亜鉛と強く結合してしまい、水に溶けにくい物質(フィチン酸塩)になると考えられています。つまりそのまま体内に吸収される事はなく、フィチン酸が鉄、亜鉛などを捕まえたまま、体外へと排出される事になります。上記の事を考慮して玄米を食べた時の事を考えると、玄米が元来有している鉄や亜鉛などのミネラルが効率良く吸収されないということになります。これがフィチン酸について考えられている有害な部分です。
引用元:日本植物生理学会
小麦にはレクチンが多く含まれ、フィチン酸やグルテンも含まれています。
小麦は消化吸収力に乏しいため、私はあまり使わないようにしています。

オオハナインコ飼育で栄養知識の必要性に迫られたことが鳥の食の改善につながった
我が家では「食」に最も気を付けなければいけないオオハナインコを飼育しています。
熱帯雨林の大木の上に生息するオオハナインコは、ニューギニアの森林地帯やオーストラリアの乾燥地帯に生息している大型インコです。
地上で種子や虫、草、花を食べるようなたくさんのインコ(オカメインコ・セキセイインコ等)と同じ鳥類でありながら、オオハナインコは消化器官が独特なために、数々の抗栄養素に対して脆弱です。

幼鳥時代
オオハナインコの飼育のために私は抗栄養素を勉強しましたが、学んでいくうちに抗栄養素の知識は他のインコや哺乳類、人間に至るまでの有益な情報であることが分かりました。

羽毛が黒ずみ脂ぎってきて、コンディションがイマイチになってきた頃
食べ物は生きる者にとって最重要なもののひとつで、それひとつで精神異常をきたしたり、肝臓や腎臓を壊してしまったりします。
インコは種類により自然界での食べ物は違ってきますが、可愛がっているインコの自然界の食事から学ぶことも多くあります。

栄養学を学び始めた頃
美しい羽、美しい瞳を作りだすのは、おいしく楽しく健康な食事で作られるぷりっぷりの内臓のお陰なのだと私は信じています。

有料サイトに登録した頃①

有料サイトに登録した頃②
2022年夏以降に本格的にインコの食事を見直してから、我が家のインコ達はどの子も羽がツヤツヤ、つるんとしたイケメンになりました。

現在① 蛍光グリーンのブリリアントな輝き。これだけツヤがありながら、油ギッシュな感じがしません。

現在② 羽1枚1枚の質感と美しさがまったく違ってきていることに気づきます。
現在のオオハナインコの羽には黒い部分は見当たらず、美しいグリーンの蛍光色に包まれています。
次の換羽でもっとイケメンになるでしょう。
食事、運動、おもちゃ。そして楽しい毎日を提供して、幸せなインコライフを目指して行きます。

このオオハナインコさんの幼鳥の頃から現在までの変遷をこうして比べて見ると、羽毛のコンディションがどんどん素晴らしくなっていくのがよくわかります。鳥だけでなくヒトだって、これだけのアップにはなかなか耐えられませんよ(普通、アラがあれば丸わかりです)

黒ずんだグリーンがブリリアントグリーンに変貌し、まるで別の鳥を見ているようです。

このオオハナインコさんの食事はペレットメインでもシードメインでもありません。朝・夕に飼い主さんが計算して、愛情をたっぷり込めて作る 特製のおかゆを食べています。

一緒に飼われているオカメインコの面々も威風堂々の超イケメン!

「かわいい」も作れるけど「健康な内臓」も「ピカピカの羽毛」も作れるのです。インコのレシピや食べさせ方をインコの手づくりごはんで紹介していますので参考にしてください。