インコの遊びはヒトが余暇を楽しむ遊びとはまったく違うもの。
インコの行動は本能や習性から来ているもの多いので、生活のすべてが遊びに通じています。
つまり人とは違って、インコは遊ぶことが生きることそのものです。
ベタ慣れインコ養成講座!インコに嫌われた理由は鳥の遊びの認識不足
インコ・オウムと仲良くなるためには、インコのその遊びが本能からくるものなのか、それとも習性からくるものかを飼い主の方が常に意識しながら、インコの遊びに付き合ってあげる必要があります。
…という人は、まずはインコの遊びを理解することから始めてください。
べたなれまで、きっとあと一歩のところまで来ています。
たとえばフォージングトイを使って一緒に遊ぶのも良し。
クリッカーを使って簡単な芸を教えて一緒に楽しんだり、ボールを使った人と鳥との共同遊びなどもおすすめです。


…という方。
根本的にインコの特性や飼い方を勘違いしているので、インコから好かれないのは ある意味必然です。
確かに一人遊びも必要なのですが、最初から一人遊びができるのはかなり好奇心旺盛な一部のインコだけです。
ひとり遊びができるようになるためには 事前にフォージングを取り入れたり飼い主さんがいっしょの共同遊びから入っていくことが必要で、そうすることで次第に一人でも楽しく遊べるようになっていきます。

ひとり遊びができるようになったら遊び場を充実させてあげるのもおすすめです。

インコの「本能からくる遊び」は飼い主が取り上げたら大変なことになる
そもそもヒトと鳥では何もかもが違い過ぎます。
だからインコの遊びやインコとの遊び方をきちんと理解するのはなかなか難しいものです。
生活と遊びがリンクしている「かじる」行為
インコの本能で真っ先に挙げられるのがかじること。
フィンチと違って、インコ・オウムはかじることが大好きです。
「かじる」いちばん大きな目的は、それが食べ物かどうかを認識すること。
だから皮付きのシードや粟穂は「おいしい」ももちろんですが それをつついたりかじったりすること自体が楽しいことでもあります。
インコの立派なシンボルのクチバシは食べるために重要な部分なので、常にお手入れを必要としますが、そのお手入れのひとつがかじること。
かじることはクチバシののび過ぎを予防すること。
つまり生活と遊びがリンクしているので、取り上げるわけにはいかない行為です。
インコ・オウムがかじるのはいたずらではない
インコが物をかじることを嘆く飼い主さんは多いですが(気持ちはわかりますよ)これはいたずらではありません。
インコ・オウムの本能を満たすために必要な行為なので、あまり目くじらを立てないでください(というか、あらかじめ予防線を張っておいてください)
「本能」は満たされないと欲求不満になります。
欲求不満を抱えてイライラしているところで さらに飼い主さんから「かじる行為」を頭ごなしに叱られては、インコは立つ瀬がないばかりでなく、ストレスが溜まってメンタルがヤバいことになります。
…とインコから思われたら、手乗り崩れも必至です。
放鳥中にかじられて困るものを片付けておくことはもちろん、かじってOKなものを用意するなどの工夫を飼い主が凝らしましょう。
インコ・オウムはデストロイヤー!かじるの大好き破壊神はこわせるおもちゃが大好き
壁紙や柱などをかじられないようにするためには、そちらに注意が行かないように、ほかに注意を向けさせる対策が必要です。
日常的に鳥は多かれ少なかれ何らかの欲求不満やストレスを感じています。これらを解消するには人や他の鳥とのコミニケーション、齧る対象物は自分ではなく木やおもちゃにすると言うのが健全な方法であり、それがエンリッチメントなのです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 26, 2021
インコの「習性からくる遊び」には飼い主の許容と寄り添いが必要になる
習性は鳥種によっても異なります。ここではセキセイインコとオカメインコを例にしていきます。
基本的に彼らは群れで生活する鳥です。
1羽でいることは通常あり得ない…つまり孤独な環境下にいるだけでも、漠然とした不安を抱えてしまうわけです。
インコ・オウムは孤独と分離不安に弱い!だから呼び鳴きが多い
セキセイインコやオカメインコを最初から1羽飼いしていたとしても「孤独への不安」は習性から来ているものなのでどうしようもありません。
孤独の不安につける薬はありません。
また1羽で新しい家庭にお迎えされることが多いので、分離不安も飼い主側の都合上、ある意味仕方がないことです。
オカメインコやコザクラインコは分離不安を起こすことが多く、1羽飼いの場合は、常に家に人がいることが推奨されます。ただしこれはこれは個体差があるので、お迎えしてみないと分かりません。お迎えするには、こちらに鳥を合わせるのでなく、鳥に人が合わせる準備もできることが推奨されます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 8, 2021
インコが抱えてしまうさまざまな不安を少しでも紛らわすためには その子に合うと思われるいくつかの対策を、少しずつ時間をかけながら、インコ目線に準じることを忘れずに講じていくしかありません。
例えば…
飼い主との密なコミュニケーションを日課にすること
「いつも飼い主がそばにいるわけではない」と少しずつ自然に理解させること
インコの孤独解消のために安易に多頭飼育に走るのはおすすめできない
「単羽飼育では寂しかろう」と安易に2羽目をお迎えする方もいますが、それが結果オーライになるかどうかは 実際に飼ってみるまではわかりません。
反対に安定した関係性が築かれないと喧嘩やいじめ、嫉妬などで非常にストレスフルな生活を送ることとなります。多頭飼いをする場合は、なるべく同種とし、ヒナの時から2羽以上で育てるか、親に育てて貰いながら触って馴らすなどをして鳥の社会性を身に付けさせることを意識しましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 8, 2020
鳥同士の相性が悪ければ 強者が弱者をいじめて怪我をさせたり、最悪のケースでは死なせてしまうこともありますし、当然、ケージをもうひとつ用意する必要が出てきます。
この場合、2羽を別居させさえすれば 争いや孤独感の排除などについては一応解決できます。飼い主さんがそれで「良し」とするなら問題はないでしょう。
しかし「こんなはずではなかった!」と考える可能性が高い方は 上述のようなトラブルは決して少なくないので、複数飼育の決断は慎重にした方がいいでしょう。
【オカメインコの多頭飼い】複数飼い・2羽目お迎えは慎重に進めよう
孤独を感じさせないための鳥のおもちゃを用意するのもひとつの方法
孤独を感じないようにするためにおすすめなのは 鏡がついていたり、ブランコなどの動きのある系の鳥のおもちゃです。
鏡のおもちゃでは、それに映る自分の姿を自分とは思わずにパートナーと思い込むことがありますので、お年頃の鳥には発情を誘発してしまうことがあり 利用はケースバイケースですが…。
鏡で遊ぶ時間を減らして、フォージングや他の遊びを増やすなどの工夫が必要です。発情対策は食事量の調整と運動を中心に行うことをお勧めします。この考え方は先生によって異なります。鳥目線で生活を考えると、食事を制限された上に楽しみを取られたらQOLが下がると思うのです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 3, 2021
おもちゃに愛着を持つのは人だけではありません。鳥さんもお気に入りのものは大切にしています。中には人が触ると怒る仔もいます。雛の時からおもちゃと一緒に過ごさせると愛着を持ちやすいです。1羽飼いの鳥さんは、お気に入りのものがあると人が居ない時に寄り添うことができるのでおすすめです。 pic.twitter.com/BTWtCQAlNb
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 23, 2020
おもちゃを取り上げても発情が止まることはありません。また発情が精巣腫瘍を起こすというエビデンスはありません。発情は、食事制限で抑え、おもちゃは入れたり外したりして様子を見ながら使いましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 24, 2020
個体差があるので、やってみなければ分かりません。発情は0か100かではなく、強くならないようにする必要がありますが、おもちゃが明らかにトリガーになっている場合には、常に入れておくわけにはいかないかもしれません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 24, 2020
寄り添い系の鳥のおもちゃは、ひとりぼっちの不安を紛らわすには便利なアイテムです。
「群れたい!」鳥の習性からくる欲求を満たす毎日のコミュニケーション
おもちゃを使わないのなら 飼い主が毎日 一定時間を決めて、鳥と密なコミュニケーションを取ることが有効です。
つまり飼い主がインコの「群れていたい」欲求を満たしてあげるのです。
短時間でもいいのでコミュニケーションを取ることをルーティーンにするのが、インコのメンタルに寄り添う最良の方法です。
これを繰り返すとインコは賢い生き物なので
…が次第にわかってくるもので、それだけでも少しずつインコのメンタルが安定してくることがあります。
セキセイインコの呼び鳴きに4つの対策で「うるさい!」を解決した話
このときにいちばんやってはいけないことは 飼い主の一方的な都合をインコに押し付けること
これはインコには通じません。
通用しないだけならまだしも、インコにストレスを与え、下手をすると不信感までも植え付ける結果となります。
短時間でもいいので一度決めたルーティーンは欠かさないことが大切です。
もしできないなら、初めからやらない方がいい。できない約束はするな!ということです。
無責任に中途半端なことをするのは良くないです。
相手に期待させることになるので、やらないことよりもかえって最悪な結果を招きます。
インコの「巣作り行動の習性からくる遊び」をある程度は許容することも必要
オカメインコを飼育している方なら、その子が狭いところや暗がりを探して入って やたらと遊びたがるところを何度か見かけているのではないでしょうか。
そしてそれが何を意味しているかも想像はついていますよね?
そう「巣作り行動」です。
巣作り行動の習性はインコ・オウムによって様々ですが、中には面白い行動をするインコもいます。
たとえば、コザクラインコの場合、紙かじりが一種の巣作り行動です。
野生のコザクラインコは細長く切り取った木の皮を 器用に腰に差して運んで巣を作ります。
飼い鳥では木の皮がないので、紙がその代用として使われます。
この行動は生後3~4か月頃から始まるのですが、成長するごとに巣材づくりに磨きと拍車がかかっていきます。
それを見た飼い主の中には
…と思っている人もいるかもしれませんが、いたずらだなんてとんでもない!
鳥たちはいつだって大まじめ。生まれつき備わっている習性に従って行動しているだけの話です。
このことでコザクラインコをたしなめたとしても到底鳥には通じませんし、叱ったからといってなくなる行為でもない。つまり注意すること自体が不毛な行為です。
このツイートのように 毛引きにでも走られたら大変なことになりますよね。
以前に紙を取りあげられたコザクラインコが自分の羽を抜いて齧り、それを自分の腰に刺すことを始めたことがありました。意識は自分ではなく、なるべく外に向かせることが退屈の対処であり毛引きの改善法です。それは人や鳥とのコミュニケーション、フォージング、チュワブルトーイ、紙などになります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 1, 2021
そもそも言葉で叱ってわかる相手ではないので、飼い主の方が愛鳥の特性を学んで、その種に合った対策を施すしかありません。
それが自然にできる人はインコから好かれる飼い主であり、そのように鳥の目線に立てる人は、愛鳥から寄せられる信頼感も厚いものになるはず。
インコをべた慣れにしたい人は、まずはその部分に目を向けてみることをおすすめします。



子どもの頃に実家にいたオカメインコとの出会いからすでに40年超。未だ彼らへの愛と興味が尽きず「オカメインコ愛好家」の立ち位置から情報発信するyamaki がこのブログの中の人です。
ここには鳥ブログあるあるな「うちの子自慢」や「かわいいでしょ♪アピール」はありません。鳥の飼育本を丸写ししただけの机上の空論解説や、繁殖した雛の販売目的の宣伝PRもありません。鳥と飼い主のQOL向上(健康に楽しく)が目的のコンパニオンバードブログです。
フィンチとインコでは飼育に異なる点がありますが 小型~中型インコには共通項が多いことから、オカメインコだけに限らず中型までのインコ・オウム飼育に役立つ内容を更新していきます。